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火車
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火車の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.96pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全373件 161~180 9/19ページ
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なんて悲しいサスペンスなんでしょう。でも傑作。宮部ファンでなくても読んでください。ずえったい後悔しません。 | ||||
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主人公になるのは刑事か、追われる彼女か、 どちらにしても迫力があります。 葛藤しながらも上京した彼女は、 勤め先の顧客名簿からカード社会の地獄を 体験してるからこそ あることを実行します。 罪のあること!。この描写にうなります。 悪の幕が開かれる様子がスピーディに 読めて満足・・それは、 新しい自分のつもりで 「この際カードを作ると便利だ」という単純な 銀行員である恋人の言葉にさえも 敏感になり逃げ始めるから・・銀行情報が怖かったのです。 2000年以前に描かれた本は、今でも充分通じます。 消費・医療・金銭・携帯情報など登録されている現代は、 当時より情報に囲まれているので、この彼女以上に大変な人も いるように思う。ただし、殺人はないだろうけれど。 同じ年齢条件の名簿から、たったひとつの落とし穴が・・ 彼に、本当の誕生石を話したから。 名簿上人物の誕生石も 当然、彼女は知っていた。 けれど、彼女は本当の誕生石が欲しい。この女心も刑事は嗅ぎ取りました。 他にも執拗な追跡はありますが 「戸惑い、さ迷い」・・彼女を悪く思わせない緻密さは宮部一級作品。 もちろんあの「返事はいらない」という短編の 「恋人シリーズ」にも繋がる、この火車・・ すべりゆく車輪のはて、あと一歩の彼女。 成功寸前になった時、 過去をすべて知った刑事に取り囲まれているとは・・・ 白いフードの彼女は未来を夢見て、優雅にラウンジを 一歩一歩進み、「ある意味」努力を重ねた彼女・・?しかし、 一歩一歩調べた刑事の捜査に・・蜃気楼のように彼女の悲願は消える 法に従う刑事は正しい。人間性を失った彼女は正しくない・・ わかっている。けれど彼女の端末情報を必死で見る姿には 胸を打たれるものがあり、 「自分を無くしたい、新しく出直したいと思う彼女。」 しかしカード社会は許さなかった。 今でも書店には過去から売れ行きのよい本として 分厚い本の仲間の上に積みあがっている。いくつもカードを持つ みなさんにも、お勧め本にしたいが・・ 法務という役所もデーターを取りつつある今こそ、持つカードの 良好情報を積み上げるため、彼女の二の舞にはならずにおきたいと 誰でも思います。後一歩の成功・・ 続きは読者に委ねる手法。彼女は立ち直る? いいえ、立ち直らず償いの道・・でも、エンドから、罪深くても、 若々しく彼女らしい表情のスクリーンアップが清らかで美しい イメージを植えつけてくれ、償いの後は幸せになって欲しいと 願った。 構成力巧みな、この本は名作だと、今も思う。 | ||||
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このレビューをお読みになるあなたは、既に多くのレビューをお読みなり、頭の中に物語の概略は予想できているだろうと思います。ですので、僕は非常に個人的な、感想のようなものを書いてみます。 平和ボケと言われる現代の日本ですが、水面下では(あるいは地上のこととして感じている方も幾多おいでだと思いますが)未だ、弱肉強食の世界がはびこっている。そういう物語です。 資本主義は根本的に「優勢強者勝ち上がり」の、ゆくゆくは寡占化されていく社会です(その前に破綻しそうですが。かと言って共産主義が良いかと言えば、また違います)。言わば「弱肉強食」ですが、人間たるもの「それで良いのか?」という問いかけ、例えばフランスの3本柱の友愛(博愛というのは違うと思います)などが、社会福祉に通じていく考え方です。 『火車』は、そうした社会福祉、セーフティーネットからこぼれてしまった人たち=宮部氏は彼らを棄民と呼びますが、まさにそうだと思います=の悲劇を描いています。 ただ、それはクレジット社会というより、貨幣経済の延長として捉える方が、きっと正しい。