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(短編集)
死者のための音楽
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死者のための音楽の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.52pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全27件 1~20 1/2ページ
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乙一が山白朝子の名前で紡ぎだす作品は昔の日本が舞台の和風だったり、現代でもどこか懐かしく、全体的に繊細な情緒が漂います。 本作はその作風が特に洗練されているように感じました。短編集なので一話ごとの区切りがよくてそう感じるのかもしれませんが。 作者はずっと理系の学校だったのに何故こんな美しい幻想を織りなすことができるのか不思議です。 きっと傷つきやすく、心の内側に向かう傾向が強いからでしょう 幻想でも甘くはなくて、切なくて繊細で痛みを伴いリアルに感じる世界です。 鬼物語は惨劇の描写が淡々と簡潔なのに映像がハッキリ浮かんできて恐ろしく、ひねった描写でも怖くない作家との才能の差を感じました。 個人的に1番好きな雰囲気で心に響いたのは、美しく悲しい献身的な黒い鳥の話です。鳥の容貌とラストに向けた切ない描写に心奪われました。 最後を飾る「死者のための音楽」は、サラサラと流れるような文章で交差する親子の物語に、頭が考えるより先に何故か無性に胸打たれ所々で泣けてきました。自分も子育ての経験があるから重なる部分があったのだと思いますが、それを男性作家が描いているとは。(乙一としてでもそうですが女性目線から描く作品が多いですね) 歴史上の有名な音楽家が夢などの不思議な体験から曲を得たエピソードがいくつかありますが、無名の一個人にその機会が与えられた様子を描くとこうなるのか、と。身近な日常と気高い遥かな世界のいりまじる不思議な感覚を体験しました。 | ||||
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買ってよかった、読んでよかった、と思える本でした。まだまだ続きが欲しくなります! 幽ブックスの三本の栞、不評もあるようですが、なんだか雰囲気があって私は好きです。 | ||||
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乙一作品から辿り着きました。天帝妖狐・石の目の様なちょっと古い言い伝え・物語的な感じの作品が多い感じでしょうか。静かな怖さや静かな切なさを感じました。乙一作品が好きな方は安心して(安定感)読めるかと思います。 | ||||
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申し訳ないと思いつつ、3作品しか読んでません。堪えられませんでした。文体はシンプルです。それ故にもう少し表現力を。。。と思います。ただそれもやはり個々によって好き・嫌い、読みやすい・読みにくいが分かれるのでしょう。私は無理でした。無理矢理に答えを与えられたような感覚がして面白さを感じられません。ジャンルが怪談?ホラー?なのであるならなおさらです。文体と表現力のせいで稚拙な文章に感じられました。全部読んでないくせにごめんなさい。 | ||||
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思ったより読みやすく、そこまで暗くなく、気軽に時間潰しできた。 | ||||
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どの短編も味わいがあってため息が出ました。 どれも素晴らしかったけど、表題作の『死者のための音楽』がいちばん好きです。 母と娘のお互いを思いやる気持ちや、裕福ではない母子家庭のつらさが読んでいて切なかったです。 特に、娘のために洋服を買おうとする母と、家計が苦しいのに母にお金を使わせたくないと考える娘のやりとりが健気でした。 そして、慎ましく暮らしながらも、ふたりでレコードを聞くのが大好きだったと言う娘の言葉を聞くと、こちらがもらい泣きしてしまうようでした。 | ||||
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背筋が凍るような怪談ではありません。 だけど、人間の持つずるさや愚かさをひしひし感じられるという点では、恐怖がないわけじゃありません。 怖いのは幽霊や怪奇現象ではなく、偏見や差別など、人の浅ましさの方ですから。 この短編集に登場する人物たちは、逆境にもめげずに前向き人生を歩んでゆく強さを持っています。 怪談でありながら、読後はやさしい気持ちになれるのは、彼らのこうした健気さに触れられるからだと思います。 背筋は冷たくならないものの、おすすめの怪談話です。 | ||||
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この作者のことを全く知りませんでした。偶然にも手に取ることができ、得をしました。ご自分の内世界を構築していて、その世界をごく自然のように物語る作者が好きなのです。とても満足です。 | ||||
