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星々たち
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星々たちの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.77pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全30件 21~30 2/2ページ
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粒ぞろいの短編集であり、そこを貫く主題は本のタイトル「星々たち」で暗喩されているように、やがて消えてゆく普通のひとの、普通の人生の哀しさなのでしょう。どの作品をとっても、緩やかに堕ちてゆく人生の様を精緻な筆で表現しております。そこには微かな希望とか、ひとしずくの救いのようなものもあるのですが、結局、この本の登場人物たちの行き着く先が、暗く、ときに絶望的な場所であることは、殆ど動かないことを感じさせます。 芥川賞の、いわゆる純文学という基準にどれほどの厳密な意味があり、彼女がすでに受賞している直木賞(ホテルローヤル)との重複が可能なのか否かはよくわかりませんが、著者の最近の作品は、人間の内面をより普遍的に表現しようとしており、芥川賞の方向に作品が向かっていることを感じさせます。 「トリコロール」 が、フランス国旗を源とし、あの理髪店の前にある、赤・白・青3色の斜めのラインが、上に向かって昇っているように錯覚するカラー・ポールのことだと、この作品で初めて知りました。 この粒ぞろいの作品集のなかで、あえて1つを選ぶとすれば、今の心では、この 「トリコロール」 かな・・・・・・。 ただ、違う心持ちの時に問われれば、恐らく、この短編集の異なる作品に自分の人差し指を向けることでしょう。 それくらい優れた一冊だと思います。 | ||||
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硝子の葦が忘れられなくてまた彼女の長編を読みたいと思ってました。これは連作短編ですがこれぞ桜木紫乃!と思える作品でした。今この本を読もうかと思ってる方へ、何も知らなくていい。何も考えてなくていい。ただ手にとって読み進めてください。素晴らしい星々に出会えるはずです。 | ||||
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もうこの作者のお決まりの短編集、と言うか連作小品集である。 舞台は道央。主人公は貧しく、運命に弄ばれながらも確かに人生を歩む女性。 こうした彼女得意のテイスト溢れる作品をもうどれだけ読んできたことか? なのに毎回共感し、同情し、感動して読み終えたのちまた次の作品を探してしまう。彼女の限界の無い創作力はどこまで続くのだろうか? まだ桜木作品を読んだことのない人に、第一に勧める本は?と問われると迷うが、これなどは間違いなく初めての読者に桜木紫乃という作家を印象付けさせる一作であろう。 | ||||
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読み終えた後に鳥肌がたった。こんな小説は久しぶり。一気に読み終えた後になんとも言えぬしっとりとした気持ちに浸れる。不幸な北海道の女性を描かせたらピカイチの著者。本作も北海道で暮らす3世代にわたる不幸な女性を描いた小説。悲惨だがどこか温かく切ない。今年読んだ小説の中では一番。 | ||||
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この作家の作品は初めて読みました。女流作家は宮部みゆきと柚月裕子と高殿円くらいしか読んでなくてあまりよく知らなかったのですが、この作家はスゴいですね。文章がすんなり入ってくるのはその表現力故でしょう。ストーリーもスゴイ。結末は予想出来ませんでした。他の小説とは一線を画す作品だと思います。 | ||||
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主人公は、基本的には塚本千春という女性。 言葉少なげで表情に乏しく、時に愚鈍な印象を他者に与える。 本作は、千春の中学時代から中年期までを短編の形で描く。 しかし、語り手は千春ではなく、周囲の人間が千春と接して 感じたことが文章となっている。 周囲の人間には、千春の母や娘も含まれる。 語り手たちは、様々な悲しみと苦しみを持って生きている。 そのような生活の中で、一筋の光を見つけた時、物語は終わる。 器用に生きられない者たちの必死に生きようとする姿は、 悲しげに心に響いた。 桜木紫乃らしく、決して、ハッピーエンドではないが、 不思議と嫌悪感はない。 | ||||
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前々から読みたかったがなかなか手に入らずやっと念願が叶い読んでいる。 桜木さんのこの手の小説は本当に魅力的だ。いつも思うが文章表現が実に良い。 とくにセックス描写がこんな言葉で表現できるとは思わなかった。 すばらしいの一言だ。 | ||||
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哀しみを背負って生きる人間の切なさや苦しさが、圧倒的なリアリティを持って描かれています。読んでいて辛くなるところもありましたが。最後に救われました。桜木紫乃は人間を描くのがやはりうまいです。 | ||||
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「塚本千春」という、一人の女性の歩んだ過程が、年代を追って9つの短編で 綴られている。各短編の主人公は彼女を取り巻く人々であり、各々の人生が らせんのように絡まりながら、千春の存在を浮き彫りにしていく。 面白いのは、連作ではあるが、それだけで千春のすべてが理解できるわけでは なく、読者は連作の間に彼女に起こった出来事を想像するというミステリー としての仕掛けもある。表情に乏しく、時に苛立たしい感情を相手に抱かせる 千春の本来の姿は、読者によって何通りにでも解釈できる。 戦後昭和の時代の愛を見事に描き切った「ラブレス」では、紛れもない救いが 伝わってきたが、今回は同じ昭和でも戦後の貧しさは遠のいた時期にも拘わらず、 千春の彷徨う世界はどこか冷たい、出口の見つからない不気味さがある。 まるで降り積もった雪の上を人々が踏みしだき、更にまた新雪がその上を覆う ような物語の印象は、一言では言い尽くせない。 作中の「女体」という詩にも強い衝撃を受けたが、新刊が出るたび手に取らずには いられないこの著者は、本当に巧い。 | ||||
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やはりこの人は上手い。実に安定している。最近作者が得意としている多視点からの群像劇も完全に堂に入ってきたと感じられる。 ただし「凍原」「硝子の葦」あたりから読み始めた自分としてはそろそろミステリー色が強い話も読みたいところである。 ところで本作のタイトルは村山由佳の直木賞受賞作「星々の舟」を意識したものであろうか。ストーリー的にもなんとなく共通性を見いだせるような気がするのだが・・・ | ||||
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