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(短編集)
エムブリヲ奇譚
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エムブリヲ奇譚の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.38pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全21件 1~20 1/2ページ
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旅本作家の和泉蝋庵と旅の荷物持ちの耳彦が迷い旅で出くわす不思議や恐ろしい話が綴られていて、どれもが不思議の魅力と、それに出会って現れるいろいろな人間性の面白さで読ませます。 が、レビュアーが一番好きなのは珍しく二人に加えて16歳少女の輪が加わった旅で始まる「ラピスラズリ幻想」です。蝋庵や耳彦はあくまでも話の枠組みでキャラは明確ながら深みはそれほどありません。一方、輪は不思議を体現する主人公で、必然的に彼女の人生も語られるので、奇譚に体温が加わるように感じるからです。 「〆」は可愛らしさと残酷さを併せて、人間のさがが描かれていて記憶に残ります。 | ||||
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旅本作者 和泉蝋庵シリーズ 第一弾。 時代背景は判然しないが、それがかえって怪談ものとしての雰囲気を醸し出している。 旅をすると必ず道に迷って、挙句、怪異な現象に遭遇する蝋庵と荷物持ちの耳彦の道中が描かれた9作品が収録されている。現象に積極的に関与するでもなく、原因を究明し解決するでもなく、あるがままに不思議を体験する蝋庵と耳彦。危機的状況から、からくも逃げ出すのみという、潔さである。主人公は道に迷うという特殊能力?しか持ち合わせていないのが良い。語り手の耳彦のだらしない感もいい味を出している。 人間の胎児を拾ったことからツキを手にした耳彦「エムブリヲ奇譚」、前世の記憶を持ちながら輪廻転生を繰り返す運命に陥った女「ラピスラズリ幻想」、温泉の湯船で出会ったのは死者となった懐かしいの人々「湯煙事変」、人間の形をした魚を食す漁村に迷い込んで「〆」、橋の幽霊(!)の上の死者の頼み事「あるはずのない橋」、耳彦を亡き夫・父と思い込んだ妻子にほだされて「顔無し峠」、食糧として穴ぐらに拉致された耳彦「地獄」、髪に殺された青年の話「櫛を拾ってはならぬ」、虐げられた女が出会った迷い子は「「さあ、行こう」と少年が言った」。 「エムブリヲ奇譚」、「ラピスラズリ幻想」、「地獄」がよろしいかと。 | ||||
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乙一の別ペンネーム、「山白朝子」の和泉蝋庵シリーズ。このシリーズは、純粋なる奇譚に徹しており、乙一の作品にある情緒・哀感は大幅に割愛されている。主人公達への感情移入を促す部分も少なく、その辺りが作者がわざわざ別名で作品を紡ぐ理由なのかもしれない。 怪談に起承転結がしっかり有り過ぎると、作り話感が強まり白けるというタイプの(私のような)読者には好みの作風であろう。理由・縁起はよく分らないが、不思議なことは世の中には沢山ある、という「新耳袋」系統の怪談とも言える。 連作短編集だが、その作品間の味わいの振れ幅が大きいのも大きな特徴の一つ。俗に言われる「白乙一」と「黒乙一」が万華鏡のように交差する作品集である。 | ||||
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四分の一くらい読んだところで嫌な予感がしたけと、最後まで読んで的中する結果となった。 だから何?と言いたくなるような、オチがない話が延々と。 70点まで仕事したけど、100点まで仕上げる仕事をせず、見えるところだけ綺麗にしてるような印象。 総じて満足度の低い読書体験だった。 唯一、「あるはずのない橋」の、死者の生への執着を生者のそれと並べたシーンは文句ない。 | ||||
