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ビアンカ・オーバースタディ
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ビアンカ・オーバースタディの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.70pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全46件 21~40 2/3ページ
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バカにされたくなかったら、俺のレベルに追いついてみろと、挑発されて三十数年、手にした新作はこれなんだから、もうあかん^^; 知能も知識レベルも段違いの天才の技として、みんなとことん、バカにされろ! | ||||
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はじめの5ページくらいは、「筒井御大も小説が売れなくてエロに走ったか?」と思っていましたが、だんだん話に引き込まれ、最後の10ページで圧倒されました。ラノベ仕立てや人気イラストレーターの挿絵は、小説を読まない若者への小道具かもしれません。話の構造は、広瀬正氏へのオマージュでしょうか。ほんとうに若い人に読んでほしい作品です。 | ||||
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筒井作品はデビュー作『お助け』から『東海道戦争』『メタモルフォセス群島』等の初期ショートショート、『俗物図鑑』『虚構船団』『旅のラゴス』等の長編、『家族八景』シリーズ、『時をかける少女』などの若年層向け、果ては『朝のガスパール』などの実験的作品まで数多くを貪るように読んできました。 知ってますか? 筒井康隆という大作家、実は昔、漫画を描いたこともあるんですよ? そんなチャレンジングな精神を常に持ち合わせてる重鎮が「ライトノベル」として書いた今回の作品、私は久々の痛快な筒井節にニヤリとさせられました。 これは、帯にあるような「2010年代の『時をかける少女』」みたいな健全な物ではなく、ライトノベルのパロディであり、ライトノベルとその読者に対する『何か』なのです。 ストーリーは学園一の超絶美少女、ビアンカの常識外れな生物実験が、いつの間にか未来世界の人類の存亡を掛けた巨大バッタとの戦いに巻き込まれていくというドタバタコメディ。 しかし、ストーリーや登場人物自体は、この作品にとってそれほど重要ではありません。 筒井御大自身があとがきで記している通り、この作品はエンタメとしての読み方とメタ的な読み方が出来ます。 エンタメとして読むと、同じ若年層向け作品の「時をかける少女」ほど凝った作りではありません。 正直、ストーリーとしてはまさに子供だましのご都合主義と言わざるを得ません。 しかしながらメタ的な読み方をすると印象はまるっきり変わってきます。 読解力のある方、または筒井作品に慣れている方は勘付かれていると思いますが、実は、3流と思えるストーリーも「わざと」だし、端々に見える取ってつけたようなラノベ的要素も「わざと」なのです。 この作品は「お前らが鼻息荒くして読んでるライトノベルは所詮この程度のレベルの読み物でしかなく、お前らもその程度の人間なんだよ」 と、ラノベ読者を含めて、ライトノベルに携わる人間全てに対して真っ向から喧嘩を吹っかけているのです。 曰く ・続編、続巻で必ず繰り返し行われる、コピペと見まがうようなキャラクターと世界観の説明的描写 ・よく言えば平素、しかし冷静に読むと語彙力が足りず知性が感じられない文章 ・女性キャラクターの非現実的な美少女設定。そして女性キャラは全員そんな美少女 ・可愛い妹 ・巻き込まれ型の情けない男性キャラ ・そんな男にさしたる理由も無く惚れる女性キャラ ・ラッキースケベ ・当たり前のように行われる超展開とそれを当たり前のように受け入れる登場人物たち ・低いモラルと人を傷つける事に抵抗が感じられない描写 ・ご都合主義設定 ・俺TUEEEE ・あとがきと謝辞 etc... 数えていけば枚挙に暇がありません。 このような、今や掃いて捨てる程溢れ返っているライトノベルのお約束的な要素や手法を、わざとらしく、オブラートにくるまず、生々しく我々に見せつけ、全力でパロディ化しているのです。 また、主人公ビアンカの性格と挿絵の作者の組み合わせも、恣意的な物を感じます。 