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(短編集)

スクールアタック・シンドローム



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【この小説が収録されている参考書籍】
スクールアタック・シンドローム (新潮文庫)

スクールアタック・シンドロームの評価: 4.25/5点 レビュー 16件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.25pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全14件 1~14 1/1ページ
No.14:
(5pt)

SAS

どの作品も自分好みでしたが、表題作が出色です
福井で起きたスクールシューティングによる暴力の伝染が、東京で引きこもっている失業中の主人公のところまでやってくる
暴力の連鎖による最悪の結末は一応主人公のところで止まる
それを止めるのが家族の紐帯であるのは氏の他の多くの作品と同様です
アルコール中毒者の支離滅裂な語りがサイケデリックな雰囲気出していて、読んでいると自分の中に黒い澱が溜まっていくような心地良さが味わえます

語りが評論的な視点を持っていて、テーマ性やサブテクストまですべて言ってしまう
小説と批評が一緒になっているような感じでしょうか

行間を批評的な注釈で埋めてしまうと退屈になりそうですが
作者の卓越した構築力とデッサン力、ポストモダン的な文体の力を借りることで浮遊感のある小説が成立しているのでしょう
スクールアタック・シンドローム (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:スクールアタック・シンドローム (新潮文庫)より
4101186332
No.13:
(4pt)

舞城も西尾維新も自己中だから、彼らはリアル

舞城王太郎さんの単行本『みんな元気。』から、短編小説「スクールアタック・シンドローム」と「我が家のトトロ」を収録し、書き下ろし作品「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」を加えた短編集です。

舞城さんはミステリー小説賞のメフィスト賞を受賞しデビューして、筒井康隆さんの強い推薦で三島由紀夫賞を受賞、その後も数度芥川賞の候補に選ばれたジャンル越境的な作家さんです。

この短編集もやはりいつも通り、過激な表現と早口のような軽い文体が支配する、舞城さん特有の独特な世界になっています。

冒頭の短編『スクールアタック・シンドローム』は、暴力の連鎖を巡る作品で、半年間無職の30歳の男(主人公)と、主人公が15歳の時に出来た息子、この親子二人の物語。書き下ろしの『ソマリア〜』も同じく暴力を巡る、男子高校生の主人公とその美少女の彼女、そして杣里亜(そまりあ)という名前のもう1人のクラスメイトの話。

どちらも過激な表現が沢山出てきます。もっとも前者は『福井の高校・600人殺し』、後者は杣里亜を狙う『食糞食人変態男』など現実ではありえないような反・リアリズム的な描写で、生々しい不気味さは控えめです。

内容に触れると、一見、暴力への批判や愛・友情などストレートなテーマが押し出されていますが、よく読むと一切『答え』のようなものは書かれていません。

登場人物も自分の利益・プライドのために行動し、友情も振る舞いの形式だと繰り返す。
まさに『何も語っていない』のが、この作品の個性的でおもしろいところだと私は思いました。

クラスメイトの少女の安否より自分の身の安全、更にはプライドを選ぶ主人公など、普通の小説ではあまり書かれない終始一貫して自己中心的な人物。

この『正解』もなく『自己中』なのが舞城王太郎の独特の世界です。
『ソマリア〜』の杣里亜は死ぬ度に生き返り、その都度複数の杣里亜に分裂しますが(『九十九十九』のように)、主人公の視点から複数の可能性を生きる杣里亜が書かれることはなく、彼女の永遠に繰り返す死を防ぐこともしなければ、最後は論拠も不明に唐突にソマリア共和国と杣里亜に希望を感じる・・・。

徹底的なこの個人の御都合主義と自己中心性、リアリティの消失が、かえって強烈な人間味と作品世界のリアリティを生み出す。
そこは西尾維新さんの作品や、芥川賞作家の阿部和重さんのドストエフスキーの〈地下室の手記〉パロディ『グランドフィナーレ』に近い世界だと感じました。

もっとも舞城作品は普通に読んで笑えるギャグやコントのようなセリフの連続も作品の持ち味なので、純文学というより他のメフィスト賞作家の方の小説のようにエンタメとして読んでも十分おもしろいです。

