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泥の河



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【この小説が収録されている参考書籍】
泥の河・蛍川・道頓堀川 (宮本輝全集)
蛍川・泥の河 (新潮文庫)

泥の河の評価: 4.62/5点 レビュー 77件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.62pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全72件 41~60 3/4ページ
No.32:
(4pt)

切ない気分に浸れます。

女房 のすすめで読みました。情景描写が素晴らしいですね。私の知らない時代の大阪を舞台にした小説ですが、もの悲しく何処か切ない気分にさせてくれました。
蛍川・泥の河 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:蛍川・泥の河 (新潮文庫)より
4101307091
No.31:
(5pt)

幻想的な絵

先日、出張の新幹線の中で、kindleの中から拾い出して読み直してみた。

大学受験の前日に読んだ時から数えて、これで3度目の読書である。

「泥の河」は、実は、船津橋、端建蔵橋、昭和橋、湊橋の位置関係がよくわからないまま
2回は、読みとばしてきた。さすがのネット時代でも、google mapでは、大阪の小さな橋の名前は表示されない。
そこで、こんな時にはと、ファンサイトにいってみると、あっさりと詳細な地図が手に入り、さらに現地の写真レポートもついていて、
橋の位置関係がすんなりと頭に入った。
ついでに、天神祭について写真を調べて、今年の開催日が7月24,25日であること
を頭に入れ、祭り囃子をyoutubeで視聴すると作品で描かれた季節がよりすっきりとした。

溶けるアスファルト、かき氷、雨、淀んだ川、薄墨色の巨大なお化け鯉、
天神祭の祭り囃子、青い焔に包まれながら川面に落ちる蟹、
祭りの花火に映し出される友達の母親の顔と彼女の肉体にからみつく男性の肢体、
そして廓船を追いかける巨大なお化け鯉。

男の子の成長と絡ませて描いた初夏の風景が、幻想的で深い印象を残す。

「蛍川」についても、いたち川の風景と、冬の富山、越前岬の写真をネットで眺めた後、読みはじめる。

冬の富山、越前岬、そして焔のように舞い上がる幻想的な蛍の大乱舞。
やはり、思春期の男性の成長と絡ませて描かれた蛍の舞う風景が深い印象を刻み付ける。

どちらも、さすがに、作者が何度も改稿を重ねた続けて完成した作品だけあって、完成度が高く、
最終稿は程よく描きこまれた文章になっており、

作品に読者が自由に解釈できる余地を残して終了するところがいい。

一時間ほどで読了したが、予想通りの幻想的な絵に出会うことができ、
しっぽりとした、いい時間を過ごした。

次はいつ再読するのだろうか?

もし本書を手にしたことがない方がおられたら、
是非、手に取られてください。

見たこともない幻想的な絵に出会うためだけでも、本書を読む価値があります。
蛍川・泥の河 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:蛍川・泥の河 (新潮文庫)より
4101307091
No.30:
(5pt)

やっぱ、名作

こんな作品を読んでほしいですよ。(笑)
昨今、突飛な物語の本ばかり目にしますが
こういった人間の本質を書いた作品がやっぱ読みたい。
蛍川・泥の河 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:蛍川・泥の河 (新潮文庫)より
4101307091
No.29:
(4pt)

少年にはどうしようもできない時代の過酷さ

著者は、『泥の河』で太宰治賞、『螢川』で芥川賞を受賞した宮本輝。
(H6.12.1 – H21.6.10 19刷)

戦争直後の大阪で、河の畔に住む少年と廓舟に暮らす姉弟の交友を描く『泥の河』
北陸富山が舞台の螢があやなす妖光に生死を越えた輝きを見る『螢川』

『螢川』はあんまり印象に残らなくて、『泥の河』が自分は強く印象に残った。
戦争後のじめじめとした何でもない子どもたちの日常を、巧く子供の目線から描いた『泥の河』は、読んでいて少年時代の繊細な感情の変化に心を打たれた。
ぬくっと終わる話の閉め方も、あれはあれで貧しさからくる陰鬱とした雰囲気を上手に表現していて、少年にはどうしようもできない時代の過酷さが垣間見えた。
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4101307091
No.28:
(5pt)

