■スポンサードリンク
極楽征夷大将軍
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
極楽征夷大将軍の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.15pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全57件 41~57 3/3ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
人に勧めたい本です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
足利尊氏とその弟の直義は、幼名を又太郎、次三郎といった。2人は、足利家の家来筋の母から生まれ、出世する血筋ではなかった。 2人が遊んでいて次三郎が父の硯(すずり)を壊したことがあった。又三郎は米で作ったのりで硯をつなぎ、ごまかそうとした。こういうとき、又三郎は図太くなる。結局はばれるのだが、又三郎は弟をかばい、自分が壊したと言い張った。 そんな2人の父親、貞氏(さだうじ)は、足利家の当主に復帰した。 又三郎は間の抜けた言動のため、陰で「極楽殿」と呼ばれていたが、馬鹿ではなかった。器の大きいところがあったのだ。 又三郎は15歳になって元服し、「高氏」になった。そして、足利家の庶流、加古基氏の娘と結婚する。翌年には長子の竹若丸が生まれた。同年には次三郎も結婚し、「髙国」になり、渋川貞頼の娘をもらった。 高氏は元服した時に従五位下、治部大輔という官位をもらっている。しかし、この官位は足利家の高師重(こうのもろしげ)の考えで与えられたものだった。さらに、師重は高氏に得宗家(北条家)から嫁を取らせることにする。 そのころ、高氏の和歌が勅撰集に載った。レベルの低い歌なのだが、他の歌もレベルが低いことから考えて、後醍醐天皇が倒幕を計画し、鎌倉武士の機嫌を取っておく目的のようだ。しかし、得宗家は高氏の二心を疑い、強引に高氏に得宗家の嫁を取らせる。 師重の息子である師泰は、高氏はずだ袋のようなもので、担ぐにはちょうどいいと言う。 だが、得宗家から取った嫁は、現執権北条守時の妹、登子(とうし)であった。髙国もこれには驚いた。当人の高氏は、ややこしい鎌倉府との関係など持ちたくないと思っていたが。 高氏が結婚して3年目に、後醍醐天皇が倒幕の乱を起こした。そのころ、父の貞氏が死んだ。 そこで高氏が臨時の当主になった。そして高氏は天皇討伐の総大将の役目を受け、その器の大きさを見せる。 その後も、高氏は運の良さとそのキャラクターが良いように誤解され、良い方へと流されていく。こんなに都合良く行くはずないだろう、と思うのだが、それを小説として成立させ、描ききったからこそ、権威ある賞を取れたのだろう。この作品には、室町幕府を開いた英雄というイメージとは全く違った尊氏がいる。一読してみる価値はあるだろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
わけのわからない鎌倉末期から室町時代までの騒乱の実情が、フィクションも多いことを差し引いてもこの小説で整理できてよくわかる。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
■今回の直木賞作である。 歴史小説好きなので、特に信長~秀吉~家康の時代の登場人物は本人達はもちろんのこと他の人物もかなり読んだ。 しかし本作の時代は最も人気のない時代と言われ、自分も例に漏れずこの時代のものは読んだ記憶がない。 直木賞作でなければ手に取ることもなかったのだろうが勉強させてもらおうと読み始めた。550頁上下2段で、大河小説なら当たり前だが尊氏の幼少期から始まる。さっぱり “ページが進まね~” ので作者は初読でもあるので経歴を調べてみた。 すると既にミステリー、エンタメ小説では名を成しているではないか。なんと山本周五郎賞もすでに受賞ている。(直木賞に次ぐ権威で、同賞よりも大衆性が高く受賞作の面白さは保証済) 2013年 の『光秀の定理』からは歴史小説作家に転身した。 成る程歴史小説でも当然エンタメ性は発揮できるのでこれは先を急がないとと思った。案の定足利の棟梁になるあたりから俄然ターボがきき始め止まらなくなった。 弟の直義と足利家執事の高師直の視点で物語は進んでいく。