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影の棲む城
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影の棲む城の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.91pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1~11 1/1ページ
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何回も読み返して表紙がボロボロになってしまったので、もう一冊買い増し、表紙を交換しました。同じ初版なのに程度もよく、嬉しかった | ||||
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「チャリオンの影」、「影の棲む城」、「影の王国」からなる三部作の第二部で、ヒューゴー、ネビュラ、ローカスの3賞受賞につられて読んでみましたが、とても良くできたファンタジー活劇、と言った感じでした。 よくある中世騎士物語で、それほど斬新さは感じませんでしたが、中心となるファンタジーらしい仕掛けは良く練られています。次々にイベントが起こり、緊迫した場面ではスピード感のある描写になるなどテンポの良い展開で、上下巻を一気に読み終えることができました。特に下巻はもうちょっと、もうちょっとと読み進めるうちに朝になってしまうという高校生以来の経験をしてしまいました。 第一部の「チャリオンの影」はイマイチだったのですが、本作品はこれがベースになっているので、できれば読んでおいた方がより楽しめると思います。また、第三部は残念ながら本作品の続きではないそうです。 このように本作品には満足していますが、これが3賞受賞作という点については、近年のSFの凋落ぶりを感じずにはいられません。ヒューゴー、ネビュラのダブル・クラウン受賞作には、砂の惑星、闇の左手、ニューロマンサーなどの全く新たな世界観を提供してくれる斬新な作品がキラ星の如く並んでいますが、本作品はこれらと比べると小粒感が否めません。才能のある人達は必ずいるはずですが、何処へ行ってしまったのでしょうか? | ||||
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チャリオンを蓋っていた呪いは忠実な家臣カザリルによって取り払われ、愛娘イセーレは国主になるとともにイブラ国子を婿に迎えたが、イスタ国太后の心は晴れない。 今は亡きアイアスは立派な国主だったかも知れないが誠実な夫であったとは言えず、19歳でチャリオンに嫁いでから40歳を迎えるこの年まで、彼女の半生は呪いと義務に縛られたものだった。 故郷のヴァレンダで廷臣や女官達に囲まれてはいるものの、母親の最後を看取った今ではイスタを真に理解する者はなく、このまま宮廷の中で朽ちていくのかと思うと居たたまれなくなる。 意を決したイスタは、周囲の反対を押し切って巡礼の旅へ出ることにした。 その身分からすれば供は僅かであるものの、安全には充分配慮された旅程のはずだったが・・・ イスタにとって「巡礼」は名目上のことで、ヴァレンダを離れるために用意した尤もらしい口実なのだが、神々に対して恨み骨髄に達している彼女のことだから、巡る先々の聖地に唾を吐きかけるぐらいのことは計画していたのかも知れない。 イスタ一行はチャリオンと敵対するジョコナ公国の軍隊と遭遇してしまうのだが、間もなくボリフォルス郡侯アリーズ率いる一隊によって囚われの身から救われることに。 旅の途上、イスタの夢の中で彼女に助けを求める謎の男性(with 小鳥)が幾度か現れていることもあり、ここからロマンスに発展してイスタが精神的に救われれば物語の王道というところなのだが、ボリフォルズの砦に案内されたイスタは、そこでアリーズから彼の妻カティラーラ(18歳の美少女)を紹介される。 その存在と惚気癖によってイスタと読者に深刻なショックを与えるボリフォルス郡妃だが、彼女のアリーズに対する一途な思慕の情は予想外に大きな呪いをボリフォルスに、引いてはチャリオン国に及ぼそうとしていた。 一種の逃走であった巡礼の旅の目的は庶子神の介入によって一転し、今再び呪いへ立ち向かうことをイスタに求めるが、彼女は過去にもチャリオンから呪いを取り除くべく尽力し、意図せぬ事ながら殺人という苦い結果に終わっている。 砦の外で行われる血肉の戦いに並行して描かれる、魂を相手にしたイスタの戦いは、彼女の深い葛藤とともに大きな見所だろう。 