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誰かがこの町で
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誰かがこの町での評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.71pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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ちょっと荒唐無稽すぎて。 物語内容からすれば「バブル期に造成された一種の“陸の孤島”たる新興住宅地」は最低百戸はある小中規模ニュータウンだと推察できますが、それだと中から一戸や二戸くらいは“梃子でも動かぬ頑固者”に当たるので、いくらなんでも全戸が「目的が何かわからなくなった」ところの一家皆殺しに賛同するとはとても思えない。 「ご近所さんによる同調圧力的なものが住人を追い詰める」的なものなら、宮部みゆき氏の作品のほうが真に地に迫ってくるように思います。 思うにこの作品は(前言を翻して“善意に”解釈すれば)、オーームを新興住宅地に見立てた「確信的殺人者」として意図的に描かれたものだと思います。確信犯である部分=自分らが正義だと信じて疑わないもののために殺人さえ肯定する というくだり、一家皆殺しの過程など、オーームによる弁護士一家皆殺しを彷彿とさせます。 ただし、子どもの誘拐殺人の被害家庭の旦那までが自分の子どもの殺人者のほうになびくのは絶対に×です。(子どもを持ったことがないのでしょうか???)いくら我が家を守るためでも、わが子を殺した犯人側につくなんてこと、現実ではゼロパーセントです。 全体の主題としては他の多くのレビューワどもも書いているように「多数による同調圧力」なのでしょうが、日本人にその性質上非常に親和性の高い「同調圧力」。でも違うんですよ、わかっていない。 日本人が右へ倣えで同調するのはあくまで、「一見、正しいこと・ものに見える・思えるもの・ことに対する」同調圧力なのです。新コロ禍での(科学的根拠ゼロの)マスク着用しかり、大東亜戦争下での戦意高揚しかり。でも、殺人は一瞥で・直感的に「正しくない」とわかります。そんなものへの同調なんて、こんな寓話のようには起こりえないです。断言。 | ||||
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タイトルに書いた「見て見ぬふり」「不作為の罪」など「組織や集団による責任者が曖昧な犯罪」についての考察を深めたいと思い、この作品を読みました。 が、レビュアーの方々が書いておられる通り、この設定ではあまりにも無理があります。いくら何でも住民たちが自分たちの町の秩序と平安を守るために自ら手を下すとはとても思えません。 「自ら手を汚してしまう犯罪」と、「他人の犯罪に目を瞑ってしまう犯罪」「不正や理不尽や保身、無責任が原因で起きる不幸な出来事=不慮の事故や不幸な死」とは、その背景となる心の歪みとは同質であっても、行動に移すとなるとかなりのハードルがあると思います。 というか、後者は基本的には自らは何もしないことが犯罪につながっているのですから、根本的に違う気もします。 そういう意味では、主人公真崎の娘絵里と主人公真崎の心理=不作為の罪に対する良心の呵責にはとても納得できるものがありました。 | ||||
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「王様のブランチ」で紹介されてブレイクというパターンでは『六人の嘘つきな大学生』がえらい面白かったのでこちらも期待の一冊だったのですが、残念ながら今ひとつでした。 まず、全体的になんか古臭いです。 主人公の「無骨で冴えないおっさん。クライアントなのに、相手が若い女だからって最初から思いっきりタメ口&雑な扱い」というキャラ設定がどうにも。こういうおっさんキャラって、『新宿鮫』が流行ってた頃とかにはゴロゴロいましたけど、今の価値観で見ると単なる勘違いオヤジですよね。 あと、「常軌を逸したレベル(殺人をも厭わない」の村八分」的な話も使い古された感じだし、そもそも「SNSでの匿名告発」が当たり前となった昨今では、同調圧力による秘密の共有って話がどうにもピンとこない。表向きは「輪は乱しませんよ〜」な顔をしつつもSNSで暴露する(これが俺の正義だ!)、みたいな奴が絶対に出てくるでしょう。 真犯人についても何かどんでん返しがあるのかなと思いきや、何も無いし。 ということで、「つまらなくはないけど、これってかなり昔の本?」みたいな読後感でした。 星三つとさせていただきたいと思います。 | ||||