いっそ、ビアンカに黄色いリボンを付けさせるくらいの遊びがあっても良いと思います。 これらの要素をわずか200ページにも満たないページ数の中に押し込み、更にはアニメや萌え絵に傾倒して現実の女性を口説く事も出来ない若者の情けなさに苦言を呈する事すらしています。 そして、普通のラノベのあとがきで必ず繰り返される出版社、編集者、イラストレーターなどへのしつこい謝辞までも揶揄しています。 この作品は、表紙、挿絵、本文、あとがきに至るまですべてをひっくるめて、初めて一つの完成形になるのでしょう。 この作品は、本全体、存在そのものがライトノベルのパロディなのです。これは太田が悪い。 表現が生々しく毒が溢れているのは筒井作品らしく私は好きなのですが、筒井作品らしいがために万人にお勧めするのは躊躇われます。 そのため☆は4つ。 太田が悪い。 ※「太田が悪い」のフレーズは作品を読んでもらえればご納得いただけるはずです(笑) | ||||
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家族八景、七瀬ふたたび、パプリカが自分にとってバイブルなので、迷わず買いました。 流れるように、すらすらと読めます。 生殖に関して斬新な切り口で読者の興味を引き、下品にならないように組み立てる。 展開が面白すぎです。 文章とはこう書くものかと、ただただ尊敬させられます。 本書では色々なタブーを扱っています。 突拍子も無いやり口に抵抗が無い人には楽しいはずです。 自慰行為などに嫌悪感を覚える世代や趣向の人には下品に映るかも知れません。 タイムパラドックスを追求していく本格的なSFではありません。そっち方向を期待し過ぎないように。 作品のスパイスとしてよく活きていると思います。 挿絵は、好き嫌いがはっきりする絵柄なのと、女キャラを可愛く描く事に重点が置かれており、情景描写的なものが無く、 特に人物の外見に関して読者の想像力を断ち切ってしまうので、あまり好きにはなれませんでした。(キャラ絵が嫌いというより、ハルヒや見崎鳴ほどの完成度に至ってない気がします) ガチガチの小説だと、敷居が高すぎてとてもそういう気にはなりませんが、 本書は、切り口次第でこんなに楽しく書けるのか、自分でも何か書いてみようかな、と想像力を刺激してくれる素晴らしい作品です。 | ||||
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ラノベは余り読まないのですが、話題性で購入しました。 冒頭からの流れで「下品過ぎる」「ラノベ=エロというイメージなのだろうか?」 と引いてしまったのですが、文章がとても読みやすかったので最後まで読みました。 最終的には「面白かった!」という感想。 あざといまでの冒頭も最終的には成る程と思う結果に。 下品な冒頭がどうしても駄目でない限りは、「買ったけど途中で投げた」という方には是非先に進んで頂きたいです。 読みやすく読者に親切な作りのライトなノベルでありラノベではない、そういった印象を受けました。 メタ世界に対する警鐘のような表現もあるので好き嫌いは分かれると思います。 個人的にはビアンカがとても可愛いと思えましたが、萌え!ラッキースケベ!という展開を求めている方にはお勧め出来ないと思います。 | ||||
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筒井康隆の信者としては、実に嬉しい作品だ。 ライトノベルである。見てもわかる通り、このイラストである。筒井康隆は私の父より年長の77歳である。あの「時をかける少女」の作者である。 それなのに各章のタイトルは「哀しみのス××マ」他、すべてス××マが入っている。そして入っているだけではなく、実際にストーリーに重要な役割を果たしているのである。こんな小説、私が中学生の時に読んだら鼻血を出していただろう。 かと言って、下品なアダルトビデオもどきではなく、もちろん一級のSF娯楽小説だ。ドタバタがとにかくいい。電車の中で何度か声を出して笑ってしまった。 このイラストと作者名(時をかける少女)を見て買ったはいいが、冒頭の数ページで投げ出す少女、筒井康隆は好きだが、何だ子供向きかと買おうとしない大人の読者......必ずいるはずだ。「時をかける少女」の作者が書いたライトノベルというだけで、普通に書けば売れるはずなのだが、あえて読者を選んでいるとしか思えない。巨匠じゃないと、とてもこんなことはできない。 昔、筒井康隆を読んで面白かった記憶のある方、もちろん今も読んでいる方、ぜひこの本を買って欲しい。私は自分が筒井康隆と同時代に生まれたことを心から嬉しく思う。77歳でこんな凄い作品が書けるなんて。巨匠のあの方やあの方(あえて名を秘す)は晩年、結構パワーが目に見えて落ちていたものだった。 ところが、筒井康隆は違う。まったく衰えていない。こんな老人に私もなりたい。巨匠に向かって失礼だが、あえて申し上げる。筒井康隆、本当に恐るべし! | ||||
