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シャーロック・ホームズの凱旋



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【この小説が収録されている参考書籍】
シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本)

シャーロック・ホームズの凱旋の評価: 3.40/5点 レビュー 57件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.40pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全5件 1~5 1/1ページ
No.5:
(3pt)

ワトソンの冒険

**ジョン・H・ワトソンの悔恨**
この小説はシャーロック・ホームズが主人公ではありません。ワトソンの物語であり、ワトソンの冒険です。考えてみれば、ホームズ物のほとんどはワトソンの一人称で書かれているのだから、実はホームズの物語はホームズが主人公ではないとも言えるのかもしれません。
複雑な設定でミステリーでもないし、SFでもないです。ほホームズ物の世界を力をかけて歪めて形を変えた感じです。同じような作品としてはホームズのクトゥルー物があります。あちらは物語が成立していますが、この本は物語よりも構成がポイントとなっています。
この本は「ビクトリア朝京都のワトソン」がロンドンのホームズを書いています(京都→ロンドン)が、創作世界のパラレルワールドは本来矛盾していると思います(我々の中でホームズがリアルを侵食しているのかもしれませんが)。そうであったとしても実はこの本は、ロンドン→(京都→ロンドン)ではないかと思います。ロンドンのワトソンが何故ビクトリア朝京都を書いたのかは本書に書かれています。ワトソンは創作の世界に消えたのでしょう。そんな気がします。
シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本)Amazon書評・レビュー:シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本)より
4120057348
No.4:
(3pt)

シャーロックホームズを忠実に再現した作品

本作は森見さんらしからぬ落ち着いた文章で構成され、コナンドイル原作のシャーロックホームズの雰囲気を忠実に再現しているなという印象だった。
個人的には舞台を京都にしたことの説明をもっと驚かせるかたちで説明して欲しかった。

終始森見節が抑えられていて地名を京都にしただけのシャーロックホームズという感じだったが、唯一「ドン底に落ちた人間に正論なんて通じる訳ないだろ!」と熱弁するところには森見さんの矜持のようなものを感じた。

ただ、シャーロックホームズなのに推理をする場面がほとんど登場せず、結局物語の謎が魔法によって全てが説明されてしまったのにはガッカリしてしまった。
原作をリスペクトするのならホームズの魔法を覆してしまう徹底的な推理を期待していた。
シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本)Amazon書評・レビュー:シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本)より
4120057348
No.3:
(3pt)

カバーが破れてました

直接本が入っていたのでカバーと帯に破れがあったのが残念でした
本自体は良かったです
シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本)Amazon書評・レビュー:シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本)より
4120057348
No.2:
(3pt)

やっぱりシャーロックホームズじゃない方が。。

著者のユーモアも、幻想的なストーリー展開も、ビクトリア朝京都でホームズやその登場人物をベースに展開されると何か作り物感が強くなる。いや作り物なんだけど。
シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本)Amazon書評・レビュー:シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本)より
4120057348
No.1:
(3pt)

スランプなのはホームズのみならず……

著者の過去作、特に『熱帯』をお読みになった方々ならば、本作『シャーロック・ホームズの凱旋』に強烈な既視感を、それも幾重もの既視感を覚えるのではないだろうか。

 京都の極々狭い一画を、あたかも無限の可能性を秘めた空間として描き出す手法はもはや著者の十八番であり、アイデンティティとすら思える。著者についている読者は程度の差こそあれ、誰もがこのお約束を読みに来ているのは否定できないだろう。ご安心ください、本作も例に漏れず、「ヴィクトリア朝京都」と、字面だけで笑えるほど強引な力業でもって飽きもせず舞台を京都に設定している。これが表層の既視感である。

 以降は物語の中核に触れるため、本作を未読の方は読み進めないことを強く推奨します。

 中層の既視感は本作の構造についてのものだ。『熱帯』のごとき、作中作とその作者が登場し、ページを捲れば世界が入れ替わってしまうな入れ子構造。個人的な感想になってしまって恐縮だが、『熱帯』ではそういったメタ的で非常に大がかりな仕掛けを十全に使いこなせず、むしろ小説を描き切れない根本的原因になってしまっていた。一方本作では、そのような不完全燃焼の感はない。仕掛けを『熱帯』と比べて控えめな、扱い切れる範囲に限定したのが奏功しているのだろう。ただ、彼方立てれば此方が立たぬというべきか、『熱帯』のような手に余るからこその得体の知れない不気味さ、大柄な小説という印象を本作は与え得ない。現実世界へ浸食していくような力のある物語ではなく、本作は本作の中ですべてが収まり切っている。

 深層の既視感は「スランプ」である。本作にはスランプに陥った人々が登場する。ホームズを筆頭に、モリアーティ教授、レストレード警部、そしてホームズと不可視の紐帯で繋がった語り手のワトソン。作中に蔓延するこの「スランプ」という病、その描写の向こう側に著者自身の苦境を見ずにはいられない。著者最大の持ち味たる、日常ではそうそうないような難しくも自由闊達な言い回しは本作では鳴りを潜めている。『夜行』『熱帯』の頃から懸念していたことが的中し、『四畳半』『夜は短し』のような文章だけで読者を虜にする力は現在の著者から失われてしまったようだ。それこそが著者の「スランプ」である。もちろん意図的な変化でもあるのだろう。小説の雰囲気に合わせて文体を変化させるのは当然であろうし、『ペンギン・ハイウェイ』などはその成功例だ。しかし近二作においては成功しているとは思えない。作家として一皮剝けるためにはいつまでも過去作の文体の模倣をしているわけにいかないのだろうが、結果としてどこか窮屈で味の薄い、言ってしまえば森見登美彦以外にも書ける文体に成り下がってしまっている。作中では名前を出さずにさりげなく触れていたが、コナン・ドイルはホームズを厭い、殺しさえした。しかし最後にはホームズを生み出した自らの才能を受け入れ、カムバックさせた。同様に、大柄な小説を窮屈な文体で書くよりは、著者の唯一無二の文体で挑んでほしいと願う。

長々と、どちらかといえば否定的な要素の強いレビューになったが、次回作も迷うことなく購入するつもりだ。この著者には凡作や駄作を掴まされてもかまわない。そう断言して後悔しないほどに著者の真の力量を厚く信頼している。森見登美彦の凱旋を待っている。
シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本)Amazon書評・レビュー:シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本)より
4120057348

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