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(短編集)

熱帯魚



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【この小説が収録されている参考書籍】
熱帯魚
熱帯魚 (文春文庫)

熱帯魚の評価: 4.07/5点 レビュー 27件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.07pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全7件 1~7 1/1ページ
No.7:
(3pt)

グリーンピースをぶつけて 楽しむオトコ。それから どろどろと。

吉田修一の描く男をみていると なぜか ささくれ立つ。
なんとも言えないほどの頼りなさ。
そして、自分中心なのだ。それに愛想を尽かすオンナ。
いつの間にか ドロドロの関係になって、すすめなくなり
結果として 別れるしかないみたいだ。
この三つの短編も、底流は 似ている。
「熱帯魚」
大工さん。大輔。ある程度任せられるけど、任せきれないところがある。
吉田修一の男主人公としては、めずらしく 高給取り。
大工さんに、ボーナスで プーケットに4人が行けるほど出るのだろうか?
大輔は、ちょっと、おせっかい。『オレについてこい』系。
大家は 時先生で いつもむつかしいことを考えている先生。
歳をとっているが、ちょっとゲイっぽい。
大家から借りたマンションに、真実とその子供 麦子と一緒に住む。
真実は 天真爛漫系。何となくイメージがわく。
大輔の親はつれ子同志の結婚で、義理の弟 光男がいるが、
これは、箸にも棒にもかからない感じ。吉田修一が好きなタイプ。
ちょっとのろまで、しかし 羅生門の演劇をしたいと思っている。
熱帯魚を 見つめて ぶらぶらしていて、熱帯魚の顔のちがいまで分かるようになった。
光男も 転がり込んで居候となる。
4人の疑似家族ができ上がる。
大輔のついてこい系で、まわりは、それをどちらかと言うと 迷惑がっているが、
気がついているようで、気がつかない。

その光男が プーケットの代金と真実の貯めた50万円を盗んで 逃げた。
大輔は 家をつくっている家主の娘14歳とねんごろとなり、ぼやを起こす。
これは、完全に 淫行条例違反 ですね。ロリコンですまされない。
大輔は、棟梁に ボコボコにされるだけで、まわりは 簡単に受け止めている。
普通は クビ でしょう。
なぜか、読んでいると 気分がささくれ立ってくる。
余っている エネルギーと その扱い方が分からない青年たち。
吉田雄一の 男たちは なぜか そのような雰囲気をまとっている。

「グリンピース」
僕と千里。鷹野と椿。
カップル同士のつきあいで、鷹野と椿は マジメ。
千里は 冗談の分かる女。
僕は 失業中。千里が すきだけど、どうも気に食わない。
千里がカレーを作っているときに グリーンピースをぶつけ始める。
それで、千里が 家出する。そこから 物語は 奇妙になる。
吉田修一の『どろどろ』が始まる。
『許す』ことは、分かるが、『許さない』とは どうすればいいのか?
本来ならば 別れるという方向に行くはずだが、別れないで許さないを考える。
真っ白な雪が 降って すべてを覆い隠す。

「突風」
新田は どうも いい会社に勤めているが、休暇で 海辺の民宿でアルバイト。
民宿の 奥さん すみれさん。ふわふわと浮かんでいる女。
それに、ちょっかいを出す 新田。
吉田修一的ワールド。不安定な状態での不安定な感情。
熱帯魚Amazon書評・レビュー:熱帯魚より
4163198407
No.6:
(3pt)

DV反対…

本書は『熱帯魚』『グリンピース』『突風』の三部で構成されている。

印象的だったのは、『グリンピース』で「僕」が千里にグリンピースを投げて喧嘩?(というか一方的なDV)をするシーンかな…。
「僕」みたいな人間は大嫌いで、千里は、どうして結局は「僕」から離れようとしないかも不思議だ(これも被DV女性の代表っぽい行動だ)。
後味も良くないし(途中味はもっと悪い)、読むのに少し疲れた。

他のレビューを見てもあまり評価が高くないのがすごく頷ける。

前回読んだ『横道世之介』が最高に良かった分、期待していたけれど、特に溜飲が下がる作品はなかったかな…次に読む吉田修一に期待したい。

著者:吉田修一(『最後の息子』で第84回文學界新人賞を受賞)
発行:2003.6.10~2004.8.10 第3刷
読了:2015/04(048/12)★3.1
熱帯魚Amazon書評・レビュー:熱帯魚より
4163198407
No.5:
(3pt)