尊氏の度の過ぎた人柄や優しさと何も考えていない言動で2人が右往左往する様が可笑しく、本人を良く知らない味方する者たちは「流石は大将の器よ」とか「心広きお優しさよ」とかなぜか好意的に評価される。特に勇猛果敢な武将に程その人柄が愛された。 尊氏をはじめ楠木正成、新田義貞、後醍醐天皇等さして大した知識のなかった人達がが鮮明に像を成して楽しく勉強させてもらった。 さて作者は何故歴史小説家に転身したのだろう。歴史小説は『光秀の定理』『室町無頼』『信長の原理』『涅槃』と続くがそのうち直木賞候補に2回なっている。本作で受賞したがマジに直木賞を獲りに行ったのではなかろうか。“直木賞作家” という称号は作家なら誰でも欲しいもんね。 『室町無頼』は応仁の乱前後の話らしく、この辺りも苦手なのでこの作家とは少々付き合うことになるだろう。 米澤穂信も好きな作家だが2回直木賞候補になっていたが初の歴史小説『黒牢城』で受賞した。歴史小説の方が圧倒的に受賞しやすいからだろう。受賞後2冊刊行されるが早々に自分のフィールドに戻った(笑)。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
大河で見たい ムロツヨシと小泉孝太郎でお願いします | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
足利尊氏、直義、高師直、後醍醐天皇のキャラクターがしっかりしていて面白かった。天皇をここまで悪役キャラで描くのは珍しい。鎌倉幕府を打倒し、室町幕府を打ちたてるまでは抜群に面白かった。NHK大河ドラマの原作にしてもいいなと思ったが、やっぱり後醍醐陛下がこのわがまま絶倫キャラだと無理かなあ。 第三部に入り、足利直義と高師直の確執や一族の内紛にストーリーが移ると、急速につまらなくなってしまった。ぐだぐだ描かれる内紛と盛り上がらない数々の合戦がだらだら羅列されるだけだった。終盤は、第二部にして別冊で書き直した方がいいのかもしれない。 しかしそのマイナス分を差し引いても、中盤までの面白さは直木賞にふさわしい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
最初は武家と皇族の戦いの要素が強いが、尊氏が征夷大将軍になってから、直義と高師直の内乱、尊氏と直義の内乱へ変貌する。源氏の棟梁家に生まれた悲劇。波乱に満ちた人生だが、結局誰も幸せにならない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
久しぶりに骨太な歴史大河小説を読んだ。面白かった。直木賞受賞者にしてはベテランの作者の手に掛かると、直義と師直の、実質的に二人で汗を流し命を削って作った足利幕府だから、二人きりなら一番分かり合える仲なのに、慕うもの達を率いた時の立場から、相剋せざるを得なくなる感じ、大きな流れが、様々なエピソードで語られていくのが堪らない。生々しくてよい。 あとこの時代をじっくり学べた。おかげで、通り一遍でなく、なんで戦国時代の小説に関東管領やら扇ヶ谷上杉家とかが偉そうに出てくるのか、細川家が名族なのも忠臣蔵で吉良家が偉いのもわかった。 またこの小説の前々時代な大河ドラマ鎌倉殿を観た後に読んだことで、とても吸収しやすかった。極楽征夷大将軍も大河にして欲しい。尊氏、直義、師直には、手練手管な俳優が必要だが。 今時、分厚い一冊な上、1ページに二段の文章は、長い小説が好きな私には、食べ応えがあって満腹感の中で、反芻している。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
鎌倉幕府滅亡から室町幕府の創設を描いた作品としては、山岡荘八の「新太平記」や吉川英治の「私本太平記」といった名作があり、新たにそのジャンルに挑むのは大変だったのではと思うが、著者は物語の焦点を足利尊氏・直義の兄弟とこの二人を支えた高師直の3名に絞ることにより、新たな視点でこの時代を見事に描くことに成功した。著者の歴史小説は結構読んでいるが、本書こそ著者渾身の大作と言えるのではないだろうか。 著者の作品には悪人が出て来ないところが、面白いところであり物足りないところだと感じているが、本書の主人公の3人もやはり金や権力には興味がない無欲な人物ばかりである。特に足利尊氏は少し突き抜けたほど欲がないというか、ある意味自分で道を切り開く意欲が全くない、周囲に流されるまま生きる人物として描かれている。 そのような3人が時代の波に翻弄されながら天下を取ってしまうというところが本書の面白さで、読者はそんなわけないだろうと思いつつも、もしかしたら本当にこのような人物だったかも知れないと次第に思わされ、物語に引き込まれていく。 結末を知っているだけに後半になると少しつらい部分もあったが、非常に面白く読み応えがある作品であった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
