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涅槃
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涅槃の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.34pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全36件 21~36 2/2ページ
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戦国武将の宇喜田直家が主人公である。 著者には歴史ものとして、『光秀の定理』『室町無頼』『信長の原理』があり、このうちの前二者は秀逸だったものの、『信長の原理』は2:6:2の法則が原理として描かれるという愚をおかしていて、がっかりした。 で、本書は秀逸なのか駄作なのか、と思いつつ読んだ。 主人公の直家は権謀術数の策士と評されているが、本書では幼少時に家が没落して備前の豪商に育てられ、商人的な発想を身に付けていたためとされる。 書き出しは広島県の鞆の津(鞆の浦)での幼少時代で、落城して父母と落ち延びた先が鞆の津だったとされている。 この幼少時代そのものは史実ではないらしいが、この鞆の津はぼくが生まれた沼隈半島にあり、生家からは10キロ程度の距離にある。 情景が目に浮かんだ。 そして直家の権謀術数が、この生い立ちからくるものであることを、豊かな筆致で描く。 特に、女人とのからみはしつこいほどに濃密に描写されている。 直家という否定的評価の多い戦国武将に、商人的な発想の持ち主という特異なキャラクターを与え | ||||
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宇喜多直家というと冷酷な策謀家というイメージがあり、今まで彼を主人公にした小説を読んだことはない。ただ、父親の代に落ちぶれたどん底から50万石の大名まで駆け上がったという特異な経歴を踏まえると、彼を主人公にした著者の目の付け所はよいし、どのように描くのか興味を持って読んだ。 実は人見知りで根は優しい人物という人柄の設定はありがちで、やはりそう来たかと思ったが、本当は商人になりたかったのに武士の道を選ばざるを得なかったという視点から、彼の生き方を描いていくのはなかなか面白いと思った。 上下巻合わせると800頁を超える大作だが、著者の作品らしく非常に読みやすいし、色々な事件が起きて飽きないので楽しく一気に読むことができた。 | ||||
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直家の生まれた家庭事情をうまく紹介しながら物語はテンポ良く進みます。父親がだめなところを説明するのに冗長なところがあるので、そこは端折って読んでも影響はないです。むしろ母親を最も詳しく描写してほしかった。父親が意外と有能な面を見せることがあり、キャラが揺れるのでそこもスルーでよいかと。あと、作法を知らないとか渡世の慣習を知らないとか、人情の機微を知らないとかは?有能さと何の関係もないので、父親の無能さは証明できていない。もっと主人公の気持ちが知りたかった。 | ||||
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全編を通して、宇喜多直家の権謀術数を駆使して戦国を生き抜いた従来のイメージから、当たらな人物像として描き切っている。 歴史なので最終的には勝者の意に沿った言い伝えになるのは当然だが、作者の新しい見方はそれなりに読み応えある作品に仕上がっている。 宇喜多家だけでなく、商家との付き合いのスタンス、小西行長、黒田官兵衛などの人物像への迫り方もまた違った一面から興味深い。 何も持たない状態から城持ちになり、最終的には織田家と毛利家との間で大きな領地を確保した事実から、やはりそれなりに世の中の情勢を俯瞰してみることができた人物なのだろうと思う。 そこまで有名でない宇喜多直家という人物をこれほどスポットを当てて展開された内容は評価できる。 | ||||
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ちょっと濡れ場が強烈 | ||||