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ある有名な作家の変名だそうです。とても綺麗な綺譚の世界が広がっています。 | ||||
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哀愁のある物語です。 読んだ後の後を引く余韻がたまりません。 ミステリー的な❝オチ❞を求める人には向かないかもしれません。 | ||||
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山白朝子さん『死者のための音楽』は、乙一さんが別名義で発表した短編集である。乙一さんの作品はグロテスクなホラーと、せつない系の物語におおよそ分かれるが、本作品はその双方をあわせもつ怪談話だ。 ■長い旅のはじまり 寺を訪ねてきた少女は、父を殺され記憶を亡くしていた。お宮と名づけられた少女は、やがて、無垢なまま身ごもり子を産んでしまう。お宮は、我が子が長じるにしたがって、父の心を宿していることを知るのだった ・・・ 実の父を自身の子として再生させてしまったお宮。親娘の想いが、美しく結実していく余韻がよい。 ■井戸を下りる 追っ手から逃れ、古い井戸に身を潜めた青年は、そこで幻のような女性 雪に出会う。雪はその井戸の底にある部屋で暮らしていたのだ。青年は、徐々に雪に心を寄せるようになるのだが ・・・ 異空間にさ迷い込んだ青年と、そこに住まう女性の因縁ばなし。結末は、想像を上手く外し、悠久の時を感じさせる締めくくり方になっている。 ■黄金工場 不思議な工場の廃液を見つけた ぼく。それは、生き物をも黄金に変えてしまうのだった。ぼくの話しを聞いたと母は、黄金作りに勤しむようになる。母が黄金にしてしまったのは ・・・ 初恋の甘酸っぱさを感じるメルヘンタッチの作品かと思いきや、救いのない陰惨な結末に怖気をふるってしまう。 ■未完の像 仏師のもとに弟子入りを申し入れた少女。少女の彫るものは、言いえぬ親しみを感じさせるものだった。やがて、少女が人殺しであることがわかり ・・・ どこかで聞いたことがあるような錯覚を覚える作品。ひねりが欲しかった。 ■鬼物語 山に隠れ住んでいた鬼が村へおりてきた。次々と村人たちを殺戮する鬼。逃げ惑う少女とその弟は、追い詰められ、そして ・・・ 冒頭の会話に込められた切なさが、読了して始めてわかる仕掛けになっている。 ■フロッキーズ現象について 私の家に住むついた巨大な鳥。小説家の父が何ものかに殺されてから、鳥は、わたしの心に思うものを持ってくるようになった。鳥に養われるようになった私。しかし、鳥が人を襲うのを見てしまい ・・・ (別名義)乙一さんらしいミステリタッチの作品。他の作品は時代背景がぼやけているけれど、本作品は現在に近いと想像できる。 ■死者のための音楽 母と娘の心のうちがそれぞれの立場からつづられていく。母が聞いた不思議な音楽とは ・・・ 母娘の愛情に満ちたやり取りの中に、寂しさと儚さが漂う作品である。死をテーマにしながらも、清々しさすら感じる。 | ||||
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もの悲しい話だったが、おもしろかった。新しい作品も読みだい。 | ||||
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乙一さんの別名義と知らず。。。 遅れて読みましたが、おもしろかったです。 | ||||
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こんな名義も使っていたとは……! 中田永一についても思ったけど、「乙一」ブランドを使わなくてもファンがついてしまうなんて、まるでスティーヴン・キングのよう。 特に気に入ったのは「鳥とファフロッキーズ現象について」と「鬼物語」。 読むほどに五感が研ぎ澄まされていく感じがして、小説を読む喜びを感じた。 | ||||
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人の不幸は蜜の味だと思う方。 復讐ものが好きな方。 死を美化している方。 人間は汚いものだとご理解している方。 そんな人たちには大いにお勧めできる一冊。 乙一先生の作品として読むと、『シックス・センス』を見た後に、 同監督の作品を見て、これじゃないという気持ちになったのと同じ気分が味わえることでしょう。 幸福な気持ちになるかと聞かれたら、わたしはそれほどマゾじゃないと答えます。 | ||||
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山白朝子さんというのは乙一さんの別名義で、 彼は山白朝子の他に中田永一という別名義も持っています。 誰に教えてもらったわけでもないのに、子供の頃から唱えることのできたお経。 深い井戸の底に響く水の音。 工場から廃液が勢いよく放出される音。 仏師を仏像を彫る音。 小枝をポキポキと折りながら、巨大な何かが近づいてくる音。 大きな黒い鳥の羽音。 耳の不自由な母が、死の間際に聞いた美しい音楽。 この短編集のキーワードは「音」なのではないかと思う。 静かな音、大きな音、それぞれに違いはあるけど、どの作品にも作品を象徴するような音が存在を無視できません。 読者を煙に巻くような複雑な文章ではなく、簡潔に淡々と綴られる文体。 そこに象徴的な音の存在も重なり、すんなりとこの不思議な世界へと誘われるような作品集でした。 とにかく言葉の選び方が美しいんですよね。 文章のうまさを感じさせるような書き方じゃなく、あくまでさらっとしている。 そこにテクニックを感じます。別名義で書き分けるというのも、うまいからこそできることなんでしょう。 | ||||
