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バビロン 3 ―終―
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バビロン 3 ―終―の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.39pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全28件 1~20 1/2ページ
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アニメを見て釈然としなかったので原作を補完剤として読みました。しかし、依然としてそれは残り、寧ろ増していて余韻は最悪。 曲世愛の魅了した相手を自由自在に弄ぶ異能に依存しすぎている。せっかくのテーマや設定、伏線が台無し。何故この帰結で観客が満足すると思ったのか不思議でならない。 おまけに続きがある雰囲気を漂わせて未だに発信はなしのつぶて。 本当は星0.5にしたいけど仕様上できないのでこの評価です。 | ||||
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自殺の善悪どうこうレスバしてたけど、それをスーパー能力で締めちゃった。 すごいっすね、終わりです。ばいばい。 | ||||
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まず、私はこの作品は現代社会においての自殺への忌避感、マイナスな印象をひっくり返そうとする政治家と、それを止めようとする現代社会の番人たち、もしくは現代社会の倫理観の体現の戦いだと思っていた。 囁いただけで自殺を強要できる彼女は、あくまで自殺法という現実では成立不可能なものを成り立たせるための、ハンデ、ガジェットのようなものだと認識していた。 G7で善悪と自殺法を討論させ、肯定させることで勝ちに行く、という戦略は納得のいくものだった。 が、流石に肯定させる部分まで彼女を用いるのはやりすぎである。ガジェットを乱用しすぎて根幹に据えられても困る。 これでは結局デスノートだ。 デスノートは好きだが、私はバビロンが読みたかった。 | ||||
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アニメをみて面白いので、小説を買いました。3巻は小説とアニメが解離してきているので、どちらも気になります。 小説は心理描写が豊かで、アニメには無い面白さがあります。 なるべく早く4巻の出版を期待します。 | ||||
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アニメの3話くらいまで観て、面白そうだと思い、3巻まで一気に購入。 1巻は面白いと思いました。★は4つくらい。 2巻はもう、主人公側が悲惨過ぎると同時に、少し胸が悪くなった・・ので★3くらい。 主人公がこの先どう切り返すか楽しみで読み始めた3巻は・・ ???? なんで、外人?え?数年後?いや違う・・ しばらく読んでも主人公出てこないし、つまらない話が続くしと、もう飛ばし読みというか読まないでも大丈夫。 ようやく主人公出てきたと思ったら、FBIですかぁ。 その先もなんか話が変な方向に行って、あんまり進まない・・のでどんどん飛ばす。でも大丈夫。 ラスト10数ぺーじで、もうラストがわかってしまい、その通りになってもあまり驚きませんでした。 で、つづく・・と。 普通、1,2巻であれだけ主人公側が痛めつけられれば、かなり悲惨なラストにはなるが、少しくらい逆襲はあるもの。 でも、この3巻は残念ながら最初数ページと、ラスト10ページくらい読めば、十分なくらい自分には薄い内容でした。 ああいう、超能力者(だよね?どうみても)に対抗するのに真逆の超能力者くらい出せばいいのにと思いましたが、出ませんでした。 (ああ、もしかしたら4巻で出るかもしれない。そうでもしないと対抗できない) これはもう落としどころを間違えた小説としかいいようがない。だから2年以上も間が空いているのか?と勘繰りたくなる。 ここまでけちょんけちょんに言うのは久しぶりですが、面白いと思ったアニメも見る気無くす内容で個人的には残念でした。 | ||||
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面白いか言われる本作者の他の作品よりいまいちだけど、ここまで味方を殺すかって展開に驚いています。他の作品に比べて毛色が違い、禍々しい。どういうオチを持ってくるかが全く想像つかない。ハッピーエンドで終わるのか?早く、続きを。。。。 | ||||