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宇喜多直家のイメージは計略の限りを尽くす、どちらかというと武将としてはイメージが良くない人物を人間味あふれる描写で描いている。 情けない父親から受けた影響は生涯にわたって彼の人格形成に影響を与えるが(それゆえ血縁というものにそれほど重きを置かないというベースにもなっている)、他の戦国武将とは違った視点で世の中を見ていた。 低く見られていた商人との関係性も独特で、彼の国作りの基本となっている。 世の中を武士の世の中ではなく、商業で俯瞰しているのは直家と信長が先駆けであろう。 導入部については後の設定に影響があるとはいえ盛り上がらないが、そこを過ぎれば直家がはっきりとした形で現れ、読者も時代の経過に合わせて惹きこまれていく。 著者は信長を中心として、すっかりこの時代の描く人間作家としての立ち位置を確保した。 『光秀の定理』『室町無頼』『信長の原理』と繋がる一連の時代小説であり、他の作品と比べると多少小さくまとまっている感があるが、それでも直家をはじめとする関係する人物の描き方は独自の評価もあり読み応えある。 またこの時代の人間関係の複雑さを、読みやすく整理されている点も評価したい。 | ||||
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地元岡山でさえ評判が悪い宇喜多直家を殺生を出来るだけ抑えるために計略を行ったというのが斬新。国を富ませるために先駆的に城下町を建設するなど、商人育ちの視点を描くのも素晴らしい。 | ||||
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歴史は後者が創造すると思うが、この本では宇喜多氏は良く書かれ過ぎている。そこが面白い。人物評は作者によってこうも変わるのだな。 ただ、文章の躍動感、奥行きは然程でもなく、小説のレベルとしては並なので、読み易い。 | ||||
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物語の舞台は私の出身高校の友人達の所在地、そして私の先祖と云われる助兵衛も登場する親近感のある物語です それ故に、福岡と長船の所在地が吉井川の右岸側に設定されてい居る点には違和感を覚えた 親や親戚等からの伝承では、沼城以前が曖昧だったので、この点の記述は興味深く拝読 戦国時代、宇喜多直家以外にも、豊臣政権誕生迄には日本各地で幾多の下剋上が展開されました この本では、直家の死以後、関ヶ原迄の間が空白に成っているが、その間の秀吉とお福の物語迄展開されても面白かったのでは?宇喜多秀家が若くして五大老に成り、備前岡山藩の基礎を作ったのは、直家とお福の連携作業だったと思います故 | ||||
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上に記載の通り | ||||
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週刊誌の連載が終わり、早く出版されるのが待ち遠しかったので、一気に読みました。 | ||||
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勢力が入り乱れる乱世の備前で、宇喜多家をゼロから再興した直家の一代記。後年、梟雄として悪役イメージを付けられた宇喜多直家の実像を掘り起こし、家筋を残すという武門の棟梁の目的のために、無駄なプライドを排除し、商人のように実利を追う姿を描いた。常に敵の先手を打つ一方で、身内は決して裏切らず、味方の一体感を重んじる姿は、現代の企業経営にも通じる。光秀、信長、直家を3部作とみるなら、最も現実的な生き方をみせてくれる武将。こういう経営者のいる会社は強いだろうなと思った。 | ||||
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垣根涼介の新作のレビューである。垣根涼介作品は、「光秀の定理」(角川書店、2013年)、「室町無頼」(新潮社、2016年)、「信長の原理」(KADOKAWA、2018年)と、歴史小説については全て読んできていて、書架に並べている(垣根涼介のミステリーは読んだことはない)。特に「室町無頼」は、室町期、応仁の乱の頃の荒廃した時代風景や心象風景を、見事に小説世界に昇華させた作品であり、他の歴史小説(例えば、木下昌輝「まむし三代記」朝日新聞出版、2020年)にも影響を与えているのではないか、と勝手に想像している。全く異質の歴史小説で、ユニークさが際立っている。 この新作「涅槃」は、梟雄と言われる宇喜多直家の一生を描く、上下2巻で900ページ超の大作である。もともと一城の主だった宇喜多家は、主家である浦上家の策謀により攻撃を受けて、直家(幼名、八郎)の祖父は自死し、一家は城から逃亡して、流浪の身となる。鞆の津に隠れていた一家は、備前福岡の商人である阿部善定の申し出により、福岡の阿部の自邸に匿われることとなる。福岡という商業都市のなかで直家は、商業の仕組みや重要性を学び育ち、商人になることを夢みる。しかし、母の尽力により、武家として浦上家に再び仕えることとなり、武功をあげて、小さな城持ちになる。商業的な経営の才能を発揮し、臣下を大事にして、宇喜多家の勢力は徐々に拡大する。