足利尊氏、直義と高師直を中心に鎌倉幕府の後期、建武の新政、室町幕府の成立、そして室町幕府の内紛を描いている。あまり興味のなかった時代(室町時代)かつ人物(尊氏、直義)だったが、魅力的に書き上げている。著者は昔のハードボイルドアクション系からかなり方向性が変わってきているが、うまく変われているという印象を持つ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
世の中の無常、矛盾、人の心の虚ろな来し方行く末を文章を読んでいて感じた。 垣根涼介さんの時代ものはなかなか読み応えがあり、次作も楽しみです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
今まで、吉川英治「私本太平記」や海音寺潮五郎「武将列伝」を読んで、足利家の嫡子と信じていた尊氏や弟直義が庶子だとする冒頭に驚かされる。裏付けがあるのだろう。本書は尊氏・直義・高師直のトリオで足利幕府を設立する過程を細かく描いている。兄弟のいさかいの原因の一つに尊氏の妻の言動を配置したあたり納得できる。竹ノ下合戦や師直没落前の戦況、足利直冬の戦績などが克明に記されているのも嬉しい。ただ、親王任国上野には上野介迄しかいなかったはずだが、上野守が頻出するのは残念ながら信用性に水を差す。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
面白かったです。高校で長年歴史を教えて来ましたが、知らないことだらけでした。尊氏、直義、師直の人格もよくかけていますね。もしかしたら、高家が執権になっていたかもと思います。この小説は、私の高校時代の日本史の恩師に読んでもらおうと思います。ちなみに恩師は、大学1年の時に、志賀直哉が犬の散歩をしていたのを見たという方です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
垣根涼介の新作は、足利家の視点で太平記の時代を描いた、格調高い歴史小説である。より正確に書けば、足利直義と高師直からみた、鎌倉幕府の末期から滅亡、建武の新政、室町幕府の成立、そして幕府成立後の内紛(直義と師直との対立、尊氏と直義の対立)を、流れるように描いている。傑作である。 吉川英治「私本太平記」を読んだのは随分昔であるが、太平記の時代は多焦点的で、なんとなく取っ付きにくいと感じてきた(NHKの大河ドラマでも、この時代を取り上げたのはおそらく一回しかないし、視覚的なイメージがないということもあるだろう)。多焦点的というのは、物語の叙述が、ある時は足利尊氏に、ある時は後醍醐天皇に、ある時は楠木正成に、そしてある時は佐々木道誉にフォーカスして、あちらこちらに行ったり来たりしているうちに、話の筋道が見通しにくくなってしまうということである。また、北朝側か南朝側かどちらに感情移入したらよいかもはっきりしないので(どちらにも大義がありそうでもあり、なさそうでもあり)、それも、私のなかで、取っつきにくさを感じる要因かもしれない。 この垣根涼介の新作は、足利家の動きを克明に描き、足利家の視点から時代全体を俯瞰することで、多焦点的な動きを一つの焦点に固定した。そのため、多くの人が好きかもしれない佐々木道誉は殆ど登場しないし、後醍醐天皇が隠岐に流されるときの児島高徳の「天勾践を空しゅうすること莫れ 時に范蠡なきにしも非ず」も出てこない。しかし、足利家の視点で描くことで、この時代の複雑な政治過程や人間関係はすっきりし、物語は流れていく。そして、作者の達意の文章があり、引き込まれていく。 もう一つ特筆すべきは、尊氏、直義、師直の3人の人間像が、極めてしっかり、現代的な形で丁寧に造形されていることである。高師直についても、非常に公平に描いており(ステレオタイプ的な極悪人には描かれていない)、直義と師直の政治姿勢や立場を中立的に対比していて、だからこそ、終章で師直が追い詰められていく様は、とても胸が締め付けられる。そして、終章での、晩年の尊氏の成長の描き方は、作者の人間に対する深い洞察を感じさせるものになっている。