(短編集)
エムブリヲ奇譚
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旅本作家の和泉蝋庵と旅の荷物持ちの耳彦が迷い旅で出くわす不思議や恐ろしい話が綴られていて、どれもが不思議の魅力と、それに出会って現れるいろいろな人間性の面白さで読ませます。 が、レビュアーが一番好きなのは珍しく二人に加えて16歳少女の輪が加わった旅で始まる「ラピスラズリ幻想」です。蝋庵や耳彦はあくまでも話の枠組みでキャラは明確ながら深みはそれほどありません。一方、輪は不思議を体現する主人公で、必然的に彼女の人生も語られるので、奇譚に体温が加わるように感じるからです。 「〆」は可愛らしさと残酷さを併せて、人間のさがが描かれていて記憶に残ります。 | ||||
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旅本作者 和泉蝋庵シリーズ 第一弾。 時代背景は判然しないが、それがかえって怪談ものとしての雰囲気を醸し出している。 旅をすると必ず道に迷って、挙句、怪異な現象に遭遇する蝋庵と荷物持ちの耳彦の道中が描かれた9作品が収録されている。現象に積極的に関与するでもなく、原因を究明し解決するでもなく、あるがままに不思議を体験する蝋庵と耳彦。危機的状況から、からくも逃げ出すのみという、潔さである。主人公は道に迷うという特殊能力?しか持ち合わせていないのが良い。語り手の耳彦のだらしない感もいい味を出している。 人間の胎児を拾ったことからツキを手にした耳彦「エムブリヲ奇譚」、前世の記憶を持ちながら輪廻転生を繰り返す運命に陥った女「ラピスラズリ幻想」、温泉の湯船で出会ったのは死者となった懐かしいの人々「湯煙事変」、人間の形をした魚を食す漁村に迷い込んで「〆」、橋の幽霊(!)の上の死者の頼み事「あるはずのない橋」、耳彦を亡き夫・父と思い込んだ妻子にほだされて「顔無し峠」、食糧として穴ぐらに拉致された耳彦「地獄」、髪に殺された青年の話「櫛を拾ってはならぬ」、虐げられた女が出会った迷い子は「「さあ、行こう」と少年が言った」。 「エムブリヲ奇譚」、「ラピスラズリ幻想」、「地獄」がよろしいかと。 | ||||
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乙一の別ペンネーム、「山白朝子」の和泉蝋庵シリーズ。このシリーズは、純粋なる奇譚に徹しており、乙一の作品にある情緒・哀感は大幅に割愛されている。主人公達への感情移入を促す部分も少なく、その辺りが作者がわざわざ別名で作品を紡ぐ理由なのかもしれない。 怪談に起承転結がしっかり有り過ぎると、作り話感が強まり白けるというタイプの(私のような)読者には好みの作風であろう。理由・縁起はよく分らないが、不思議なことは世の中には沢山ある、という「新耳袋」系統の怪談とも言える。 連作短編集だが、その作品間の味わいの振れ幅が大きいのも大きな特徴の一つ。俗に言われる「白乙一」と「黒乙一」が万華鏡のように交差する作品集である。 | ||||
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四分の一くらい読んだところで嫌な予感がしたけと、最後まで読んで的中する結果となった。 だから何?と言いたくなるような、オチがない話が延々と。 70点まで仕事したけど、100点まで仕上げる仕事をせず、見えるところだけ綺麗にしてるような印象。 総じて満足度の低い読書体験だった。 唯一、「あるはずのない橋」の、死者の生への執着を生者のそれと並べたシーンは文句ない。 | ||||
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大好きな作家さんの作品で、評価も高いので読んでみましたが、私は面白さを理解することは出来なかったし、むしろトラウマになりました。 「エムブリヲ奇譚」と「ラピスラズリ幻想」は大変面白かったです。この作家さんは、こういう少し不思議で切ない後味の作品を書くのが上手いですね。 しかし、「湯煙事変」〜「顔無し峠」は、同じキャラが同じような怪奇現象に出会った、という感じで、たいして面白みもなく、心を動かされることはありませんでした。 そして、「地獄」を読み終わった後の絶望感は半端なかったです。こんな作品、読むんじゃなかったと本気で後悔しました。今までの話とはテイストがまるで違い、ただ凄惨で救いがなくてグロテスクな描写が続き、不快感だけが残ります。なんでこういう悲惨な話を書くのか、どんな需要があるのか、全くわかりません。それに、この話は、メインキャラクターである「和泉蠟庵」がほとんど登場しません。ただ耳彦が辛い目にあうだけです。どうしてこの本にこの作品が収録される必要があるのか、理解に苦しみます。 「「さあ行こう」と少年が言った」は、ハッピーエンドではあるものの、それに至る過程が痛ましくて、読むのが辛かったです。 この作家さんは以前にも、「地獄」や「「さあ行こう」と少年が言った」と似たような作品を書いていたことを思い出しました。切なくて胸が温かくなるような話も書けるのに、どうしてこんな無意味で絶望的な話を書くのでしょうか。 細かい話になりますが、和泉蠟庵が極度な迷いグセがある、という設定は、マンガチックで現実味がないです。「顔無し峠」で「目と鼻の先を移動するときでさえ、和泉蠟庵の場合、わけのわからないところへ迷いこむことがある」と耳彦が語っているのに、「湯煙事変」では竹林の中にある温泉までなんの問題もなく辿り着いていたり、「あるはずのない橋」では、耳彦を助けるために自力で崖まで行っています。設定を活かしきれておらず、少し矛盾があるのが残念でした。 怪奇小説やホラー小説を読みたい方は、この本を選ぶことだけは避けた方が良いように思います。 | ||||
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