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あの筒井康隆が再びライトノベルを書いたのかと興味を抱き購入。 一気に簡単に読めました。 所要時間は1時間もかからないとおもいます。 ライトノベル好きには楽しく読めるかと思います。 是非読んでください。 後書きは、本当に全部読んでから読んでください。 以下、ネタバレにつき、未読者は注意してください。 途中の展開が粗いので、 「筒井康隆も年をとって腕が落ちたんかな、もしくは、商業主義に走り適当に書いてんのかな」 と思ってましたが、あとがきを読むと納得。 完全なメタ小説です。 妥協は一切なし、筒井康隆の全力投球の手抜き小説。 むしろ、この小説は「後書き」のために存在していると言っても過言ではないと思う。 すべては、この「後書き」を書きたいがために、書いたんじゃないかと邪推したくなる。 ライトノベルの先駆け的存在である筒井が、現状のライトノベルに杞憂し、全身全霊をかけて書いたかと思われる。 つまり、現状のライトノベルの特徴を無駄なくスマートに取り入れつつ、筒井テイストを残す手腕は正に、 「老獪」の一言に尽きる。 すべては、今の若者を自分の書いた小説、パプリカ、七瀬ふたたび、等の名作に誘導するための罠と、 明確に後書きに書いてある事に、少なからず感動した。 あんな爺さんでも、現状を打破すべく努力している姿に。 おそらく、この小説を書くために現状のライトノベルを色々読み勉強したかと思われる。 ・布石も説明もなしで、突飛な展開で無理矢理読者の興味を引き出す。 ・主人公や周辺の少年が特に努力も無しに、唐突にモテたりする展開。 ・キャラクター造形が、テンプレートのコピペでしか無く、現実感がない。不良は喧嘩が強く根が優しい。ヤクザは金持ちで豪邸に住む等のペライ描写。 ・基本、取材はせずに適当に自分の妄想で適当に書く。 などの、現状のライトノベルの特徴をうまく取り入れ、読者を自分側に引き入れようとしているのが、良くわかる。 でも、SF作家としての意地なのか、受精や体外受精等の科学的描写には妥協なくちゃんと正確に書いてあるあたりが、一般のライトノベルと一線を画する。ただ、イラストレーターが不勉強なせいで、アフリカツメガエルの描写が殿様ガエルになっている。ちょっと勉強してから書けばよいのにと。 という事で、旧来の筒井好きには不満が残る可能性もありますが、後書きがオチと考えれば納得できました。 | ||||
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はじめに断っておくと、万人向けではありません。特に筒井康隆の他の作品を読んでいない人にとっては「なにこれ?」状態でしょう。あくまでも筒井作品を読んだ人が手を出すモノであると私は思います。もし筒井作品で最初にこれを読んで「面白い」と感じることができれば安心して他の作品もおすすめします。また筒井作品を読み続けている方ならこの作品も楽しめるでしょう。わたしはもともと筒井作品のファンなのであとがきも含め十分楽しめました。彼の言うとおり続編を期待したいです。 | ||||
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興味極大な、女の子を主人公にしたラノベ調書き物 筒井といえば、御年77歳になるそうです。映画化やアニメの 原作によく使われる「時をかける少女」や、家族八景などすごい 作品を多く出している方です。(知っている人には余計ですが) あらすじは、科学すきな美少女ビアンカが、ウニの生殖に飽きたらず 下級生の精子まで取ってしまうほどの好奇心旺盛な女子高生が主人公です。 そのビアンカと、謎の先輩そして、未来人、巨大バッタ、人面カエルと まさに「筒井ワールド」そのもののような話を展開してゆきます ラノベにありがちな、イベントとかはありません.どちらかというと 筒井特徴のSF調の展開で、いわば「ラノベの言葉使いの筒井ワールド」 のような書き物になっています。 ラノベと見たときは、学園でのイベントもなく、科学教室の中で話しが 展開してしまいちょっとなんだかなぁと思いますし 筒井小説として見たときには、筒井小説特有の「毒」や人間のしがらみ そして悲喜劇なドタバタ感が薄いちょっと中途半端な作品になって しまっているかなぁと思いました。 とはいえ、老獪ともいえる「筒井」がラノベ調の作品を作ってしまえるのは まさに天才だし、話の流れもさすがベテランというべき、めちゃくちゃなのに 筋が通っているというのがすごいと思います。 ちょっと実験小説っぽいところもありますが、久しぶりに読む「筒井ワールド」 なつかしさがこみあげてきました。 | ||||