では、貨幣に頼らず(金本位という意味ではなく)生きて行くのが人間(人類と読み替えて良い)にとって、正解であるのかという、根本的な問い。そこまでは突き詰めていない、きっと誰もできない。 一つ言えるのは、どんな体制でも社会の負債は増えていく一方で、富は全体の1%へと集中していく。 かなり考えを膨らませて書きましたので、何を言っているか分からない方が多いと思いますが、少しでも引っかかった方には、例えば村上龍『愛と幻想のファシズム』あたりをお勧めしてペン、もといノートPCを閉じます。 ★の数ですが、ニュートラルということで、★3にしようかと思ったのだけど、それだとかなり否定的なニュアンスに感じられるかと思い、★4つに直しました。 今や「ちょっと古い小説」ですが、現在においても読む価値のある、優れた社会派小説だと思います。 | ||||
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こちらが寝不足になるくらい面白い傑作。現代の社会問題である住宅ローンとカード地獄に堕ちて、翻弄される若い二人の女性。幸せを夢みてカード地獄に落ちていく普通のOLと住宅ローンの破綻で一家離散して夜逃げするも、暴力団の取り立て屋に追いかけられる妖艶な美女。二人の女が綾なす、悲しく寂しい殺人という顛末。 殺人という怖ろしい行為を犯したにもかかわらず、喬子の果かなく妖しい美しさが、学校のよく晴れた春の校庭の桜のように、淡い夢のように胸に迫る。この美しき殺人者は小説の人物から、幻のように浮き出て、読後の余韻をいつまでも曳きずって行く。 | ||||
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亡くなった妻の親戚の元婚約者の女性が失踪。休暇中の刑事・本間はその女性を捜すというストーリー。 消費者金融の問題を浮き彫りにし、そんなものとは無縁と思いこんでいる一般人の心胆を寒からしめる作品。 借金に翻弄される女性達を通して社会性のあるメッセージを発信している。 | ||||
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火車は妖怪の名前ってことは小説の冒頭に書いてあるけども、 この火車の正体に気づけるかどうかで作品の評価は真逆になると思う。 「え?なにこれ。下巻どこ?」って思った人はとりあえず最初のページに火車って妖怪について説明があるから、その部分だけ読みなおしてみると良いと思う。 火車の正体に気づいたなら、「ああ、だから火車なのか」と思うはず。 タイトルが火車ならあの結末以外ありえないね、と。 しかしながら、物語としての内容は「読者を楽しませよう」といった気配は微塵も感じません。 このあたりは人それぞれだけれど、回りくどいというかなんというか……読みながら「それ必要な情報なの?」って思うこと多々。 けれどそれらも全て作者の計算の内。物語の評価としてはイマイチな作品と思うけど、そんなことどうでもいいくらいに小説としてのギミックが素晴らしい。 | ||||
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換気扇の羽の掃除が行われていたガソリンが、終りに近づいたときに再浮上したりするところは、物語を日常に即した立場からも描いている記述の細やかさが伺い知れます。 決して馬鹿になれない登場人物たちに時おり寄り添うように描き出される愛情という描写には、防ぎきれなかった事件というものを軸にとりながらも、正確さを求めてならない社会像と変化に鈍化しつつあるかもしれない人情とが交差しさえします。読んで引き込まれるような名作だと思いました。 | ||||
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『火車』が1992年に出版された時の作者の年齢は凡そ32歳であるが「32歳」という年齢を鑑みればかなり非凡な作品なのではないかと思う。参考までに松本清張『ゼロの焦点』が50歳、東野圭吾『容疑者xの献身』が45歳である。この本の中には日本の行政システムの欠陥、与信産業(住宅ローンやクレジットカード)の陷穽、衒示的な消費性向、各年代の家庭や人間描写などを含んでいるが、32歳でこれらを勉強し、取材し、構造を錬って582ページの作品にまとめ上げるのは凄い能力だと思う。作品を書き始めたのが仮に2年前の30歳からだとすると、30歳で例えばマイホームが欲しいが為に無理をしてローンを組んで生活が逼迫してしまった世代があることや過剰消費に陥りやすい若者世代の心理、与信産業の上層部にある銀行や大手企業は損をしない産業構造、役所仕事の欠陥、アンケートから個人情報流出などなどを研究しているというだけでも同世代の人間と較べたら相当非凡な部類の人間になると思う。でもどうだろう?30歳というと10代20代の流行や衒示的消費に辟易し、現実を見据えて堅実に家計簿を付け始めようとする年代だろうか?それとも未だ未だ衒示的消費意欲に旺盛なのだろうか? | ||||
