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(短編集)
夢みる葦笛
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夢みる葦笛の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全18件 1~18 1/1ページ
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ハードなSF作品とは対照的な、平易な語彙で丁寧に綴られた短編集。 SFを軸にしつつもファンタジー、スチームパンク、刑事物、歴史物、怪奇、恋愛、生物学など非常に多岐にわたるテーマを取り上げていてアイデア力がすごい。 女性が活躍する話や女性の社会的立場を考察する作品も多く、SFにバトル系のイメージを持たれている方には特に読んでみてもらいたい作品。 穏やかな文体の中に人間の力強さを感じられるものが多く、短編は読み応えというよりは読み心地がよかったという感じ。 作者の長編も読んでみようと思う。 | ||||
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優れたSFとは何だろう。 生粋のSF好きと、初心者の僕ではかなり違うように思う。初心者の場合、科学的考証は必ずしも必要ない。異世界でありながら想像力が追いつく範囲、没入して違和感のない世界があれば読むことが出来る。 言うなれば舞台装置は特殊でありながら 群像劇にはリアリティがなければ僕は乗れない。 とまあ、かなり応用の効かない読者でありながら 舞台装置に惹かれて色々チャレンジしているのだが、なかなか難しい。 上田さんは「火星ダークバラード」(いや、何ちゅう魅惑のタイトルや…買っちゃうよね。)、魚舟獣舟ときて積読になってしまい、再挑戦だったが今回はいけました。割と読みやすかった。 いや、元々読みやすいんだが、世界観がしっかり作り込まれているので、かなり深く身を沈めないと楽しめない印象なんですよ。 美しい描写は相変わらずとして、ちょっとだけ換骨奪胎というか、古き良き感じがしたかもしれない。 (いや、褒めてるんですよ、これ。) 完全なる脳髄、滑車の地、プテロスが良かった。 異形のものに器をかえたり、器が違う種との交歓でったり… あと、飛翔体の名前がプテロスて、郷愁駆り立てまくりでしょ!怪鳥ロプロスかと思ったよ。 | ||||
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2016年9月に単行本出版の短篇集。 全十作品中、前半の四篇が、【異形コレクション】に掲載された作品。幻想的な色合いが濃いです。後半の六作品は、SF短篇と言って良いかと思います。 本作品集で最も魅力的だったのは、この地球とは異なる世界を立ち上げ、見せてくれる著者の描写力。とりわけ、「滑車の地」「プテロス」の両短篇において、眼前に浮かび上がってくる異世界の情景が素晴らしく、堪能(たんのう)させられました。 忘れがたいワンシーンてことでは、「上海(シャンハイ)フランス租界■斉路(チジロ)三二○号」の中、主人公の目の前の光景がいくつにも分岐していく様を描いた場面。いくつものボールを代わるがわる投げ上げては受け止める、そんな曲芸に見とれている感じで、ここはインパクトあったなあ。 【異形コレクション】初出掲載の最初の四篇のなかでは、二番目の「眼神(マナガミ)」が一等面白かったです。 【異形コレクション】シリーズと言えば、2021年刊行の第五十二巻『狩りの季節』に掲載された著者の「ヒトに潜(ひそ)むもの」が、とても面白い。いいっすよ、この短篇。 で、その短篇の著者紹介欄に、本書のことがちらっと触れてあります。井上雅彦氏の手になるその箇所だけ引いておきますね。 《なお、上田早夕里(うえだ さゆり)は、昨年(2020年)、『ダーク・ロマンス』校了直後に、中国で歴史あるSF文学賞『銀河賞』の「最も人気のある外国人SF作家」部門を、短篇集『夢みる葦笛』で受賞した。日本人初の快挙である。おくればせながら、この場を借りて祝福を贈りたい。》 井上雅彦 監修『狩りの季節 異形コレクション LⅡ』p.88 私は、この『夢みる葦笛』て作品集を単行本で読んだのですが、表紙カバーを外した本の全面、黒一色のその艶(つや)やかな黒色に魅了されました。最初にその黒色を見た時、映画『2001年宇宙の旅』に出てくるモノリスて、あの石板の色みたいて思ったんですね。本書を単行本でお読みになる方は、ぜひ一度、カバーを外してみることをおすすめします。 十篇の収録作品ならびに掲載初出年は、以下の通り。 夢みる葦笛 [2009年] 眼神(マナガミ) [2010年] 完全なる脳髄 [2010年] 石繭(いしまゆ) [2011年] 氷波(ひょうは) [2012年] 滑車の地 [2012年] プテロス [2013年執筆、2016年改稿。本短篇集初出] 楽園(パラディスス) [2013年] 上海(シャンハイ)フランス■斉路(チジロ)三二○号 [2013年] アステロイド・ツリーの彼方(かなた)へ [2015年] | ||||
