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闇の歯車
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闇の歯車の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.36pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全22件 1~20 1/2ページ
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藤沢周平の初期の作品には、闇の字が表題になったものが多く、批評家は、藤沢周平自身がそれまでに体験してきた人生の闇がそこに仄見えている、と解説しています。ところが、これは他の「闇」シリーズと違って、作者はどこまでも創作者として、闇の中をカチカチと動いてゆく歯車を描き出しています。一人の悪者が人と人とを結び合わせ、闇の歯車を動かしてゆく―さまざまの人生が、一つの歯車に絡まってゆく展開が、なんとも見事で、しかも哀しい。ひょっとすると藤沢周平はこれを書き上げて、小説作りということの確固たる自信を得たのではないか、という気がしてきます。 | ||||
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藤沢周平作品の中では、すごく面白いというわけではありませんが、江戸時代の市井のことが生き生きと描かれていて良かったです。藤沢周平ファンなら読んでも損はないかと‥。 | ||||
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一級の推理小説 | ||||
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・これが率直な読後感である。エンドの救いを含め、余りの単純素朴な反応に、呆れる方もいらっしゃろうが、偽らざるところである。徹底した悪党の伊兵衛に操られる4人の男、「根のない暮らし」から足抜けしない佐之助、今や娘夫婦の「厄介者」となり果てている弥十、「料理茶屋の仲居」との縁を切れない老舗の後とり仙太郎、「人の妻を盗み、城下を逃げ出した浪人者」清十郎、主軸と言うべき彼らの何れもが、揃って頼りない。そればかりか佐之助を除いて末路は、無残そのものである。して作者は、本作で何を描こうとしたのか。単なるサスペンスではあるまい。しからば生きるに欠かせない人の情であろうか。そうとも言い切れまい。読み進めるうちに、伊兵衛を含む男達には、彼らを支え動かす女達がいて、要所を締めていることに、気付いた。女達は、男達が現状を抜け出せずにいるに対し、或る女は過去を振り切って新しい生き場所を見出し、或る女は厄介を自ら進んで引き受け、或る女は用心深く生きる道を探り、或る女は不遇な末にも自足する。こうした女達がいて、本作は、巷に生きる男女の哀歓を細やかに物語ることに成功している。 | ||||
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小説の全体の構成が凝っていて、読むにしたがつて、面白さが加速する。 | ||||
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映画を観てから読みました。 詳細がよくわかりました。 | ||||
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Kindleで読んだので、文字はしっかり大きいです笑笑 さて、映画の「闇の歯車」がよくなかった、というよりほとんど寝ていたらしくいくつかのシーンが思い浮かぶだけで消化不良になり、原作を読みました。 この本の前に『火喰鳥』を読んで、なんともリアリティのない文章だなと、なんでこの人が直木賞候補になったのかと、これまた不満だったのですが、さすがに藤沢周平の文章はなんの違和感もありませんでした。 しかし、読後感はよくありません。登場人物の描きかたがペラペラと薄いのです。この名手にして、なぜなのでしょう? | ||||
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藤沢周平の作品は、人生の哀歓をしみじみと感じさせる作品が多いが、本書は少し毛色が違っており、登場人物も共感できる人物が余りいないこともあるが、少し辛辣で皮肉で突き放したような視点で描かれている。 ストーリーはよく工夫されており、同じ居酒屋で会話を交わすこともなく飲んでいた常連の男4人が、一人の悪党に押し込み強盗に誘われるところから始まる。男たちにはそれなりに切羽詰まった事情があって犯罪に手を染めるわけだが、それに伴い愛人や娘や婚約者など、男に拘わる女たちとの関係も大きく動き出し、それぞれの結末に至る様が実に面白い。 残念ながら殆どは不幸な終わり方になるが、その中でも未来に少し希望がもてる顛末を迎える男もおり、少し救われた気がした。 | ||||
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文字が大きいのが読み易いはず・・・と思ったが、標準品に比べると違和感があり、馴染めない。 行間や文字間隔が混みすぎているのでしょうかね。 | ||||
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藤沢周平は時代小説の第一人者、はずれがない。文字が大きい新装版で読みやすかった。 | ||||
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藤沢周平の文庫本は、すべて、読みつくし、本箱の整理をしていて、この本を再び読み出した、面白い、前回読んで、筋をまったく忘れてしまっていた、この機会に著者の作品を再読することにしよう、さて次は、何をよもうかな。 | ||||
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飲み屋の描写は酒の香りが漂ってきそうなほどリアルなので、 時代小説が好きな人にはオススメの一冊です。 物語の最後に、ある男がある答えを出すのですが、 その答えの重さ・尊さに共感してむせび泣きました。 映画化してほしいですね。 | ||||
