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スワン
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スワンの評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.71pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全41件 41~41 3/3ページ
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| 「スワン」(呉 勝浩 角川書店)を読む。 埼玉県の巨大ショッピング・モール「スワン」で無差別テロ事件が勃発します。この国において「銃」を手に入れることは容易ではありませんので、3人のテロリストたちは「銃」を作り出します。そのテロに遭遇しサヴァイバルした高校生の<いずみ>がほぼ主役ですね。事件後、1通の招待状によってその事件に関連し、生き残った(いずみを含む)5人の関係者が集められます。理由は、ある死の真相を明らかにするため。ある時間帯の犯人側の動きに伴い、命を落とす側、逃げ惑い、生き残った側の動きがその5人の関係者から<羅生門的に>繰り返し語られていきます。 ショッピング・モールでの大規模テロというと「ソフト・ターゲット」(スティーブン・ハンター)を想起します。そして事件の後、関係者が集められて。。。というシチュエーションは、今年読んだ「名探偵の密室」(クリス・マクジョージ)にも似ていますが、何かとても不自然ですね。 まずは、作り出された「銃」+日本刀によって多くの犠牲者が残されたこの<スワン事件>を読者が信じられるかどうかが創作物としての関門だと思いますが、のっけから私は信じられませんでした。実話に基づく映画「静かなる叫び」(ドゥニ・ヴィルヌーヴ、傑作!)、Netflix映画「7月22日」(ポール・グリーングラス)を観てしまった後では、巻頭で語られるこの事件が、ただのパラパラとしたシューティング・ゲームのように見えてしまいます。リアリティの話をしているわけではありません。とてもぎこちない、稚拙な無差別テロ。幼稚な犯人たち。 フラッシュ・バックを多用し、ロジックを整然と組立て直していく作者の筆致はとても丁寧で好感が持てること、SNSが蔓延させるアノニマスとしての「悪意」、いじめというこの国に内在するネガティブな「気分」を浮き彫りにして秀逸な部分もありますが、バレリーナでもある主人公いずみをある有名なバレーの演目をオーバー・ラップすることで描き切ろうとする試みは、残念ながら伝わらなかったと言えると思います。 作者がこのテロ事件が社会性を帯びるようにといくら仕向けたとしても流された多くの犠牲者の「血」が見えてこない以上、この物語はロジックの整ったパズラーのようなファンタジーとして私の中では忘れ去られていくことになります。 | ||||
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