第3章まで読み終えた扉の向こうに、もう一つ、奥行きのある物語がある。 私は、これまで、垣根涼介作品を、「光秀の定理」(角川書店、2013年)、「室町無頼」(新潮社、2016年)、「信長の原理」(KADOKAWA、2018年)、「涅槃」(朝日新聞出版、2021年)と読んできたが、今作品が最も素晴らしいと感じた(「涅槃」のような、変なノイズもなかった)。評価は「最優秀の作品」の☆5つとしたが、☆5つを上回る価値があった。これは私の書いた59番目のレビューである。2023年6月7日読了。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
足利幕府成立がよくわかります。 私の先祖も出てきて面白く読めました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
すごい1冊。室町幕府創設の立役者たちの時代背景、生い立ち、人物関係そしてドラマが全て詰まった1冊。 室町時代には、イメージとして何か釈然としないものがまとわりつく。応仁の乱などはその象徴だろう。では何が釈然としないかと言えば、それは善悪の対立構造の分かりにくさと、当事者の打ち出す理想への共鳴の無さではないだろうか?正確には、大した理想や理念もないのかもしれない。源平の戦い以降の流れを汲んでいることは間違いないだろう。鎌倉殿以降の歴史は、泥々の内輪の権力闘争の歴史で、特に時代をどうこうするイデオロギーには乏しい。 その流れを汲んで、室町時代もそのイメージが付き纏うなか、作者は良くぞこの足利兄弟に着目したなぁと感心せざるを得ない。この兄弟の面白さには、本流じゃないところから成り上がった成功の興奮、兄弟で力を合わせた美談など、人々を魅了するストーリーに溢れている。兄弟のキャラもわかりやすく、惹きつけやすい。北斗の拳で言えば、雲のジュウザ、ドカベンで言えば殿馬、例えが古いが、飄々キャラの兄と頭がキレる弟の組み合わせ。そして支える高兄弟などもキャラがわかりやすい。 歴史のうねりの中で登場する人物たちもキャラが濃くわかりやすい。赤松円心、楠木正成、新田義貞、そして何より後醍醐天皇だろう。 本前半の足利兄弟中心に旧体制である執権制度北条鎌倉幕府を倒していく過程と、後醍醐天皇という悪質なやり手に向かっていくそのスピード感と高揚感の描き下ろしはとにかく圧巻で面白い! しかし残念ながら、この兄弟の歴史は、鎌倉殿の13人と同じ方向をなぞって行ってしまう。そこからは、人の恨みつらみや面子や立場や対話の欠如からの誤解ばかりからの対立が蔓延り、誰と誰が何のために争っているのか、分かりにくくなる。それは歴史がそうだったのだから仕方がない。足利兄弟には、時代と人の心を掴む理念とそれを広めるプロデュース力が足りなかったのかもしれない。 しかしこの本は、そんな歴史を凌駕するほど濃く、そして面白い1冊だった。足利尊氏と直義兄弟のことをより知りたくなり、赤松円心や楠木正成も然り。そして高兄弟も今後より新たな歴史的発見と解釈が増えてくるのでないか?と推測する。応仁の乱には気が向かないが、作者は今まであまり陽の光が当たらない室町時代の一番興味深く面白い部分にスポットライトを当てられたのではないだろうか?今後ここにより注目が当たるのではないだろうか?分厚い一冊だったが、あっという間に読み終わった。鎌倉幕府の終焉と室町幕府の始まりについてもよく分かるようになった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
何を見てもよくわからなくなって読み飛ばしてしまい、理解できない室町幕府の創世期の物語。 建武の新政とか北朝擁立あたりまではグイグイ引っ張ってくれて面白いです。 でもやはり、筆者も、観応の擾乱あたりになってくると物語るのに飽きてきたのか、あるいは史実を小説化するのに手に余ったのか、段々とストーリー展開が雑になって来ます(実際の歴史の展開も、ゲーム・漫画っぽくなってますが)。 最後の最後まで尊氏が、歴史的にはグダグダの中でありながらも活躍し続けたことについても、小説のストーリーとしては都合良すぎで、そのように活躍する布石の描写は薄いかなと。 長編ですが、歴史と同様、後半はグダった作品でした。個人的には、信長の原理を最後に、垣根先生の歴史小説のキレが衰えてる気がします。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!