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私は、筒井康隆に中学生からはまり、一部のジュヴナイル以外はほとんど読破しています。 ライトノベルは全く読んだことはありませんが、久々の筒井先生の作品ということで購入しました。 一言で言うと、 いつもの筒井康隆です(笑)。 多分、ラノベじゃないような気がします。筒井作品としては、エロやスプラスティックな表現は控えめ。 でもこれが書ける77歳は他にどこにもいないと思います。 先生、お元気そうで何よりです。こんな新作が読めるだけで有り難や、有り難や。 | ||||
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これをラノベだと思って読んではいけない。 ラノベだと思って読んでも良いと書いてあったが、 それは筒井さんの本心ではない。 メタラノベあるいはパララノベとして読むべきなのであるが、 人面ガエルとオオカマキリの戦闘シーンは昔の筒井さんならもっと凄惨滑稽になったとも思う。 太田が悪い。 | ||||
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悪ふざけ甚だしい。誠に素晴らしい。 ラノベを書きながらラノベ読者のニーズを完全に無視している。最高。 こんなイカれた小説は彼にしか書けないだろう。 爆笑必至。 | ||||
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冒頭のエロチズム、不謹慎な笑い、SF、ドタバタのエスカレーション、ちょっとしたパロディ、ラストの下げ、と、 筒井作品らしさがしっかり出ていて、さらにラノベというキーワードが加わることで本当によくできた筒井作品入門書だと思います。 特に中盤あたりはファンとしての期待感からニヤニヤしながら読んでしまいました。 劇場版アニメ「」を観て感動した人は是非このラノベも読んでみてください。 これもまた筒井作品です。 | ||||
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ライトノベルの看板掲げて実質的にはSF要素のエロ小説。 しかしながら、筒井康隆さんの往年の狂気じみたハチャメチャさは、ない。 とりあえず、ライトノベル初心者と、筒井康隆さんの作品苦手ならば読まない様に。 | ||||
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正直な話、あとがきが一番面白い。チラシの裏に書いていろ、というような下らなさなのに面白い。 筒井さんがラノベ、というので話題にはなっていたけれど、期待していたようなものでもなかった。ジュブナイルみたいなものを期待していたのに…… 別に際立ったストーリーがあったとも思えないし。どちらかと言ったら文学的なものに属するんじゃないのだろうか。面白いけど。 ページ数が少ないせいもあったのか、別にキャラクターが良いとかは一切なかった。キャラ萌えというものの存在しない作品だと思う。 それでも、なんだか変な空間に迷い込んだ気分になってしまったのが悔しいと言えば悔しいわけだが。 完全に、筒井先生がラノベを書いたという時点で成功している作品だなあ、と。 | ||||