興味のある方は長編と合わせてぜひ!
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No.12:
(4pt)

舞城の王道3本

特に最後の『ソマリア〜』に見られるグロテスクなまでの暴力描写は相変わらず。気持ちの悪さで言えば『熊の場所』に収められている『ピコーン!』と同等。同時に『スクール〜』で暴力の伝染のことが書かれていて、これは同じく『熊の場所』に収められている『バッド男』にリンクする。ソマリアが暴力を受けて死んで生き返って死んで、を繰り返すところは『九十九十九』に繋がるし、同じく『我が家のトトロ』の「僕」に見られる迷いやら何やらとそれを受け入れる家族(妻と子供)の図も『九十九十九』の最後に似通ったものが描かれている。
舞城王太郎の、まさに王道とも言えるテーマが3つ。短編というだけあって、『阿修羅ガール』ほど読んでいてしんどいこともなく、舞城ワールドにどっぷり浸かりたい人には少し物足りないかもしれない。
一方で『阿修羅ガール』『九十九十九』の前の導入としてはこれくらい軽い方が読みやすいと思う。舞城ワールドの手引きに、『煙か土か食い物』のあとに、『好き好き大好き超愛してる』と前後して読んでみると、舞城ワールド初心者は一気に彼の世界が近づくのでは。
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No.11:
(4pt)

いやースゲー作家だ

著者の作品は初めて読んだ。
現代的な小説と言えば良いのか?ポストモダン系ってことか? 混沌とかってレベルじゃないだろこれ。褒めてんだけど。

人間の奥底に沈むどす黒い感情をすべて一人称で語り、ナンセンスを通り越していながら、度し難いほどに人間愛に満ちあふれている。

書下ろしの、ソマリアはどこのSF・エロ・グロ・いじめ・青春小説ですかって感じで、気持ち悪いのがキモチイイ。生臭い小説だ。
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No.10:
(4pt)

暴力

主人公には、今は別々に暮らす十五の時の子供がいた。奴がノートに或る計画を記していると聞いた主人公は、息子に会いに中学校を訪れる。恐るべき学校襲撃事件から始まった暴力の伝染。(『スクールアタック・シンドローム』)混沌が支配する世界に捧げられた祈り。(『ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート』)

「あのねー、自分の気持ちなんて難しいもの、比喩を使わずして語れるはずないでしょ?すっごい不確かなもんなんだし、それに、自分の気持ちを語るのにも自分の気持ちが働くんだから、言葉にしようとした瞬間に別物になっちゃうんだよ。だから比喩表現とかでちょっと騙したりすんのに」
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No.9:
(5pt)

イチオシな話が入ってる。

3編収録されている中ですごくよかったのが「ソマリア・サッチ・ア・スウィートハート」。
これを読むためにこの本を買う価値ありです。
(正直言って他の2編はあまり記憶に残らない)

なので「ソマリア・サッチ・ア・スウィートハート」についてだけ述べると、、、
舞城特有のエログロナンセンス大全開。
心臓の弱い人にはNG。
大丈夫な人には是非読んでもらいたい。

ただストーリーが破綻していて面白い、ではなく、
ソマリアという国が今まで受けてきたであろう理不尽な扱い。
でも希望を捨てずに明日に進んでいく姿勢。
それがソマリアに対する知識がなくても伝わる。

私は読んでから2カ月ぐらいたっているけど、
中身は強烈に心に残っている。
読んだ人にはきっとそんな話になるはず。
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No.8:
(5pt)

書き下ろし作品だけでも買い!!