やがて、大量の菜種油と鉄砲が時代の進行を加速して、群雄割拠の各地域が急速に統一されていく(時代の進行が加速していく描き方は、実に素晴らしい)。東には織田家が圧倒的な力で台頭し、西には毛利家が台頭する。その狭間で、直家は、ある時は織田方につき、ある時は毛利方について、ついに浦上家を滅ぼし、備前と美作を領有する五十万石の大身となる。また、岡山城を、武士と商人が融合する城下町として整備する。そして、ついに病を患い、黒田満隆の説得により、宇喜多家の命運を、織田信長の麾下にある羽柴秀吉に預ける。 物語のあらすじはこのようなところであり、以下、2つの点について感想を書いてみたい。 一つは、梟雄の描き方についてである。戦国期の梟雄と言えば、斎藤道三、松永久秀、宇喜多直家というところであろうか。仮に、梟雄をその残忍性だけを際立たせて描くと、なぜ多くの臣下が忠誠を誓ったのか、ということがわからなくなる。つまり、梟雄にも、多くの人を惹きつける人間的な魅力があったはずだ。かと言って、司馬遼太郎が「国盗り物語」(新潮文庫)で描いた颯爽とした斎藤道三や、あるいは今村翔吾が「じんかん」(講談社、2020年)で描いた正義感溢れる松永久秀であると、梟雄の持つリアリズムが薄れてしまう。垣根涼介が描く宇喜多直家は、司馬や今村よりも複雑な造形をしていて、人見知りで猜疑心が強い一方、部下を信頼し、また武家であるにもかかわらず、武力には自信がなく、人を沢山殺めるのは好まず、商業的合理性を貫いている。こうした造形により一貫した人物像になっているが、もう少し矛盾した性格にすれば、もっと奥行きが出るのではないか、と思ったりもした。この物語を読み終えて、私はいま、もっと複雑な矛盾を抱えた梟雄の物語に出会いたいと思うに至っている(なお、司馬遼太郎「国盗り物語」に対する印象は、随分前に読んだから、不正確かもしれない。機会があれば、もう一度読んでみよう)。 もう一つ、感想を書いておきたいことは、第二章で描かれた、濃密な春画を見るような、長い詳細な性描写についてである。読みながら、カンヌでパルム・ドールを受賞した映画『アデル、ブルーは熱い色』(2013年、フランス)を思い出した。あまりにも濃密すぎて、持て余してしまったのである。このような性描写をした理由として考えられることは、後に政略結婚をした妻の奈美や娘たちに対して、なぜ直家の愛情が薄かったかの説明にもなっているし、そして再婚のお福を最愛の妻として愛した説明にもなっているし、さらに、人生の最後になって、最初に愛した紗代の言葉を反芻する布石にもなっている。決して性描写が不要だと言っているわけではないが、作者の作為をあまりにも感じる描き方であり、私は懐疑的というより、否定的である。もう少し別な描きようがあったのではないだろうか。 以上のような留保を付けたが、それでも、この長い物語は淀みなく流れていき、そして最後のページに辿り着いたときの読了感は実に素晴らしい。そして、宇喜多直家が統一した岡山という土地を歩いてみたくなった。評価は「最優秀の作品」の☆5つとした。これは私の書いた30番目のレビューである。2021年10月12日読了。 | ||||
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宇喜多直家の梟雄ぶりがどう描かれるのかと思って読みましたが、人物像は、「信長の原理」の信長から、人事面での超合理主義を取り除いた感じで、作者の訴えたい価値観みたいのものは「信長の原理」と共通し、やや目新しさに欠ける印象。 そうすると、直家は極めて好人物、ある種のヒーローっぽくなっていて(家臣の信望も厚い)、ちょっとご都合主義的な主人公になってしまっている。 また、「信長の原理」のストーリー(歴史上の出来事)が、信長自身やその家臣という身内視線ではなく客観的な第三者の視点から描かれているので、「信長の原理」を読んでからの方が楽しめると思う。 セックスの描写にこれほどのページ数を割くのは謎(笑)。 一気読みしたほどなので無論面白ったのですが、信長のやりきれなさを描いた前作と比べると、新鮮味というか面白さにやや欠けてしまいます。 とはいえ、良作です。 | ||||
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初めて読んだワイルドソウルから、ずっと好きな作家。昔の作品もまた読み返したくなった。 | ||||
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この作者の歴史物は面白い。上巻を読み終え、下巻の発売はいつかとアマゾン見たらすでに出ていたので、速攻購入。上巻夜半過ぎまでで読了。下巻は朝から読み始め、夕食前までに一気読み。本は毎日の様に読んでいるが、久しぶりに読み応えのある物語であった。上下巻ともkindleで購入。 | ||||
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