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勝手にも、藤沢周平は人情小説を書く人だと思っている。 それなのに、池波正太郎が書くような小説も書けるわけだ。一流の作家だから当たり前だが、いつもと違うので新鮮な気持ちになる。 しかし、そこは人情小説派の藤沢周平なので、これを池波正太郎が書いたら、どうなるだろう? と言うようなことを想像してしまうのである。 と言っても 藤沢周平の闇の歯車がつまらないのではない。つまるところ、あれこれ想像をかき立てる、刺激的な小説なのだ。 | ||||
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「押し込みでございます。」 伊兵衛はいわくのついた素人四人を仲間に引き込み、数百両が眠る問屋への押し込みを計画する。 いつのまにか闇の中の歯車が回り始める。 藤沢周平の初期の作品で後期の作品(よろずや平四郎活人剣など)に比べると粗削りな感もあるが、ストーリーは巧妙で面白い。 著者の特徴である、市井を中心に描かれていて、現代でも近くにいそうな等身大の登場人物が共感を呼び、ストーリーに深みを加えている。 | ||||
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読ませる作品である。 といっても、藤沢作品はどれも読ませるんだけれど。 この作品には、5人の主人公がいて、 それぞれの終わり方を迎えるのであるが、 その終わり方に、藤沢周平の揺れ動く心が現れている気がしてならない。 40代も半ばを過ぎれば、ほぼ人生の先が読めてくるが、 いったい自分はこのうちの誰のパターンを望むだろうと考えると深い小説である。 | ||||
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目次に ・誘う男 ・酒亭おかめ ・押し込み ・ ちぎれた鎖 と、あったので、てっきり短編4編と思いきや、1冊の長編であった。 こうなると、安心してじっくり読める。 うらぶれた飲み屋に、もくもくと飲むバラバラな客常連客が4人。 皆それぞれに訳がある。 お金欲しさに「押し込み」話に集まってみると、そこにはその店の4人がいた。 さて、訳あり素人押し込み集団 成功するのか、それとも・・・・。 * 最後は 「そうか、そう来たか?よしよし」と、言う感じでしょうか? 悲しい運命と、最後「ほっ」とする内容で、安心して読めます。 しかし、読んだら最後 一気に読まないと気が済まない内容です。ご注意! | ||||
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"逢魔が刻"を経験した4人の男が、押し込みの仕切り屋に誘われて、再度の"逢魔が刻"を経験する過程を通じて、人生の暗黒面、男女の機微を描いた作品。 博打で身を持ち崩して現在は仕置人まがいの家業をしている佐之助、江戸所払いから30年振りに戻った老人弥十、不倫の果てに一緒になった妻が死に瀕している浪人伊黒、女と金で困窮している大店の若旦那仙太郎。仙太郎の設定が少々弱い気がするが、各々既に"逢魔が刻"を経験している。冒頭の暑さの中で叫び声を繰り返す女の描写から始まり、上述の各自の事情説明と、押し込みの仕切り屋伊兵衛に誘われ仲間に入っていく様子とがクロスして生々しく描かれ、行き詰るような緊迫感を読む者に与える。登場人物の息遣いが聴こえて来そうである。読んでいて喉が渇いてきた。4人は題名通り、伊兵衛という巨大な「闇」に操られる「歯車」のようである。ところが、"逢魔が刻"の押し込みの当日、思いもかけぬ偶然が起こり、「歯車」が狂い始める...。ラストの伊兵衛の振舞いはハードボイルドに徹していて潔い。 作者が男女の奇縁を中心に描いているのはやや意外だったが、この男女の間の深遠な「闇」こそが人生の一断面を形成しているという意味合いなのだろう。男女の機微を背景に、人生の暗黒面を妥協を許さず冷徹に描き切った秀作。 | ||||
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苦しい時の藤沢周平頼み、で、正月の帰省に持って行った本の一つです。 期待通りに面白かったけど、すかっとする、という感じではないね。 また、しみじみする、という感じではない。 何と言うか、底辺の庶民の人生にもそれぞれドラマがある。 そう、それは藤沢周平の一つの路線だと思う。今回、まさにそんな感じ。 一人一人の人生を、あぁ、そう結末付けるのかぁ。。。と、 何とも言えない感慨が起こる。 200ページ程度の中編ですが、読みごたえはありますよ。 | ||||
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藤沢作品は市井もの、武家もの、歴史ものの3つのジャンルに分けられ、それぞれおもしろいのですが、普通、これらのジャンルは1つの作品の中で交わることがありません。 この作品では、犯罪をめぐって、町人も武家も出てきて、おまけにそんなに長くない、ということで1冊に藤沢作品のエッセンスがつまっています。 それと、この手の犯罪小説では、登場人物のその後が取って付けたようなものになりがちですが、この作品は、納得できる終わり方でした。 昭和51年に書かれた作品なのに決して古くなっていない。すでに古典となっているといってもいいと思います。 | ||||
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藤沢周平氏は28歳の愛妻をガンで看取ったとき、自分の人生もいっしょに終わったと思ったのだという。しかし乳児がいたので死ぬことも出来ず、屈折した想いを小説にぶつけていった。氏は優しいので、自分の思いをストレートに出すことはせず、エンターテイメント小説として読ませる工夫を怠らなかった。氏の初期の作品群には、闇の中に自ら落ちていきたい想いと、市井の人々が希望や小さな幸せを抱えながら必死に生きていく様と、読ませる工夫に満ちたサスペンスや仕掛けが、いつも緊張感をもって同居していた。その時々でどちらかに比重は傾くのだけど。 この作品は、自らの想いを闇の歯車として動く四人に投影している。藤沢作品の中でも『重たさ』は際立っているだろう。特に武士の伊黒がいっしょにかけ落ちをした妻を見取る場面に私は胸が潰れた。「四半刻ほど、伊黒は凝然と死者の顔を見まもった。心の中に、私は悔やんではおりません、という静江の声が鳴りひびいた。そして伊黒は、その声とひびきあう自分の歔欷の声を聞いていた。」声無き声で啜り泣く伊黒の姿が氏の姿に重なる。 | ||||
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