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大地のゲーム



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【この小説が収録されている参考書籍】
大地のゲーム
大地のゲーム (新潮文庫)

大地のゲームの評価: 2.50/5点 レビュー 16件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点2.50pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(3pt)

中途半端

大地震で壊滅した都市の大学が舞台の近未来もの(だろうか)。

時代も実は国も明らかになっていないのだが、往年の学生運動を彷彿させるような、大学を占拠しそこに住まう学生らの日々が描かれている。

為政者らしき学生のリーダがあらわれたりと、著者には珍しい作品。ただ、思想的な事はほとんど触れられていないし、大学の周辺には住民たちの日常があるなど、んんん?となるくらい中途半端。

タイトルの「ゲーム」から、そのあたりを察した方が良いのかな。まぁ、SFじゃないのだろうし、著者らしい感性で表現される精神的な孤独感は読み取ることはできる。
大地のゲーム (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:大地のゲーム (新潮文庫)より
4101266522
No.2:
(3pt)

学生演劇!

「大学」という限定された「囲い」の中で、すべてを寓意化し(未曾有の災害さえ)、しかも学生らしい世間知らずを恥じらいもせぬまま思いの丈を叫ぶ。──まるで、大学の演劇サークルの芝居だ。作家の出身大学はその本山であるから、勿論、作家は意識して、作品全体を「演劇的に」拵えてある。
96頁冒頭8行のマリの告白はその白眉であって、これぞ「学生演劇」の科白そのものである。そして、直後の主人公の反応が「きっと私よりもっと厳しい、貧乏な生活をしていたのだろう。」とまるで幼く貧弱なのも、まだ社会に出ていない学生の特権だ。だからこそ「学生演劇」には、未経験の世界を(故に痛みも知らぬまま)残酷に類型化しすぎるところがある。
この幼い主人公が作家の分身でないことを、切に願う。
大地のゲーム (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:大地のゲーム (新潮文庫)より
4101266522
No.1:
(3pt)

綿矢りさなりの答え、なのだろう……

世の「作家」や「芸術家」なんて言われる人たちは、ともすれば、さきの震災に対して自分なりに向き合わなければならないと思い込んでいる。それは被災地でボランティアをしているような実践家たちからすれば、「意味の無い向き合い方」だと批判すべきことなのかもしれないし、実際の被災者は「被災してないくせに何がわかる」と憤ることなのかもしれない。このレビューを書いている私でさえ被災していないのだから、震災文学のレビューをして何を言われるかわからない(し、何を言われても仕方が無い)。
 でも、じゃあ無関心でいいのか。と、私は思う。

 綿矢さんは別に娯楽小説を書いている訳ではないのだから、人を楽しませることに徹する義務も無いわけで、関心のままに、訴えたいままに小説を書くのが仕事であり、すべきことなのだと思う。この作品が彼女の震災に対するひとつの向き合い方であって、あくまで震災を馬鹿にしたり、パロディックに利用しているわけでは無い。
 ただ、震災文学としては、「つかず離れず」で非常に居心地の悪い感覚があるのは確かかも知れない。3・11を確実に意識させつつ(というよりもこちらが先立っていて)、それでいて近未来の時代設定やアノミー的な状況は確実に現代のそれとは乖離している。
 でも、これが精一杯なのではないか。所詮私たちは被災者の身にはなれないし、かといって変に同情するのも間違っているように思う。彼女なりの落としどころが、『大地のゲーム』だったのではないだろうか。そして私は、勝手ながらもそう酌み取りたい。
大地のゲーム (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:大地のゲーム (新潮文庫)より
4101266522

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