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(短編集)
エムブリヲ奇譚
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エムブリヲ奇譚の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.38pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全17件 1~17 1/1ページ
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旅本作家の和泉蝋庵と旅の荷物持ちの耳彦が迷い旅で出くわす不思議や恐ろしい話が綴られていて、どれもが不思議の魅力と、それに出会って現れるいろいろな人間性の面白さで読ませます。 が、レビュアーが一番好きなのは珍しく二人に加えて16歳少女の輪が加わった旅で始まる「ラピスラズリ幻想」です。蝋庵や耳彦はあくまでも話の枠組みでキャラは明確ながら深みはそれほどありません。一方、輪は不思議を体現する主人公で、必然的に彼女の人生も語られるので、奇譚に体温が加わるように感じるからです。 「〆」は可愛らしさと残酷さを併せて、人間のさがが描かれていて記憶に残ります。 | ||||
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旅本作者 和泉蝋庵シリーズ 第一弾。 時代背景は判然しないが、それがかえって怪談ものとしての雰囲気を醸し出している。 旅をすると必ず道に迷って、挙句、怪異な現象に遭遇する蝋庵と荷物持ちの耳彦の道中が描かれた9作品が収録されている。現象に積極的に関与するでもなく、原因を究明し解決するでもなく、あるがままに不思議を体験する蝋庵と耳彦。危機的状況から、からくも逃げ出すのみという、潔さである。主人公は道に迷うという特殊能力?しか持ち合わせていないのが良い。語り手の耳彦のだらしない感もいい味を出している。 人間の胎児を拾ったことからツキを手にした耳彦「エムブリヲ奇譚」、前世の記憶を持ちながら輪廻転生を繰り返す運命に陥った女「ラピスラズリ幻想」、温泉の湯船で出会ったのは死者となった懐かしいの人々「湯煙事変」、人間の形をした魚を食す漁村に迷い込んで「〆」、橋の幽霊(!)の上の死者の頼み事「あるはずのない橋」、耳彦を亡き夫・父と思い込んだ妻子にほだされて「顔無し峠」、食糧として穴ぐらに拉致された耳彦「地獄」、髪に殺された青年の話「櫛を拾ってはならぬ」、虐げられた女が出会った迷い子は「「さあ、行こう」と少年が言った」。 「エムブリヲ奇譚」、「ラピスラズリ幻想」、「地獄」がよろしいかと。 | ||||
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乙一の別ペンネーム、「山白朝子」の和泉蝋庵シリーズ。このシリーズは、純粋なる奇譚に徹しており、乙一の作品にある情緒・哀感は大幅に割愛されている。主人公達への感情移入を促す部分も少なく、その辺りが作者がわざわざ別名で作品を紡ぐ理由なのかもしれない。 怪談に起承転結がしっかり有り過ぎると、作り話感が強まり白けるというタイプの(私のような)読者には好みの作風であろう。理由・縁起はよく分らないが、不思議なことは世の中には沢山ある、という「新耳袋」系統の怪談とも言える。 連作短編集だが、その作品間の味わいの振れ幅が大きいのも大きな特徴の一つ。俗に言われる「白乙一」と「黒乙一」が万華鏡のように交差する作品集である。 | ||||
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連作短編として、設定がかなり良くできてます。時代設定は過去の話のようですが、明確ではなく、日本の話のようですが、それも明確ではないのも上手いです。 とにかく読めば解りますが、独特の世界観と空気はさすがです。 話は迷い癖のある旅本作家の和泉蝋庵と、荷物持ちの耳彦が、蝋庵の迷い癖のせいで、不思議な体験をするというもの。 どの話も短編とは思えないほど、しっかりと読後感が残ります。 続編もあるとのことで、そちらも読んでみたいです。 | ||||
