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(短編集)
死者のための音楽
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死者のための音楽の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.52pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全27件 21~27 2/2ページ
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本屋さんに平積みされていて、「なんだか不気味な表紙だなあ」と思っていたのですが、なんとなく呼ばれて いるような気がして手に取りました。初めて読む作家さん……のはずだったものの、実はあの中田永一さんと 同じ小説家さんが書かれている(文末の解説より)という事実が判明しました。これは何かの縁なのでは、と 思ったので、レビューを残したいと思います。 『長い旅の始まり』 ある父娘が物盗りに襲われ、命からがら逃げてきた娘は寺の住職に助けを求めます。娘の身ごもっていた子供は 生まれた時から村の外のことや念仏を知っていて……。語りが非常に上手く、すぐに引き込まれました。とても 吸引力のある文章で、どこか物悲しい物語の空気に浸ることのできる、良質な短編でした。 『井戸を下りる』 金貸しを営む家の息子として生まれた主人公は、ある時父の大事にしていた物を壊してしまい、家出をします。 逃げ込んだ井戸の底にいたのは一人の美しい女性でした。これもなかなか良かったです。ミステリ的な仕掛けの 鮮やかさと、曖昧ともとれる結末の雰囲気がなんとも心に残る作品でした。 『黄金工場』 近所に住むお姉さんは、廃液を流す産業廃棄物処理工場に勤めていました。ある日、主人公の少年はその工場の 廃液に不思議な力が宿っていることを知り……。とにかく、結末の切なさはやり切れません。日本の民話で見た ことのあるような、訓話めいたお話です。 『未完の像』 ある仏師見習のもとを訪れた来訪者は、頬の線が美しい女性でした。彼女の彫る像に命が宿ることに気が付いた 彼は彼女に仏像の彫り方を教えます。命を賭して彼女が掘り出そうとしたものは……。耳元で木を削る音が聞こ えるような、映像的な描写が素晴らしい作品でした。 『鬼物語』 殺戮と破壊の物語です。そして、祖父から母、そして姉弟へ連綿と繋がっていく愛の物語です。本作に登場する 鬼は不条理に命を搾取する存在として描かれています。思わず目を背けたくなるような残酷な場面と、それでも 視線を離せない運びの上手さが適度にバランスしています。人体の破壊をごく淡々と描写する著者に恐ろしさを 感じると共に、切ないドラマを演出する高い技術力に感服しました。 『鳥とファブロッキーズ現象について』 この本の中では一番ミステリー色の濃い作品です。羽を傷つけた鳥と暮らす父娘の物語。そして、父親を強盗に 殺された娘は、その鳥が自分の願いを叶えてくれることに気が付きます。誰とも関わりを持たずに暮らす彼女。 徐々に結末に向かっていくサスペンスの匙加減が絶妙で、気付けば最後まで読み終えていました。私はいちばん 好きです。 『死者のための音楽』 自殺を図った母と娘の交代話者形式(一人語り×2)で進んでいくお話です。これは最後の結末に涙しました。 耳を悪くした母が聞いていた「死者のための音楽」とはいったい……。重なる不幸をただ描写するだけでなく、 お互いを想う親子の絆を感じさせるエピソードが綴られています。書き手さんの物語に対する愛を感じました。 涙腺刺激力の強さに注意です。 この本を読み終えて感じたことは、この作家さんはとにかく言葉の選び方が上手い、ということです。決して 難しい表現を使っているわけではないのに、言葉の手触りや、その奥にある深い何かを感じされてくれる文体 だと思います。 これからも新作が出れば読んでいきたい作家さんです。 | ||||
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怪談専門誌『]』で初登場した作家ということで、 怪異談が好きな私としては迷わずに購入しました。 題名の通り、「音」が重要な要素になっています。 この本を読んでいると、全く違う状況なのに、 なぜか小さいころに聞いた音や情景が思い浮かんできます。 不思議です。でもこれが小説の醍醐味かもしれません。 この本は短編集ですが、短編の内容は正統派な怪異談から 日常での不思議な話まで変化に富んでいます。 このあたりはさすがに「せつなさの達人」といったところでしょうか。 ただし、最後の短編を読み終わると、全ての短編に一貫した芯が 通っていることがわかります。 読み終えたときに不思議な爽快感が味わえるいい作品だと思います。 個人的なおススメですが、この本を読むときは短編を順番通りに読むほうがいいと思います。 | ||||
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乙一のペンネーム作品ということで、(ちなみに「中田永一」も乙一のペンネーム)手に取ってみた。 乙一作品といえば、「ZOO」のようなグロい系、「失はれる物語」のような切ない系にわけることが出来る。この「死者のための音楽」は切ない系に入る。不思議な、妖しげな、それでいて、とても切ない、時には癒される短編集である。 凝った装丁も物語の美しさを高めている。 乙一ファンはもちろん、そうでない人にもぜひ一読して欲しい本である。 | ||||
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怪談雑誌『幽』で連載されていた山白朝子氏による初の単行本。 本当に新人?と思ってしまうような筆力に圧倒された。 全編、怪しく不思議な物語の中で、親と子の愛が描かれた切ない物語。 どの話も、素晴らしく、この作品集と出会えたことが、とても嬉しい。 怪談ということで敬遠している人がいたら、とってももったいないと思う。 小説のもつ力を感じました。 山白氏の次回作に期待大! | ||||
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一冊でこれだけ楽しませてくれた本は他に無いだろう。 本当に良い短編集に出会えたと言いたい。 一つ一つがほろ苦く、そして甘さや懐かしさを秘めたストーリーが展開されている。 映像化はどれも難しそうな話なので、これは文章を読みながら頭の中で想像力を駆使して、場面を見るしかないだろう。 一人静かな部屋で何度も読み直したくなる一冊として、お勧めしたい。 | ||||
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普通の怪談を求めているのなら買わないで下さい。 これは切なく、いとおしく、優しい物語です。 書店で表紙に惹かれて買った本でしたが、買って正解でした。 この本を怪談とか、ホラーというジャンルにしてしまうのは勿体無い。 人々のぬくもりを感じる温かい怪談でした。 どの物語も最後には胸に切ない余韻の残るものです。そういう本に久しぶりに出会えました。 | ||||
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「幽」に連載中の謎の新人作家、山白朝子の短篇集。 ついに発売となったわけだが、改めて読んでもどの作品も素晴しい。 怪談というジャンルの定石を踏まえながら、怖いばかりではなく全編に渡ってなんと切ない物語達だろうか。 久しぶりに読書をしながら泣いた。 巻末に書き下ろしで加えられた表題作「死者のための音楽」も、さすがの一言。言葉にできない感動がある。 ただ、読むべしとしか言えない。 | ||||
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