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ウォンドルズ・パーヴァの謎
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ウォンドルズ・パーヴァの謎の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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近年紹介の機会が増え人気が出つつある英国女流ミステリー界の異才ミッチェル女史の異色初期長編小説が翻訳刊行されました。本書は女史のシリーズ探偵の精神分析学者ミセス・ブラッドリーが登場する第2作です。未訳の処女作ではまだ脇役扱いだったらしいですが、本書では本当に活発で精力的な活躍を見せてくれていて、ありきたりでない奇妙な老嬢探偵の魅力が一気に花開いています。彼女は一見普通のお婆さんなのですが、にこりと笑うと思わずぞっとするような薄気味悪さで、動物園のワニが舌なめずりする微笑み、中国の死刑執行人の笑みという印象を持たれるといいますから魔女の末裔という噂も容易に信じられます。事件は英国の小村ウォンドルズ・パーヴァのお屋敷から主人ルパートが忽然と姿を消して開幕します。その翌朝、隣町ボスベリーの肉屋で牛肉用の鉤にぶらさげられた首なし死体が見つかり、やがて現われた頭蓋骨が何時の間にやら姿を消す騒動が起こる。最近近くに移り住んで来た素人探偵ミセスBが戸惑い気味の警察を全く当てにせず、独自に手掛りを追って村人達に聞き込みを開始します。 推理という面ではミセス・ブラッドリーは犯人の心理や性格を重視するタイプで直感的に殺人者を感じ取る類の超自然的推理方法ですので、事件の解明には必ずしも論理的な整合性は期待出来ないでしょう。本書を純粋にミステリーとして見た場合の一番のネックは、首が切断されて移動する理由とその必然性が曖昧な部分です。私は著者の作品を読むのはこれが3作目でして、細かい事にこだわらない大らかな謎の解明にはすっかりお馴染みになりました。そこで得た結論は著者の持ち味が緻密な推理にはなく、恐怖とは違う奇妙でねじれた黒い哄笑とでも呼ぶべきブラック・ユーモアにありそうだという認識です。私としては今後も数々のけったいな作品群が紹介される事を期待しております。 | ||||
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