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いくつか宮部作品を読んできたが、この作品もかなり評価が高いので読んでみることに。 やはり内容は圧倒的におもしろい。自己破産、借金、身分偽造、失踪がこの物語のキーワードなのだが、 主人公が失踪人を徐々に捜し当てていく様と、その過程において失踪人の想いを想像する主人公の心情描写は素晴らしいです。他の人も評価していますが、等の失踪人がまったく出てこないのに大変臨場感のある内容です。ここがこの作品の優れている点かと。小説のなかでキーワードになる人物をあえて出さず、でも話がどう進んでいるか分かり易く、かつ過剰説明にならない。ここに宮部さんのテクニックが出ていると思います。 おしむらくは後半。後半失踪人を捜し当てるシーンはかなりスピーディーに進みました。いままで一進一退だった捜索状況が急変!という感じですが、個人的には急変しすぎかと。(漫画の打ち切りみたいな印象をうけました。)また、最後の最後で失踪人が登場、その姿を見つけたときに物語りは終わります。 でも待って、主人公は失踪人がどういうつもりで身分を偽造し、失踪していたのか、その心情を知りたくて捜索をしていたのでは?確かに主人公があーでもないこーでもないと失踪人の気持ちを想像してはいましたが、そこがなんとなく消化不良です。 あえてそこで終わらせてあるのでしょうが、個人的には続きがめちゃくちゃ気になります。 その点を考慮して星4つ。 | ||||
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TV「相棒」の後、番宣を見て、急ぎ一気に再読しました。 私は宮部みゆきさんの本は、ほぼ全て読んでいますが、何年か間をおいて再読する度に、新しい発見があります。 火車は、カード破産をした女性の人生の変遷と、何故そうなったのか、バブル期ならではの犯罪様式が巧みに描かれています。 ハラハラ・ドキドキと切なさが読み終えるまで押し寄せてきます。 強いて言うなら、体力・気力のある時に読んだ方が良いです。 | ||||
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日本のサスペンスは展開がゆるい。やはり日本文学の得意な感情や心情の移り変わりを描く。欧米のミステリーものは展開が早い。欧米ものに慣れると宮部みゆきといえども緩く感じる。 | ||||
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犯罪者と言っても、人それぞれの事情があるもの。 初めからエゴイストでモラルもなく、他人などなんとも思わず犯罪に手を染める者は一部でしかない。 犯罪者になる気など、更々無かったのに、にっちもさっちもいかなくなって、そうせざるを得なかった場合もあるのですね。そこに人生一度つまづいて、やり直そうとした者と対峙すると…もう、不幸のドミノ倒し!!引きずりこまれます。タイトルの「火車」は燃えている車、罪人を地獄へ運ぶ車を表す言葉だそうで、ふっふっふ、ようこそ、生き地獄の世界へ(▼皿▼)Ψ。これを読んだら、平和に見えていたこの国にも暗黒の闇も広がっている事に気づくでしょう。冷酷無慈悲なこの世界。落ちが解っていても繰り返し読める、恐くて面白い本で私は3回読みました。未読の方、これはお勧めです。 | ||||
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私は友人に勧められて宮部みゆきさんの「レベル7」を読みました。 正直面白かったですが、友人が言うほどハマりはしませんでした。ただ人物描写など今までにない書き方をする方だなと思い、他の宮部みゆきさんの作品をいろいろと読んでみました。そしてこの作品に出会いました。私の中でダントツの一位です。 | ||||
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さすが宮部さん、といったところでしょうか。ネタバレになってしまうので詳しくは書けませんが、客観視してこそ意味がわかる深い描写が随所に仕込んであって、思わず唸ってしまいました。導入部分は少し冗長な気もしましたが、序盤以降は波に乗ってどんどん読み進めることができました。おすすめの一冊です。 | ||||
