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幻の殺意/夜が暗いように: 日本ハードボイルド全集5
- 日本ハードボイルド全集 (6)
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結城昌治の作風は幅広い。直木賞受賞作『軍旗はためく下に』や『虫たちの墓』は軍隊組織の非情を描き、その延長線上に吉川英治文学賞受賞作『終着駅』がある。 いっぽう『ゴメスの名はゴメス』はスパイ小説と名作と名高く、『白昼堂々』のようなクライム・コメディ、『夜の終わる時』や『穽』(文庫版は『裏切りの明日』と改題)のような悪徳警官ものも、代表作として挙げられてきた。 その結城昌治がハードボイルド作家と認識されているのは、やはり私立探偵の真木を主人公とする長短篇があったからだろう。 しかし編者の1人・池上冬樹が、『暗い落日』『公園には誰もいない』『炎の終り』が講談社文庫版で改訂されたことを「ポリティカル・コレクトネス」だったと批判しているためか、この全集では、真木ものの短篇は採られたが、長篇は『幻の殺意』が選ばれた。 たしかに『幻の殺意』は、新潮社版『日本ミステリー事典』にも「初のハードボイルドと言えるだろう」と書かれている作品だ。が、はたして結城昌治の代表作として「日本ハードボイルド全集」に取るべき作品なのだろうか? 結城昌治は「洗練されたユーモア」「軽快な文章」でも定評があった。 カッパノベルズ版『長い長い眠り』の作家紹介には「巧みなプロットと独自のユーモアをたたえた軽快な文章で、推理小説ファンを魅了している」とある。同じく『穽』の作家紹介には、「”ユーモア推理作家”という世評に挑戦し、スパイもの、悪徳警官ものなど、つねに他に先んじて新分野を開拓する」と書かれている。 結城昌治の「独自のユーモアをたたえた軽快な」作品は、初期の代表作とみなされてきたし、今や評価を確立していると言ってよいだろう。 個人的な意見としては『幻の殺意』よりも、『夜の追跡者』や『隠花植物』の軽快さこそ評価されるべきだったのでは?・・・と思う。 これらを「通俗ハードボイルド」などと下に見て良いのだろうか? | ||||
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真面目な高校生だった一人息子の素行が、ふいに暗く崩れ始めたある日、唐突に彼は殺人事件の容疑者として逮捕されてしまう。青天の霹靂に色を失いながらも、わが子の無実を信じて悲壮な探索を始める父親だったが、はがしていった闇のヴェールのしたから現れるのは、さらに深い闇の淵だった―。平穏な日常や信じていたものの存在が、突然に崩壊してゆく恐怖と哀切を描いた『幻の殺意』。ラストの一行が、絶望色の虚無をにじませて、胸に刺さる傑作長編である。 さらに、余計な贅肉を極限までそぎ落とした簡潔な文章が、強靱で繊細な弦のように、さまざまな人生の陰影を、味わい深い旋律に奏であげる、九つの短編が併録されている。いずれもハードボイルド(私立探偵小説)スタイルの作品だが、哀切な犯人像の『夜が暗いように』と、謎解き本格ものの味蕾にも適ってきた『風の嗚咽』が、特に印象にのこった。 | ||||
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