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死者のための音楽が聞こえるお母さんの話。 乙一みたいなミステリーサスペンスではないので、 驚くような展開や謎解きはなしですが、 誰かのめずらしい体験記を読んでいるような気分になります。 | ||||
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作風を変えるなら別名義ってのも意味があるでしょうけど、乙一さんらしい小説です。 乙一ファンなら、読んで損は無いと思いますよ。 | ||||
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乙一先生の別名義作品です。シンプルな文体でありながら、様々な情景が浮かんできました。 作品タイトルが示すように、色々な音に満ちた短編集です。 以下、各話の簡単なあらすじと感想になります。 【長い旅のはじまり】 <あらすじ> ある夜、お寺の住職の元に物盗りに襲われたという娘が現れる。父親はその際に 殺されたのだと言い、娘は村に住むことになる。娘は身籠っており、やがて男の 子を出産する。不思議なことに、生まれた子供は訪れたことのない地や、聞いた ことのないお経を知っていた―― <感想> 自然と引き込まれる不思議な語り文でした。短編でありながら、長い時の流れを 感じさせる物語でした。 【井戸を下りる】 <あらすじ> 井戸に落ちた主人公は、井戸の底で不思議な女性・雪と出逢う。井戸の底には部屋 があり、雪はそこで暮らしているのだと言う。雪に惹かれた主人公は、それ以後、 頻繁に井戸を下りて雪に逢いに行くが―― <感想> 井戸の底に部屋があるなんてとても奇妙ですが、それを当たり前のことのように 受け入れてしまう不思議な空気を醸していました。曖昧な結末が、かえって広がり を見せる物語で良かったです。 【黄金工場】 <あらすじ> 森の奥に、有害と思える廃液を排出している工場があった。だが、その廃液には生 物を黄金に変えてしまう不思議な力があり、その秘密を知った親子は―― <感想> この短編集の中で一番好きです。ファンタジーなのにリアルで、人間の業が浮き彫り にされたような読後感でした。それと同時に切ない気持にもなり、とても奥が深い物 語だと思いました。 【未完の像】 <あらすじ> 仏師見習である主人公の元に、仏師になりたいという少女が現れる。少女が試しに削り 出した鳥の彫刻が余りに美しく、主人公は手ずから少女に仏像の彫り方を教えることに。 果たして、少女は仏像を完成させられるのか―― <感想> 彫刻の知識がまるでない私ですが、木を削る音が耳に届き、削りだされた彫刻がありあり と浮かぶようでした。五感に訴えるような文体が本当に良かったです。 【鬼物語】 <あらすじ> 鬼に襲われたことで気がふれてしまった母。その子供である、泣き虫な少年とたくまし い少女。鬼が棲む山を舞台に繰り広げられる、愛の物語―― <感想> 母親の話、少年と少女の話……一つ一つのエピソードが時を移ろいながら語られています が、読み終えてみるとそれらが一本の時間軸の上にあることに気が付きます。惨い場面が 多いのですが、その奥に切ない人間ドラマを感じました。 【鳥とファブロッキーズ現象について】 <あらすじ> 父娘が負傷した不思議な鳥を拾う。父娘の元で順調に回復した鳥は、父娘の心を読み、願 いを叶えてくれた。ある時はテレビのリモコンを取ってくれたり、またある時は着替え用 のパンツを持ってきてくれたり……。そんなある日、父親が強盗に殺されてしまい―― <感想> この話も凄く好きです。不思議な鳥との生活は興味深く、事件発生後はどうなるのかと はらはらしました。結末は、思わず涙が出ました。全話に言えますが、シンプルな描写 なのに、奥が深いです。 【死者のための音楽】 <あらすじ> 手首を切って自殺した母親には、ある音楽が聞こえていて―― <感想> 母と娘、語り手が交互に変わる手法が良かったです。互いの深い愛情を感じると共に、 母親に聞こえていたという音色が、読み手にも聞こえてくるようでした。 | ||||
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どの短編も印象的です。ページを繰る手が止まらず、しばらくこの世界から離れられなくなります。 ホラーに分類されてはいますが、ただの怖い話ではありません。 影像が目に浮かぶようです。 優しい、柔らかい、きれいな・・・といった話ではありませんが、読後感は決して悪くありません。 他の方のレビューが素晴らしいのでぜひ参考にしてください。 | ||||
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