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火車
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火車の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.96pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全373件 181~200 10/19ページ
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どんなに過去から逃げようとしても逃げ切れない。 過去を清算しようとしても清算しきれない。 人間関係がどれだけ希薄になろうともそれだけはついてくる。 幸せだけを願って人は暮らしているのに、それを壊そうとする 暴力的な人間(火車)が現れるのは何ともやるせない。 呪縛に囚われている自分の情けなさと、自分以上に大きな枷を 負っている方の心の開放の日が訪れることを願う。 | ||||
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火車より好きなミステリーはありません。10年前に初めてよみましたが冒頭から一気にひきこまれ、徹夜で読破しました。繰り返し読みボロボロになったので2冊目購入です。破格に面白いミステリーでありながら、感情表現がどこをとっても丁寧に描かれています。辛く暗く、やるせない展開の中にも挟まれる登場人物たちの人物描写が瑞々しく魅力的。会話の温かみにほっとさせられます。 ヒロインに迫っていく主人公の追跡は絶品です。わたしも主人公となりページをめくりました。 永遠に大好きな一冊です。 | ||||
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出版から15年以上経ってから読んでも決して古さを感じない内容であった。 消費者金融については法的な整備がされており、当然状況は変わりつつあるが、 家族や人との繋がり、個人情報など考えさせられる面も多く面白く読むことができた。 とはいえ、他のレビュアーもいう通りやや長すぎると感じた。 | ||||
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今、全ての真相が解明されて、いよいよクライマックスと言う所でレビューを書いています。 600頁からなる作品ですが、500項あたりまで、長々と綴られる債務の話しや、中々どうして尻尾を出さない、と言うか、そこまでして人探ししなきゃならんのか?本間さん、足の休養を優先させなさいよ、と思うこともしばしば。 ちらほら、と「その人」に繋がる糸口は見えるけど、当たれども当たれども、真を捉える情報には出会えずに、主人公も一度、「もうそろっと潮時か…」と諦めの境地に至りそうになり、読み手の私も、「もう疲れたわ」となりつつ、読んでいくと…何気ない小学生の息子の一言で状況は激変。本間さんも興奮し、読み手も鳥肌。 そしてまもなくクライマックスの数ページを、これから読もうとしているわけですが、500頁のストレスが一気に解放されて、正直読むのがもったないない!! このストーリーが完結してしまうのが寂しいくらいです(泣) さぁ… いっちょクライマックスに行ってきます…!! | ||||
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ヒロインが追い込まれていく姿は、怖いというものも感じさせますが、 何だかかわいそうに思いました。 それに消費者金融の世界も怖いと感じました。 ストーリーも面白く、筆力があるので、一気に読めました。 宮部さんの小説を読むのはこれが初めてなのですが、 最近読んだ神崎和幸のデシートと同じぐらい面白かったです。 これから宮部さんのほかの作品も読んでみたいと思います。 | ||||
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いや〜これには恐れ入った。今まで読んでいなかった自分が情けない。どこか悲しげで、切なくて、でも物語の先を読まずにはいられない。自分が自分であることの意味…とても背負いきれない苦しい過去…別の人生を生きれたらと誰もが思うところを非常に上手くついている。読後にその世界からなかなか抜け出せなかった。 | ||||
