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敦煌
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【この小説が収録されている参考書籍】
敦煌の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.52pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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この小説には、支えるための細部描写や世界観の必然的な説明が欠けていると思う。全体的に浮いていて、井上靖が描く「西域」の世界が本当に存在したとは信じられなかった。たとえば、主人公の趙行徳が書道に秀でており、仏教の理解も深いという設定があるが、 書道の何がどう優れているのか、曹延惠の一言しかなく、仏教理解についても具体的な経典や思想に触れる描写がない。これでも小説として成立はするけれど、優れた作品とは言い難い。 また、たとえば邸宅の壮麗さや人物の品格を描写する箇所でも 「邸宅が立派だった」「人物に品があった」と言われても、それだけでは読者は情景を思い描けない。文字で世界を構築しているのだから、もっと具体的な描写が必要だと感じる。 一番の違和感はここにある: 舞台は漢代、西域という戦略的に重要な地域。主人公の趙行徳は回鶻(かいこつ)の王女と恋仲になる。二人は「一年後に再会する」と約束を交わすが、行徳はその後、彼女を友人に預け、自身は戦乱に巻き込まれるのを恐れて約束を果たさなかった。 回鶻の王女は彼を待ち続けたが、やがてあきらめ、西夏の李元昊の側妃となる。ある日、元昊とともに街を騎馬で練り歩く際に行徳が彼女に近づくと、彼女はそれを避けた。そして数日後、行徳への想いを示すため、城楼から身を投げ自殺してしまう。 ここで、彼女の死の一因は、約束を破った主人公にある。それにもかかわらず、行徳はこう語る: 「回鶻女子のことを思い出すと、行徳は自らの内に崇高な静けさを感じた。それは、旧知への愛でもなければ、無念の死者への哀れみでもなく、純粋に完璧な存在への賛嘆であった。『すべては因縁である。』行徳は仏教の言葉を使って言った。彼は、朱王礼にはこの因縁という言葉の意味は分からないだろうと考えたが、それ以外にもっと適切な説明は思いつかなかった。」 この「すべては因縁」という言葉は、男主人公が儒教から仏教へと精神的な重心を移していく象徴のつもりかもしれない。後に「蔵経洞」のエピソードが続くなら、その始まりとしての描写かもしれない。 でも、それでも私は思ってしまう。「すべては因縁」って、ちょっと綺麗ごとすぎない? そこには、あなた(主人公)が撒いた種の結果という“因果”があるのでは? それを「因縁」とまとめて美化してしまうのはズルい。せめて「これは罪だ」と一言言ってほしい。……まあ、「罪だ」と言われると沈騰の顔が浮かんできちゃうけど(笑)。 どうしても、彼女の死に対して少しも罪悪感を抱かず、「純粋で完璧な存在への賛嘆」と片付けてしまうのは、ちょっと気持ち悪い。高貴な出自の女性があなたに惚れて身を投げたのに、あなたはただ「美しいものだったなあ」と眺めているだけなんて。 それに、作者は日本人であることもあって、文化的な違和感を覚えた。まるで日本の物語を古代中国の名前や地名に置き換えただけのようで、「中国歴史小説」とは言えない気がする。中国人ならそんなふうに考えたり行動したりしない。まるで、メリメの『カルメン』を無理やり中国風に改変して、登場人物の名前を林黛玉にして『紅楼夢』の中に押し込んだような感じだ。林黛玉は、そんな言動を絶対にしない。 この本の人物設定から、物語の背景、世界に存在する一草一木に至るまで、ひとつとして「信じられる」ものがなかった。 | ||||
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題材が面白い。ドラマチックだが、ちょっと大味だなあと、ふと我に返ってしまうことがあった。 | ||||
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特記なし | ||||
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序章が衝撃的、裸の女を切り売りする。何事か?と思わせて話に引きずり込まれる。背景、登場人物の時代考証がよくなされているし、道中の景観も良く調べられてると思う。わたしは行ったことは無いが、そうだろうなと納得させられる。 | ||||
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昔懐かしい活版印刷で非常に暖かみが有りとても楽しく読むことができました。 本は古いので黄ばみが強いですが、それより文字に惹かれました。 | ||||
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