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人でなしの櫻
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人でなしの櫻の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.09pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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遠田潤子さんは今までも人間の業の描写に長けている人だと思う。 それ故に一層少女監禁という異常な設定が生々しくて読み進めるのが辛かった。 それでも光源氏が幼女だった紫の上を囲った日本最古の物語然り、幾度となく実際の犯罪としても報道されているのはそういう嗜好をもつひとでなしがいるからだ。 それをおぞましく感じながらも蓮子の心は子ども、身体は大人というアンバランスさに惹かれ破滅する男の最期が哀れ。それでも男は絵を完成させて本望だったのか。 読後、長谷川久蔵の描いた国宝”櫻図”を観に京都を訪れたくなった。 | ||||
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期待したほど…という感じです。中盤まではめちゃくちゃおもしろく惹きつけられます。 ですがその先の展開が読めてしまうし、ありがちなのが残念ですね。 しかし相変わらず筆力と熱量は凄まじく、不幸な男を描かせたら右に出る女性作家はいないでしょう。 この作品の主人公はイケメン設定でしたが、遠田さんの描く男主人公はイケメン設定でなくとも読むにつれてどんどんカッコよくなります。とても魅力的です。 ストーリーが期待していたより上をいかなかったという点で星ひとつマイナスですが、遠田ファンなら読んで損はないと思います。 | ||||
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遠田潤子作品を愛し、なんとか直木賞受賞して、もっと多くの人に彼女の作品を味わって欲しいと思っています。 これは傑作です。これまでは、直視できないようなリアルにエンターテイメント性を加えていましたが、本作は主人公の日本画家、竹井清秀に作者が憑依したかのような、ケレン味を削ぎ落とした格調があります。 これで直木賞確実、と思ったら候補作から漏れていました。 確かに、嫌悪する人もいるだろう題材ですが、それだけに小説でしか表せない世界です! | ||||
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気に入らない人もいるようだが、私にはものすごく良かった。作者の本は全部読んでいるが、最高傑作だと思う。 賛否分かれるのは結末かな?と思うのだけれど、もともと作者はヒロインの蓮子が社会復帰する前向きなラストにするつもりだったらしいが、編集者の意見により今のはっきりしないラストに変わったらしい。編集者GJ。 私はこのラストがたまらなく好き。 そもそも、私は小説には必ずしも救いが必要ではないと思う。 安直な救いなら、いっそ何もなく突き放すくらいのラストの方が私は好みだ。 それだけに、現在の必ずラストに救いを求めるエンターテイメント界にとても不満を持っている。 確かに、読んで前向きな気持ちになる結末ではない。だからといって、それが作品の評価に直結するものでもないだろう。私はこの作品には、このラストが一番ふさわしいと思う。 読んで前向きになりたい人には不向きだとは思うが、小説の完成度は高いので、小説には必ず救いが必要だと思わない人は是非読んで欲しい。 ラストの美しさに圧巻されると思うから。 | ||||
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不穏な空気が渦巻き、不協和音が鳴り響いている。 それでいて、ワルツで奏でる「ジュ・トゥ・ヴ」は優しくて甘美でピュアな気持ちに。 長谷川等伯の息子、久蔵の「櫻図」は、地に根を張り、威風堂々と花を開かせ、”生きざま”を感じる。 「腐れ胡粉」の白とにおいとその厚み。 見えるのは、「ジョウガ(嫦娥)。月の女王」なのか。 タイトルは、昭和レトロを彷彿させる。 題材はアンタッチャブルなもの。 それは心に重くのしかかってきて、不快に感じる。 まさしく「人でなし」ざんまい。 最後まで気を許さず、しっかりと読んでほしいと思う。 | ||||
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綺麗ごとではなく、人生におけるひとつの「ほんとうのこと」を、 身を削って書かれたもののように感じました。 主人公の男性の姿があまり細かく表現されていないのも良く、 その抑えた外的描写や科白から、イメージが膨らんでいくのが心地よかったです。 ここに 確かにあった幸せ。歪んでいても、認められなくても。 大切な1冊となりました。 | ||||
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愛憎渦巻く親子の葛藤。主人公の非道な行いと同時に絵に対する真摯な情熱に心を揺さぶられました。 読みやすく表現も美しく迫力があった。 良かったです。 | ||||
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文章は上手で、表現がこれまたいい。読みながらも情景が見えてくるのは腕のいい証し。ストーリーはやや単純で、それで分かりづらい点もあった。あまり小説そのものは手に取らないが、このようなスタイルもあるのかと。まあちょっと変わった小説だったが印象深かった。 | ||||
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美の逸品 グレートマスターピース と呼ばれるものは絵、音楽にしろ、或いは小説や料理においても、 地道に積み上げ緻密に仕上げられるものも中にはあるだろうが、それよりもある瞬間に、突然の啓示と、作家の情念リビドーの爆発とともに生み出されるもののほうが遥かにタマが多く、その純度は高いのだと思う その聖性であれ魔性であれ、美しさも禍々しさの純度もだ。 長谷川等伯の息子 長谷川久蔵の遺作 櫻襖絵 金泥の地に老櫻の巨大な幹が配され 画面全体に満開の桜が咲き乱れる 桜の花びらは一枚一枚丹精に胡粉で盛り上げられるように仕上げられており 500年経つ現在でも その櫻は息づいて生きている・・・ 時折 美の道の頂を目指す者の心を絡め取り、圧倒し、その美に屈服させる。 その絵に囚われた芸術家たちは、自分の屍を櫻に踏みしだかれ、彼の樹精の 養分とされる運命が待っている そんな絵を描きたいと思う人か、そんな絵を見てみたいと思う人か、 或いは そんな絵を所有したいと思う人か? 自分はどの人なのだろうか? そしてあなたはどの人なのだろうか? | ||||
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