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かなりの長編であるが、休むことなく一息で読んだ。最後の方は、手に汗を握りながらだった。中心人物は2人の女性であるが、2人ともほとんど登場しない。登場するのは、2人と何らかの形でかかわった人物のみである。しかも、2人とも、問題を抱えていた関係上、親しく付き合っていた人は少ない。深い付き合いをしているわけでもない。それにもかかわらず、借金を抱えて生きる厳しさが浮かび上がってくる。追い詰められた状態のなかでどのような選択を迫られたのか、一体どこで道を間違えたのか、数少ない手がかりから人物像が浮かび上がる。推理小説といえるのかどうかはわからない。途中まで読んだところで結末はわかる。しかし個人的には、どうかこの人が犯人でありませんように、と祈る気持ちで読みつづけた。あと数ページ読みたいと思うところで物語は終わり、もどかしさが残った。 | ||||
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友人に薦められて読んだが、ローン社会の犠牲者をテーマにした力作であった。本書には2人の女性が登場するが2人とも犠牲者だ。1人目の関根彰子は自己破産の前歴がある。彼女が特別だらしなかったわけではない。ただカードの怖さを知らなかっただけだ。軽い気持ちで手を出したカードによっていかに簡単にローン地獄に陥るか、その怖さを作者は溝口弁護士の口を借りて述べる。問題は「無差別過剰与信」と「高金利・高手数料」だ。「28歳の月給20万円のサラリーマンが33枚のクレジットカードを持ち、負債総額は3千万にまで達した。」というケースがあったという。負債総額の大きさに驚くが、実は大半が金利だ。例えば金利30%で借りると2百万円の借入が7年目には16百万円に膨らむという。これが高金利の怖さだ。傍目にはちゃんと計算出来ると思われていた、真面目で気の小さい、几帳面な人たちが、多重債務者になる可能性があることがよくわかった。そしてもう一人の女性の新城喬子は、原因が本人にあったわけではないだけにもっと悲惨だ。ここではもう一つの大きな問題である、債権者による苛酷な取り立ての恐怖が描かれる。現在の少なくとも大手の消費者金融ではここまでのことはしないと思われるが、これを読むと何故現在消費者金融に対してここまで厳しい規制がかけられたかが理解できる。先日大手が倒産した理由の過払い金変換訴訟は、過去に徴収した金利を返還するものであり、厳しすぎるのではと思ったが、本書を読むとやむをえないものかも知れないという気分にもなってくる。随分堅いレビューとなってしまったが、作者はこのような重いテーマを、失踪した女性の行方を追うミステリー小説に組み入れることにより、読者をぐいぐい引きつける読みやすくエンタテインメント性の高い作品に仕上げている。最後まで一気に読んだが、終り方には大きな不満がある。それは新城喬子が結局どのような女性であったのかが省略されたところである。作者にとっては難しいことだったと思うが、本間がどのような問いを発し、それに新城喬子はどう答えのか、そしてこのシーンはどのように決着がつけられたのか。この部分をきちんと描いてほしかった。 | ||||
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ストーリー的な部分での驚きや大逆転などはありませんが、当時の消費者金融などの社会問題は見事に描かれていると思います。特に現在は2010年6月に法律が施行されたが、それ以前に存在した「グレーゾーン金利」とその被害などを知るうえで勉強になる小説だと思う。世の中には色んな落とし穴が存在して、「自分だけは大丈夫」と思っていても、それらに陥る可能性は誰もが秘めていると感じさせる(伝える)筆力は、やはり宮部の腕でしょう。 | ||||
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まず、今作を読んで、思い当ったこと。 新城喬子・唐沢雪穂・新海美冬。 後者二人は、ご存じな方も多いのではないかと 思われる、東野氏の名作「白夜行」「幻夜」の 主人公。 この三者に共通した心情を強く感じた。 主人公の心情は、全く語られないという作風も似ている。 では、この心情の共通点とは何か? こんなつもりじゃなかったのに、こうなってしまった。 自分の甘さを棚に上げ、荒廃する社会・利己的な 個人主義の蔓延にその理由を昇華していく。 そして、本来の敵ではない、大きな、自分の人生を 抗うものに対して攻撃・復讐を繰り返す・・・。 決して本心ではないのに、疾走する暴走機関車は どこまでも止まらない・・・。 レビュータイトルにもした科白、どんな状況で 発せられたか、想像がつくか? 「社会派ミステリー」という言葉では表現が陳腐に なる、「人生の重さと悲しさ」が伝わってくる傑作である。 現代では、辻褄が合わない個人情報管理問題、 携帯電話があったらだいぶ変わる話の展開、 関西圏の読者ではネタバレになる住宅展示場、 そして、かなり冗長気味な多重債務と法律の 詳細説明など、作品のマイナス要素は多いが、 書かれた時代背景では致し方ないであろう。 また、今作は、主人公が、女性でないと、味わいが 出ない典型的な作品であろうとも感じた。 「切ない」「悲しい」そして、「冷酷」 という様々な要素が、女性であり、また、上記三者 に共通する「男を魅了してやまない美女」である ことで、読者に訴えかけてくるテーマもリアリティー と重厚さに拍車をかけてくる。 最後のシーン、これでいい。 というより、これがいい。 「肩に手をおかれた」喬子は、初めて 「人間」「人生」を取り戻すに違いないから・・・。 | ||||