ひとまとめの

かわ三部作をもともと持っていましたが失くしたので探したところ一冊にまとまったこの商品が。好きな作品でしたしハードカバーのほうが大事にできるかと思い購入。
瞬間の表現が瞬間的さ、ただよう空気感の空気っぽさが作品世界へのたまらぬ憧憬を誘います。
泥の河・蛍川・道頓堀川 (宮本輝全集)Amazon書評・レビュー:泥の河・蛍川・道頓堀川 (宮本輝全集)より
4106454017
No.27:
(5pt)

いい本です。

文章の力があって、いい本です。とっても悲しい気持ちになり、引き込まれました。今まで気にしていた作品でしたが、やっと読めて、ああ、こういう本だったのかとしみじみしています。
蛍川・泥の河 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:蛍川・泥の河 (新潮文庫)より
4101307091
No.26:
(5pt)

描写力に脱帽

『泥の河』は太宰治賞、『蛍川』は芥川賞を受賞した作品。

『泥の河』は活気に溢れ、賑やかな町の雰囲気漂う大阪を舞台に、
小学2年生の少年・伸雄と水上生活者との交流を軸にしたお話。
決して裕福とは言えないが仲の良い両親と共に生きる伸雄と
父を亡くし、母が淫売をしてかろうじて生きのびている銀子と喜一の2人。
時代の流れに取り残されてしまったような貧しい一家を見る少年の目線を通し、
残酷とも言える世の中の不公平さがなんとも言えず読者に迫ってきました。
世界観に引き込まれあっと言う間に読み終わってしまいました。
これが処女作というのが凄いです。

『蛍川』は一変し、北陸富山県が舞台。
主人公の竜夫は中学2年生。思春期の青年の身に起こる辛い出来事の数々。
父が病で倒れ、他界。母と共に故郷に残るのか、親戚のいる地へ身を寄せるのか。
親友の事故死。そして同級生に抱く淡い恋心。
不安定に揺れ動く心を持ちながら、
一生に一度とも言える絢爛たる蛍の乱舞を見るために出かけます。
生と死を超えた命の姿そのものを蛍火に映し出したかのようなラストシーンは圧巻でした。
『何万何十万もの蛍火が、川のふちで静かにうねっていた。
そしてそれは、四人がそれぞれの心に描いていた華麗なおとぎ絵ではなかったのである。
蛍の大群は、滝壺の底に寂寞と舞う微生物の屍のように、
はかりしれない沈黙と死臭を孕んで光の澱と化し、
天空へ天空へと光彩をぼかしながら冷たい火の粉状になって舞いあがっていた。』
実際に目で見たかのように伝わってくる描写力に脱帽です。
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4101307091
No.25:
(5pt)

忘れてしまった心

「泥の河」は高度成長に入る前の大阪での出来事。
戦前の名残を残すような風景や、社会の仕組みを否応なく感じさせる本でした。
まだまだ、こういった作品を読むには私には人生経験がなさ過ぎるようです。
行と行の間に垣間見える哀しさ、美しさが何とも言えない余韻を残す名作です。
「蛍川」にも感じられましたが、土のなかにしっかりと根を生やそうとする、
この時代の人たち、風土などを感じました。
初期の作品とは思えないような、哀愁のある、厚みのある作品です。
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4101307091
No.24:
(5pt)

泥の河はあの時代そのもの。

敗戦の傷跡が色濃く残る大阪。

川は汚物にまみれ、不愉快な生物が育ち、逆に、時に人は命を落とす。人達は弱くて、下品で、猥雑で、不親切。
その川沿いに住む少年、友人、そして、かれらの家族たちの複雑に絡み合う心の綾が、鮮やかにしかもリアリティーをもって描かれている。

彼らの切なさ、悲しさ、貧しさ、寂しさ、でも、抱きしめたくなるほどの愛おしさとは、”あの時代”そのものだと思う。

あの頃はなにもなかった。でも、本当になにもなかったのかと読者に問う作品でもある。
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4101307091
No.23:
(5pt)