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適当にあらすじや主要キャラクターの紹介などしてみたいと思います。 ※気をつけてはいますが、ネタバレ等あるかもしれませんので注意して下さい 時代設定は4,500年ぐらい前の日本風(江戸時代かその少し前ぐらい) 登場キャラクター 和泉蠟庵先生…旅本作家。そのくせよく道に迷う。道に迷うと離れた場所にワープする。謎めいた人物として描かれる。自分が無意識にワープする様な人間のくせに迷信はあまり信じていない様子。 耳彦…和泉蠟庵の荷物持ちで友人。物語の語り部で基本的に彼の視点で話が進む。和泉蠟庵の「迷い癖」に巻き込まれ様々な異常現象に遭遇する。作家先生のおかげで文字は読めるがあまりかしこくなく、酒に溺れて博打に飲まれ、金をなくし、異常に引き込まれることをわかりつつも和泉蠟庵の荷物持ちの仕事を度々引き受ける。人情はあるがいかんせんダメ男。 exお輪ちゃん…シリーズ次作「私のサイクロプス」でメインキャラクターになる10代の少女。彼女も和泉蠟庵の旅に同行し異常に巻き込まれるが、怪我の功名かそのおかげで様々な知識を身につける。 以下各章あらすじ。 ※※※!!!!ネタバレ注意!!!!※※※ 1エムブリヲ奇譚。表題作。耳彦が拾った生きてる胎児のお話。漫画にもなってましたね。2ラピスラズリ幻想。胡蝶の夢とか輪廻転生とかそういうのが題材のお話。3湯けむり事変。俺もお父さんに会いに一回ぐらいこの風呂に入ってみたい。4〆。人面魚は魚である。5あるはずのない橋。湯けむりの話に似ている。物にも魂が宿る。6顔無し峠。ドッペルゲンガー。7地獄。生きるためなら仕方のないこともある。4の〆に似ている。8櫛を拾ってはならぬ。先生の語っているオチはあくまで彼の「迷信を信じず理論で納得する」心情の説明で、明らかに異常現象。9「さあ、行こう」と少年が言った。現代にも当てはまりそうな話。逃げることは何も悪くない。生存本能ですよ。旅行したりして、色んな物を見聞きできて、経験できて、勉強できて。現代はホント豊かです。 まとめ。 面白い粒ぞろいの本です。最近古典に触れる機会があったので余計こういう時代設定の話が面白く感じるのかもしれません。昔の時代を想像すると、現代とは違う世界の話のように感じます。ホラーもファンタジーも好きですが、SFも好きです。アニメのlainの世界が現実になった今、さらに科学も発展してくれるでしょう。そうなれば、500年後、現代の話をこの小説のように書くお話も出てくるかもしれません。そんな話があれば見てみたいけど、それは500年後の人にしかできないんですよね。そう思うとなんだか寂しい、諸行無常ですね~。 | ||||
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人情味、ユーモア、ホラーのバランスが素晴らしい。弱者に対して、ほのかな、あたたかい情愛が積み重なっていく過程を描くのがうまいと思う。耳彦と和泉蠟庵の掛け合いも息がぴったりで、クスッと笑える。人の交わりの温もりを描く一方で、肉親を犠牲にしてでも生き伸びようとする人の本能も炙り出す。美しさと醜さが同居して、双方を引き立てている。「正しい文章」というのとは少し異なり、時々ねじれを感じるが、繊細な感情を汲み取って、はっとするような表現を生み出している。 この本の中で特に好きなのが、輪が主役の「ラピスラズリ幻想」が白眉で、あまりに切ない彼女の決心に号泣してしまった。しかし、繰り返すことはどちらかというと呪いに近いものも感じる。それが故の結末なのだろうと思う。何かを満たせば何かが満たされない。苦しい。 | ||||
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続きが気になってどんどん読めてしまう。とはいえ短編集なので時間が空いた時に好きなペースで読めるのはいい。物語ものだとどうしてもまとめて読みたくなるので、こういった作品は素直に嬉しい。 | ||||
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文庫で購入しました。 とても面白いです。表題作は特に斬れ味がいい。 石田スイ先生の綺麗な絵が表紙のみなのがとてもとても残念です。 9つに分かれてますが、3枚でもあれば完璧です。次の版では是非増補してほしい。 | ||||
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表紙で選んだのが率直な理由。 でも、購入して良かった。 短編集は初めてだったけど、それも良かった。 不思議な世界を楽しめたし、泣いたり、怖かったり、感動したり。 創造力を大いに掻き立ててくれました。 | ||||
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ハードカバーが欲しかったのですが、Kindle版を。耳彦じめついた語り口がいいです。エゴイスティックな恐怖もあります。 買う価値、ありますよ | ||||
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旅本を作る主人公達が、不思議な村や町に辿りついて、その旅先での色々な出来事の話が 中心かと思っていました。 でも旅先で拾ってきたモノがメインの話であったり、よくある怪談話やカニバリズムの話であったり、 「迷い癖」や「道中記」というキーワードが、ほとんど活かされてない話も結構あり、 旅情を喚起してくれるような小説ではありませんでした。 ただ乙一らしく、簡単に読めて退屈するような話はありませんでした。 時間つぶしにはお薦めです。 | ||||