ユーモアみたいなものがちょっと…

吉田修一は多彩なスタイルを持つ作家だ。「吉田修一なら全部好き」というファンもいると思うが、僕としては「あまり好きじゃない」作風がある。『最後の息子』『パーク・ライフ』あたりがそうで、本作『熱帯魚』もその系譜に属する。不思議なことに、文藝春秋から出ている本がその傾向にあるらしい。

いつもなら吉田修一の「何がすごいか」を力説するレビューになってしまうのだが、今回はあえて「何が好きじゃないのか」を考えてみた。で、結論から言うと、「ユーモアみたいなものが入ってくるのが好きじゃない」ということに気づいた。僕は、なるべくシリアスな路線のものが好きみたいだ。というか、吉田修一のユーモアのセンスを買っていないようなのだ。

本書には3つの短篇が収められていて、2つ目の『グリンピース』という作品が一番「好きじゃない」。ラスコーリニコフ型の屈託は分かるが、若さという恥部の描き方がいささか露悪的。そして、笑わそうとしている場面がどうにも笑えない。例えば顔にパックをした主人公の彼女が、「言いだいごとがあどぅんだっだら、はっぎり言いださいよ」などと言う。こんなのを延々と読まされて、つらかった。

表題作『熱帯魚』は、「親切」というものの不確かさを描いてそれなりに興味深いが、ガテン系の主人公があまり生きていない。十八番(?)のゲイ・テイストをやや抑え気味にしているのが、あだになっているように思う。3つ目の『突風』はカミュ風の不条理な味付けがあって、まあまあ面白い。僕はつねづね吉田修一を「不穏な空気を描かせるとうまい作家」と言っている。その意味では、本書の中で最も「嫌いじゃない」作品だった。
熱帯魚Amazon書評・レビュー:熱帯魚より
4163198407
No.4:
(3pt)

クールな青春小説。。。というコピーはいささかいいすぎか。。。?

快楽は常に裏切られ、縮小され、骨抜きにされ、真理とか、
死とか、進歩とか、闘争とか、歓喜等等、強力で高尚な価値として名をなさしめている
。勝利を収める敵は欲望である。欲望にはエピステーメー(プラトン・アリストテレスが、
単なる感覚的知覚や日常的意見であるドクサ(=憶見)に対立させて、確かな理性的認識をさして呼んだ語。)
にふさわしい威厳があるが、快楽にはないのだろう。

なるほどなあ〜〜と思った作中の文章であります。
熱帯魚Amazon書評・レビュー:熱帯魚より
4163198407
No.3:
(3pt)

ウンー、悩んでしまいます。

物語が面白くない。ただ人物の描き方は特出すべきものがあります。うますぎます。しかしいかんせん、物語がおもしろくない。難しい評価です。うまい作家なのだから、本短編集は失敗作であってほしい。
熱帯魚Amazon書評・レビュー:熱帯魚より
4163198407
No.2:
(3pt)

うーん、ま、どうかな。

この人の作品、ハッキリしないのが多いんだけど、その「リアルさ」っていうのが逃げ道だとしたら、どうかな?とはちょっと思う。そんなにそれっぽくはないんだけど。
最後の終わり方とか、ナルシズムだよなーって思うし。(主人公の感情に填まり込んだ人しか理解できない。)
文章だからかなーとも思うし。
映像にしたら全然面白そうなんだけどな。
でもまあ、好きっちゃ好きだった。
個人的には表題作より「グリンピース」の方が面白いと思ったけど。
熱帯魚Amazon書評・レビュー:熱帯魚より
4163198407
No.1:
(3pt)

基本的にどの主人公も「いやな奴」です

1人称で書かれていながら、その主人公が欠落したキャラクターであるというのは、作者に技量がいると思う。
「熱帯魚」の主人公は大工で、子持ち女性とその子ども、今は他人である義理の弟まで養い面倒をみている。設定からするといい奴なのだが、誰にも感謝されていない。それは彼が「してやっている」と傲慢だからなのだろう。
「グリンピース」の主人公もエレベーターで暴漢に襲われた後の泣いている女性を無視したり、嘘を平気でついたりする人間である。
「突風」の主人公はエリート証券マンで人間的に壊れかけた感じがする。
なんだか、どの終わり方も私には「?」であるが、いかにも「現在」な感じがする。(パークライフの主人公はいい感じだったんだけどなあ)。
熱帯魚Amazon書評・レビュー:熱帯魚より
4163198407

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