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夜が明ける
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夜が明けるの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.58pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全66件 61~66 4/4ページ
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巻末の参考文献には子供の貧困に関する書籍が並ぶ、 また、クライマックスで怒涛に書かれるパワハラによる自殺、生活保護者への差別、イラク人質事件と自己責任論、SNSを利用した匿名での中傷など、これらの社会問題をテーマに書いていることがわかるのだが、 これはフィクションなのだから、そういった問題が、どういう理由・感情で起こり、どう向き合うのか?という様な部分をもっと読みたいと感じた。 というのも、貧困者は人に助けを求めれば良いという事では無いと思うし、 匿名の中傷も、他者を貶めて自尊心を持とうとする性質が人間にあるからだと思うが、 軽く扱われているように感じた。全体的に散漫な印象。 体を売る少女たちが、不思議なバーにいて、さらに強盗が起こるが、 少しサスペンス調にシーンが出てくるだけで、何を伝えたいのか分からなかった。 高校で、マイナーなフィンランドの俳優アキ・マケライネンに似ていると言われるとか、 ウィットさが感じられるシーンだとは思うが、物語の軸に出来る様な部分ではないと感じた。 | ||||
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読み進めていく程に、彼らの人生に救いや希望を探してしまいました。 それは、自分の人生の救いを彼らの人生の中に見つけられないか探すことと似ていて、 必死でした。 救いや答えがあったかは、今は正直まだ分からないです。 でも、いくつかの場面が私を泣かせ いくつかの言葉は私を励まし 大袈裟ですが 明日も生きようと思わせてくれました。 | ||||
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割と長い時間をかけて少しずつ読みました。素晴らしかったです。西加奈子の本はメッセージ性が強過ぎて苦手だという人に複数会ったことがあります。本書も例外ではなくかなり強いメッセージをはらんでいます。だけどこれだけのものをこれだけの熱量で、しかも見事な文体で描き切った西加奈子はやはり一流の作家だと思いました。苦しみも丁寧に描かれ、憎しみも丁寧に描かれる、今こんな小説に出会えることにただただ感謝しかありません。 | ||||
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長い間くすぶって屈折した自分には、この夜明けでは勇気を貰えませんでした。 しかし、殻を破り明るい場所に戻るのには、このやり方しかないのかもな…とも思いました。 僕を救ってくれる作品を求めて、色々チョイスしてきましたが、『サラバ』や今作は惜しいところまできています。 上から目線でスイマセンでした。 懲りずに外の世界に救いを求めて探し続けます。 本当は心の中に答えがあること、知っているのに | ||||
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本書を購入前に『小泉今日子と西加奈子の対談!』を読んで欲しい。ネットで検索すると出て来る。 著者がカナダで書き上げた『夜が明ける』についての真相がこの対談によって明らかになる。 2021年10/23(土) 8:00配信された、本書の出版社 『新潮社 小説新潮 2021年11月号 掲載』の記事だ。 この記事で、著者の本当の気持ちがわかるので、一部引用して紹介する。 西、 『夜が明ける』は日本にいた頃に書き始めて、カナダで書き上げた小説なんです。日本にいた頃も、書くうちに小説が変わっていくことはありましたが、この小説はカナダに来てからどんどん変わりました。 小泉 それはどういう部分ですか? 西、 カナダに来て、周りの人に「小説家です」と言うと、「今何を書いてるの?」と聞かれます。一言では言えないけれど、今は日本の貧困について書いてると言うと、日本に貧困があるということを知らない人が多くて驚かれるんです。 小泉 そうなのか……。 西、 南米や中近東、アフリカ出身の方もたくさんいるので、その方たちからしたら、貧困といってもごはんを食べられているんだからそんなに苦しくはないでしょう、僕たちの国では貧しさで人が死ぬと。