他人の城
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あるライターが取材した女の子のことでその兄から調査を依頼され…というお話。 著者は本書を書くにあたっていくつかテーマを決めて書いたとあとがきに書かれてますが、その「本格推理小説だけが謎解きがよくできているものではない、低級にならない娯楽小説を書こうとした」というハードルは見事クリアした第一級のハードボイルドに仕上がっております。キャラクター、謎、叙述、どこをとっても完璧なハードボイルド推理小説。「日本でハードボイルドを書いて成功した人を3人選べ」と言われたら、私はこの著者と結城唱治、原りょうの3氏を選ぶと思いますが、中でも傑出しているのが本書と「殺意という名の家畜」を書いたこの著者だと思いますがどうでしょうか。 日本の風土に合わなかったのか、昔日本の推理小説界を牛耳っていた江戸川乱歩があまりハードボイルドを好きではなかったからかは判りませんが、本書をはじめそれなりに良質な作品が書かれていたのが判るという意味でも本書は重要ではないかとも思います。日本の場合ハードボイルド/クライム・ノヴェルはそのなかの暴力的な部分だけ抽出して書かれたヴァイオレンス小説に変容して伝わったようで、それも悪くはないと思いますが、必ずしも暴力を使わなくてもタフ・ノヴェルは書けるということを、この時代の河野氏と結城氏のハードボイルドは教えてくれる気がします。 蛇足ですが、本文中に日本で一番問題になりそうな差別用語がでてきて、ギョとしました。今本書を復刊するとしてもここを削らないと復刊は難しいとおもいますが。 | ||||
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主人公のルポライターのもとに妹が失踪したので探してほしいという依頼がきて・・・というお話。 この小説を書くにあたり著者はコンセプトがあったそうで、要約すると低級でない娯楽小説を借り物でない文体で書き、探偵役の姿勢を非情=明晰さへの志向とし、それが推理性と文学性の接点を自然に生じるようにしむけ、パズル派だけが本格ではないものを書きたかったとのことです。そして見事にこの小説でその目論見は達成できたと考えます。何を文学とするかは相対的ですが、非常に重厚かつ軽妙で豊な含蓄を含んだ存在感の大きいハードボイルドの傑作だと思います。今読んでも資するところのある日本ハードボイルド史に残る逸品。 個人的に日本のハードボイルドで功績のある人を三人選ぶと、結城唱治、原りょう、そしてこの著者だと思いますが、どうでしょうか。 日本で一番すごい差別用語が使われている以外は欠点のない完成度の高い小説。是非ご一読を。 | ||||
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