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パニック・裸の王様
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【この小説が収録されている参考書籍】
パニック・裸の王様の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.55pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全32件 21~32 2/2ページ
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高校生のころ、 国語の教科書に掲載されていた『パニック』に魅了されて、 本書を手にした。 どの短編も素晴らしかったが、なかでも、 『流亡記』にはクラリと来た。 レンガを1つ1つ積み重ねて万里の長城を築く、 奴隷同然の男の話だ。 わたしの手にもレンガが見えるような気がした。 開口健って、目まいを覚えるほど魅力的な作家だと思う。 | ||||
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4編の短編集ですが、そのページ数以上の文量に圧倒されます。そのため「パニック」や「裸の王様」では時間軸に沿っての主人公の心理が非常に分かり易く、それに伴う緊張感もリアルに感じる事ができました。多くの読者が開高健に魅せられ、離れられなくなるのはこのような文章の麻薬によるものだと思います。ただし、私の場合、今回がはじめての開高健の小説体験だったため、最後の「流亡紀」ではその言葉の洪水に流されてしまった感じがします。 | ||||
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表題作の「パニック」「裸の王様」ともに抜群に面白い。実はもっと面白い作品が収録されているのだが、タイトルは教えられない。 収録作のどの作品が最高傑作なのかは、購入して自分で確かめてほしい。 | ||||
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高校時代に読んだ「巨人と玩具」「裸の王様」が急に読み返したくなった。日本の純文学の小説はほとんどといっていいほど好きになれなかったのですが、これはなぜか気に入っているのです。 前者は、増村保造によって映画化されたらしい。未見だが、是非、見たい。後者も映画向きの素材だと思う。 | ||||
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『パニック・裸の王様』です。 表題作について言うならば、『パニック』は、笹の実とネズミの大量発生によるパニックを描いたもの。SF的荒唐無稽さは現代のエンターテインメントほどの洗練は無いにせよ、あくまでも純文学と考えるとやはり壮大です。緊迫感が伝わってきて、読者までもがちょいとパニクりそうになりました。 『裸の王様』は自分が「裸の王様」であることに気付かずに権威を振りかざす大人の滑稽さと、子供の持つ素直さという武器の恐ろしさを描いたもの。その武器が「子供の絵」というのは、ある意味最強でしょうね。 これは、読者がある意味「神の視点」を持っているのがポイントでしょうか。「王様、アンタ、裸なんだよ。今気付けば子供に笑われないで済むんだよ」と思いつつ、ラストの展開へ転がり込むのを楽しむことができます。有名な童話の焼き直しだ、といえばその通りなのですが、そこはそれ、題材をしっかり自家薬籠中のものにしていれば、充分に小説として読めると言うことを証明しています。 表題作の二つについて共通に言えるのは、タイトルにひねりが無さすぎです。でも、そのタイトルの示していることを文中できっちりと描いています。大分昔の作品ではあるのですが、古びた感じがしないどころか、現代にも通じる問題を深く斬っており、今読んでも充分に面白いです。 | ||||
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開高健は、川端康成などと並んで、戦前の文豪と、現代の小説家の過渡期にある存在だと思う。 明治文豪の格調が残った最後の作家…。でも、読みづらくなくて、新しい…。 特に第三作目の昭和33年芥川賞受賞作(…新人だったのか!?)「裸の王様」は格が違う…。話は上手く単純化されている… 文体は格調を持ち、子どもの描写はすごすぎる…。比喩が与える格調、象徴が与える格調、生の身体描写を通じての臨場感…。 こんな作品を20代で書かれたらたまらない。 塾で時間講師をしていて、2度、「裸の王様」を使った入試問題に出会った。どの塾のテキストにも必ず 探せば入っている。半世紀も後の今でなお、不朽の名作なのだ。別にだからといって子どもに読ませなさい、 なんてくだらないことを言うつもりはないし、読むことなんて出来やしない。 けれども、この、50年、という時空間に畏怖を感じてしまう。圧倒されてしまう。夏目漱石や芥川龍之介、宮沢賢治、 はたまたテグジュペリの『人間の土地』に感じる思い―この作家は私などとは同じ世界にいない、そんな、 完膚なきまでに叩きのめされてしまう作品だった。この格調、描写、圧倒的である。 | ||||