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読み終わった後の興奮止まずにネットで他の方々のレビューを読み漁り、 意気消沈するまでがワンクッション。やっと冷静なレビューが出来そうです。 皆さん読みましょう! 一緒に心抉られましょう! まずはそれから。 最初に断っておきますと、(個人的見解ですが)他人の感想って気にする必要ないと思うんですよ。私もたまに感想を読むのですが、絶対に自分で読んだ後です。好評よりも、むしろ酷評レビューを読むようにしています。 気にする必要がないというのは、自分と意見が違っていても、重く考えなくていいという意味です。 評価が高いから面白い!とか、低いから読む価値がない!って……簡単に決め付けられるものでもないでしょう。レビュー書いている人が出版社側の人間だとしたら、ただの宣伝広告ですし、世間的評判が高いからって理由だけで、冷や水を浴びせかけるような愉快犯の人もいますしね。 私は面白いと思いました。あなたはどうですか? それがレビューを読む意義で、書く意思だと思います。 だからまあ、私の評価・感想も当てにしないでください。 私『には』とても面白かった。それだけのことですので。 バビロン三巻の感想を書く前に長くなってしまいました。申し訳ありません。 内容については他のレビューでも語られていますので、ここでは省略させていただきます。 全体的な感想を抽象的に語ります。 三巻はとても考えさせてくれる作品でした。賛否両論あるのは良い作品の特徴だと思います。自殺の権利、善と悪についての議論をポップでカルチャーにエンタメの仮面を被りつつも、真面目に描いています。哲学入門書としても読むことのできる内容です。各国首脳人がポンポン出てきて、首脳会談で中高生みたいに真剣にディベートに取り組むのも、読んでいるときの気分は「いいぞ! もっとやれ!」でした。読み終わった後に真面目に考えると、現実味のなさに思い至りますが、そこはもう読者の気分を煽った者勝ちですな。そのとき楽しくて、納得させられてしまったなら、もう何も言えません。良い夢を見させていただきました、と。 最後に出された、善と悪の「答え」についての評価を「真面目に」しますと、あれでは足りない、です。一言に換言できるものではないでしょう。根源的な部分に答えがあると三巻の主人公は思ったようですが、そのレベルの答えなら古ギ哲学の時代にすでに出されていますし、中学生でも至れる答えです。無論、だから間違っているというわけでもありません。あれはあれで、的を得た答えだと思います。ただ少々、言葉遊びの印象を覚えますね。メタ的に考えれば、物語の魅せ方として、主人公に答えを出させたかったのだろうし、その答えはシンプルにしたかったのでしょうね。 あえて冷たく言えば、エンタメの限界って奴ですね。でも、それでいいと思います。倫理的・理性的・真理的解答を知りたいのなら、哲学の専門書を読めばいいのです。楽しませてもらうことを期待して読み勧めた身からすると、適度な難解さと適度なユーモアが混じった、良い塩梅でした。私も思考実験は好きなタイプなので。気の合う友人と、答えのない哲学的問いを延々と語ることほど面白いことはない。そのことを改めて思いました。 しかし、野崎まどは、本当に我々の感情をもてあそぶのがお好きなお方だ。 読んでいる途中、テンションが爆発して主人公たちの名前を叫んでしまったものです。 「アレックスー!」「正崎ぃー!」「まぁがせえええええええええええええええ!」 曲世愛許すまじ。 十戒に触れ、知恵の実にも触れ、正崎『善』と曲世『愛』の名前の伏線も拾ったところで、さあ、いよいよ今巻で終わりかな、と思ったところにあの胸糞悪いエンドでのつづきですよ・・・。どうしてくれるんですか、この胸の抑え切れない衝動。ネットで調べても続巻の情報ないし。(あ、アニメ化はさっき初めて知りました。やったー!) 世界規模のこと書いちゃって、四巻目大丈夫かなという一抹の心配もありますが、一読者が心配したって仕方のないことですね。きっとたぶんまあ、上手いこと書いてくれるんじゃないのかな? 気合入りすぎて変な方向にぶっ飛ばなければ、それでいいですよ。(宇宙編とか異世界編とか歴史的陰謀論に走るくらいなら、大人しく曲世愛のサイコパス連続殺人事件サスペンスを書いてくださいお願いします)(結局、心配しているという) レビューが段々と感情的/雑になってきたので、そろそろ終わります。長文失礼。 最後に四巻の予想を。 首脳会談の裏で行われていた自殺法会談。その内容がさらに全世界に自殺法承認の動きを加速させる。自殺法都市は加速度的に増えていき、自殺は日常に溶け込んでいく。自殺が常識に組み込まれた世界。その中で抗い続ける正崎善。そして曲世愛が本格的に動き出す。これまでのは準備ですらなく、ただの遊びだったのだと。 バビロンⅣー人ー 愛、悪も有力候補。続だったら最終巻。 (でもたぶん、次でも終わんないだろうなあ……) | ||||
