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(短編集)
日曜日たち
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日曜日たちの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.89pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全27件 21~27 2/2ページ
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2つ目の章を読んだところで気付く。 共通して登場人物と関わっては通り過ぎていく、幼い家出兄弟2人。 「もしかしてこの主人公は、知り合いのあいつじゃないか?」 とさえ思える、どこにでもありそうな気だるい日常の描写が 著者の持ち味と思われるが、この兄弟の登場は興味深くもあり、 書き込みが過ぎて邪魔だと思える部分もあった。 よって、せっかく章ごとに変わる主人公なのに、少し粘ついた 連鎖の感触を残していく。 しかしそれでも、さらっと読めて体の中に不定形な薄染み残して いく小説であることには間違いない。 自分が持っている鬱々とした風景を、晴らし切らずに手にとって 確認してみたい人には、お薦めである。 | ||||
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芥川受賞後第一作の本作品は、受賞作「パーク・ライフ」で獲得した地図的な空間の描出がさらに推し進められている。 家出をして東京に出てきた幼い兄弟が連作五編に登場するが、最後の短編で、他の短編では「7、8年前の」存在であった兄弟が現在に浮上する。同時に、幼かった(そして現在の)兄弟の行動範囲である東京が俯瞰的・地図的フラットさをもって立ち現れるのを眼にすればそれはほとんど感動的だ。 「パーク・ライフ」以前作品も(というか全作品)私は好きです。その中でも「パレード」は特におすすめ。「日曜日たち」と同じく連作長編なので読み比べるのも一興だと思います。 | ||||
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日曜日だから寝坊したり、日曜日だからお出かけしたり、全部日曜日だからって理由をつけて。でも、急に淋しくなる。そんな感じの5つの日曜日。 それぞれの日曜日の中に、多分同じ人物であろう小さな兄弟が出てくる。関わるのではなく、それぞれの日曜日の主人公の側を通り過ぎていくのだ。とてもぶっきらぼうに。 それぞれの日曜日は、点だ。点が五つ。繋がりそうで繋がらない、東京の五つの日曜日だ。ぶっきらぼうにぐりぐりと書いた点はけれど、いっそ清清しいくらいの点だった。 | ||||
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三人称での物語展開で、短編なので、一センテンスに詰め込まれている情報や暗喩をじっくり熟読玩味しないと楽しくない短編集。物語の構成は、現在のストーリーテリングと過去の出来事のクロスオーバーで読者の視線をスッスッとずらしていくというもの。しかし、いささか乱暴なずらし方も散見され、100%物語に没入できない部分もあります。男女間や人生に明確な答えなどないし、そのことに対する漠とした不安をモチーフにしているのであれば、甘くなく書ききってほしかったのですが、全編を通じて登場する「男の子の兄弟」との各主人公との交わり方がどうにも消化不良だしそもそも首をひねるような登場のしかたもあります。まあ、そのことを差し引いても、再読しても楽しめるくらい作りこまれた短編集ですね。文庫よりハードカバーで本棚に置いておきたくなる本。 | ||||
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地方から上京してきて、この大都会の片隅で、それぞれごく普通に生きている人たち。彼らは互いに何の関連もないけれど、その生活の一片に、失踪した母親を探して旅している二人の幼い兄弟をからめて、最後にひとつの大きな物語のように仕上げています。 それはまるで、この地球の上の自分のテリトリーの中で、ささやかに暮らす人々を見つめる「神の視線」のようにも思えます。 曖昧な気分描写を得意とするこの作者には珍しく、ラストに思いがけない感動が待っていました。 しみじみ泣けます。 | ||||
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一つひとつの物語が織り成す、持ちつ持たれつ生きる表現の数々 主人公が、池袋のレゲエバーで出会った圭子との別れを切り出そうとするその時、 手持ち無沙汰でほおり投げた彼女のバックからこぼれ落ちたのは、 いくつものスタンプが押された韓国のパスポート。。 後は読んでからのお楽しみ。。 | ||||
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九州から家出をしてきた兄弟と、東京でその兄弟に関わった人たちをめぐる連作集。 どのストーリーも大きな展開を見せるわけではないが、いつもの吉田修一らしく現代に生きる人々のライフスタイルや心情を巧みに描ききっている。恋人や親との関わり方等、どれもぎこちないようでいて何かを捜し求めようとする人たちの生き様が胸を打つ。特に、最後に収められた作品のラストシーンには深く感動した。 読後感が爽やかな佳作。 | ||||
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