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ローンガール・ハードボイルド
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ローンガール・ハードボイルドの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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「ローンガール・ハードボイルド "Sadie"」(コートニー・サマーズ ハヤカワ・ミステリ文庫)を読み終えました。 舞台は、米国、コロラド州・コールド・クリーク。(最近読んだ「ミラクル・クリーク」の舞台は、ヴァージニア州。"自閉スペクトラム症"に纏わる物語でした。)ラジオの人気パーソナリティ(ウェスト・マクレイ)宛、メイ・ベスという六十代の女性から「助けてほしい」との連絡が入ります。自分が祖母代わりに見守ってきた十九歳の<吃音>を持った少女・セイディが失踪してしまい、行方を捜してほしいと依頼されます。”少女たちの失踪などめずらしい話ではない”と思える米国。ウェスト・マクレイは気乗りしなかったものの上司からの強い要請もあり、調査を開始します。そして、セイディが失踪する前、彼女の妹でもある十三歳のマティが殺害された事件があったことがわかります。二つの事件には関連があるのか?セイディはどこにいるのか?ポッドキャスト側の語りと調査からの視点、一方では、今回の主人公でもある失踪した少女・セイディの視点から物語が語られ、常にポッドキャスト側の調査がその顛末を追うようにして(カットバックして)、物語を技巧的にサスペンスフルに描いていると言っていいと思います。 但し、ミステリ的には特段の仕掛けがあるわけではなく、いくつかの隠された謎もシンプルで、スリラーとして読むと少し期待外れに終わるかもしません。コロラドの田舎町。トレーラーハウス。ベティ・デイヴィス。ノーマン・ロックウェルの絵から抜け出したような少女たちの鏡の向こうに映る多くの暗く、汚された少女たち。ストーリーは最後まで絶望に支配されるかのように重苦しいまま終わりを迎えます。 大人になれないまま親になった男女は、いつからか薬物、アルコール、性へと依存し、歪んだ心のまま子供たちを支配しようとします。その親たちに育てられた子供たちは子供であるにもかかわらず親の役目を背負い、背負いきれずに心に致命的な傷を与えられることになりますね。それは、本当の悲劇だ。その要因はどこにあるのか?血脈、それとも既に人間の中にある獣性なのか?希望はあるのか?それらはどこから来て、どこへ向かうのか?もしこの物語に微かな<希望>があるのだとすれば、それは誰かがマティに送った一枚の「絵葉書」にあるのかもしれません。そして、このような物語は米国だけではなくこの国にも確かにあって、注目されることもなく児童福祉の現場に(いい表現が見つかりませんが)転がっているような気がします。彼女たちに、或いは彼らに「相手の軌道上に入りたい」と思えるほどに寄り添っていけますように。 最後に、いかにパブリシティのためとは言え、「ローンガール・ハードボイルド」というタイトルは相応しくない。まるでL.A.を舞台に活躍する少女探偵物語を想起させて罪深い邦題だと思います。(とは言え、"セイディ"のままではもっと売れないかもしれません(笑)) | ||||
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