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(アンソロジー)

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー
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【この小説が収録されている参考書籍】
折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (ハヤカワ文庫SF)

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジーの評価: 4.39/5点 レビュー 41件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.39pt
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全34件 21~34 2/2ページ
<<12
No.14:
(5pt)

中国のSFのレベルの高さを知った

若い頃はアシモフやハインライン、ホーガンなどを愛読したSF好きだったが、社会人になってからは昔の作品をたまに読み返すくらいで、新しい作品からはすっかり遠ざかっていた。最近中国のSFが人気と聞いて本書を手に取った理由は、ここ数年、中国の歴史ドラマ(項羽と劉邦、司馬懿、如意伝など)のレベルが非常に高く、SFも面白いかもと思ったからだ。

本書は今大人気の「三体」の著者の劉慈欣を始めとする7名の中国のSF作家による13の短編が収録されている。まず最初の陳楸帆の「鼠年」だが、近未来の中国が舞台で、中国ならではの背景でストーリーも面白い上に、中国の管理社会の恐ろしさも描いている秀作だ。その次の「麗江の魚」は、働き過ぎて神経を病んだ男性が女性と出会って回復する過程を描いた少しエロチックな話だが、やはり現代中国の管理社会は近未来はここまで発展するかも知れないと空恐ろしく感じる作品だった。

政治性を感じる作品ばかりではなく、「百鬼夜行街」や「竜馬夜行」など純粋に未来SFとして楽しめる作品も収録されているが、共通しているのは、SFに必要不可欠な豊かな発想力があることと、人生の苦みを感じさせる大人向けの作品であることだ。

個人的には、中国の政治体制は嫌いで、絶対行きたくない国の一つではあるが、ここに収録されている作品の水準の高さには瞠目した。
折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (ハヤカワ文庫SF)より
4150122539
No.13:
(5pt)

現代中国SFに触れたい全ての人へ

"読者には、そのような誘惑に抵抗していただきたいのです。中国の作家の政治的関心が西側の読者の期待するものとおなじだと想像するのは、よく言って傲慢であり、悪く言えば危険なのです。"2016年発刊、中国SF界を今を代表する7名の作家の13篇を収録したアンソロジーである本書は【全てが傑作】という、おそるべき一冊。

個人的には2018年に国内紹介された際に大絶賛されていた本書が手にしやすい新書サイズにて新たに発刊されたのを知り、飛びつく様に手にとりました。

そんな本書は『紙の動物園』で2012でネビュラ賞とヒューゴー賞と世界幻想文学大賞の短編部門で受賞、史上初の三冠を達成した中国系アメリカ人作家のケン・リュウにより、編集、翻訳された中国SF作家たちの作品が収録されているわけですが。冒頭で紹介したケン・リュウの一文が訴えている様に如何に私が西側偏向のメディア報道の影響で【ステレオタイプに『中国』という国を捉えていたか】を気付かさせてくれると同時に、紹介された作家たちの、そんな【国といった制約すら軽やかに超えて魅力溢れる作品たち】に最初の作品から終わりまで魅了されました。(全てを紹介したくも詳細は泣く泣く割愛。あえて挙げるなら、人間サイズに造られたネズミとの戦いを描く『鼠年』、オーウェルのディストピアSF『1984年』の中国的オマージュ『沈黙都市』、マジックリアリズム的始まりが印象に残る『神様の介護係』がお気に入りです)

そして。これほどまでに魅力された理由を自分なりに考察するに思い浮かべたのは2つ。1つはやはり西洋とは違って【同じアジア、漢字圏文化】として言語化しなくても何となく共感できる親しみやすさ、そしてもう1つが世界最大、最強レベルのハイテク国家としてならではの【説得力をもって描かれる未来イメージ】なのだろうかと思ったり。

あと、ケン・リュウ自体がイケメン作家・翻訳家(私的主観)にして弁護士、プログラマーと羨ましい位に多才なのですが。紹介される中国国内作家たちも負けじと高学歴にして、作家に留まらない多才な活躍をしているのにも圧倒されます。かっての"先輩"たちが学んだように、あらためて【中国から学ばせていただく】時代に突入しているのだな。。と実感させられます。

世界を魅了している現代中国SFに触れたい全ての人、またIT関係で働く人にも必読のお買い得な一冊としてオススメ。
折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (ハヤカワ文庫SF)より
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No.12:
(5pt)