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「華竜の宮」は素晴らしかったが、「深紅の碑文」は先を急ぎ過ぎて少し残念だった。「妖怪探偵百目」は、一巻がよかったのに二巻からテイストが違って戸惑った。彼女の作品は、突っ走ってときどき読者を振り切ってしまう。 その点、短編集なら少し安心だ。短編で猛ダッシュすることは少ないから。これまでの短編集は二冊とも素晴らしかったし。 そしてやはり、本作は美しい作品が多かった。私は特に「プテロス」や「アステロイド・ツリーの彼方へ」のような抒情的な作品が好きだ。孤独な主人公と、異質な存在とのふれあいを描いた作品が好きだ。 | ||||
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SFだったりホラーだったりファンタジーだったり、上田氏の短編10作品を収録した本。人間とは何かを奥深くまで追究している作品群である。表題作の「夢見る葦笛」はイソアという歌を歌う異形の生物。これが人間を魅了し、人間がどんどんイソアになっていく。人間は葦だが、イソアは葦笛ということだろう。「上海フランス租界祁斉路三二〇号」は歴史小説かと思いきや、途中から一気に並行宇宙のSFになる。「アステロイド・ツリーの彼方へ」は既読作品。猫型ロボットの人工知性と人間が通わせる友情のようなものが胸を打つ。 | ||||
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基本的には事実が端的に書いてあり、そういうところに私にはヒトであることの悲哀をとても感じてしまうのですが、逆に言うと人間愛に溢れた著者さんであることが分かりますね。 ## 氷波 何が人たらしめるのか、個性となるのか。。 器質的なものと外因性なものと、あなたとは、と問われる作品でした。 | ||||
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人と人でないモノとの交流を描く作品は多いだろうけど、これ程多彩で美しさに溢れた作品もあるのかと胸が熱くなった。十話からなる短編集に詰め込まれた万華鏡的な物語達と華美過ぎない文体は最高に気持ちいい読後感を与えてくれる。また一人、推し作家が増えて嬉しい。 | ||||
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十篇収録の短編集である。すべて本物のSFで、好きな作品が半分を越えた。 『眼神』幼馴染がマナガミ様に憑かれた。良質の少女漫画のような抒情的な怪奇譚だ。 『石繭』電柱にくっついていた大きな繭から、色とりどりの石が出てきた。不可思議で奇妙な味わいの佳篇である。 『氷波』人工知能たちが、土星の環で聞こえるはずの音楽を解析する。 最新科学と芸術への探求が融合した時、新しい文化の地平が開けるのだろうか。白眉である。 『滑車の地』人類は泥で覆われた地表に塔を建てて細々と暮らしている。ドブ臭さが漂う嫌な世界だ。 飛行機パイロットとして、地下からロボットが送られてきた。 手塚治虫の絵が脳裏に浮かぶような正調ヒューマンSFの逸品だ。 『プテロス』科学者が生涯を空中で過ごす生物を研究する。やがて惑星全体の生態系との関連に思い当たるのだが。 『楽園(パラディスス)』亡くなった親友のアバターと端末で話すことができる。 生前のデーターから仮想人格を作っておくと、友人は永遠に死なないのだ。 アバターと本人は同じなのか、別物なのか。違うのなら、どこが違うのだろう。 作者の本気度が伝わってくる見事な短編集だった。まぎれもなくハイレベルだ。 が、強烈な個性が今一つ不足しているように思う。 | ||||
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上田早夕里の短編集。 彼女の小説には、人が異形のものになる話が多い(そしていずれも面白い)。彼女自身に変身願望、変身への恐怖、不安、畏敬というようなものがあって、それらを小説というかたちで昇華させているのだろうか。 本書の表題作『夢見る葦笛』は、マシスン『アイ・アム・レジェンド』のオマージュとしてなら非常に良作と言える。逆に、これが完全オリジナルというのなら、内容は決して目新しくはない。良いなと思った『滑車の地』の設定は、どことなくナウシカを思い出させる(これ以上はネタバレ)。ただ、短編に留めておくにはもったいない世界設定で、そのせいか、ちょっと食い足りない感じがした。 彼女の「異形ものSF」はどれも一定のクオリティを保っているが、それ以外のものとなるとちょっとパンチに欠けるか。 今後も「異形もの」による良作を期待している。 | ||||
