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人でなしの櫻
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人でなしの櫻の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.09pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1~11 1/1ページ
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遠田潤子さんは今までも人間の業の描写に長けている人だと思う。 それ故に一層少女監禁という異常な設定が生々しくて読み進めるのが辛かった。 それでも光源氏が幼女だった紫の上を囲った日本最古の物語然り、幾度となく実際の犯罪としても報道されているのはそういう嗜好をもつひとでなしがいるからだ。 それをおぞましく感じながらも蓮子の心は子ども、身体は大人というアンバランスさに惹かれ破滅する男の最期が哀れ。それでも男は絵を完成させて本望だったのか。 読後、長谷川久蔵の描いた国宝”櫻図”を観に京都を訪れたくなった。 | ||||
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まず古本だけど、とっても状態が良かった。発送も速く商品に関しては大満足です。 次に本の感想。 この作家さんは初読みでしたが、描写力が凄くて日本画を知らなくても『こんな感じかな?』と想像出来た。 しかしながら凄絶なストーリーで、元を質せば竹井康則の特異な性癖が元凶となり、自身も含め妻と息子の清秀、直接的な関連はないが、清秀の妻と身ごもっていた子供までもが亡くなってしまう。 竹井家は特殊な一族だから、それも呪われた運命と思えるが、8歳で誘拐・監禁・洗脳された蓮子の人生は何と過酷な数年だった事だろう。 誘拐された事も成長している事さえも認識できなくなってしまうのだから、竹井康則の罪は重い。 ただでさえ清秀の母親を壊し、洗脳し、死に至らしめた過去があるのに、自身の欲望を満たすために蓮子を買うなど、人として許される事ではない。 また人身売買を生業とする卑劣な輩には腸が煮えくり返る。 なのに呪われた血のなせる業なのか、1人の少女を親子二代で蹂躙する。 おぞましい話だったが、先が気になってしょうがなかった。 また、あんな出生でなければ清秀も『人でなしの櫻』ではなく、万人の心を魅了する日本画家になれたかもしれない・・・と思うと切ないラストだった。 異常で耽美的な内容だったが、2人の男の狂気がビンビン伝わった。 清秀亡き後の蓮子は、やはり後を追ったのかな? 余韻がすごい。 | ||||
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期待したほど…という感じです。中盤まではめちゃくちゃおもしろく惹きつけられます。 ですがその先の展開が読めてしまうし、ありがちなのが残念ですね。 しかし相変わらず筆力と熱量は凄まじく、不幸な男を描かせたら右に出る女性作家はいないでしょう。 この作品の主人公はイケメン設定でしたが、遠田さんの描く男主人公はイケメン設定でなくとも読むにつれてどんどんカッコよくなります。とても魅力的です。 ストーリーが期待していたより上をいかなかったという点で星ひとつマイナスですが、遠田ファンなら読んで損はないと思います。 | ||||
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遠田潤子作品を愛し、なんとか直木賞受賞して、もっと多くの人に彼女の作品を味わって欲しいと思っています。 これは傑作です。これまでは、直視できないようなリアルにエンターテイメント性を加えていましたが、本作は主人公の日本画家、竹井清秀に作者が憑依したかのような、ケレン味を削ぎ落とした格調があります。 これで直木賞確実、と思ったら候補作から漏れていました。 確かに、嫌悪する人もいるだろう題材ですが、それだけに小説でしか表せない世界です! | ||||
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気に入らない人もいるようだが、私にはものすごく良かった。作者の本は全部読んでいるが、最高傑作だと思う。 賛否分かれるのは結末かな?と思うのだけれど、もともと作者はヒロインの蓮子が社会復帰する前向きなラストにするつもりだったらしいが、編集者の意見により今のはっきりしないラストに変わったらしい。編集者GJ。 私はこのラストがたまらなく好き。 そもそも、私は小説には必ずしも救いが必要ではないと思う。 安直な救いなら、いっそ何もなく突き放すくらいのラストの方が私は好みだ。 それだけに、現在の必ずラストに救いを求めるエンターテイメント界にとても不満を持っている。 確かに、読んで前向きな気持ちになる結末ではない。だからといって、それが作品の評価に直結するものでもないだろう。私はこの作品には、このラストが一番ふさわしいと思う。 読んで前向きになりたい人には不向きだとは思うが、小説の完成度は高いので、小説には必ず救いが必要だと思わない人は是非読んで欲しい。 ラストの美しさに圧巻されると思うから。 | ||||