IT関係で働く人にも必読の一冊

"読者には、そのような誘惑に抵抗していただきたいのです。中国の作家の政治的関心が西側の読者の期待するものとおなじだと想像するのは、よく言って傲慢であり、悪く言えば危険なのです。"2016年発刊、中国SF界を今を代表する7名の作家の13篇を収録したアンソロジーである本書は【全てが傑作】という、おそるべき一冊。

そんな本書は『紙の動物園』で2012でネビュラ賞とヒューゴー賞と世界幻想文学大賞の短編部門で受賞、史上初の三冠を達成した中国系アメリカ人作家のケン・リュウにより、編集、翻訳された中国SF作家たちの作品が収録されているわけですが。冒頭で紹介したケン・リュウの一文が訴えている様に如何に私が西側偏向のメディア報道の影響で【ステレオタイプに『中国』という国を捉えていたか】を気付かさせてくれると同時に、紹介された作家たちの、そんな【国といった制約すら軽やかに超えて魅力溢れる作品たち】に最初の作品から終わりまで魅了されました。(全てを紹介したくも詳細は泣く泣く割愛。あえて挙げるなら、人間サイズに造られたネズミとの戦いを描く『鼠年』、オーウェルのディストピアSF『1984年』の中国的オマージュ『沈黙都市』、マジックリアリズム的始まりが印象に残る『神様の介護係』がお気に入りです)

そして。これほどまでに魅力された理由を自分なりに考察するに思い浮かべたのは2つ。1つはやはり西洋とは違って【同じアジア、漢字圏文化】として言語化しなくても何となく共感できる親しみやすさ、そしてもう1つが世界最大、最強レベルのハイテク国家としてならではの【説得力をもって描かれる未来イメージ】なのだろうかと思ったり。

あと、ケン・リュウ自体がイケメン作家・翻訳家(私的主観)にして弁護士、プログラマーと羨ましい位に多才なのですが。紹介される中国国内作家たちも負けじと高学歴にして、作家に留まらない多才な活躍をしているのにも圧倒されます。かっての"先輩"たちが学んだように、あらためて【中国から学ばせていただく】時代に突入しているのだな。。と実感させられます。

世界を魅了している現代中国SFに触れたい全ての人、またIT関係で働く人にも必読の一冊としてオススメ。
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No.11:
(5pt)

さすが中国の仮想現実は進んでいる!

これまでSFをまったく読まなかった私に、「え!めっちゃ面白いじゃん」と思わせてくれただけでも評価高いです。まあ、それだけならビギナーズラックみたいな評価になってしまうでしょうが、現代の中国そのものが「もう既にSFの世界に入っているのでは」と思わせられるような話しもたくさんありました。この先、介護する人も介護される人もどちらも身体が言うこときかなくなった場合(こんなケース、今の日本でもたくさんあります)、介護ロボットを AI でコントロールすれば、実際に身体を動かさなくても(介護する人がそこまで行かなくても)、自分の意思通りに被介護者の身体をロボットで動かせれば「相手を介護したい気持ち」さえあれば介護できる、という発想が書かれていて、「ウン、なるほど。ここまで行けば究極の介護になりうるわけだ」と妙に納得。現在のAi 技術でもまったくできない相談ではないだけにこの仮想現実がリアルな現実になるのはもう数年先....みたいにワクワクする短編もいくつかあって、本当に面白い話しがたくさんあるアンソロジーでした。
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No.10:
(5pt)

劉慈欣『円』について

同じ作者による長編作品『三体』からの「抜粋」とあるが、実は単なる抜粋とは少しばかり異なっている。
短編として成り立つように再編成していると同時に、題材とした『史記』の一大テーマである「天道是非」をもプラスしてSFの中に落とし込んでいる。
つまり、長編の中の一エピソードをもとにして、全く異なる読後感の物語をギュッと凝縮して作り上げることに成功している。
素晴らしい!
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4150122539
No.9:
(5pt)

豊かな想像力と創造性

本作にはディストピアも、ファンタジーも、サイバーパンクも同居しています。
経済的、文化的に加速的に発展した中国ですが、そのことに対する陰陽綯交ぜた複雑な感情が読み取れます。
そうやって書かれたSFもやはり一辺倒ではなく、読者の想像を軽く超えた驚きの物語群が楽しめます。
満足の1冊。
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4150122539
No.8:
(5pt)

有意義な1冊。日本語で体験した母国の現代文学

これからもどんどん現代中国文学を翻訳してください。研究にも役立ちます。お願いします。
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4150122539
No.7:
(5pt)

