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暗色コメディ
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暗色コメディの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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設定はとても入り組んでいるのに理解はしやすく面白かったです。まだインターネットや監視カメラが普及してない時代で、色々な可能性が考えられるのが良かった。 | ||||
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『暗色コメディ』に挑戦する気持ちで、伊坂幸太郎は、あの『ラッシュライフ』を書いたと帯に書いている。読み始めると、なるほどね、と思った。ただ、伊坂は基本、クールで明るいが、連城三紀彦は、基本的に暗い。暗い状況で、奇想が展開するとこんな感じなのか、とまず思った。 素晴らしいミステリーは、 『奇想』そして、その論理的解決。しかも複数の『奇想』が三次元的に絡み合っていて、それが論理的に解決される と、ぼくは定義しているのだが、既に序章の段階で『奇想』は充分だ。 未読の方のために、中身の詳細は触れないが、読了後、かなり、感心してしまった。この作品は、1979年6月にリリースされているのだが、その構成、特に章の間に全然違う話を4つ進行させ、最後に、それを論理的に帰結させる仕掛けに驚いた。そして、思い浮かべたのは、伊坂幸太郎の作品ではなくて、村上春樹の作品だった。 村上春樹の作品、特に『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』、『海辺のカフカ』、『騎士団長殺し』の語法とこの『暗色コメディ』の語法は極めて似ていると思う。村上春樹や伊坂幸太郎の方がはるかに洗練されているのだが、組み立てを参考にしている気がしてしまう。この作品がヒントになったのでは、とさえ思えてくる。 思い出したのは、テレビで小椋佳が『シクラメンのかほり』の制作秘話を話していて、話法的なものは、北原白秋の詩を参考にし、文体はエルビス・プレスリーの「マリー・イン・ザ・モーニング」という曲を和訳して作ったと本人が言っていたことだ。『暗色コメディ』が北原白秋の詩などと同じように、のちの作家の大きなヒントになった事は間違いないのではないかと思う。 『暗色コメディ』のように、ヒント、あるいはインスピレーションの元になる作品というのは、とても重要だ。この場合は構成だが、北原白秋の詩のように、言葉や言い回しがヒントになることもあるだろう。 そして、思うのは、例えば伊坂幸太郎の作品の場合は、それがまるでプログラムの構成にも似ていると感じる。HTMLのソースコードの中に外部参照のJavaScriptを組み入れるとか、CSSでカタチを整えるといったやり方にそっくりだ。 こういう単に小説を読む、ということが様々なことと絡まって、考えがくるくると回るということが愉しいと思うのである。 | ||||
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当初刊行は1979年なるも、帯によれば伊坂幸太郎氏の熱望により復刊された連城三紀彦氏のミステリー。伊坂氏の推薦コメントにあるように、とにかく投げかけられる謎が魅力的でした。 不可解な4つのエピソードが交錯し、徐々に収斂していく展開は、正にミステリーの醍醐味です。心理描写も登場人物達の恐れ、猜疑などが叙情的にたっぷり語られます。ラストはやや危ういながらも、伏線も回収され、隠された謎が見事に解き明かされていきます。 | ||||
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四人の精神疾患者と常人であるその配偶者の煙に巻くような 心理描写や思わせぶりな挙措により、うち二組はどちらが 狂っているのか判らなくなります。 これらキャラクターが動くわけですが、それぞれ独立していたものが、 ひとつの精神病院を基点に淡く繋がりを持ち始め、しだいに 求心力を増し、最終的に一点の絵画が出来上がってしまう。 その過程に、誤誘導、トラック消失の謎、エレベーターの密室など 本格ミステリ的要素を取り込むほか、 上述したように常人と狂人の巧みな心理描写を織り込み惑乱する。 混沌とした幕開けから一転、 四要素をひとつも無駄にすることなく、それぞれにバイパスを 行き渡らせながら、血液を通し、心臓の鼓動のように安定した リズムで幕を閉じるのである(二段構えになっているが)。 連城さんの作品に真の悪人は登場しないと囁かれているそうだが、 本書の犯人は悪辣である。精神病者という弱者を自家薬籠中のものとし、 己の罪を隠蔽するが為に彼らを好き放題操り、妄想を利用しまくって 悪事を働くのだ。 | ||||
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連城三紀彦さんの処女作『暗色コメディ』は、だまし絵のようなミステリである。 夫と逢引をする自分自身を目撃した主婦、トラックへの投身自殺を試みるもトラックそのものが消失し生還してしまった画家、妻に幽霊と思われている葬儀屋、妻が別人にすり替わっていることに気付いた外科医。本作品は、不可思議な体験をした彼ら群像劇の体裁で物語はすすむ。 登場人物が交互に、惑乱した心情を吐露していくわけだが、足元を揺るがすようななんとも幻想的な雰囲気が漂っている。語られれば語られるほどに現実から大きく離れていく感覚を覚える。 登場人物は、ある精神科で結びつき、さらに複雑に絡みあった関係が明らかになる。そこで発生した失踪事件と、紐解かれていく登場人物の暗い過去、いくつかの殺人事件。誰がこの謎への解答を提示するのかさえ不明なまま、迷路の中を彷徨ってしまうのだ。 本作品は、狂気でかたずけられてしまう危うさをはらんでいる。心理的なトリックへ、余計な解釈をせず、すんなり入っていけないと楽しめないかもしれない。特に葬儀屋の顛末は、はなはだ曖昧のように思う。本作品の読み方としては、語り口の巧みさに酔いしれ、だまし絵の世界で遊ぶのが正解なんだろう。 幾人かの登場人物が繰り広げるミステリ風群像劇は、一つに収斂したときの快感が魅力であるが、本作品にどこかぼんやりしている。ここは、ちょっと残念。予想外の犯人ではあるが、それさえも覚束ないように思えてしまう。心理的なトリックに傾注してしまっているからかもしれないな。 | ||||