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何かが「続く」ことがそれだけで「善い」ことなのであれば、世界で絶え間なく「続く」戦争や憎しみの連鎖も「善い」ことなんでしょうか? って、とりわけ米国の大統領なら疑問に思いませんかね…。それとも私がラノベに期待し過ぎたのでしょうか。 舞台と視点を変えて、2巻ラストからの逆転劇が始まって行くなら面白いかも、と中盤までは楽しく読んでいましたが終盤で一気に萎えました。 せめて「善い」感じに「終わらせて」ください…。 | ||||
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このシリーズは人に勧めらられて読みました。 1巻、2巻はまあまあでした。 ラノベと普通のミステリーの中間くらいの読み応えで、 よく言えば楽に読める、悪く言えば軽い。 テーマが重いのに、軽いってどうなんだ、というのが正直な感想でしたが、 1巻、2巻はそれなりに「驚き」があったので楽しめる部分がありました。 ところが、この「最終巻」と思っていた「終」を読み始めて違和感を覚えます。 主人公が出てこないのです。 そして延々と、どこかのアメリカンドラマで観たような、 ありがちな会話劇が続きます。 どこで本来の物語に戻るのかと思っていたら、 本の半分を超えたあたりで、ようやく本来の主人公がでてきました。 しかし、視点はあくまで3巻の主人公であるアメリカ大統領。 この時点で、もうこの作品は「失敗」としか言えません。 まるでスターウォーズ8で、変なアジア人が主人公になって 作品をぶち壊したのと似ています。 読者をいい意味で裏切ってるつもりかもしれませんが、 悪い意味で裏切られました。 そしてラストはまったくの予定調和。 誰もが想像する通りの終わり方です。 つまり、この3巻は、なに一ついいところはありません。 褒めてる人は出版社の方でしょうか。 書いてある内容も無駄、文体も幼稚、オチもバレバレ。 それがこの3巻です。 4巻は買いません。 | ||||
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野崎まどの小説は大好きなのですが、このシリーズ2巻のラストを思うと買ったまま読むことができずにいました。でも、読み始めたら新しい登場人物ばかりで楽しく読み進めました。心のどっかでは「きっとまたひどいことになるんだろうな」と思いつつ。 ラストに向かって加速する物語に引き込まれ、やはり最後は「ひでーーーーーーー!!!!」って最悪の結末でした。まがせに一体どうやって立ち向かえば良いのか???その答えを早く読みたいです。 このままTVアニメになってお茶の間を恐怖に落として大丈夫なのか心配ですが、悪と善の戦いはやはり最後の最後に善に勝ってほしい小市民としては続きに期待しています。 | ||||
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タイトルは「終」ですが、つづきます。タイトルの印象で勘違いしました。 | ||||
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ま た か この一言につきます 最後のために引っ張り続けてるのが透けて見えてしまった | ||||
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安定して面白かったです。善悪の話は興味深かったです。 続きというか結末が気になります。 | ||||
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2日で三冊。仕事の間に読んでしまった。 映画セブンを何か連想させるゾクゾク感が堪らない。 | ||||
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野崎まどの作品をもっと読みたい。発刊スピードあげてほしいいいいい | ||||
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自殺を法的に基礎付ければ起こり得るだろ価値観の論争をG7参加国の特徴をうまく反映させながら話を進める後半は、非常に興味深い。 価値観の相違で止まらず、抽象化することで包摂的な観念を導こうとする思考過程はさすがだなぁと思う。 物語としても十分魅力的だが、思考実験としてもやはり面白い。 自殺をめぐる価値論争と正崎と曲世愛をめぐる物語がどう収束してくか、続刊が楽しみ。 | ||||