うーん

これが中国の本髄
しゃぶればしゃぶるだけ味がでる
すばらしいですよこいつぁ
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4150122539
No.6:
(4pt)

今のレベルを実感できる。「現在中国」部分を忘れて、素直に読もう。読んで普通に面白い。

デジタルガジェットで「中華」は、「国内製」に対して使われる。少々の残念感を示す場合が多い。
しかし、実際にハイエンドのハード設計に携わっている身からするとそれは大きな間違いだ。
中国製の設計思想、設計に必要は知識は、日本製より遥かに進んでいて、「魔法」レベルに到達する日も遠くない。

そんな中国を確認できる。

この本を読んでから、香港に行った。
香港大学のキャンパスを歩くと、その沸き返る感じ、日本も旧世代も関係なく俺がやるぜ!感が非常にまぶしい。
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No.5:
(5pt)

中国SFへの関心抜きにSFとして面白い

中国のSFについては知見も関心も特になく、アンソロジスト兼中英翻訳者としてのケン・リュウの名に惹かれ購入。

前書きや作家紹介も同じ出自を持つ同業者らしいもので、各作品もさることながら、アンソロジーの作りとしても非常に満足のいくものです。
上に書いたように中国SF事情に疎い人間に大雑把な歴史を把握させてくれた点も含め、ケン・リュウのキュレーターぶりにが光ります。

そして実際の作品ですが、どれも面白かった。中には英米の作家の作品と簡単に類似を見出せるものもありますが、それは各国の若手作家皆に言えることだし。中国という国の政治情勢を考えすぎないでほしいという作家とアンソロジストの見解には同調するけれど、文化としてはやはり中国らしさが見えるのは読み手には魅力に映ります。

ただ、男女、恋愛という要素が出てくると、途端に描写がステレオタイプに思えてくるのだけれど(特に女性の描きかた)...これも現代中国の社会の反映なのでしょうか。
このあたりがもう少しこなれてくると、娯楽性のより強い作品になるんだろうにと思いつつも、現状を十分楽しめた1冊でした。
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4150122539
No.4:
(5pt)

鼠を狩り、北京を折りたたみ、神を介護する。

中国SFにはほぼ面識がなく、「初めましてよろしくお願いします」という心持ちで読み始め、「参りました。滅茶苦茶面白いです」と頭を下げた。ケン・リュウによる序文にまず驚かされたのは「中国という色眼鏡では見る誘惑に負けないでほしい(意訳)」という言葉だ。最初はその言葉の意味がわからなかった。

幾つかの作品を読んでいると確かに「中国的」と捉えることもできる。しかし名前と地域をかえればどのにでも当てはまる作品ばかりである。中国というローカルにとどまらず、グローバルな世界に通用する作品だからこと英訳され、更に日本に出版される運びになったのだろう。だからこそケン・リュウは序文であの様な文章を書いたのだろう。

ここに収録されている作家・作品は一つも知らなかった。それゆえに年や性別、新人、ベテランという区分けができない。それが功を奏したのか平等な視点で読むことができた。
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No.3:
(5pt)

中国SFの「今」が読める傑作集

中国SFの旗手ケン・リュウの編集によるアンソロジーだ。リュウさんの作品は載っていないが、多士済々な現代SFの傑作集である。
作者たちの簡単なプロフィールが紹介されている。
エンジニア出身や脚本家・旅行作家・舞踊家を兼ねている人がいて、多彩な経歴に驚かされた。
作家がマルチな表現力を持つのは、ジャンル勃興期の特色なのか。それとも単にSFだけでは食えないからか。

印象に残った作品は、以下の通り。
チェン・チウファン
『鼠年』わが部隊の任務は、遺伝子改造された鼠たちを退治することだ。
いつの時代にもありそうな兵隊哀歌を現代SFとして描く。苦さが好きだ。
『麗江の魚』神経を使うIT労働者のために、バーチャル楽園が用意されている。
最新SFのギミックを使っているが、一般文学に近い。読み応えあり。

シア・ジア
『百鬼夜行街』ぼくは妖怪や幽霊が住む街において、唯一の人間らしい。確かめる方法はひとつ。
首を斬られて死んだら人間だという。ブラッドベリが東洋人なら、こういう作品を書いていたかも。お気に入りナンバー2。
『童童の夏』少年とおじいちゃんとロボット。児童文学のような語り口で、近未来のAI社会を描く。
『龍馬夜行』はるか昔に作られたドラゴン型ロボットが、人間の消えた街を歩く。SFでしか描けない抒情性に惹かれる。

ハオ・ジンファン
『見えない惑星』さまざまな惑星の風物を紹介する。個人は登場しない。
二種類の知的生命が、互いの存在に気付かず共存している星がある。しっかり書き込んだらハードSFの傑作ができそうなアイデアだ。
表題作。人口過密な未来の北京では、市民は三層に分かれて住んでいる。層が異なれば行き来することもできない。
近未来、いや現代の格差社会の見事なメタファーである。お気に入りナンバー3.