軽々に神が顕現するファンタジーはチープに感じられるものだが、人に働きかけることでしか力を及ぼせない<五神教>の神々は、見方によってはリアルな存在と言える。 また、異世界ファンタジーには国家や世界全体を巻き込む壮大なものが多いが、そのような目で見ると本書で描かれるのはさして重要とも言えない一地方の城砦の防衛戦に過ぎず、国太后という高貴の身分とは言えどもイスタはチャリオンの歴史上では脇役であり、更に定石から外れた中年の主人公でもある。 舞台としての異世界や架空の歴史を入念に整備しつつも、それへ執着することなく、背景を持った主人公を活かすべく比較的小規模な時間/空間の中で物語を展開させた定石破りは、結果として前作以上にのめりこませる効果を生み出している。 | ||||
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ファンタジー小説の世界に浸ることができます。しかも作者はあのビジョルドですから、シーン毎の描写を堪能できます。私は「士官候補生」からビジョルドの本を読み始めましたが、スペースオペラの世界とはまた違った異世界のストーリーを楽しみました。いったん読み始めるとなかなか途中で止められないのがちょっと困ります。 | ||||
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「チャリオンの影」の続編です。 中世ヨーロッパを思わせる異世界を舞台にした、ロイス・マクマスター・ビジョルドのファンタジー作品、「五神教シリーズ」の第二弾になります。 「影の棲む城」は、前作「チャリオンの影」の時代から3年後のお話で、話の流れが続いています。 読む場合は必ず「チャリオンの影」を読んでからにしましょう。そうしないと、話の流れが分からないです。 「チャリオンの影」に出ていた登場人物の多くが共通して出てきます。 ただし、前作で中心的な役割を果たした人たちは、今回は一切ストーリーに絡みません。 ですから前作を読んで、登場人物に思い入れを持って「続編を読みたい」と今作を手に取ると、肩すかしを食らいます。 ストーリはつながっていますが、作品としては別だと思って読んだ方が良いでしょう。 「影の棲む城」は、ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞という SF大賞3つを受賞した傑作です。 ただ、前作の主要人物たちが活躍しないので、そこに物足りなさを感じる人が多いかもしれません。 前作の主人公はくたびれているとは言え、三十代半ばの男性でした。 男性読者にとってはすんなりと感情移入でき、とても楽しめる作品になっています。 今回は、四十代前半の中年女性(イスタ)が主人公です。 なんだかロマンスも期待できそうにない配役ですよね。 「影の棲む城」は間違いなく傑作ですが、男性読者の場合は前作「チャリオンの影」の方が面白いと感じるかもしれません。 逆に、女性読者だと今作の方が面白く感じるはずです。 上巻では最初「巡礼の旅」という感じで、割とのどかに話が進みますが、途中でイスタ不可思議な夢を見始めます。 また、神がちょっかいを出してきているんじゃあるまいか。イスタは嫌な予感を覚えます。 さらに政情不安なご時世ということで、敵性国の軍事作戦に巻き込まれてしまいます。 とろがそれは単なる軍事作戦ではなくて、前作の呪いとも関係する(不思議な夢とも関係する)、五神と人間世界との因縁に関わるトラブルだったのです。 イスタは否応もなく、トラブルの解消をせざるを得なくなる、という感じで下巻のレビューに続きます。 | ||||
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息抜きのための気楽な旅に出たつもりが、敵国の軍事作戦に巻き込まれ、そこから辛くも救い出されたと思ったら、またもや五神が絡んだトラブルに巻き込まれる事になってしまいました。 軍事作戦と五神が絡んだトラブルには関係がなさそうに見えましたが、実は直接的な因縁があったのです。 前作「チャリオンの影」では、昔に行われた奇跡(呪い)の儀式が予期せぬ結果を残して、この世に災厄(呪い)として残ってしまったことが発端になっていました。 今作は、前作にも少し登場した、中年皇族女性のイスタが主人公です。 イスタの娘イセーレは、前作で国主になっていますから、イスタは国太后になります。 前作では、「気がふれた中年女性」のように描かれていたイスタですから、とても主人公に向いているとは思えません。 予想外の起用のように感じられるかもしれませんが、それこそがこの作品の肝なのです。 前作で語られていることですが、イスタはイセーレを身ごもったときに神と会い、聖人になりました。 