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(短編集)

しあわせの理由



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【この小説が収録されている参考書籍】
しあわせの理由 (ハヤカワ文庫SF)

しあわせの理由の評価: 4.26/5点 レビュー 35件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.26pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全27件 21~27 2/2ページ
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No.7:
(4pt)

仮想現実という現実

いったい我々を構成しているこの現実は本当に現実なのだろうか?

この短編群が指し示す先にある「幸せ」とはなんなのだろうか?

我々が普通にリアルだと思っている幸せや不幸せと仮想の幸せ、不幸せは一体なにが違うのだろうか?

解説で坂村教授が書いているように、「中国語の話せない人間の入っている翻訳ボックス」にすぎないのではないだろうか?

村上春樹の「百科事典棒」を思い出した。無限に展開される有限な言説がこの短編にはちりばめられている。
しあわせの理由 (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:しあわせの理由 (ハヤカワ文庫SF)より
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No.6:
(5pt)

現代のひとつの頂点

様々なSFの形態があり進化してきましたが、これは現時点でのひとつの頂点といえると思います(他にも頂点はあるが)。イーガンはもっとバリバリのハードかと先入観があり今まで避け気味でしたが、この作品を読んで己の不明を恥じました。
これはSFファンはもとより、むしろSFを毛嫌いしているような方に是非読んでいただきたい。少し今の「常識」に対する見方が揺さぶられるような感覚こそ、「センスオブワンダー」なのではないでしょうか?
表題の短編もお気に入りです。
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No.5:
(4pt)

迷ったら読め!

この本は、現代SFの最高峰ではないだろうか。とにかく今のSFはどれを読めばいいかな?とおもったらこれをよみゃいい、内容の大まかなことはほかのレビューが書いてあるので書かないが、どの章も科学的な書き方がされていて、非現実的過ぎない、また人というものの心理描写が鋭く登場人物の心理がよく分かる。あえて「現代」と制約をつけたのは、古典SFのようなわくわく感がないところか、しかしそれは現代の科学力が進歩しているからだろう。
ついでに言うと、表紙のデザインもグッド!
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No.4:
(5pt)

これはお得だ

ハードSFの旗手であるグレッグ・イーガンの短編集その2です。とにかくすごい作家で、発表する作品ほとんどが、なんらかの賞をとる。内容も、非常に科学的に最先端のきわどいところを取り上げています。
得意とするテーマは、量子力学とアイデンティティ。まさに現代ハードSFの集大成というか、もはやSFのねたは出尽くしてしまっていて、この2点くらいしか真剣に、新しい視点を通して語られる物語もないのかも知れません。で、彼の作品はその新しい視点や、物語の構成方法が、ずばぬけておもしろいのです。
他人の脳みそを、自分のお腹で育てる「適切な愛」。量子論の世界を、緊迫したレスキュー劇として描く「闇の中へ」。記憶やアイデンティティは、データとして転送できるのか「移相夢」。ウィルスハザードをややコミカルに描いた「道徳的ウィルス学者」。などなど、素直に「すごいな」と思える短編が9つも。これはお得だ。
表題作である「しあわせの理由」では、これでもかというくらいに細かいプロットでお話が構成されています。脳内麻薬による幸福感。それが、ガン細胞と一緒に破壊されたあとの、幸福感のない状態。さらに、それを補うためにダミー神経を埋め込まれた主人公の葛藤。しあわせの基準をコントロールできるとしたら、人はどのようにこの世のできごとと折り合いをつけていけばいいのか。
短編集その1である「祈りの海」(テーマはアイデンティティ)と、長編「宇宙消失」(これは量子力学がテーマ)もお勧めです。
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No.3:
(4pt)

創造された異世界

グレッグ・イーガンが描く世界は、我々の世界の延長ではない。そこでは物理法則や社会の秩序や、人間の生理や、テクノロジーが、我々のものとは異なる。我々の未来の世界のようでいて、実は大きなギャップがある。読者はその異世界にいきなり、説明もなしに放り込まれることになる。出来事が語られるが、その背景自体が我々からすればすでに異質である。しかしそれはその世界では普通のことなのだから、説明されないのである。それでも読者は登場人物の思考を辿ろうとするが、その登場人物が異世界の人間であるから、ものの感じ方、考え方が我々とは違うのだ。だから無理に自分と共通な何かを引き出して作者が何を言いたいか理解しようとすると、難しくなる。まずは作者のたぐい稀な創造力から生まれた世界に身を浸して、その驚異を味わってみればいい。解放された想像力の前には、常識や科学や技術の限界などないのだということが分かるはずだ。何かを読み取ろうと考えるのは、その後でいい。
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No.2:
(4pt)

自己って何?

自己って何だろう?意識ってなんだろう恐らく現代科学ではまだ解けていないこれらの問いに、宗教などの安易な方法(特定の宗教に信仰のある人、ごめんなさい。たぶん私が安易なだけです。)に逃げることなくあくまでも科学という正攻法(現代人が取りうる真理に近づく為の最善の方法論)を基盤として読者に問いかける作品群。神なき現代の孤独な存在である人間をこれほど真摯に描く文学者はそうそういないのではないだろうか。科学ネタがまずあってとにかくそれを素材に物語をでっちあげよう、というありがちなSFとは一線を画す立派な文学作品だと思います。
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No.1:
(4pt)

「文学的」ハードSFの旗手

イーガンは理系出身のハードSF作家だが、彼の人生への眼差しは科学者のそれというよりも、哲学的な作家(ドストエフスキー、カフカ、ディック等)に近い気がする。イーガンは、合理主義のみで生きることができない人間の心理を、最新の科学的知識を駆使した様々なSF的設定を「背景」として描く。その「背景」は作者にとっても登場人物にとってもニュートラルな「舞台装置」でなく、むしろ心象風景やメタファーに近い。その点がまた文学的なのである。
 イーガンは無神論的な合理主義者である。しかし、それでいて真摯に「人間的であること」の意味を問いかけ続けている。そのことが彼の作品に文学的価値を与えていると言ってよかろう。
 本書に収められた「チェルノブイリの聖母」、そして表題作の「しあわせの理由」などは、たとえ合理主義的でなくとも個々人が自分の「信仰」や「信念」或いは「思想」を持ち、それに忠実に生きようとすることが人間らしさの根源であると言っているように思われる。
しあわせの理由 (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:しあわせの理由 (ハヤカワ文庫SF)より
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