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―終―だけど終わりませんでした。読み終えるまで完全に勘違いしてたけど、まだまだ続くのね 内容に関しては賛美両論合って当然だと思う 各国首脳の会話が稚拙だとか、激論が芝居染みて安っぽいと言ってる方がおられますけど、さもありなんって感じ。俺もまったくそう思う ただその点に関しては、「娯楽・エンタメ」として見れば決して悪くはないんですよね 真面目に読めばお寒く感じもするけれど、頭ポケーとして読めば楽しめる。我慢ならねえつまらねえって人もいて当然だと思うけど、俺は楽しめた ただ気に食わないのが、「言葉」というものを過剰評価し過ぎている気がするところ 「善悪とはなにか」という問いに対して、言葉で定義づけようとする。その姿勢がどうしても拭い切れない紛い物臭を出してしまうんですよね 哲学とは考える学問であるってのはよく聞く話ですけれど その考えて辿り着いた何かを、「言葉」で表せられるかというと、それはまた別問題。過去の偉大な哲学者の思索の結果を言葉にしていることは多々あるし、その内容を哲学と呼ぶこともあるけれど、でもやはりそれは哲学者自身が行った行為としての哲学とは似て反する。非常によく似てはいるがまったくの別物だ 言葉は強大な力を持っているけれど、万能でも何でも無いんだよ だから今作で「善とは○○、悪とは○○」と定義づけたのも……確かにその定義自体は悪くはない、よく考えたとは思う。しかしやはりそれは違うんですよね 間違っていないことでも言葉にした途端に“ズレ”てしまう そもそも単なる言葉で伝わるならば、小説なんて書く必要ないんですよ。プラカードに言葉だけ書いて街中に立てとけばいい 小説は言葉で形作られているが言葉ではない。物語なんです それでしか伝えられない、いや正確に言えばそうやっても正しく伝わることなんて滅多にない、ほんの一部を感じ取れるかもしれないというだけ でもそのほんの一部のために物語は綴られるんでしょう ただポケーと読んで楽しむのが目的のエンタメは別ですよ?エンタメを見下してるわけではなく……なんて言えばいいのか、ただ犬猫がじゃれている動画とか見たら、その単純な犬猫というモチーフだけで楽しめるじゃないですか?それはそれでいい。用途が違う 今回のような哲学的問いを、人間が思考と行動の中で辿り着くべき答えを、どうして単なる言葉でくくろうとするのか…… さっきも言ったが言葉はそこまで万能じゃない だから「善悪とは○○だ」と言われても、何にも響かない。そこに至る思考過程も、(ここが物語として感じさせてくれればそれでもよかったのですが)結論ありきで用意された道をなぞっていく流しそうめんにしか見えなかったですし 自殺は悪か、悪とは何か、善とは何か、こんな哲学好きには、考えることが好きな人間には堪らない材料を用意しておいて やっていることが言葉で無理矢理にくり抜こうとする型抜きクッキーではねえ…… 思考することに嵌り始めた人間が、初めのうちはそうなるのは致し方ないと思う(俺も少年期には「愛とは○○だ!幸福とは○○だ!」とか定義付けて満足してたし) しかし何かを作品という形で発表するのならば、そこより進んだ領域を見せて欲しかった エンタメとしては面白いんですけどね | ||||
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最後の最後に「大どんでん返し」を仕掛けてくるのが野崎まど作品のお約束なのだけど、 今回は初っ端から「主人公交代」という大仕掛けで勝負してくるという異例の展開に。 もうずっと曲世愛に負けっぱなしの主人公・正崎さんは今回舞台脇に引っ込んでもらって 舞台中央に躍り出たのがなんというか非常に異色のキャラクター。 フィクション作品に出てくるベタなアメリカ大統領というと 「精神的にも肉体的にもタフな行動力とリーダーシップの塊」みたいな 学生時代はスクールカーストの頂点にいたんだろうな、と思わせる「タフガイ」のイメージが強い。 ところが、この三巻の主人公・アレックスことアレキサンダー・W・ウッド大統領ときたら 幼い頃から病弱でマスクとうがい薬がないと不安に陥り、長じてはコンピューターの知識を溜め込んで オンラインゲームにのめり込み廃ゲーマーとしてヴァーチャルリアリティ世界の英雄に。 オンラインゲームの英雄に憧れて会いに来た美人で有能で自信に満ち溢れた女性エマとオフで会ったは良いけど その英雄像とかけ離れたオドオドした態度を手厳しく窘められるという「弱キャラ友崎くん」みたいな展開に。 ……が、何がどう間違ったのかこのアレックス君50歳を前に何故かホワイトハウスの主となっているのである。 物語はそんな異色のアメリカ大統領アレックスが日本の自治体「新域」で成立した自殺を認め公的に手助けする 「自殺法」の成立に続き、カナダのハリファックス、フランスのグルノーブルと続き、 遂にアメリカはコネチカット州・ハートフォードに自殺法を導入する自治体が現れた事で国務長官以下スタッフと 対応に出ざるを得なくなり、経過を見守る中G7の首脳会談=サミットを迎えるが、同時刻に斎開化率いる新域も 自殺法を成立させた各自治体の首長を集めて「自殺法サミット」を仕掛けてくる…というのが主な筋書き。 