しかし、そこで与えられたミッションを果たすことができませんでした。 奇跡の失敗は不幸な事件を引き起こします。 若かったイスタは事態を理解することも収集することもできず、周りにも理解できる人間がいなかったため、事実は誰にも語られることがないまま封印されました。 その結果、周りからは「抱えきれない不幸のために気がふれてしまった女性」と見なされ、呪いの影響もあって不幸のどん底にありました。 神から果たしようもない過重なミッションを与えられ、そのせいで人生の半分を不幸に塗りつぶされてしまっていたわけです。 前作ではカザリルの活躍で呪いは取り除かれましたが、それまでに受けた不幸の数々は清算されたわけではありません。 (これをなんとかしよう、ということでこの作品が作られたのだと思います) イスタは「気のふれた人物」と見なされているので、保護監察の下での生活を余儀なくされています。 今作でイスタは国太后になっているわけですが、これは状況をむしろ悪化させました。 それはそうです。 頭のおかしな国太后が権力を使って好き勝手したら周りは大迷惑ですし、万一事故に巻き込まれたら、保護責任者が処罰されます。 ですから、ますますがんじがらめの保護監察下に置かれているわけです。 そこでイスタは一計を案じ、「巡礼の旅」と称した息抜きの旅行に出かけることに成功します。 そしてその旅の途中で「魔」が絡んだ陰謀に巻き込まれていき、その解決のために冒険をすることになるというのが、「影の棲む城」のストーリーです。 前作「チャリオンの影」では、「魔法」が出てきませんでした。 しかし今作では、「魔法」が重要な要素になっています。 簡単に言えば悪い魔法使いが出て来て、それをやっつけてハッピーエンドという形です。 とは言え、ビジョルドさんの作品ですから、そんな単純な話にはなりません。 イスタからすると、前回、神から過重な使命を与えられたことが不幸の始まりでした。 だからイスタは神にたいして信仰心など持っていません。 被害者なわけですからむしろ憎んですらいます。 神々の思惑通りに動くなど、まっぴらごめんなわけで、好き勝手に行動をします。 それがストーリー展開を面白くしているのです。 前作では、神々はほとんど姿を現しませんでした。 ところが今作では、何度も擬人化した姿をイスタの前に見せます。 前作のカザリルに対しては直接姿を見せなかったのに、イスタの前には度々姿を現し、言葉を交わすのです。 つまり神々にとってイスタは、それだけ特別な存在ということなのです。 イスタは苦労の末にミッションを完遂し、過去の不幸な事件は清算されます。 「影の棲む城」は、「チャリオンの影」の後にどうしても語られなければいけない話だったのです。 | ||||
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内容は他の方のレビューにお任せしますが、前作では30半ばの 男性が主人公でしたが、今作に至っては40歳の子供2人を生んだ女 性が主人公です。もっと簡単に若い男女を主人公にしても良いのに、 敢えてけれんみの無い作品に仕上げられています。 単なるファンタジー小説としても十分面白いです。しかし、単 なるファンタジー小説では再読に耐えないものも少なくありませ んが、この作品は再読に耐え得る奥深さを持っています。 主人公と同年代の者から言わせていただくと、まだ若い方が読んで も、この作品の良さ(主人公の心理の動き・意味等)を十分には判ら ないと思います。若い方は是非、自分が主人公の年齢近くになったら 再読することをお勧めします。 きっと新しい発見があると思います。 軽くすいすい読めるような本ではありませんが、読む価値のある本です。 | ||||
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物語は、イスタ・ディ・チャリオン(チャリオン国太后)が、 半ば幽閉状態のヴァレンダ城暮らしを、疎ましく思って、 抜け出して、巡礼の旅に出ようとするところから始まります。 なぜ幽閉状態なのかは、シリーズ前作に詳しいようですが、 前作を読んでいない僕にも、この本を読み進めばわかります。 その意味では、しっかり独立した作品と言えるでしょうし、 それとなく前作を匂わせる進み具合も、興味深いのです。 そして始まるイスタの冒険は、中世を思わせる架空の舞台で、 城壁都市の様子や、その間を繋ぐ森や街道の様子など、 過不足なく描きながら、全体としてのバランスも実にいい。 しかもそれを読んでいると、次は必ず劇的な何かが起きる。 決して唐突でなく、しっかりと伏線を持った出来事が始まって、 その新しい出来事は、必ず古い出来事と繋がっているのを、 読者はイスタの思考と共に、納得して読み進めるのです。 波瀾万丈でありながら、かならずしも荒唐無稽ではない。 すべての出来事が、神の祝福と魔の虚無の間にあって、 その世界に気付きさえすれば、すべては繋がっているのに、 神の啓示を受けているイスタにさえ、それはなかなか見えない。 ましてほとんどの者は、何がどうなっているのかわからない。 それでも少数の人は、イスタと心を通わせることができて、 その信頼関係は、少しずつ広がっていくのがわかるのです。 | ||||