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初めて読んだのは、多分この本が発売された高校生の頃。 でも当時平凡な高校生だった私に カードやら破産やら一家離散やら説明されても、実感は全く湧かず。 それから、社会人になって、転職して、結婚して、、、 と、その本をずっと手元に持ったまま現在に至りますが、 今読むと、物語の深い部分がとても面白いですね。 新城喬子は、いろいろな人の回想シーンでしか登場しませんが 登場しないだけに、どんな人なのだろうと想像をかきたてられます。 当時のコンピューターや、データの保存事情も面白いです。 喬子は、(当時の)最新のデータシステムの穴場を利用して、 他人の人生を乗っ取りますが、最終的にそれが成功しなかったのは 彰子が破産後も頼りにした弁護士、彰子(喬子)を探そうとした婚約者、 彰子がいつか取りに来るかもと、ずっと荷物を保管していた大家さん、 彰子を「しいちゃん」と呼び、行方を心配する彰子の幼馴染、 喬子が利用したローズラインの社員、 それから、乗っ取った後も、ずっと保管されていた、 喬子自身の“夢”が写っている写真…etc 結局は人間の繋がり、人間の感情が、計画を破綻させたのだろうと思います。 人はどんな風に生きていても、必ずどこかで繋がっているのでしょう。 だから誰かの人生を乗っ取ることなんて出来ない。 本書の後の喬子が、どのように語ったのか、とても気になりますが、 それは読者がそれぞれ想像して楽しむのでしょう。 | ||||
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レベル7が面白かったので読みました。 本格ミステリはあまり読んだことが無いですが、この本はそれらとは一線を画した傑作だと思います。寝るのも忘れて一気に読んでしまいました。 読み進めていくにつれて最期はどうなるんだろうと思い、最後の方はページをめくるのがもったいない本というのは中々めぐり会えない。そしてあのラスト、強烈な印象が今も残っています。 小説家ってすごいな、と思わせる本です。 | ||||
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主人公の女性がカードローンの怖さや住宅ローンの怖さを思い知って、そのあまりに殺人にまで及ぶんですが、 そのあまりに真に迫った描写にそれが十分自分にも起こりうることなのだと思い知らされました。 誰でも知り合いにカードローンに苦しむ人が一人か二人はいるかもしれませんが、これを読めば、 それを馬鹿にする気など起きなくなると思う。自分も今まで馬鹿にしていた思いが吹き飛んだ。 ああ、あの人も苦しかったんだなと思い、一歩間違えば主人公の女性が自分の姿だとも思えた。 同時に「借りすぎにはご注意を」という言葉が脳裏をよぎった。 | ||||
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間違いなく傑作の部類に入る作品だと思います。 きっかけはごく些細な事。 誰にでも起こりうるちょっとしたことから 決して後戻りすることができない事態へ発展してしまうことの恐怖を感じました。 クレジットは身近にあるサービスですが 果たしてどこまでそのサービスが引き起こしうる 悲惨さを認識できているのでしょうか? そんなことを想起させる一冊でした。 | ||||
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ミステリー小説と期待して読むとがっかりしてしまう点は多いと思います。 本書は「誰が」「どうやって」その人を殺したか、を問題としていないので そういった推理的な部分をミステリー小説に期待する方には拍子抜けしてしまうのではないでしょうか。 トリックを推理するのではなく、「なぜその人はそうしなければいけなかったのか?」という部分が読みどころだと思います。 細かいトリックのような部分もなくはないですが、本書においては味付けにすぎないでしょう。 刑事、犯罪者、新婚夫婦、刑事の子供・・登場人物は様々ですが、そのほぼすべてに感情移入ができます。 誰に彼女を責めることができるのか? なぜ責めることができないのか? 誰のせいでこうなってしまったのか? まさに「社会派ミステリー」の代表作と言っても過言ではないでしょう。 | ||||