タン・フェイ
『コールガール』現実と虚構の境を生きる少女娼婦が魅力的だ。吾妻ひでおのミャアちゃんを思い出した。

リウ・ツーシン
『円』始皇帝が、円周率を十万ケタまで計算せよと命じた。刺客から側近に成り上がった男は、ある方法を立案する。
中国史に想像の翼を加えて見事な古代SF?を作り上げた。これと次の作品が本書の白眉、ナンバー1だと思う。
『神様の介護係』人類を作ってくれた神様を、介護せねばならない。SFの定番である文明播種と現代社会の問題を巧みに融合させた秀作だ。

これほど尖鋭的なSFが中国で書かれていたとは驚きだ。もっと読みたくなった。
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4150122539
No.2:
(5pt)

SFも他の文学ジャンル同様、その時代、その国の人々の考えを映し出す鏡だと思います。

表題作である郝 景芳(ハオ・ジンファン)の「折りたたみ北京」では、折りたたまれ続ける都市に文字通り分断され届かぬ人々の思いが丁寧に描写されます。

陳楸帆(チェン・チウファン)の3篇は、科学技術に人間性が浸食されていくような状況において、なお根源的な欲望、喜怒哀楽を描いた作品です。「鼠年」における青年兵の葛藤、それをあざ笑うテクノロジー企業の暴虐な意思。時間の流れ、その感じ方さえ経済に利用される格差社会を描いた「麗江の魚」。テクノロジーを越えた愛憎を切り取る「沙嘴の花」。どれも絶品。現代中国におけるポスト・サイバーパンク。

夏笳(シア・ジア)の3篇は、少しやさしくすれば子ども向けSF童話になりそうで、その実、内在しているものはハード。「お化けには学校も試験も何にもない」ことの哀しみを切り取る「百鬼夜行街」、テクノロジーを利用した世界と祖父、祖父と孫の斬新なふれあい、「童童(トントン)の夏」、そして世界の終りに無機物と有機物が結ぶ友情、「竜馬夜行」。最後の作品で蝙蝠が語る「好きにしていいのよ。人がいなくなっても世界は続く。ほら、今夜の月はこんなにきれい。歌いたければ歌えばいいし、歌いたくなければ寝ていればいい。歌えば世界が聞く。黙すれば万物の歌が聞こえる」というセリフがとてもよい。

劉慈欣(リウ・ツーシン)の「神様の介護係」には恐れ入った。高齢社会の問題を揶揄した短編かな?と思ったら、終盤に神様が明かす宇宙の絶望的な秘密と、これ以上なくロマンチックな宇宙の最期。完璧です。
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4150122539
No.1:
(5pt)

中国SFは世界水準に追いついている

中国SFアンソロジー。水準は極めて高く、傑作。
いろいろ妄想しているが、邪推によると、
これは中国検索サイト「百度」で2000年から2011年まで連載されていた科幻小説群であると思う。
最後の短編「神様の介護人」の作者は、中国史上最強の囲碁棋士「柯潔(カジエ)」によるものであろう。
必読としておすすめしておく。

「円」の計算陣形は、これを理解して古代に行けば、天才発明家として聖君になれるだろう。
妄想だが、わたしは自分が「見えない惑星」のルアジだと思えてしまう。
中国で大切なものは「老(ラオ)」に集まり、日本で大切なものは「隠術」に集まる。

訂正する。
これは「百度」(バイドゥ)ではなく、北京にあった中国検索サイトに年刊連載された科幻小説群である。
中国検索サイトは献策サイトでもあり、さまざまな中国政府への献策を集めていた。
いま、献策サイトは「天網」と名前を変えている。
この中国SFアンソロジーは、中国人13億人を顔認証する北京の検索サイト「天網」を作った中国人たちが読んでいたSF小説群である。
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