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本人が語らずとも周りの人や状況から 明らかになる二人の女性の過去や苦悩。 悪者がいないので、 読み進めるたびに胸が苦しくなりました。 面白かったけどラストがどうも。 いえ、余韻もたせるという意味なら いいんでしょうけど そこをきっちり描いてこその ミステリーという気もします。 | ||||
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刑事視線で事件をトレースしていくスタイルをとる本作。 喬子視点での物語も読んでみたいです。 特に、喬子が"精神的に"犯罪に手を染め始めたその一瞬 までの経緯を、宮部さんの特徴であるくどい位の描写で。 あと、もうひとつ読んでみたいものがあります。 時代背景を考慮せずに書評を書いている方の、「ゼロの 焦点」「砂の器」の書評です。科学捜査でイッパツ逮捕 じゃん、的な。 | ||||
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これだけの有名作でありながら読みのがしていました。 ようやく読んで思ったのが、丁寧で女性らしい文章なのに鋭いということ。 丹念な描写の裏に刃を秘めています。 登場人物たちが人間らしくそれぞれに魅力的なので、逆にせつなくなります。 良質なミステリーを読むたび、人間らしくなければいいのにと思う自分がいます。 思い入れがあると読後感が悲しいから。 発売された年を考えるとテーマ(クレジットカードなど)が古くて当然なのですが、色あせていません。 これから何度も読み返す予感がする名作です。 | ||||
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この作品にも描かれてあるようにクレジットカードの利用の仕方やサラ金について学校でもっと教育するべきだと思った。あと、自己破産のしくみについてよく理解できた。世の中こういう金融がらみで追い込まれ、自己破産という便利な手段を知らぬまま命を絶ってしまう人が多いので、より多くの人にこの本を読んでもらいたいと感じた。展開的には最後に意外な結末が・・というものでもなく、読者の期待を裏切らないあっさりした終わり方になっていて、読後はすっきりした。 | ||||
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知人から薦められてこの小説を読んだ。 僕が買いに行った書店ではこの本が店長のお薦めになっていた。 小説を読んだ後で、あんなに空しい気持ちになったのは初めてだった。 清々しい読後感とか、感動したとかいうのではなくて、自分の力ではどうにもならない世の中の大きな力に対する無力感に打ちのめされてしまったのだ。 面白かったので先を早く知りたくて、2日で読んでしまったのだが、最後の50ページを読んでいる時に、だんだん空しくなってしまった。 自分のせいではないのに、どうして、新城喬子がそんな目に遭わなければならないのか、どうしても納得できなかった。 どうにかして新城喬子を救ってあげたいと思っても、誰にも救うことは出来ないのだ。 人生に対する貪欲なまでの執着! その生命力は、見習うべきかも知れないけれど、そうまでして生きなければならない虚しさ。 生きたい、自分も幸せになりたいという気持ちは分かるけど、自分の存在を消して、他人としてしか生きられない境遇。 悲しくて、辛くて、やりきれない。 宮部みゆきさんは、色々な賞を総嘗めにしていて、推理小説と言うより、純文学に近いので僕には合っているのかも知れない。 彼女のその他の作品もほとんど買い揃えた。 まだ、全部は読んでいないが。 | ||||
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この物語のプロットは、今(2011年)となっては 古いです。自己破産は珍しいものではなく、サラ金の 高金利についてもこの作品が出版された当時(1992年) とは大分事情が異なっています。 出版された当時は、社会問題となっていた事項を取 り入れた社会派ミステリーという位置づけだったので しょう。 しかし、その点を差し引いても、今読んでも十分楽 しめる作品です。 むしろ、プロットが古く感じられる今だからこそ、 純粋に宮部氏の筆力を堪能できると思います。 | ||||
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