本当に大切なものは全然違うところにあるのかもしれない

12年前に手に取った私にとって初の宮本輝作品、久し振りに読んで変わらぬ余韻を味わうことができた。著者の主要作品の中でも本書が一番好きだ。

著者の他の長編現代作品では、読み終えた後に物語がどうだの表現がどうのだの述べることもできる。しかし、本作品を含む短編河三部作となると、どうしたことかそんなことを語る気すら起きなくなってしまう(私自身にそのように語る力量が備わっていないからかもしれないが)。行間に、そして本を閉じた後に浮かぶ情景に身を浸して心地よければそれで良い、となってしまうのである。そこで何を感じるかは人其々であろうし、このような作品ではその感じ方も幅広いだろう。むしろ、読み手の過去や現在によって何を想起させるか、その幅が広いことこそがこれら作品の良さを物語るのかもしれない。

日々を生きる中で本当に大切なものって、実は普段自分達が考えていたり信じていたりするのとは全く違うところで、ぽつねんと取り残されるように佇み、私達に見つけられるのを待っているのではないだろうか。私にとって本作品はそう感じさせられるものだった。
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4101307091
No.22:
(5pt)

タイムスリップ

「泥の川」を読み始めるとすぐに昭和30年の大阪にタイムスリップします。
貧しいけれども人と人が裸で付き合っていた時代です。
そこでうどん屋の子せがれになって、きっちゃんというかけがえのない友達ができます。
川の匂いが感じられるようになれば、お化け鯉を見つけることができるかもわかりません。
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4101307091
No.21:
(5pt)

久々に

非常に楽しませていただきました。
小説の真髄を見せていただいたような気がします。

泥の河は取り上げているテーマに反して非常に美しかった。
批評めいたことはあまり書きたくないので内容に触れることは避けますが、兎に角ご一読されることをお勧めいたします
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4101307091
No.20:
(5pt)

宮本輝、川三部作

宮本輝の川三部作がこれ一冊で読めます。
この本が私を読書の虜にした本なのです。

心をあやつる巧みな描写、解りやすくすらすら
読めるから、読み出すとストーリーに引きずり
込まれもう夢中になり、止まらない…。どれも、
これも、感慨無料の余韻が残る最高傑作です。
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4106454017
No.19:
(5pt)

泥の河 昭和30年頃の庶民の心情を描いた秀作

大阪の堂島川と土佐堀川が合流する安治川が舞台である。時代は敗戦の影響がまだ残る昭和30年頃。国道では、まだ馬が荷車を引いている。安治川の岸にある小さなうどん屋の8歳の息子と、泥の河=安治川に浮かぶ郭(くるわ)舟で暮らす8歳と10歳の姉弟との交流を描いた作品。貧しいが他人を思いやる心を持った庶民の生活が目に浮かぶ。その後の
日本は年率10%の高度成長を遂げ、世界第二の経済大国になったが、失ったものも多い。過去に戻れない我々は何を目標に生きるべきか。
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No.18:
(5pt)

芸術的な作品

どちらも、短いページの中に必要な場面と描写だけが載っている。
それは如何に推敲して無駄を省いたかが判るような筆跡で、
とてもサッとは読めない作品でもある。

そのせいもあって、最近の手軽なミステリー本を読み慣れた人には、
読みづらいと思うし、つまらないと思う。

そうは言っても、晦渋で難解なわけではない。

無駄な装飾が一切省かれ、まるでスルメのように、
読めば読むほど味わいが増すような、
今ではなかなかお目にかかれない、古き良き文学の味を残したものだからだ。

これを読めば、さすが芥川賞、或いは太宰賞と思えるはずだろう。
そして如何に最近のそれらが質を落とし、形骸化しているかが判る作品でもある。
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No.17:
(5pt)