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物語の展開について、ここには何も書くつもりはありません。 この種の物語は、その展開の面白さこそ命なのですから、 興味を持った人は、無垢の状態で読んでいただければいい。 そして読み進むうちに、僕と同じように夢中になって、 神々と人間の関係を考えながら、作品世界を味わって欲しい。 この作品には、それだけの魅力があることだけを伝えましょう。 この730ページが、シリーズ一齣に過ぎないことに驚きます。 さて、それでも一つだけ、書き添えたいことがあります。 この物語全体、おそらく作者自身が伝いたいことの本質が、 様々に登場してきますが、中でも魂を救われたヒクサルに対し、 イスタが、神からの伝言のように伝える言葉が魅力的です。 「神々が真に望まれるのは疵のない魂ではなく、偉大な魂なのよ。 花が大地に育つように、偉大さも真の闇において育まれるのでは ないかしら。あなたはここにいる誰よりも神の手に近いわ」 ただ清浄を良しとするのではなく、あらゆる罪を背負ったままで、 ヒクサルはイスタの最も身近に使える者の一人に任命されます。 これは、シリーズ次作品への伏線にもなるはずですが、 同時にまたこの五神教シリーズが、単なるファンタジーではなく、 現代の宗教哲学書であるかもしれないと、思わずにはいられません。 過去50年間の世界が、科学を先取りしたSFに導かれたとしたら、 今後は霊魂の世界を描いたファンタジーが、導くのかもしれませんよ! | ||||
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購入前に色々な書評を見た感じでは前作『チャリオンの影』に劣るとのこと。 で、実際に購入し読んでみると…… さすが!!! 普通はシリーズとはいえスピンオフ(…と言えるかどうか分かりませんが)物は 前作が面白ければ面白いほど、前作の登場人物に出てくるキャラクターに思い入れが強いほど 作品の評価が低く、ストーリーも面白みが無くなる事が多い中、この作品は予想以上にぐいぐい読ませる傑作でした。 チャリオンの影で活躍した主要人物はほぼ名前のみの登場ですが、全く気になりません。 逆に、前作でそれほど詳しく描写されずにいたグーラ兄弟やルテス卿の事が仔細に語られ、 肝心のヒロイン、イスタも40歳中年(…と本文でしつこく記載/笑)とは思えないほど 生き生きと描かれており、ストーリーに引き込まれずにはいられませんでした。 第三部では五神教の神々が干渉する世界とはいえチャリオンから全く離れてしまうそうですが、更なる期待を持つことが出来そうです。 それにしてもビジョルドの才能もさることながら、それを生かす翻訳をしていらっしゃる 鍛冶靖子さんも素晴らしい!! | ||||
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待ちに待ったビジョルドのファンタジー第二段がついに登場。 前作の主人公カザリルの境遇もすごかったが、今回のヒロインのイスタ(40歳!)のそれも 勝るとも劣らない。若くして政略結婚で国王の後妻となるが夫と死別し、先妻の子が即位してからは 周りから狂人とみなされ、自分の子供が王位を継いで実家で老母を看取った後 人生を振り返り、贖罪のための巡礼を思いつく。その旅の途中で亡夫の寵臣の子と出会うが・・・。 ビジョルド作品の主人公たちは決して運命には恵まれていない。前作のカザリルが病み上がりで 無職の中年男として登場したように。しかし主人公たちは決してあきらめたりはしない。 自分の才能や能力を生かして運命に抗い、自ら幸福をつかみとっていく。だからヒロインの境遇に びびらず、是非この作品を手にとっていただきたい。読み始めたら止まらない面白さを保障します。 あと本作だけでも読めないことはないが、前作からの伏線などがあるので、そちらからどうぞ。 | ||||
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