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不穏な空気が渦巻き、不協和音が鳴り響いている。 それでいて、ワルツで奏でる「ジュ・トゥ・ヴ」は優しくて甘美でピュアな気持ちに。 長谷川等伯の息子、久蔵の「櫻図」は、地に根を張り、威風堂々と花を開かせ、”生きざま”を感じる。 「腐れ胡粉」の白とにおいとその厚み。 見えるのは、「ジョウガ(嫦娥)。月の女王」なのか。 タイトルは、昭和レトロを彷彿させる。 題材はアンタッチャブルなもの。 それは心に重くのしかかってきて、不快に感じる。 まさしく「人でなし」ざんまい。 最後まで気を許さず、しっかりと読んでほしいと思う。 | ||||
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綺麗ごとではなく、人生におけるひとつの「ほんとうのこと」を、 身を削って書かれたもののように感じました。 主人公の男性の姿があまり細かく表現されていないのも良く、 その抑えた外的描写や科白から、イメージが膨らんでいくのが心地よかったです。 ここに 確かにあった幸せ。歪んでいても、認められなくても。 大切な1冊となりました。 | ||||
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愛憎渦巻く親子の葛藤。主人公の非道な行いと同時に絵に対する真摯な情熱に心を揺さぶられました。 読みやすく表現も美しく迫力があった。 良かったです。 | ||||
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文章は上手で、表現がこれまたいい。読みながらも情景が見えてくるのは腕のいい証し。ストーリーはやや単純で、それで分かりづらい点もあった。あまり小説そのものは手に取らないが、このようなスタイルもあるのかと。まあちょっと変わった小説だったが印象深かった。 | ||||
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美の逸品 グレートマスターピース と呼ばれるものは絵、音楽にしろ、或いは小説や料理においても、 地道に積み上げ緻密に仕上げられるものも中にはあるだろうが、それよりもある瞬間に、突然の啓示と、作家の情念リビドーの爆発とともに生み出されるもののほうが遥かにタマが多く、その純度は高いのだと思う その聖性であれ魔性であれ、美しさも禍々しさの純度もだ。 長谷川等伯の息子 長谷川久蔵の遺作 櫻襖絵 金泥の地に老櫻の巨大な幹が配され 画面全体に満開の桜が咲き乱れる 桜の花びらは一枚一枚丹精に胡粉で盛り上げられるように仕上げられており 500年経つ現在でも その櫻は息づいて生きている・・・ 時折 美の道の頂を目指す者の心を絡め取り、圧倒し、その美に屈服させる。 その絵に囚われた芸術家たちは、自分の屍を櫻に踏みしだかれ、彼の樹精の 養分とされる運命が待っている そんな絵を描きたいと思う人か、そんな絵を見てみたいと思う人か、 或いは そんな絵を所有したいと思う人か? 自分はどの人なのだろうか? そしてあなたはどの人なのだろうか? | ||||
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好きな作家の1年ぶりの新作なので予約して読んだが、前作「緑陰深きところ」に☆5つを献上した自分にとって、この小説は全くの別人が書いたものとしか思えない。 病を得ている日本画家と、モデルの少女との間に流れる情感をテーマにしたものと自分なりに解釈したが、それにしてもなんだかなあ……。 暗い緊迫感の中、どこか微かな希望の光が感じられる前作とは打って変わって、ここには救いが全くない。 流麗な文章と豊富なボキャブラリーに加え、確かな表現力によって辛うじて免れているが、これは精神が破綻しかかった世界、芸術に名を借りたエロチシズムまっしぐらの世界ではないか。 ~以下若干のネタばれあり~ 誘拐した少女を11年間も幽閉した男や、少女との逃避行に走る画家、その画家を糾弾することで世間の感情に迎合している風を装いながら、腹の中では自作の売り上げを伸ばすことしか考えない作家等など、ちょっと理解不能なキャラ総出演の趣。何やら某大国の暴走大統領が脳裏に浮かんでしまい、読み進めるのにかなりの気力と時間を要した。読了するも未消化のまま本を閉じた。 ひと皮むけたと絶賛されるか、はたまた一歩引いてしまうファンが続出するか評価は確実に分かれるだろうが、自分は後者だ。多分、今後は新作の予約はしない。 しかし、このような作品こそ、得てして大きな賞をとりそうな予感はする。 疑問をひとつ。発売時の本の帯に各地の書店員さんのコメントが載っているが、発売前にどうしてストーリー構成などを把握できるのだろうか。役得なのか。そして皆が皆感動している! こういう場合、出版社の欲しい意見のみ集約することが定石とは思いつつも、感動できなかった自分の読みは甘いのだろうか、とも思った次第。 | ||||
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