(アンソロジー)
死者だけが血を流す/淋しがりやのキング: 日本ハードボイルド全集1
- 日本ハードボイルド全集 (6)
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死者だけが血を流す/淋しがりやのキング: 日本ハードボイルド全集1の総合評価:
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日本のハードボイルド小説の全集第一巻。生島治郎篇。長篇一作と短篇六作が収録されております。 ハードボイルドという言葉に関しては、色々な見識があるので、個人的にこれがハードボイルドだ、という考え方はあまりなく、漠然と非情な感情がハードボイルドかハードボイルドっぽく思っておりまして、ハメットの「マルタの鷹」の最後の方のサム・スペードの台詞や黒沢監督の「七人の侍」の最後の台詞等にそういう物を感じておりまが、この中にはいっている短篇二作に、なんとなくハードボイルドっぽくない、と感じてしまったので、やはり漠然と認知バイアスっぽくこれがハードボイルドだ、という物を持っているかも。 という様な事は読む上で、あまり関係ないので、余計な感情を取っ払って純粋に楽しく読めました。ただ、これがハードボイルドだ、という見識には到達できなかったので、この叢書を最後に読むまでにはそういう境地に達したいものです。 あと、巻末の大沢さんの思い出話しが微笑ましくて良かったです。 日本のハードボイルド/私立探偵小説を俯瞰する叢書第一巻。ぜひご一読を。 | ||||
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このシリーズの最大の魅力は巻末の解説、書評です。星4にしたのは解説が良かったからで作品そのものは3.5というところでしょうか。北上次郎氏の解説を今後は読めなくなってしまい残念です。彼の文庫解説はほとんどが納得、同感できる内容でしたので、私の選書指針が失われてしまいました。 | ||||
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かつてのパソコン通信Nifty-Serveで冒険小説とハードボイルドフォーラム(FADV)を主宰していたくせに、日本のハードボイルドには明るくない。大藪晴彦は沢山読んだけれど、ぼくのリアルタイムハードボイルドと言えば、矢作俊彦、船戸与一、志水辰夫、大沢在昌、逢坂剛、佐々木譲などのどちらかと言えば冒険小説にかぶる人たち、少し遅れて和製チャンドラー・原?などである。 この日本ハードボイルド全集はそれに先立つ戦後復興期の時代を担う作家たちを紹介する全集と言える。この巻末解説によれば日本ハードボイルドの嚆矢は高城高であると言う。ぼくは北海道繋がりということで、釧路を舞台にした作品の多い高城高の作品はほとんど読んでいるのだが、本全集には彼の作品は含まれていない。 さて、本書は生島治郎の巻である。未だ実家に住んでいた十代の頃、読書家であった母が読んだのだろうと思われる『汗血流るる果てに』の文庫本を読んだ記憶はけっこうはっきと残っている。しかし、それとて既に朧ろ。 今日になってこの時代のこの作家の作品を読んでみて、まず驚くのは文章力である。そして今ではあまり書かれなくなったように思う独りの男の生き様であったり、気位であったり、洒落た会話であったり、に驚かされる。もはや現代に存在しないのではないかと思われるハードボイルドの世界は、実は戦後昭和のこの小暗い時代にこそ似合っていたのではないかとすら思われる。 暗闇が未だ恐ろしかった時代。金銭の価値が極度に重宝された時代。戦後復興とともに目立って行く人間の堕落。そのなかで足掻き抵抗する誇り高き生き方をまさぐるような主人公たち。悲しくも雄々しい心の悲鳴。そういったものが微熱のような高ぶりとともに感じられる本書は、超短編集であった。 本書唯一の長編『死者だけが血を流す』は、現代に通じるような選挙の裏側で暗闘する日本っぽい悪、そして勝負の世界。理想に燃える候補者もいれば、彼を追い払おうとする暗い力学も存在する。今も昔も変わらない汚らしい政治を背景に、ちっぽけな男たちや女たちが打つ一発勝負の博打の行方を、素晴らしいストーリーテリングで描いている。 短編小説では『チャイナタウン・ブルース』と『淋しがり屋のキング』で船舶専門のブローカーである主人公、久須見健三は相当に印象的だ。ヨコハマを舞台に怪しげな海外の船を相手取って食糧や雑貨を調達する仕事であるが、個性的な人物を物語の都度配置し、闇に傾斜した事件を解決に持って行く片足の主人公は、シリーズ化された生島治郎お気に入りの人物らしく、魅力的である。 他にこれがハードボイルド? と思われる不可思議で軽妙な作品も含め、この作家のストーリーテリングが冴える作品集となっている。今となってはなかなか触れることもなさそうな日本娯楽小説史に眠る作品たち。是非、今こそ、良い機会として、彼らを知らぬ現代の読者たちにお勧めしたい確かな作品集である。 | ||||
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楽しみにしています。内容は文句なしです。 | ||||
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「死者だけが血を流す」に顕著な、理想主義的な青臭さと過剰なまでの感傷はもはや日本には何処を探しても見当たらない。ハメットの『ガラスの鍵』などと比較すれば、あまりに説明的過ぎて、これがハードボイルドなのかと問われれば返答に詰まるが、初期長編ならではのエモーショナルさは捨てがたい。 二作収録されている横浜港を舞台にした久須美健三物が最もスタンダードなハードボイルドミステリのスタイルを採っている。大鹿マロイを彷彿させる黒人兵が登場する「淋しがりやのキング」の哀感は秀逸。 エヴァン・ハンターを思わせる「血が足りない」、一種のコンゲーム物「甘い汁」やバックステージ物「夜も昼も」などは中間小説誌全盛期に活躍した著者らしいストーリーテラーとしての本領が発揮されている。 田村隆一の奇矯かつ愛すべき人物像が描写される「浪漫渡世」は後の自伝的長編『浪漫疾風録』の原型。黎明期の翻訳ミステリというか早川書房の裏面史として興味深い。 | ||||
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