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早川書房が選ぶ2016年に出版された国内ベストSFということで読んでみた。 10篇中最初の4篇はSFとはちょっと違う印象。個人的には「世にも奇妙な物語」を連想する。 敵の群れの中に武器を持って突っ込むような、「俺たちの戦いはこれからだ!」エンドが4篇。 親しい人や協力者を殺すエンドが3篇。一番最初に連発するので、そういう共通テーマがあるかと思ったがそうでもなかった。 このように、短編集としての構成がちょっと雑な感じがする。 内容は、特異なテクノロジーや存在が投入されたときの社会の反応にいまいち整合性がなかったり、異質の知性との接続とか、 自然破壊の結果として自然に報復されるとか、高次の知性が歴史に介入するとかのSFとしてはど定番のものが目立つことから、 著者は科学フィクションを作ることそのものよりも、よくあるSF設定の中で登場人物がどういう心情になるか、という 「小説」のほうに重きを置いているように感じる。ここは好みが分かれるところだろう。その場合の自分基準として、星三つ。 | ||||
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この作者のキャラクターは生きることへの執着が激しい。そこに善悪は一切なし。 | ||||
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表題作もいいが、そのほかも心に残るものばかり。切ないものが秀逸。 | ||||
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SFの短編集。 期待を大きく上回る素晴らしさに読んでいるときもどきどきした。 読み終えて尚、余韻さえも期待以上! 短編なのに、もしくは短編だからなのか、その作品それぞれの世界にどっぷりと浸れた。 読んでよかった。 | ||||
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短編の1つ「眼神」(マナガミと読みます) 呪術や憑き物のSF解釈と、悲しみを抱えて戦う決意をする主人公がツボ。 これで長編書いてくれねえかな。 | ||||
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ファンタジー、SFが好きな方に是非おすすめしたい。 とにかく雰囲気が素晴らしいとおもいます。どの話もまさに表紙の絵の様な雰囲気です。 読んでいて儚い、淡い色が頭に浮かびます。 思い出を味覚で表現するのもあるようでなかった表現だと思います。 | ||||
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身近な日常なんだけど、神話的感覚ともしかしたら実現するかも? 多次元世界、10個の脳、感情を持つ人工知能などなど。 夢に見れたらいいなあと思う世界感。 | ||||
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上田先生の作品は『華竜の宮』以来なのですが、とある評論家の方のコメントで気になり、 購入&読了しました。 全10編の短編が収められているのですが、 そのどれも世界観、キャラクター、作品雰囲気が異なっており、 まさしく十人十色ならぬ十作十色! 上田先生の世界観というのは縦軸も横軸も、 一体どこに終点があるのだろうかと思えるほど、バラエティに富んでいました。 個人的には『上海フランス租界祁斉路320号』が好み。 単なる歴史パラドックスものかと思いきや、最後に「ああ!来たか!」と思わせる 展開の持って行き方は最高でした。 | ||||
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ホラーからド本格ハードSFまでバラエティに富む短編集。幅広いテーマを扱いながら、ほぼ全てが狭義のSFとしても読めるのもSFファンとしては嬉しい。(唯一、「石繭」が切なく苦いファンタジー) 「眼神」の華乃の凛々しさ、「滑車の地」の絶望的な世界に立ち向かう人々の力強さ、「プテロス」の圧倒的な異星の景観。そこに現れるヒトの、知性の、意志のかたちに、強く心を惹かれます。 個人的ベストは「氷波」。でも、リーアも岡川も忘れがたい。もちろん、怖るべき表題作の亜紀も。 | ||||
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