教わってもいない経を唱え、行ったこともない土地を語る幼い息子。逃げ込んだ井戸の底で出会った美しい女。

「どこかでお会いしましたっけ?」。そして気づく。

出ては迷う旅本作家和泉蝋庵。荷物もちの耳彦とおつきの少女・輪、三人が辿りつく先で出会うのは悲劇かそれとも……。

突然幽霊が見えるようになり日常を失った夫婦、首を失いながらも生き続ける奇妙な鶏、記憶を失くすことで未来予知をするカップル、書きたいものを失くしてしまった小説家、娘に対する愛情を失った母親、家族との思い出を失うことを恐れる男、元夫によって目の前で愛娘を亡くし

破綻しかけた家庭の中で、親を選択することを強いられる子どもたちの受難と驚くべき結末を描いた表題作ほか、「時間跳躍機構」を用いて時間軸移動をくり返す驚愕の物語「地球に磔(はりつけ)にされた男」など全11編、奇想と叙情、バラエティーにあふれた「ひとり」アンソロ

幸福な作家など存在しない――山白朝子による業界密告小説。 私の職業は小説家である。

哀しみの先には、何があるのだろう──。

「くちびるに歌を」以来7年ぶりの長編小説 11歳の下野蓮司はある日、病院で目覚めると大人の姿になっていた。

ある理由から存在感を消せるようになった高校生、鈴木伊織。 彼女を認識できるのは、友人の春日部さやかだけ。

目覚めると、私は闇の中にいた。交通事故により全身不随のうえ音も視覚も、五感の全てを奪われていたのだ。

親友の変死を目撃した山村瑞紀と、同じように弟が眼球を破裂させて亡くなった鈴木春男。

東京でピアニストとして活躍していた柏木ユリが音楽教師として長崎にある中五島中学校へ赴任してきた。

“サマーゴースト”という幽霊が現れるという。 夏、使われなくなった飛行場、花火をすると、彼女は姿を現すらしい。

幼馴染みの一ノ瀬ユウナが、宙に浮いている。

その一瞬の選択が、あなたの10年後を変える。「10年」。

突然の事故で記憶と左眼を失ってしまった女子高生の「私」。

九歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなく―。

とある町で行き倒れそうになっていた謎の青年・夜木。

少年リンツの住む国で富豪の家から金貨や宝石が盗まれる事件が多発。

世界は終末に向けて暴走してゆく。 人類に、希望はあるのか――。

殺人の記憶を持つ娘に惑わされる作家。消えた三つの他殺体を追う刑事。

何なんだこれは!天才・乙一のジャンル分け不能の傑作短編集が「1」、「2」に分かれて、ついに文庫化。

森野夜が拾った一冊の手帳。そこには女性がさらわれ、山奥で切り刻まれていく過程が克明に記されていた。

飼育係になりたいがために嘘をついてしまったマサオは、大好きだった羽田先生から嫌われてしまう。

多数の熱狂と興奮を喚んだ現代の「奇書」がついに文庫版で登場。

「わたしは腕に犬を飼っている―」ちょっとした気まぐれから、謎の中国人彫師に彫ってもらった犬の刺青。

視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。

その青年は、神か悪魔か? 無垢な祈りは世界を覆う呪いになる――。

玩具修理者は何でも直してくれる。独楽でも、凧でも、ラジコンカーでも…死んだ猫だって。

パッチワーク・ガール。そう。

成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。

現世から冥界へ下っていく道を、古事記では“黄泉比良坂”と呼ぶ―。なだらかな坂を行く私に、登山姿の青年が声をかけてきた。

恐怖と哀しみがまじりあう、恒川光太郎を味わう短編集。 異才が10年の間に書き紡いだ、危うい魅力に満ちた11の白昼夢。

何でも売っている不思議な市場「夜市」。幼いころ夜市に迷い込んだ祐司は、弟と引き換えに「野球選手の才能」を手に入れた。

メキシコで麻薬密売組織の抗争があり、組織を牛耳るカサソラ四兄弟のうち三人は殺された。

５２ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一頭だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。

12月のある日の午後。森野夜は雑木林の地面に横たわっていた。

アイヌ紋様デザイナー・赤城ミワ。 彼女といると、人は自分の「無意識」に気づいてしまう。

恩人の命令は、思いがけないものだった。 不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯して逮捕された玲斗。

大好きだった妻の澪が亡くなって1年、身体にさまざまな不具合を抱えた巧は、町の小さな司法書士事務所に勤めながら、6歳になる一人息子の佑司とひっそりと暮らしていた。

たとえば、苔むして古びた水路の先、住宅街にひしめく路地のつきあたり。

第10回 幽文学賞短篇部門 大賞受賞作品に書き下ろしを加えた連作短篇集 2年前に結婚し、夫と死別した柚子は昼間はコールセンターのシフト制で働くフリーターだ。

「こんな結末は耐えられない」絶対に読んではいけない、禁忌の本が誕生。 こんな結末は耐えられない――。

叔母から受け継いだ町屋に一人暮らす祥子。まったく使わない奥座敷の襖が、何度閉めても開いている(「奥庭より)」。

森の奥に囚われた盲目の王女・レイアは、父王の愛と美しいドレスや花、物語に囲まれて育てられた…はずだった。

十一月七日水曜日。女子大生の藍は秋のその一日を何度も繰り返している。

しんと静まった真夜中を旅する怪しい集団。

沖縄で退魔師の修行を積んだというプロデューサーの伊東氏は、男性カメラマンから相談を受けていた。

婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。 その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。

まほりとは?蛇の目紋に秘められた忌まわしき因習とは?前代未聞の野心作 大学院で社会学研究科を目指して研究を続けている大学四年生の勝山裕。

なぜか不幸を招き寄せてしまう体質と、家族とのぎくしゃくした関係に悩む高校1年生の光太郎。

「アレに魅入られると、死にますよ」――ここは楽園？それとも地獄？ “絶対に口にしてはいけない禁忌”を抱えた村に、転校生・高遠瑠樺がやってくる。

その「呪い」は26年前、ある「善意」から生まれた―。1998年、春。

ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。

江戸国からの阿片流出事件について、日本から査察が入った。団長は大御所議員の印西茂樹。

元寇の時代、すべてを操る美しき巫女がいた。傑作ダークファンタジー。