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学園一のハーフ美少女 だけど生物部で変人 文芸部の白皙の少年 だけど痛い詩をヒロインに捧げる 巨乳美人 だけど元ヤンキーか何かで敬遠されてる 外見はスポーツマン だけど軟弱な未来人 なんだか残念な人たちが生物部に集まって……と書くと、友達が少ない某ラノベを連想するが、さにあらず。はがない(もう言っちゃってるが)が伝統的なラノベのエッセンスを凝縮した 創部物語=ハルヒ要素+オタク要素のハイブリッド製品 ならば、本作はラノベの皮を被った、軟弱な現代の青少年への激励/啓蒙の書だ。 ひたすら傷つくのが恐くて縮こまっていい人を演じ、内にこもって集団内で差別を繰り返すような、陰湿な日本人に見られる一般的心性へのアンチテーゼを、わかりやすーくラノベ形式で表現している。若者に、恐れるな、戦え、と叫んでいる。 作中の性表現も、あえて過激な描写を選んでいるのだろう。章タイトルからして反骨精神の塊です。スペルマって……。 つっこみどころはいくつかある。 排卵後、卵子は1−2日で受精しなくなるので、生理と一緒に流れてきた卵子を受精卵にすることはできないこととか。そんなつっこみをするのが空しくなるようなメッセージ性のある作品に仕上がっていると思う。 これほどの問題作を、新人作家が投稿しても見向きもされないだろう。だからこそ、あえて喜寿の体を鞭打って書き上げたのだろう。ラノベ界広しといえど、こんな怪作にはなかなか出会えない。 文章量は少ないしその割に高価だが、この作品を文章量に対して割高である、などという理由で敬遠するのは洗練された消費者の姿ではないと思う。自己の利益に汲々として、経済性を理由にして趣味にさえ自分で制限を設けるようでは、子供も持たず結婚からも逃げる情けない大人になるだろう。 昔の農村社会とは異なり、現代社会では子供は負債でありお荷物だ。経済的には。子供には苦労させられっぱなしで、成人しても感謝もしない。そのせいか出生率は人口置換水準を下回り、100年後には日本の人口は7000万人も減少すると予想されている。それでも、筒井氏の言葉を借りれば、 「人類をいつまでも繁栄させておこうとするのは、宇宙に対する人間の責任だし、義務」 なのだ。 経済性を越えて、力強く子孫を生み育てるための新しい哲学がいま、求められている。 | ||||
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我々の中高生時代、筒井康隆は身近にあった。思う存分、バカ笑いしたりひどい目にあったりトラウマを得たり世の中の不条理を仮想体験させてもらったり、世の中に蔓延する一見無害に見えるが実は危険なものに対する警戒心を育成する訓練を受けたりすることができた。 彼の作品に接する機会の乏しい最近の中高生に、この本は筒井康隆との接点を与えてくれた。その一点のみをもってしても、この本の価値は★5に相当する。 おまけに、その年代でも読みやすく、理解しやすいように、という配慮にも満ちている親切仕様。機会を作ってぜひ筒井体験をしてみることを勧める。一定比率で拒否反応が出るのは間違いないが、それを含めての筒井体験なのだから。こんな機会はもしかするとこれが最後かもしれないのだから。でも続編期待してます。 素人レビューなどおこがましいが、受けた印象をひとつ書きたい。 筒井康隆の小説にしては珍しく、読後感がスッキリしなかった。いや、珍しくは言いすぎだ。この読後感に既視感はある。し、方向性は違うがもっとずっとスッキリしない行き場のないモヤモヤが残る作品も多数ある。でもこれはモヤモヤとは違う。 何がひっかかっているのだろう、と考えた。メッセージが強いのだ。これほどまで現状を憂い、問題提起をするのは言葉狩りに対する反発以来なのではないか、というほどの危機感が伝わってくるからだ。既視感はこれか。つまり、スッキリしないではなく「重たい」が正しかった。 若者よ、二次元に欲情し、目の前に二次元から抜け出してきたような女の子が現れても手を出せず、遠くから憧れて自慰するだけで満足していると、世界は滅びるぞ。 というラノベ読者層でも読みとれるよう単純で明確で直截に記されたメッセージに、単なる皮肉や揶揄ではない、心からの焦燥感を感じるのは、比較的最近『虚構船団の逆襲』を読んだからかもしれない。女性と深夜、ふたりマンションにいて手を出さなかったら侮辱にあたる、という氏の信念からすれば、二次元萌えが跋扈する現状にはひどく憤り、彼のその逞しい想像力により絶望的な未来を予見して、人類存亡の危機と嘆いておられるに違いないのだ、と言ったら言い過ぎだろうか。 だから、性的描写が醒めた目線で淡々と描かれ、エロティシズムが不足しているのは、この本で抜かれては困るからなのかもしれない。彼の小説の魅力の一つは読者の予想もしなかったエロティシズムを思いがけない場所に発見させ、読者を困惑させるところにもあると思うのだが、エロ成分がここまで低いというのは本当は、もっとラノベらしいエロさ、もとい萌えを盛りラノベらしくしたい気持ちこそあれども、現状が氏をしてそれを躊躇せしめたからかもしれない。 