SFの楽しさは色々あるけど、その中には巨大な「IF」を持ち込まれた世界がどう変容するかを 個人のミクロな視点と同時にマクロな視点から追って描く事も出来る点があると思う。 例えば小松左京の「日本沈没」であれば、潜水艦パイロットでありながらD計画に参加する事になった小野寺や 地質学者で科学方面の代弁者・田所博士、幸長の様な政治方面の代弁者、渡老人の様な哲学者的存在、 あるいは無名の市民(食べ盛りの子供を抱えたサラリーマンのおっさんのエピソードとか実に泣かせる) 様々な立場の登場人物を並列させて描く事で各個人の視点と社会全体の変容を並行して描いている。 この「バビロン」というシリーズにおいては過去二巻では正崎善という一検事が製薬会社の不正を追う中で 自殺を否定せず、むしろ公的に認める政治的な動きに巻き込まれながらもその裏に見え隠れする謎の女・曲世愛を追う、という 個人のミクロな視点から描いていたのだけど、この三巻においては一旦そのミクロな視点の物語を中断。 アメリカ大統領をはじめ、G7の首脳という国家を動かす立場の人物を集めて「自殺法」というタブーに真っ向から挑む発想に 社会を代表する立場の人間がどう思考を巡らすか、その結果世界をどう導いていこうとするのかをマクロな視点で描こうとしている。 主人公アレックスはアメリカ大統領という即断即決が求められる立場とは真逆の 周りの空気をガン無視してひたすら思考に耽る「The thinker(考える人)」というまさに空気の読めない人物。 そんな彼だから、サミットの予定も当然の如くガン無視。 経済・外交という具体的問題を話しあうべき場で「自殺法の是非を考えよう」と持ち掛け、 「トロッコ問題」「臓器くじ」という思考実験を持ち出してG7首脳を哲学・倫理の問答に巻き込み 全員揃って「The thinker」化するぶっ飛んだ展開に。 それぞれのキャラクターを反映して意見を力強く打ち出す各国首脳を前に (ちなみにこの首脳たち割とメジャーな政治家がモデルとなっている。イタリア首相とかもろにシルヴィオ・ベルルスコーニだし) 相変わらずアレックス君は自分の思考に潜り込んで「自殺とは?」から始まり、 「善とは何か?」「悪とは何か?」を十戒にまで、そしてその基本となる二つ愛にまで立ち戻って考え倒すのだけど… このひたすら思考実験を繰り返す展開の中で途中から登場した正崎善はこのサミットが始まるまで徹底した脇役に徹している。 二巻で読者を「点線恐怖症」に陥れた曲世もまるで姿を見せないのだが、それ故に曲世の超能力的な死への誘いを体験した 正崎の口から語られる曲世の禍々しさ・恐ろしさはかえって強化されている。 そしてその曲世が何時現れるのか…と読者のスリルを散々煽った上でのサミット終盤、 アレックス君が「善とは何か?」という問いの「答え」に辿り着いたその瞬間から始まる展開のまあ見事なこと! 「野崎まど劇場」でもお馴染みの活字の使い方、ページの見せ方も小説の一部だと表明した野崎まどならではの 見開きを使った演出には前巻ラストの「点線」シーンで恐怖のどん底に叩き落された読者を 更にもう一回、地の底まで叩き落す様な強烈なインパクトがあった。 サブタイトルの「終」の意味が分かる頃には読者は完全に蒼褪めている事間違いなしの一冊。 非常に面白くて、同時におっかない一冊なので気力・体力ともに万全のコンディションで読まれる事をお勧めする。 追記 曲世に「エッチ大好き」宣言させるのは良いんだけど、 あの喋り方だから何だか曲世のイメージが宇能鴻一郎先生の官能小説に出てくる 「わたし、ジュン、としちゃったんです」な女の子に繋がってしまう… | ||||
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やっぱり天才ですわ、野崎まど。 このオチは読めねえ(笑)。最後の一行の意味を脳が理解したとき、震えながら崩れ落ちるしかなかった。 | ||||
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何者かわからない人物の生い立ちを語るなど,これまでとの繋がりが見えづらい序盤. しばらくすると,いくつかの驚きとともに,その意図らしきものが見えてくるのですが, からの続きを期待していただけに,肩すかしのようで中に入って行きづらかったです. また,惨い最後を見ていると,語られた生い立ちや人物像がこのための前フリに思え, いい人を酷い目に遭わせて衝撃を与えるという,同じような展開にも少し食傷気味です. このほか,アメリカ大統領の稚拙な言動や,各国首脳らの激論も芝居じみて安っぽく, 自殺や善と悪について,時に信仰の概念を交えて語る様子は抽象的でピンとは来ません. その『悪人』とされる女は,ギリギリまで姿を見せない中でも不気味な存在感を漂わせ, またもや強い怖気と絶望を残しますが,それ以外は全体的に迂遠で冗長に感じられました. | ||||
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