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大好きな作家さんの作品で、評価も高いので読んでみましたが、私は面白さを理解することは出来なかったし、むしろトラウマになりました。 「エムブリヲ奇譚」と「ラピスラズリ幻想」は大変面白かったです。この作家さんは、こういう少し不思議で切ない後味の作品を書くのが上手いですね。 しかし、「湯煙事変」〜「顔無し峠」は、同じキャラが同じような怪奇現象に出会った、という感じで、たいして面白みもなく、心を動かされることはありませんでした。 そして、「地獄」を読み終わった後の絶望感は半端なかったです。こんな作品、読むんじゃなかったと本気で後悔しました。今までの話とはテイストがまるで違い、ただ凄惨で救いがなくてグロテスクな描写が続き、不快感だけが残ります。なんでこういう悲惨な話を書くのか、どんな需要があるのか、全くわかりません。それに、この話は、メインキャラクターである「和泉蠟庵」がほとんど登場しません。ただ耳彦が辛い目にあうだけです。どうしてこの本にこの作品が収録される必要があるのか、理解に苦しみます。 「「さあ行こう」と少年が言った」は、ハッピーエンドではあるものの、それに至る過程が痛ましくて、読むのが辛かったです。 この作家さんは以前にも、「地獄」や「「さあ行こう」と少年が言った」と似たような作品を書いていたことを思い出しました。切なくて胸が温かくなるような話も書けるのに、どうしてこんな無意味で絶望的な話を書くのでしょうか。 細かい話になりますが、和泉蠟庵が極度な迷いグセがある、という設定は、マンガチックで現実味がないです。「顔無し峠」で「目と鼻の先を移動するときでさえ、和泉蠟庵の場合、わけのわからないところへ迷いこむことがある」と耳彦が語っているのに、「湯煙事変」では竹林の中にある温泉までなんの問題もなく辿り着いていたり、「あるはずのない橋」では、耳彦を助けるために自力で崖まで行っています。設定を活かしきれておらず、少し矛盾があるのが残念でした。 怪奇小説やホラー小説を読みたい方は、この本を選ぶことだけは避けた方が良いように思います。 | ||||
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連作短編として、設定がかなり良くできてます。時代設定は過去の話のようですが、明確ではなく、日本の話のようですが、それも明確ではないのも上手いです。 とにかく読めば解りますが、独特の世界観と空気はさすがです。 話は迷い癖のある旅本作家の和泉蝋庵と、荷物持ちの耳彦が、蝋庵の迷い癖のせいで、不思議な体験をするというもの。 どの話も短編とは思えないほど、しっかりと読後感が残ります。 続編もあるとのことで、そちらも読んでみたいです。 | ||||
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適当にあらすじや主要キャラクターの紹介などしてみたいと思います。 ※気をつけてはいますが、ネタバレ等あるかもしれませんので注意して下さい 時代設定は4,500年ぐらい前の日本風(江戸時代かその少し前ぐらい) 登場キャラクター 和泉蠟庵先生…旅本作家。そのくせよく道に迷う。道に迷うと離れた場所にワープする。謎めいた人物として描かれる。自分が無意識にワープする様な人間のくせに迷信はあまり信じていない様子。 耳彦…和泉蠟庵の荷物持ちで友人。物語の語り部で基本的に彼の視点で話が進む。和泉蠟庵の「迷い癖」に巻き込まれ様々な異常現象に遭遇する。作家先生のおかげで文字は読めるがあまりかしこくなく、酒に溺れて博打に飲まれ、金をなくし、異常に引き込まれることをわかりつつも和泉蠟庵の荷物持ちの仕事を度々引き受ける。人情はあるがいかんせんダメ男。 exお輪ちゃん…シリーズ次作「私のサイクロプス」でメインキャラクターになる10代の少女。彼女も和泉蠟庵の旅に同行し異常に巻き込まれるが、怪我の功名かそのおかげで様々な知識を身につける。 以下各章あらすじ。 ※※※!!!!ネタバレ注意!!!!※※※ 1エムブリヲ奇譚。表題作。耳彦が拾った生きてる胎児のお話。漫画にもなってましたね。2ラピスラズリ幻想。胡蝶の夢とか輪廻転生とかそういうのが題材のお話。3湯けむり事変。俺もお父さんに会いに一回ぐらいこの風呂に入ってみたい。4〆。人面魚は魚である。5あるはずのない橋。湯けむりの話に似ている。物にも魂が宿る。6顔無し峠。ドッペルゲンガー。7地獄。生きるためなら仕方のないこともある。4の〆に似ている。8櫛を拾ってはならぬ。先生の語っているオチはあくまで彼の「迷信を信じず理論で納得する」心情の説明で、明らかに異常現象。9「さあ、行こう」と少年が言った。現代にも当てはまりそうな話。逃げることは何も悪くない。生存本能ですよ。旅行したりして、色んな物を見聞きできて、経験できて、勉強できて。現代はホント豊かです。 まとめ。 面白い粒ぞろいの本です。最近古典に触れる機会があったので余計こういう時代設定の話が面白く感じるのかもしれません。昔の時代を想像すると、現代とは違う世界の話のように感じます。ホラーもファンタジーも好きですが、SFも好きです。アニメのlainの世界が現実になった今、さらに科学も発展してくれるでしょう。そうなれば、500年後、現代の話をこの小説のように書くお話も出てくるかもしれません。そんな話があれば見てみたいけど、それは500年後の人にしかできないんですよね。そう思うとなんだか寂しい、諸行無常ですね~。 | ||||