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乙一先生のファンなので、別名義である山白朝子さんのこの本には前々から興味がありました。本日ようやく読めたので感想を書かせてもらいます。 まずどの話も幻想的で惹きつけられるようなものばかりでした。全9話の短編集で、一話辺り約30ページ程なのでとても読みやすかったです。 どれも良いお話ですが、特に気に入った物は「ラピスラズリ幻想」「湯煙事変」『「さあ、行こう」と少年が言った』です。個人的にこの三話が幻想的に思えました。 読み終えた後、読んでよかったと思えるような作品です。本の表紙、カバーも凝っており、物語の世界観が表現されています。 山白朝子さんの次回作も期待しています。 | ||||
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どの話も面白いけど、やっぱり地獄が忘れられません。鬼気迫る感じが随所にみられ、恐いけどおもしろかった。 やはり最後は切ないですね | ||||
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山白朝子は乙一さんの別名。こちらの名義で書かれた作品は初めて読みました 乙一や中田永一名義で書いている時と文体も書き分けている感じ。 ホラーでもミステリーでもなく、あくまで「奇譚 」というだけあって、 文体も雰囲気を壊さない味わいのあるものになっています。 この時代には珍しい長髪で、迷い癖のある和泉'庵と 博打が好きなダメ男・耳彦の2人が不思議な出来事に遭遇しながらも旅をするお話し。 '庵の職業は旅や温泉に関する本を書くことで、耳彦は荷物持ちとして旅に同行しているが、 '庵の迷い癖のおかげで必ず不思議な温泉地へ迷い込み、幽霊騒動やらおかしな事件に巻き込まれてしまう2人。 この絶妙なコンビの面白さも最高で、 へたすりゃキモグロになっちゃいそうなお話しもいい具合に軽い笑いに持って行ってるところがすごい。 中でもいちばん好きなのは「ラピスラズリ」ってお話し。 過去の記憶があるままに何度も生き死にを繰り返す女性のお話し。切なかったわ〜。 装丁も雰囲気があって素敵。 栞の紐が通常のよくある紐とは違い、糸のような細い物を3本使っています。 これは〜、味はあるけど正直使いにくかった(>_<) | ||||
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他の方が十分に述べてくださっていますが、内容、装丁、すべてぐっときます。 こういう本に出会うと、やっぱり読書の楽しみは電子媒体の簡便さよりも、 実際に手にとって本の質感や重みを感じながら読む瞬間だよなあと 改めて感じます。 | ||||
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この作品には9つの短篇がはいっている。 主要登場人物は和泉'庵、耳彦という二人の男。 時代背景の詳細は不明だが、江戸時代のような雰囲気だ。 この二人はよく不思議な出来事に遭遇する。 現代でいうところの怪奇現象のようのなものだ。 とはいっても、いかに怖い現象を見せて読者をおどろかすか、というたぐいの作品ではなかった。 不思議な現象の中でひとがどのような行動をとるのか。 といった心理的葛藤やドラマに焦点をあてているように感じた。 非常に濃厚で素晴らしい短編集だ。 ジャンル関係なく、いろんな方が楽しめる一冊だと思う。 | ||||
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帯に「奇妙な」とあるように、これは怪しい世界への入り口。 旅に出ては異界に迷う男二人の道中記。 ひとりは長髪の一見女と見紛う容姿だし、 もう一方は博打好きのおひとよし(ひどい目にばかりあう)。 怪あり。恐あり。悲あり。救いあり。 道中記にホラーと人情の味付けをし、愛と友情もちょいと足して 生きることのせつなさを醸し出した物語だ。 表題の他に ラピスラズリ幻想 湯煙事変 〆 あるはずのない橋 顔無し峠 地獄 櫛を拾ってはならぬ 「さあ、行こう」と少年が言った の全部で9話。 どの話も不思議と透明な明るさが通底している。 9話目を読んだ後は異界から舞い戻ったようにホッとする。 人は誰でもこんな少年を待っているのかもしれない。 ちなみに表紙絵は山本タカト。(この作者を知らず表紙に魅かれて読んだ) 装丁は名久井直子。(「情熱大陸」にとりあげられた) ブック栞が繊細な3本の色違いの綺麗な紐で、あたかも 8話目の髪の毛を想定させるかのごとくでgood! | ||||
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