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(アンソロジー)
大下宇陀児 楠田匡介: ミステリー・レガシー
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大下宇陀児 楠田匡介: ミステリー・レガシーの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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腰巻には「未来へ残したい」「蔵出し大傑作」「ファン垂涎の逸品」と煽り文句が並んでいるものの、それほどの内容とは思えなかった。 大下宇陀児の『自殺を売った男』は、巻末の解説文中に引用されている著者の言葉の通り、謎解きの本格推理を狙ったものではない。 麻薬中毒から抜け出せず、人生に嫌気が差した主人公は、「自殺しようと思っているなら、その自殺を売ってくれ」と声をかけられ、不可解な事件に巻き込まれる。 事件が解決したときには、主人公は麻薬中毒と自殺念慮から解放され、文字通り「自殺を売った男」になっていた。 そうした、いわゆる「奇妙な味」を狙った作品であり、その意味では成功している。 かたや『模型人形殺人事件』は密室での怪事件を扱っているが、用紙事情の良くなかった戦後混乱期の刊行であったためか、謎解きの本格推理に仕立てるには分量不足で、やや物足りない。 むしろ謎解きよりも、戦後の世相の描き方が面白い。 新憲法では人権が尊重されるようになったので、戦前のように怪しいというだけで逮捕し、厳しく尋問して泥を吐かせることができなくなった、これでは捜査がやりにくい、思想的な背景のある事件の取り締まりが難しい、と警察関係者が嘆いている。 そういう時代設定なのだ。時代色を楽しむべき一冊。 | ||||
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