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(アンソロジー)
迷いの谷 平井呈一怪談翻訳集成
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迷いの谷 平井呈一怪談翻訳集成の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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「平井翁は視覚的なセンスがはなはだ良くて、英文を読んだとき、頭の中に鮮烈な画像が出来上がっている。それを、永井荷風に弟子入りするくらいの作家の文章力でサラッと表現する。つまり、"英文" から "心の眼" に渡されたイメージを "日本文" に書き表すので、文字を文字に変換しているのではない。」 これは巻末解説に引用された、自身優れた翻訳家・アンソロジストである南條竹則が自作の登場人物に語らせた平井呈一評だが、平井訳文の特徴・魅力を過不足なく語るものとしてこれ以上的確なものはない。 実際、この短編集でも「スコーン」を「焼きせんべい」と訳すような用語の移し替えを平気で行っているし、欧米の言語文化ではほとんどないはずの「繰り返しのオノマトベ」をひんぱんに使っている。ほんの1~2ページの間でも「ガリガリ勉強しだした」「グウグウ寝てしまう」「ジリジリ鳴った」といった具合で、翻訳小説でここまでオノマトベを使いまくる訳者はほとんど例がないと思う。 (余談だが、日本語のような「繰り返しのオノマトベ」はポリネシア言語ぐらいしか使われていないらしい。私たちは年代によらず日常会話で便利に使っているが、欧米どころか中国大陸でもない文化なのだ。つまり、原文で使われているはずがない表現なのである。) 要は学校や翻訳講座などで提出したら落第点間違いなし、というぐらい言語変換の正確さを重視しない、あくまで日本人の言語感覚で受け入れやすい、まるで語り手や登場人物が日本人であるかのような錯覚を覚えさせる文章なのである。 こんなことを書くのは最近はネットや電子書籍で原文に触れることが容易になったこともあり、「逐語的に原文とは違う」というだけで「誤訳」という低評価レビューが溢れてしまうからだ。平井訳も岩波のラフカディオ・ハーン作品などでは用語が古いことと並んで不正確なことを酷評するレビューが出ている。 確かに用語の古さはあると思う。特にこの本に収録されたコッパード『シルヴァ・サアカス』ホフマン『古城物語』などは平井の翻訳者としての駆け出しの頃、戦前の昭和ヒトケタの時代の訳業だから、さすがに若い平井初心者が挑むにはちょっと難物かなと思われる。できれば先行する『幽霊島』や『恐怖』などを先に試されてから、波長が合えばこの本を手に取る方がよいでしょう。 さらに老婆心から付け加えるなら、Kindle版がオススメ。フォントを大きめにして難しい用語はタップすれば国語辞典が呼び出せるので、「言葉の意味がわからない」という事態は軽減できます。 少し脱線しましたが、それくらいの手間をかける価値はあると信じる。 原作自体はM・R・ジェイムズにしてもブラックウッド、コッパード等々人口に膾炙したものばかりだが、平井呈一という「怪奇の語り部」のフィルターを通して西洋怪談の独特の世界を堪能できます。 | ||||
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創元社から出版された平井呈一さんの翻訳物が、 これでほぼすべて復刻されたのではないでしょうか!? 以前「幽霊島」が出版されましたが、 その時に収録されなかった作品(A・ブラックウッド)、 M・R・ジェイムスの作品、 そして、創元社の本ではありませんが「古城物語」が主な収録作品で、 後は、あとがき、作品紹介などのエッセイ類となっています。 M・R・ジェイムズ、A・ブラックウッドの諸作は、世界恐怖小説全種に収録されていた作品で、 私は40年位前、古本屋をあさり全巻揃えて読みました。 後、創元推理文庫で出ていないのは「オトラント城奇譚」などでしょうが、出版されるのかな? 翻訳は少々古臭く感じるかもしれませんが、 格調高く、当時の雰囲気がしのばれ私は好きですね!! | ||||
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M・R・ジェイムズもアルジャーノン・ブラックウッドも大好きな作家。その作品が平井呈一先生の翻訳で今も手に入るとは、本当にすばらしいことです。しかも600ページ以上もあって、よみごたえばつぐんの1冊! しかし、悲しいことに、字が小さすぎて読めません。本当に悲しい。 東京創元社の文庫本に収録されると、どんな名著も読めなくなる。さながら、名著の墓場と呼ぶべきだろう。このような本を読むのはノスタル爺だけなのだから、字が小さければ売れるはずがない。東京創元社はいつまでこんなことを続けるのか。腹が立つ。 | ||||
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