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初めて読んだ宮部作品でした。 おもしろいな〜と思いつつ、途中のカードの仕組みについてのところは、 飛ばして読んだりして。 (何度も読み返すタイプなので、よくあることなんですけど、私の中では) で、クライマックスに近づくにつれて襲われた、あのゾクゾク感。 怖いんじゃないんです。背中がキショク悪いってゆーか、 顏の見えない犯人(?主人公?)を想像すると、なんだかゾクゾクするんです。 私はこのゾクゾク感がすきです。 | ||||
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色々な資料が列挙されているが普通の人間がどうしてクレジットカードによる借金地獄にはまるのか、 というロジックのつき詰め方が甘いとか、色々文句はあるものの。。 物語のハイライトである借金で売りとばされた母親を記す娘の印象として書かれる 「汚い水がつまった…」 物すごい描写であることは確かであり、この作品の強さを支えていることは間違いない。読んでからしばらく飯が食えなくなった。 | ||||
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この作品は、扱っているものが 扱っているものだけに 非常に文章が重たく感じました。 お世辞にもすらすら読めるものではありません。 それに読みにくい原因は 明確に謎解きと、トリックの真相が 明かされないのも一つでしょう。 したがってよく文章を読まないと 事件が追いづらいかも… しかしながらクレジット問題、 そして借金問題については ミステリーながら非常にためになる 記述が多かったです。 | ||||
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このたび私は、リストマニア機能を使い、 「日本ミステリ【マイ・ベスト・テン】」を掲載した。 そこに挙げた作品の中で、 真っ先に再読したくなったのが、 本書「火車」である。 本書は、カード破産をいち早く取り上げた作品として、 1992年の発表当時、話題になった作品であり、 著者がその後直木賞作家となっていく 礎を築いた作品であるとともに、 現在も多くの読者に読まれている人気作である。 ミステリの楽しみ方として、 密室殺人や孤島ものなど、 現実から遊離した世界を楽しむのも一興であるが、 その時代の矛盾や暗部を ミステリの手法を使ってあぶり出していく、 いわゆる社会派の存在も見逃すことはできない。 本書はそうした 「社会派」の傑作と呼ぶにふさわしい作品だ。 ベストテンのひとつに、 私は松本清張の「ゼロの焦点」を掲げたが、 この作品が昭和を代表する 社会派ミステリであるとするなら、 本書は、平成の幕開けとともに生まれた 社会派ミステリの傑作である。 この両作品、扱っている題材は違うが、 物語の発端が「失踪事件」であるのは興味深い。 「ゼロの焦点」では新婚カップルの夫の失踪、 「火車」では婚約カップルの女性の失踪が 冒頭に起こり、物語が展開していく。 愛する人との新生活を控え、 希望に満ちていたはずなのに、 その生活を捨ててしまわなければならないほどの理由とは何か、 そんな魅力的な謎を追っていく物語なのである。 本書「火車」のテーマ「カード社会」について、 ひとつ感じることがある。 私事で恐縮であるが、 本書を初めて読んだ1992年当時、 カードといえば銀行の キャッシュカードを1枚持っているのみであったが、 その後、複数のクレジットカードを取得し、 現在に至っているのである。 カード社会は作品発表時より、 さらに浸透しているのではないかというのが、 実感であり、それゆえ本書は、 発表後17年を経てもなお、 輝きを失っていないと思う。 本書は、カード社会の矛盾を分かりやすく、 ミステリの手法を借りて描ききった作品として、 これから読まれる方の心にも 必ずや深い余韻を残す作品となるであろう。 | ||||
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ストーリーは,休職中の刑事に,失踪した婚約者の捜索を親戚が依頼するところから始まる.この失踪の謎を解くカギは,クレジットカードによる自己破産であった. 自己破産は,バブル時代に一時期社会問題化していたが,破産当事者やその家族がどんなに惨めな生活を送らなければならないかは,あまり多くを語られてこなかった.著者はその点に着目し,自己破産者に一筋の光明を与えている. ミステリーの仕掛けは,非常に巧妙で,ページを繰る手が止まらないぐらいに入り込んだ.本書は山本周五郎賞を獲得した作品にふさわしく,さすが宮部みゆきと唸らせる作品となっている.宮部ファンでなくても,一読の価値があると思われる. | ||||
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