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(アンソロジー)

他人の城/憎悪のかたち: 日本ハードボイルド全集3



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他人の城/憎悪のかたち: 日本ハードボイルド全集3の評価: 5.00/5点 レビュー 1件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点5.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(5pt)

解説も含めて内容が良い

映画『黒い太陽』の原作である「腐ったオリーブ」を含め、長らく文庫版も絶版であった作品が「紙の本」で復刊されたことは喜ばしい。
底本も、用語自主規制以前のものが採用されている。
本書は『日本ハードボイルド全集』の一環であるから、筒井康隆編『'74日本SFベスト集成』に選ばれていた「トリケラトプス」(『街の博物誌』の1編)や、鮎川哲也が『急行出雲 鉄道ミステリー傑作選』に選んだ「機関車、草原に」は収録されていない。
が、再録されている角川文庫版の著者あとがきや、池上冬樹による解説文を読めば、河野典生の代表作はハードボイルドに限らないことが明示されており、これから河野典生の作品を読む世代への指標となるだろう。
七曜社版『憎悪のかたち』の「あとがき」は再録されなかったので、ここで一部、紹介しておく。
「私はこの作品集の書名に《憎悪のかたち》を選び、憎悪をテーマにした作品で統一することにした。
憎むべき対象が発見できないままに、いたずらに吠えまわっているひとつかみの若い狼たちや、物質文明に飼いならされた無気力なおびただしい若い羊たち。
つたないこれらの作品を、僭越ながらきみたちにおくりたいと思う。
なぜなら、いま、私自身がきみたちと同じ狼であり、羊であることを思い知らされることが多いからだ。」
今まさに、「憎むべき対象が発見できないままに、いたずらに吠えまわっている」事件が頻発している。
新しい読者が、河野典生の作品から、あるべき「憎悪のかたち」を読み取ってもらえることを願う。

なお、解説の中で池上冬樹は、結城昌治が『暗い落日』『公園には誰もいない』『炎の終り』を講談社文庫版で改訂したことを「ポリティカル・コレクトネス」だったと批判している。
ならば、続刊の結城昌治集では、用語規制以前の版が採用されるのであろうか?
そうであってもらいたい。
他人の城/憎悪のかたち: 日本ハードボイルド全集3 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:他人の城/憎悪のかたち: 日本ハードボイルド全集3 (創元推理文庫)より
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