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連城三紀彦さんの処女作『暗色コメディ』は、だまし絵のようなミステリである。 夫と逢引をする自分自身を目撃した主婦、トラックへの投身自殺を試みるもトラックそのものが消失し生還してしまった画家、妻に幽霊と思われている葬儀屋、妻が別人にすり替わっていることに気付いた外科医。本作品は、不可思議な体験をした彼ら群像劇の体裁で物語はすすむ。 登場人物が交互に、惑乱した心情を吐露していくわけだが、足元を揺るがすようななんとも幻想的な雰囲気が漂っている。語られれば語られるほどに現実から大きく離れていく感覚を覚える。 登場人物は、ある精神科で結びつき、さらに複雑に絡みあった関係が明らかになる。そこで発生した失踪事件と、紐解かれていく登場人物の暗い過去、いくつかの殺人事件。誰がこの謎への解答を提示するのかさえ不明なまま、迷路の中を彷徨ってしまうのだ。 本作品は、狂気でかたずけられてしまう危うさをはらんでいる。心理的なトリックへ、余計な解釈をせず、すんなり入っていけないと楽しめないかもしれない。特に葬儀屋の顛末は、はなはだ曖昧のように思う。本作品の読み方としては、語り口の巧みさに酔いしれ、だまし絵の世界で遊ぶのが正解なんだろう。 幾人かの登場人物が繰り広げるミステリ風群像劇は、一つに収斂したときの快感が魅力であるが、本作品にどこかぼんやりしている。ここは、ちょっと残念。予想外の犯人ではあるが、それさえも覚束ないように思えてしまう。心理的なトリックに傾注してしまっているからかもしれないな。 | ||||
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デパートで、夫が自分とまったく同じ名前の女と一緒にいるのを目撃した主婦。 自分の画才に絶望し、車道に身を投げたのに、自分を轢いたはずのトラックが消失した画家。 妻に、あんたは七日前に交通事故死したと告げられる葬儀屋。 自分の妻が、いつの間にか別人にすり替わっていたという妄想に囚われた外科医――。 奇妙な体験をした四人の狂気が、やがてある精神病院で交わり、 おぞましくも哀切な、ひとつの〈コメディ〉として収斂していく……。 序盤に、詩美性のある魅惑的な謎を提示すると いう意味で島田荘司の作風を彷彿とさせる本作。 突拍子もない謎の数々をひとつに結びつけ、 合理的解決を施す作者の豪腕は圧巻です。 特に、事件の背景に、精神病院の前副医院長の自殺を置くことで、探偵役を 誤認させる手法が巧いですし、犯人の偏執的に緻密な計画が、たった一つの 些細な物証で瓦解するという演出も秀逸。最も魅惑的に思えるトラック消失の 謎も(交通ルール違反が前提とはいえ)納得できる解答が用意されています。 ご都合主義的な偶然が多いことや自我が不安定な人間を数多く登場させるため のエクスキューズとして精神病院を舞台にしていることなど、ロジックに関しては 非常に危ういのですが、無謀ともいえる謎の解体に挑んだ作者のチャレンジング な姿勢と読者を精一杯もてなそうとするサービス精神をまず称えるべきでしょう。 | ||||
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作者のデビュー作「変調二人羽織」は本格物の短編集。その後、叙情派作家としての地位を確立していったが、一方で人間の心の襞を突いた心理トリック物の短編も書いていた。本作はそんな経験を活かし、男女の機微の描写を表面に出しながら、大きな仕掛けに挑んだもの。 冒頭で何人かの特殊な障害を持つ患者の描写が断片的に出て来る。これが最後で活きて来るのだが、結末まで因果関係は分からない。続いて本題に入り、男女四人が織り成す人間模様と一見解決不能な犯罪が描かれる。戸惑いながら読み進めると、結末には目くるめく真相が待っているという趣向。 人間模様の精緻な描写と言う作者の持ち味はそのままに、アクロバティックな技巧で読む者を驚かせる傑作ミステリ。 | ||||
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連城三紀彦の初の長編作品です。ネタばれをせずに紹介することのとても難しい作品なのですが、冒頭で提示されるいくつかの謎がとびきり魅力的です。夫の浮気現場に遭遇した妻が、浮気の相手が自分自身であることを知るという謎。ある男が自殺しようとトラックに飛び込んだところ、そのトラックが消失してしまったという謎。葬儀屋の男性が妻から「あなたは死んだ」と告げられるという謎。途中まで読み進めると、そういう設定にしちゃったらどんな謎でも出せちゃうじゃないかとちょっとがっかりするのですが、最後でそれらの謎がきちんとした“推理小説的な謎”であることが判明することには大いに驚きました。 犯人の行動がリスクが高すぎるなど、欠点を挙げればきりがないのですが、それを割り引いて考えても作者の読者を楽しませようとする心意気が嬉しいです。この作者の得意とする、人間心理の恐ろしさに対する描写の巧みさも初長編にして既に十分に発揮されています。 | ||||
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直木賞受賞作「恋文」で筆者を知り、それをこの作品に期待する人は合わないかもしれません。もともとミステリ作家だった(今でもミステリ作品を書いていますが)筆者のデビュー当時の作品を再版したものです。狂気がこの作品のテーマとなっているのですがその描写にハラハラしながらも引き込まれてゆきます。途中まで読むと「ホラー?」と思われますが驚きの合理的解決の後に、至って現実的な世界が現れる…人間の欲望や闇は果てることはないのでしょうか? | ||||
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