そう考えるとこの本の提示するメッセージの重みはいや増すように思う。 だがしかし、それではラノベ読者層を取り込めない。という葛藤は、いとうのいぢの絵で昇華されたのでしょうか。このあたり若干読みとれなかったので、機会があれば伺ってみたいところです。 一読してすぐは毒が薄めかな、と思ったのですがそうでもないのかな。二次元で抜こうとするときに萎えさせるトラウマとして、視覚効果も精神的にも第一級のものを持ってくるところはサスガと思うのですが、果たしてターゲット層にどれだけヒットし得たのか、興味本位で知りたいところでもあります。 最後にひとつ。 ラノベとして読むのもメタラノベとして読むのも誰に感情移入して読むのも良いのですが(面白さがラノベ<<メタラノベなのは致し方なし)、目次で明示されている通り改めて言うまでもなくこの本で最も感情移入して読むべきは『スペルマ』です。特に、男性諸氏は楽しめるのではないでしょうか。一度読了された方も、ぜひもう一度いかがでしょう。 深く感情移入することが可能な男性が羨ましい。 | ||||
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ラノベ×筒井康隆ということで、期待半分、不安半分ながら読んでみましたが、 予想以上の特異っぷりでした。 筒井先生にしか創りだせない世界がそこには広がってました。 ヒロインのビアンカが手でしごくだけでも衝撃的なのに 人面蛙が出てきたり巨大カマキリが出てきたりとやりたい放題です。 星海社という割と表現に制限のない出版社から出されたためか 未来人が出てきたあたりからが超展開すぎて、ついていくのがやっとでした。 でも展開の読めなさや、次はどうなるんだろうという期待度の高さで とても楽しめたのも事実。 変わったラノベですけど、面白かったです。 あとこんなオリジナリティすぎる設定でも、 物語を紡ぐ基本的な語彙力と構成力が備わっていれば、 面白いエンターテインメント作品として成立するので、 自由度の高いライトノベルの可能性は無限大だなあ、と改めて思いました。 これからラノベを書こうと思っている人はこの作品を読めば、 こんなへんてこりんな話でもラノベとして成立するんだ、と 自身の創作意欲が勇気づけられるかも。 ラノベの可能性を広げてくれた、という意味で貴重な一冊だと思いました。 | ||||
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一人のラノベ愛好家として言わせてもらいます 私はこれをファウスト掲載で読んだ時に心を大きく動かされてしていました 余りにもすばらしすぎて、できるだけ多くの人に知らないでいて欲しいなどと願ってしまった程です これは本当にすばらしい小説です ぜひあなたも手に取って読むべきではありません 老人の萎えた性欲を処理させるという介護的な要素は、少子高齢化と労害問題という世相を正確に捕らえているとも言えます また紡がれる言葉の端々から、筒井康孝御大の、七十年に渡る時間をドブに捨てたとしか思えない人生の含蓄を拝む事ができるでしょう 失笑あり、憤懣あり、勘当の大作です しいて欠点を上げるなら、出版社とジャンルを盛大に間違えてしまっている事でしょう 筒井康孝大僧正のあまりにも偉大な才能はラノベなどという矮小な器に収まるような物ではありません ぜひ正々堂々と「ポルノ小説」と名乗ってほしい物です いや、変態ぞろいのあいつらも、老人のオナニーじゃさすがに喜ばないかな……そっちには詳しくないのでよく解りませんけど | ||||
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筒井康隆のちょっとエロい小説をどきどきしながら読んでいたころを思い出すような冒頭部から、知らず知らずのうちに主人公たちの未来をこれからの日本に重ねてしまい、30年前に10代だったものにとっては当時の希望を持って生きていた頃を思い出して胸がきゅんとなるような爽やかな読後感を残してくれました。小説の主人公に自分を重ねて熱くなるような読み方は出来ませんでしたが、自分より大分じじいの筒井康隆に若い人が希望を持って頑張ってくれればこの世の中はまだまだ面白くなる。自分はあまり興味がなくなってしまったけど今の青少年もきっと頑張っているから、まだまだ未来は大丈夫なのかなと思わされるとは。 | ||||
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