でも、先ほどの「恐怖を受け入れる」話にも通じるんですけど、日本のこの辛さは、他国に比べたら大したことないから我慢しないと、というものではないはずです。日本人は特に、「●●と比べたら」という比較で目を瞑ったりなかったことにしたりしがちです。それは苦しさをやはり「乗り越えている」だけで、それを受け入れて、きちんと自覚していることにならないんですよね。 小泉 そうですね、比べられないですよね。 西、 それは違う、嫌だと思って、けっこう変えたところや書き足した部分もあります。人によってしんどいと感じることは違うんだから、 しんどいと思ったらしんどいって言っていいんだ、ということを書きたい気持ちが強くなりました。 小泉、 日本人の国民性というか性格みたいなものに依るものなんでしょうか。他にも何か感じたところはありましたか? 西、 自己責任っていう言葉が英語ではなかなか伝わりにくいです。セルフレスポンシビリティと表現することもできますが、それだと自立っぽいニュアンスがあるようで、ちょっと違うような気もします。少なくともこちらでは、「自己責任だからあなたのせいだ」と言われるためのツールにはなっていないと思います。あとは恥の概念ですね。例えば、日本人の中には、自分が職を失ったことや家を失ったことを恥ずかしくて家族に言えない、という方もいらっしゃいます。でもカナダではそういう状況が信じられないみたいです。その話をした時、 カナダ人の友人に「どうして家族に言えないの?」と聞かれて「恥の意識があって」と答えると「恥って何?」 と聞かれて答えに窮しました。カナダ人は、日本人に比べると「あなたのせいだ」と言われる状況が少なかったんだと思います。だから、しんどいときに、自然と人に助けを求められるんじゃないかなと。 日本社会に根付いている「恥」という感覚がみんなを苦しめてるように感じます。 小泉、 そうかもしれない。でも、日本社会も日本人の中にも、今まさに、少しずつ意識を変えようとか行動を起こそうという人が増えている気がします。 西 さっき、私が小説で書きたいことの一つに、 「人間は変われる」ということ、と言ったのですけど、今、小泉さんとお話ししながら、 「自分を取り戻す」ということも書きたかったことの一つだと改めて気づきました。 私たちは人種や国籍や性別など関係ないピュアな生き物として生まれてきたはずなのに、社会にいる間に自分の軸が分からなくなって、周りから「価値観」や「常識」の粘土で塗り固められた人間になる。例えば、十代の頃の私なんて、「可愛くないと駄目」だとか、そんなことばっかり思っていたんです。 以上。 〜2021年10/23(土) 8:00配信された、本書の出版社『新潮社 小説新潮 2021年11月号 掲載』の記事より一部抜粋して引用〜 上記の対談で、著者は日本人社会は『恥じ』という感覚がみんなを苦しめているのではないか?と感じている。 確かにそうだ、私ごとで申し訳ないが、このレビューをかかせていただいている私も生存率が極めて低い癌にかかったと人に言えなかった。そして10年間、誰にも本当の気持ちをつたえれず苦しんだ。 著者がこの小説で書きたいことの一つに「人間は変われる」ということがある。 まさに、この小説の中で出てくる主人公アキの姿そのものである。貧困の中で自分がどうやって変わってかがよく描かれている。 私も本書により、ようやく気がついた。くるしいときは、くるしいと話てもよいことを。著者に勇気をもらい感謝する。 本書は、現在、日本の生きとし生けるもの全ての人に読んで欲しいと思った素晴らしい作品である。 | ||||
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一生懸命生きているだけなのにふとしたことがきっかけで人生が悪い方向へ転がっていき、そこから抜け出すのが困難になる様子を描いている。 TV局への就職をしても過酷な労働条件で心身ともに疲労していく様、吃音がありことなどからバカにされていた若者が劇団に出会い前進するかと思った人生がのめりこみ過ぎてまたそれが暗転する。 物語の途中は、もうちょっと救いがあっても良い人達であろう辛さが全面に出てくるので、沈んでいる気持ちの人は読むタイミングではない。 日本全体がまじめに一生懸命働いても希望が持てない、特に若者の様子を描く様は辛い気持ちを抱かせる。 登場人物達の人生にどっぷりと感情がシンクロしていく様は著者の魅力である。 一度道を踏み外すと平均的な暮らしを維持することさえ難しい現状を著者は物語の中で叫び続けている。 それでも若者が現状からの希望を胸に抱ける世界であってほしい。 | ||||
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