■スポンサードリンク
明治十手架
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
明治十手架の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.71pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
明治を生きたある教誨師の回想話。上巻は割と退屈だったが、下巻はやはり盛り上がり楽しめた。人間にはそれぞれ適切な死に時がある?と言わんばかりに登場人物達を惜しげもなく散らして行く。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
日本初のキリスト教教誨師となり、免囚保護活動を天職とした原胤昭が、幕末維新から明治15年前後までを回想し、人生を決定した事件の数々を語る。 少年与力だった原に十手術、逮捕術を教えた師の与力。その師が維新後、キリスト教徒となって囚人保護の仕事を始め、再会した原がその仕事を手伝う。その師が石川島で凶悪な看守・巡査5人組に殺され、原は遺児の姉妹とともに師の仕事を引き継ぐ・・・。 上巻の大半は、原も匙を投げるほどの矯正不能な凶悪犯罪者5人と妖人ともいうべき看守・巡査5人、そして原らの三つ巴の対立を軸に、政治的な事件やスキャンダルを絡めて展開する。 ハイライトは末尾のシーン。手を結んだ悪漢10人組の計略に落ちた姉が自決に追い込まれるが、そのとき奇跡が起きる。動揺した5人の凶悪な犯罪者の心に変化が起こる描写には異様な迫力がある。 下巻では、原と妹を亡き者にしようとする看守・巡査5人組と、改心してこれを防ごうとする犯罪者5人組の死闘が展開し、ここでも奇跡が起こる。すべてが終わったあと原は真相を知り、終生を免囚保護に捧げる決意を固め、洗礼を受けるところで回想は終わる。 天下国家の行方を左右するような冒険談ではないが、そんなことは忘れさせるほど面白い伝奇時代小説だ。特に悪人の強烈さ、悪と悪の死闘の描写は凄まじく、十分に楽しめる。 本作は風太郎作品のジャンル分けとしては当然「明治もの」になるが、キリストの奇跡が重要なモチーフであり、その意味で「切支丹もの」に分類することもできる。さらに言えば、「忍法帖」の変形と見ることさえできる。 凶悪犯罪者5人組が改心し、妖人官憲5人組に死闘を挑み、一対一の相討ちで双方が死んでいく。これはまさに忍法帖の定番パターンだ。 この「明治十手架」、その後日談ともいえる「地の果ての獄」ではキリスト教が忍法帖における忍法の役割を与えられている。作品中で何度も現れる奇跡は忍法そのものだ。 著者がどのような経緯で原胤昭という与力出身のキリスト教教誨師の存在を知ったのかはわからないが、知ったその瞬間に、二鉤(ふたかぎ)十手=十字架、そこにフォーカスした奇跡という着想を得たのだろうか? どうしたらそんなことが可能か、それが不思議だ。奇想の一言でかたづけられがちだが、風太郎の発想は人間離れしているというほかない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
下巻には、本編とは別に中篇短篇各一作品を収めている。 「明治かげろう俥」。 明治24年5月11日に起こった大津事件。このとき、ロシア皇太子に切りつけた巡査、津田三蔵に飛びつき倒して危機を防いだのは、一行が使った人力車の車夫だった。三人の車夫は明治政府とロシア政府から莫大な報奨金、年金をもらう身分になったが、その幸運が彼らの人生を狂わせていった・・・。 大津事件を取り上げるのに車夫に注目するという視点がいかにも風太郎らしい。人生の悲哀と空しさ、どうしょうもなさをこれでもかと描く内容は実におどろおどろしい展開で、大部分がフィクションだとは思うが、そう思わせておいて実は史実だったというのが風太郎にはよくあるので、油断がならない。この中篇でも救世軍というキリスト教関連のモチーフが現れる。 「黄色い下宿人」。 いろいろなアンソロジーに入っている有名な作品。風太郎がコナン・ドイルになり切ってホームズものを書くという趣向で、いかにも19世紀的な雰囲気をたたえた古典ミステリーに仕立てている。 眼目は、そこに留学時代の夏目漱石を登場させ、ホームズの顔色なからしめる謎解きを行わせるところだが、今でこそ当たり前のこの着想も、1953年12月の発表当時は(もう60年以上も前になる)、破天荒な奇想として読者を驚倒させたことだろう。 伝奇時代小説の典型的な成功例として記憶されるべき作品だ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
上巻は上巻で面白いが、「話の先が見えない」感じ。ただ、この下巻から一気におもしろくなる!そのため上巻をしっかり読んでおいて良かったと思える。 ネタばれになるのであまり書かないが、囚人たちが「笑うふりして号泣する」シーンは、不覚にも感情移入してしまい、とても感じ入った。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ずっと探していた本だったので見つけてうれしかったです。 なかなかおもしろい本です。 さすが風太郎さんです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
風太郎さんの小説が大好きです。明治がこれほど公明正大に小説になるとは驚きでした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
風太郎さんの小説が大好きです。明治がこれほど公明正大に小説になるとは驚きでした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
著者の作品は大体読んでいますが、たまたま本屋さんに無かったものでお願いしました。おもしろいです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
著者の作品は大体読んでいますが、たまたま本屋さんに無かったものでお願いしました。おもしろいです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
原胤昭という実在の人物を借り、社会の底に虐げられた人々との関わりを、奇想天外なアイデアとユーモアで描く。アラダル、ぬらりひょんの安、サルマタの直熊、仏師の秀、邯鄲お町、という役者たちがいい。お膳立てが整った後半は、一気に手に汗握る「けだもの五番勝負」に。悪漢退治の痛快さもさることながら、虐げられ、ねじまげられ、それでもなお人間であり続ける彼らの姿が切ない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
下巻には、短編『明治かげろう俥』(大津事件の功績で勲章と大金を得た二人の俥夫の、その後の波乱の人生)、『黄色い下宿人』(ロンドン留学中の夏目漱石がシャーロックホームズの目の前で事件を解決)を合わせて収録。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
主人公の原胤昭は、八丁堀与力から明治になって監獄島となった石川島の看守に そして、その経験から日本で初めてのプロテスタントの教誨師となった。 原胤昭はミッションスクール女子学院の前身のひとつである原女学校の創立者として知られている。 同校は原胤昭が大切にした自由の気風を受け継いでいる。 原胤昭が使うのは、十字(クロス)になった十手(じって)である。この着想ひとつで風太郎翁の 「ものがたり魂」は大きく羽ばたいた。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
日本最初の教誨師である原胤昭が、昭和期になって 青春時代を回顧するという形式が採られている本作。 十手持ちだった胤昭が、明治初頭、奉行所時代の恩師の娘でクリスチャンの 有明姉妹とともに、出獄人保護に乗り出していくのですが、そこに悲惨な過去 を背負う5人の犯罪者と、卑劣で残虐な5人の悪徳官憲が絡み、抜き差しなら ない因縁を形作っていく、という筋立てです。 他の明治もの同様、彼らの物語に歴史上の有名人が思いがけない形 で関わる、という展開を見せますが、後半は一変して的活劇へ。 権力を振りかざす官憲に対し、ある事件を機に、彼らと対決していくことを決意した 犯罪者たちが、きわめて不利な条件のもとで死闘を繰り広げていくことになります。 また、何といっても、十手と十字架、二つの属性を持たされる、 胤昭の両鉤十手という小道具の用いられかたが、抜群に巧い。 十手と十字架という一見かけ離れたもの同士が、物語によってスムーズに結びつけ られることで、教誨師に転身した胤昭の数奇な運命が見事に形象化されています。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!