雨の中の涙のように
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タイトルと表紙絵に惹かれて手に取った。遠田潤子さんの作品は初めてだが、評価が高い理由が読み終わってわかる。 8つの連作短編のどれもが、しっとりと降る雨のような静寂があり、また時に激しく降る豪雨のように官能的な部分もあり、読者をいざなっていく。 どの編にも美しい俳優堀尾葉介が関わっており、最後の編で堀尾葉介自身の過去が明らかにされた時、読者はきっと驚くだろう。 しっとりしたストーリーを好む大人な読者へおすすめの本です。 | ||||
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この著者の本は好きで何冊も読んでいるが、短編は初めて。 初めてこの著者の本に手を出す方には読み安いと思う。 この「誰もが好感を持ち賞賛すること男」のがどのように出来上がったのか…と思いながら読み進めた。 ラストでその男の人格の成り立ちが分かり、とても暗い気持ちになった。 読み進めた全ての物語を、その男が過去に言った言葉全てを振り返りたくなった。 誰もが暗い過去や辛い境遇の中生きていて、それは他者には見えない。 人生はそういうもの。 正に「でんでんむしのかなしみ」を書いた物語。 | ||||
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『小説宝石』に2017年8月号から2020年6月号まで不定期に掲載された八つの連作をまとめたものです。 容姿、才能に恵まれ十代の頃から圧倒的なオーラを放つ俳優堀尾葉介をめぐる市井の人たちを描いたオムニバス小説。 読み進むにつれて堀尾葉介の人物像も明らかになっていきます。 随所に効果的に幾つかの昔の映画の話題が出てきて、まだ観たことのない「リバー・ランズ・スルー・イット」が観たくてたまらなくなりました。 各章のそれぞれの主人公のストーリー自体が面白いのですが、常に隠れ主役として存在する堀尾葉介にやはり惹かれます。市井の人が見た俳優としての側面から描かれている堀尾葉介が徐々に輪郭をもっていき、最終章で主役になり大きな秘密が明かされます。 実はこの本を手に取ったのは、堀尾葉介が昨年夏に急逝した俳優を彷彿とさせるという記事を読んだからです。 堀尾のスターとしての存在のありようを昨年夏に急逝した俳優のかたと重ねてしまいますが、この小説の結末の方が救いがあり、現実の方が受け入れ難く不条理だと感じます。 秘密を抱えて孤独に生きてきた堀尾葉介は、大きな喪失を伴うことで再生できたのかもしれません。 そう思ってから、この連作はすべて喪失と再生の話だったのかと気がつきました。 堀尾葉介の光に触れて再生していく話。 孤高のスターには悲劇性がつきまといますが、生きているときも亡くなってからも周囲に光を放ち影響を与える存在であり続けると改めて思いました。 | ||||
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遠田ワールドが広がっていく。 不協和音がぎしぎしと鳴り響いている。 もがきながらも不器用に生きてきた人たち。 見た目ではない心の葛藤、心の叫び。 背負って生きていくことの辛さ。 子供ごころの哀しみの雨は今でさえ落ちていく。 受け入れることが救われることなのか。 かずかずの側面から見てみたそのスターはラストに登場。 映画「ブレードランナー」のセリフ。 「時と共に思い出も消える。雨の中の涙のように。死ぬときが来た」 | ||||
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タイトルは、映画『ブレードランナー』のなかのセリフ「思い出も時と共に消える。雨のなかの涙のように」を引用したもの。 物語は、アイドルから俳優になった堀尾葉介という人間を狂言回しにしてすすむ。葉介が過去にかかわった人間たちは、皆、過去の傷を抱えていて、その傷を乗り越えていく物語。売れない大部屋俳優、父親の店を継いだけど不満をもっている男、潜れなくなった潜水士など、過去の傷を抱えていた男たちが葉介とのかかわりのなかで立ち直っていく物語。そして、最後に葉介自身が過去を乗り越える物語となっていく。 『ブレードランナー』の未来社会の設定とは全く違うので、どうしてこのタイトルにしたか不思議に思ったが、読んでみてその理由がわかった。『ブレードランナー』(というか、原作者フィリップ・K・ディック)のテーマは、アイデンティティの崩壊と回復であるが、本書も、過去のトラウマ的な体験で自らのアイデンティティがわからなくなった人間たちが自分を取り戻す物語。『ブレードランナー』へのオマージュなんですね、 巧みなプロット、そして心地よいリズムの文章。読みだしたら引き込まれ、一晩で読んでしまいました。 | ||||
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