書き下ろし作品の「ソマリア・サッチ・ア・スウィートハート」。
この厄介な物ばかり書く著者の作品の中では破綻具合は少ないものの
しっかり狂っています。そして、傑作です。
もう少し表に出てきてもいい人だと思うので、
何か大きな賞とか取って欲しいものですが。
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No.7:
(4pt)

シンドローム

ヤバい短編集。これから舞城の作品に入ったらそう言うってゆーか入ってなくてもそう思った。 表題作から箇所でストレートな気持ちをぶちまけ トトロで飛んでもいーしどんなふうに見ようがいいし ソマリアで考えさせて。 とても面白かった。
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No.6:
(5pt)

書き下ろしがすごいことになってる

最近この作者にはまってどっぷりな自分だけれど最初の2つの話は結構すんなり、でもやっぱりまいじょう。
びっくりしたのが「ソマリア、(ry」で、やっぱりこの人凄いなぁなんて思いながら余韻にまたどっぷり、の途中。
どれもこれも暗い黒い部分がはっきり書かれていてのいい話。こういうのもありなんだなぁと関心。
たぶんこの人はパワーにあふれ過ぎちゃって困っていて小説でみんなに分けてるのかと思っちゃうくらい読後に元気が出ます。グロは個人的にはきにならないかな。
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No.5:
(4pt)

普通に読める(でも面白い)

・「スクールアタック・シンドローム」
非常に普通に読めます。
著者の作品としては意外です。
タイトル通り、学校襲撃がモチーフですが、
あからさまな暴力描写も少なく(多少あるけど)
舞城作品ビギナーでも読みやすいと思います。
疾走感はないですが、スピードを落とした分、
景色がよく見えるようになった感じでしょうか。
これまでのファンの方も勿論楽しめるでしょう。
すとんと腑におちました。

・「我が家のトトロ」
こちらも読みやすいです。
順風満帆ではないけれど、幸せそうな家族、猫、殺人ノート。
こんな感じで生活を切り出すこともできるのか、と
改めて好きになりました。

上記2編に共通するテーマは「想像力」でしょうか。
ちょっと村上春樹に似た印象を持ちました。
どちらも日常からの逸脱をあまり感じず
結果、ハードルが下げられている印象です。

本書のために書き下ろされたという「ソマリア、
サッチ・ア・スイートハート」はエログロがややきつく、
その分星4つとしました。
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No.4:
(4pt)

やっぱり舞城は良い。

まず、はちゃめちゃ。ありえない。だが、そこがいい。
ただ随分前にこの人の本を読んだ時はそのグロさもありえない!と思って笑ったんだけど、現在の世の中で考えるとありえちゃうもんだから現実の事件を思い出しては引いたりしてしまいました。ちょっと残念…
でもどんなけぶっちゃけはっちゃけエログロだろうとこの人の作品の根底にあるテーマは愛だなぁって思います。

愛なら仕方ないよね!

やっぱり舞城は良い。
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No.3:
(4pt)

面白いけど…

直接感情を揺さぶるような表現や文体は気持ちが良いし 突拍子もない展開にもワクワクさせられる。 確かに面白い、面白いんだけど… 作者が伝えたいテーマがハッキリ書かれすぎてる気がする もう少し、読み手に考えさせてくれる余地があってもいいかなって思った。 しかしながら、決して多くないページ数にもかかわらず 僕の中では強い印象に残った本だったし一読する価値は十分にあると思います。
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No.2:
(5pt)

舞城ワールド全快

短編集です。
やっぱすごいよ、舞城王太郎。

特に文庫化に伴って書き下ろされた『ソマリア。サッチ・ア・スウィートハート』は圧巻。
ヤバイ。超傑作。

芥川賞あげちゃいなよ!!って感じ。

彼の小説は、一見、文法も、言葉も、登場人物も、ストーリーも無茶苦茶で、超暴力的で、グロテスクで、エロくて、とにかくなんかよくわかんないけど、その無茶苦茶さがすげー!って評価したいところだけど、そうじゃない。

そんな無茶苦茶さの中に、しっかりと主張があり、ストーリーも無茶苦茶なまま終わらず、しっかりまとめてくる。
そして、こんなにエログロなのに、なぜか最後は温かい気持ちになるんだ。

阿部和重、舞城王太郎を読まずして、現代日本文学は語れない。

皆さんも是非。
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No.1:
(5pt)

天才や〜

随所に溢れる王太郎節。
才能光る物語進行、怒濤の描写。
いつもの通りグイグイ読ませられる。
改めて舞城王太郎の天才っぷりに舌を巻きました。
くぅ〜っっ!!!!!
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4101186332

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