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人情味、ユーモア、ホラーのバランスが素晴らしい。弱者に対して、ほのかな、あたたかい情愛が積み重なっていく過程を描くのがうまいと思う。耳彦と和泉蠟庵の掛け合いも息がぴったりで、クスッと笑える。人の交わりの温もりを描く一方で、肉親を犠牲にしてでも生き伸びようとする人の本能も炙り出す。美しさと醜さが同居して、双方を引き立てている。「正しい文章」というのとは少し異なり、時々ねじれを感じるが、繊細な感情を汲み取って、はっとするような表現を生み出している。 この本の中で特に好きなのが、輪が主役の「ラピスラズリ幻想」が白眉で、あまりに切ない彼女の決心に号泣してしまった。しかし、繰り返すことはどちらかというと呪いに近いものも感じる。それが故の結末なのだろうと思う。何かを満たせば何かが満たされない。苦しい。 | ||||
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短編集なので評価が難しいが総合して星3。 収録作品中、最初の3編、「エムブリオ奇譚」、「ラピスラズリ幻想」、「湯けむり事変」はよくできていると思う。 伏線、味わい、情緒、オチ、全てしっかり作られている。 文章自体は全編通して読みやすい。 作者の技量によるものもあるが、何度も推敲して読みやすい文章に練り込まれていると想像する。 ただ、最初の三編がよくできていた故、逆に以降の作品は差を感じた。 怪異は起こるのだが、最後まで説明が無い、もしくは納得感が薄いなどオチが弱く感じた。 それ故に、発生した怪異はあるにしろ、それが物語でどういう意味を持っているのかがわかりづらい。 例えば、「〆」、「あるはずのない橋」は、簡単に言えば、読み終えた後で「確かに怪異はあって、耳彦はひどい思いをしたけど、で、それがどうしたの?」という感想を持ってしまう。 「櫛を拾ってはならぬ」はオチの説明に疑問点が多く、納得感が薄い。 また、「地獄」、「「さあ、行こう」と少年が言った」ではグロテスクな描写や悲惨な生活が描かれるが、それが必然だったか。 (自分はグロテスクな描写に特に抵抗は無いが、最後まで読んで、「こんな酷い状況は普通の人はまず親近感がわかないし、最後まで読んでもこの設定が必要だったのかどうか分からない」と思った) 批判的な書き方になってしまったが、最初三編が素晴らしかったので、期待から落差を感じたのかもしれない。 あるいは、文章が読みやすすぎるが故に、読んでいて引っかからず、キャラの心情が理解しづらいのかもしれない。 (スッと読み進めてしまうため) 作者のファンではあるが、贔屓なしで付けてこの評価。 | ||||
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基本的には怪異をベースとした面白おかしい・たまに切ない物語展開です。 しかし7篇目の「地獄」は正直読み飛ばしたほうがいいです。生理的嫌悪感しかわきませんでした。 一応ストーリー上、耳彦が荷物持ちをやめてしまう理由となるエピソードではあるのですが、あまりにもひどい。 他の話はおおむね好きだっただけに、読後感もなんと言ってよいやら。2回目読もうとはなかなか思えないです。 | ||||
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続きが気になってどんどん読めてしまう。とはいえ短編集なので時間が空いた時に好きなペースで読めるのはいい。物語ものだとどうしてもまとめて読みたくなるので、こういった作品は素直に嬉しい。 | ||||
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文庫で購入しました。 とても面白いです。表題作は特に斬れ味がいい。 石田スイ先生の綺麗な絵が表紙のみなのがとてもとても残念です。 9つに分かれてますが、3枚でもあれば完璧です。次の版では是非増補してほしい。 | ||||
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表紙で選んだのが率直な理由。 でも、購入して良かった。 短編集は初めてだったけど、それも良かった。 不思議な世界を楽しめたし、泣いたり、怖かったり、感動したり。 創造力を大いに掻き立ててくれました。 | ||||