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この本では裸の王様が面白い。現代の教育にも 相通ずる所があり、そこがとてもよかったです。 筆者の文章表現力はとてもすばらしく、全ての登場人物が持つ 闇の部分を上手く引き出せていました。個人的には最後のどんでん 返しが、とても痛快。 | ||||
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作者はこの作品をつくるときに最後のシーンがまず最初にうかんだのではないかなぁ。勝手な推測ですが。自然が人間にはわからない何らかの理由で放った強大な力が、一方向に向う凄まじさをただ描きたかったんじゃないなかなと。僕も読んでいて本当にそのシーンが頭に描かれて、なんとうか壮観やなぁと少し興奮してしまいました。鼠の異常発生に翻弄されて人間社会のさまざまな綻びが露呈されていく話の作りは秀逸。主人公のシニカルでありながら情熱的で、正義漢な一方で計算高さも匂わせる複雑なキャラも見事に描き切れていて不自然じゃない。どこか破滅願望を抱いているようなところがあり、組織やシステムに反発を感じながらもそれに対して正面からぶつかっていくとつぶされるだけなので、なんかうまい手を使って乗り切ってやろうみたいな、そんなズル賢さみたいなのがあって、実はそれは現代人に共通してある根底的な性質のような気もする。この作品は一気に読み進んじゃいました。エガッたよ~。 | ||||
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ずっと、気になる人でありながら、自分が釣りをしないせいか、実際に手にとって本を読むことがなかった。 偶然、カセットブックを聴く機会を得た。ベトナム戦争に従軍した時の話を元に書かれた短編だった。胸が揺さぶられた。 で、この二編を読んでみた。はまった。 ただ、釣りが好きな爺さんではなかった。 『パニック』は氏が25歳の時のものらしい。恐れ入った。 『裸の王様』が書かれたのは昭和33年。現在の教育につながる一連の「歪み」に頭を殴られた思い。 全著作を今年中に読むような気がしている。 | ||||
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商売一遍等で子供に無関心の父と、継母であるが故に教育熱心な母に「ひどい歪形(わいけい)をうけた」子供が、主人公との自然体験・絵画体験を通じて魂を救済されていく過程を描くとともに、大人社会の矛盾と虚栄を笑い飛ばしながら鋭く抉った痛快な小説。 わずか80ページ足らずの小説ながら、作者の仕掛けたいくつかの小話が精密機械のように正確に無駄なく機能して全体を構成しており、芥川賞受賞はさもありなんとうなづける。 いつもながら、作者の表現の的確さ・奥深さには舌を巻く。主人公が子供との自然体験をする場面、「太郎は、澄んだ眼にうっとりとした光をうかべた。それを見てぼくは巨大な魚が森に向かって彼の眼の内側をゆっくりとよこぎっていくのをありありと感じた」。また、魚やカニとりの話が一つのキーになっており、まだ20歳代だった作者が約十年後に釣りざおを担いで世界を駆け巡っていくことを預言しているようで、何とも興味深い。 | ||||
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「パニック」は、純文学とサイエンスフィクションの境目を文章の精巧さで超えた作品である。 身震いするほどに全篇が緊迫した筆致で綴られって行く。 内容は、ヒッチコックの「鳥」のようにある町を集団化したネズミが襲う話である。 自然の本能、ネズミの前になすすべもない人間。 今から見れば、今日を予見していたのだろうか。 「裸の王様」は、絵を教えている1人の男性の話である。 絵画のような精巧な心理描写が素晴らしい。 開高健の代表作であり、日本の戦後文学の傑作だと思う。 文学に興味を持つ人は必読であると思う。 | ||||
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どこか骨太でありながら、丁寧な描写が好きだ。 パニックは、鼠の大量発生により、大混乱に襲われる小さな田舎町の景色が描かれ、その迫力に圧倒される。が、最後の主人公の台詞に、心を打たれる。 裸の王様は、解説よりも、己で読んだ方がいい。なんとも奇妙な気分にとらわれるだろうが。 | ||||
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