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この作者さんの第66回江戸川乱歩賞を受賞した「わたしが消える」がとてもよかったので、続くこちらも読んでみたくなって図書館にリクエストしていたもの。 ====データベース=== 高級住宅街の恐ろしい秘密。住民たちが隠し続けてきた驚愕の真実とは? 人もうらやむ瀟洒な住宅街。その裏側は、忖度と同調圧力が渦巻いていた。 やがて誰も理由を知らない村八分が行われ、誰も指示していない犯罪が起きる。 外界から隔絶された町で、19年前に何が起きたのか。 いま日本中のあらゆる町で起きているかもしれない惨劇の根源を追うサスペンス! 江戸川乱歩賞受賞第一作。 ============== う~ん、<同調圧力>とか<村八分=いじめ>とか、作者さんの狙いはわからなくはない。 とくにコロナ禍を生きる現在、マスク警察だの反ワク信者だの、その手の言葉が生まれている実際を生きているからこそ、共感できる部分もあるし、ぞっとする部分もある。 ただ、しかし、私的にはう~ん、なのだ。 微妙~っ! って感じなのだ。 この”もやもや”を言語化してみると、「これ、起こりえるか?」という疑問につきる。 これ、あまり賢くない(失礼!)中学や高校の一クラス30人前後の規模で起きるカースト問題ならわからなくもない。 でも、仮にもニュータウンとして経済的に余裕がある家族が暮らす瀟洒な住宅街だよ。その数は10戸や20戸ではないはずで、住民の数だって30人、40人ってわけじゃない。そのぶんいろんな考え方の人がいるでしょ。 物語のなかでは、この町に暮らす家族の子供はみんな同じ一か所の学校に通わせるのが習いみたいに語られているけれど、そうかなあ~、義務教育のうちは地区にある学校かもしれないけれど、大学なんて、できるお宅のお子さんはここから離れて進んで有名国立私立大学にいくだろう。 それがそろいもそろって町民の暮らしぶりが均一化されていて、おまけに<町全体で悪に加担している>ときたもんだ。 この力業の構図が私には納得できかねた。 そもそもあの弁護士資格を諦めた昔の事件の真相をひとりで追っていた法学部出身の奥さまの”旦那”という存在がまったく出てこない。 そして自分の息子が誘拐殺人の目に遭っているのに、その父親=旦那の思考は時代錯誤も甚だしい男尊女卑に突き抜けてしまっているし。 う~む。 なんか極端すぎるんですよね。 そうじゃない人もいるはずなのに、そっちには目を向けず極端なほうだけを書いて<町全体が>とくる。 で、その極端な人たちというのが、揃いも揃って非科学的で。 <自分の頭で考える>訓練が全くされていない、感情のみで生きる牙むき出しの野生動物とでもいうんですか、あんたたち、もはや動物だな、って感じで。 これがリアルな世界でもある話だっていうのなら、たとえ家を買ったとしても私はこんなところに住んでいたくないわ~。 一方、これ、因習が残る限界集落やカルト教団ならものすごく納得できる話になります。 実際、オウムによって一家皆殺しにされてしまった坂本弁護士事件を知っている世代の私には納得しかありません。 作品としてはそれほどの出来ではなかったかもしれないけれど、佐藤浩市さんで映画化もされた「楽園」の限界集落のほうが私的には説得力がありました。(まあ、あれはそれこそ実話をもとにしているんですが。) ということで、主人公のリコール隠しなど「上の力におもねた結果、正しいとされる行動をとれなかった」=「長いものに巻かれて正義に背を向けた」というテーマで作者の訴えたいことは分かるんですが、★3つの可もなく不可もなくという評価にさせていただきます。 | ||||
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