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ハードカバーが欲しかったのですが、Kindle版を。耳彦じめついた語り口がいいです。エゴイスティックな恐怖もあります。 買う価値、ありますよ | ||||
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旅本を作る主人公達が、不思議な村や町に辿りついて、その旅先での色々な出来事の話が 中心かと思っていました。 でも旅先で拾ってきたモノがメインの話であったり、よくある怪談話やカニバリズムの話であったり、 「迷い癖」や「道中記」というキーワードが、ほとんど活かされてない話も結構あり、 旅情を喚起してくれるような小説ではありませんでした。 ただ乙一らしく、簡単に読めて退屈するような話はありませんでした。 時間つぶしにはお薦めです。 | ||||
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乙一先生のファンなので、別名義である山白朝子さんのこの本には前々から興味がありました。本日ようやく読めたので感想を書かせてもらいます。 まずどの話も幻想的で惹きつけられるようなものばかりでした。全9話の短編集で、一話辺り約30ページ程なのでとても読みやすかったです。 どれも良いお話ですが、特に気に入った物は「ラピスラズリ幻想」「湯煙事変」『「さあ、行こう」と少年が言った』です。個人的にこの三話が幻想的に思えました。 読み終えた後、読んでよかったと思えるような作品です。本の表紙、カバーも凝っており、物語の世界観が表現されています。 山白朝子さんの次回作も期待しています。 | ||||
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どの話も面白いけど、やっぱり地獄が忘れられません。鬼気迫る感じが随所にみられ、恐いけどおもしろかった。 やはり最後は切ないですね | ||||
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山白朝子は乙一さんの別名。こちらの名義で書かれた作品は初めて読みました 乙一や中田永一名義で書いている時と文体も書き分けている感じ。 ホラーでもミステリーでもなく、あくまで「奇譚 」というだけあって、 文体も雰囲気を壊さない味わいのあるものになっています。 この時代には珍しい長髪で、迷い癖のある和泉'庵と 博打が好きなダメ男・耳彦の2人が不思議な出来事に遭遇しながらも旅をするお話し。 '庵の職業は旅や温泉に関する本を書くことで、耳彦は荷物持ちとして旅に同行しているが、 '庵の迷い癖のおかげで必ず不思議な温泉地へ迷い込み、幽霊騒動やらおかしな事件に巻き込まれてしまう2人。 この絶妙なコンビの面白さも最高で、 へたすりゃキモグロになっちゃいそうなお話しもいい具合に軽い笑いに持って行ってるところがすごい。 中でもいちばん好きなのは「ラピスラズリ」ってお話し。 過去の記憶があるままに何度も生き死にを繰り返す女性のお話し。切なかったわ〜。 装丁も雰囲気があって素敵。 栞の紐が通常のよくある紐とは違い、糸のような細い物を3本使っています。 これは〜、味はあるけど正直使いにくかった(>_<) | ||||
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他の方が十分に述べてくださっていますが、内容、装丁、すべてぐっときます。 こういう本に出会うと、やっぱり読書の楽しみは電子媒体の簡便さよりも、 実際に手にとって本の質感や重みを感じながら読む瞬間だよなあと 改めて感じます。 | ||||
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この作品には9つの短篇がはいっている。 主要登場人物は和泉'庵、耳彦という二人の男。 時代背景の詳細は不明だが、江戸時代のような雰囲気だ。 この二人はよく不思議な出来事に遭遇する。 現代でいうところの怪奇現象のようのなものだ。 とはいっても、いかに怖い現象を見せて読者をおどろかすか、というたぐいの作品ではなかった。 不思議な現象の中でひとがどのような行動をとるのか。 といった心理的葛藤やドラマに焦点をあてているように感じた。 非常に濃厚で素晴らしい短編集だ。 ジャンル関係なく、いろんな方が楽しめる一冊だと思う。 | ||||
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