この2作は傑作、色んな意味で切ない。

宮本輝先生の初期作は「錦繍」あたりまで追いかけていたのですが、
いまは、渡辺淳一先生と区別がつかなくなってしまいました。
この2作は傑作、色んな意味で切ない。
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4101307091
No.16:
(5pt)

2つの川

私にとっては2つとも、忘れがたい作品でした。
地味でノスタルジック、そし美しく、完成度の高い作品だと思います。
主人公の少年の複雑で多感な時期から青年になる節目に生まれた
友情、初恋。
残酷で悲しい現実。
細かな描写でまるで映画を見ているかのようにその時、その時の情景が
浮かんでくるのです。
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4101307091
No.15:
(5pt)

昔日の田園風景

この作者の描き出す昔日の田園風景(川辺風景とでも言おうか)の世界は、幼少期特有の暗さを美しく表現している。精緻ですうっと読めてしまう文体も、美しい日本の描写に適している。会話中の方言は頭の中で心地よいリフレインを奏で、物語の中へと一層引き込んでくる。"お化け鯉"や"蛍の大群"のような土着の思い出が私にもあったものか、と思わず回顧してしまいました。
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No.14:
(5pt)

やるせない気分でいっぱいになる名作「泥の河」

戦後の時代、大阪にある安治川と呼ばれる泥の川を舞台にそこのまわりに暮らす人々の人間模様が描かれているのが太宰治賞を取った「泥の河」です。その川には、泥のなかから沙蚕を採る老人がいたかと思えば、いろんな物が流れて来る、台風の後は、窓枠といっしょに額縁つきの油絵や木製の置物なども流れて来る、それを子供達は拾うのが楽しみだったとか。時にはへその緒のついたままの赤ん坊の死体が流れて来たり。そこには生と死がごちゃまぜになって、戦後の川縁の情景がそのまま読者に迫ってきます.その中で川縁に大らかで仲の良い両親が経営する食堂の子、小学2年生の信夫は、新しくその川に越して来た郭舟に母と姉と暮らす喜一と、とっても仲良しになります。この無邪気なふたりの少年、今の時代にない、見たもの聞いたものをそのまま何の余念もなく受け入れる全く清廉で純粋な可愛い少年たち、決定的に異なるのは、喜一のお母さんが娼婦であるという事。宮本輝の大きなテーマである、残酷な「この世の不公平」は、ふたりの純粋性を砕きます。宿命的な「この世の不公平」に対するもどかしさに苛立ちながら、このふたりの天真爛漫な子供達を中心に、川縁に繰り広げられるさまざまな描写には何ともやるせない気持ちでいっぱいになり、読んだあとは、ため息がでます。太宰賞を取った数ある作品の中でも私は一番の名作だと思います。
蛍川・泥の河 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:蛍川・泥の河 (新潮文庫)より
4101307091
No.13:
(5pt)

感動した

宮本輝氏のデビュー作であり代表作でもある二編の作品を収録している。氏はこの『泥の川』で太宰治賞を、『蛍川』で芥川賞を受賞しており、『蛍川』の方は映画化もされている。それだけでも読んでみる価値があると思う。
 二本ともどちらかと言えば地味。文体、構成、展開等も堅実で第三の新人のような丁寧さがある。。『泥の川』はドブ川の河畔に住むうどん屋の息子と素性の怪しい(読んでいれば家庭環境等も分かってくる)家の息子との交流を描く作品で、生活の中で感じられる儚さや乗り越えられない身分の壁などが主体となっている。情景描写や綿密に編み込まれた挿話など、よく考えてあると思ったが、この作品は起伏が少なく正直に言えば少し退屈した。登場人物が非常に幼いという所もあって微妙な箇所もちらほらあった。一方、『蛍川』では青年期を迎えた少年の感覚を通して、身の回りの死や性などと言う物が鮮やかに語られており、感情にダイレクトに訴えかけられたような気がした。解説者にストーリーテーラーと言わしめた事だけはあり、鮮烈で印象深い数々の出来事に引き込まれ、物凄く感動した。読み継がれるべき名作だと思う。
 地味で堅実な味わいの作品二編、そういったものが好きな人には勿論、興味のそれほど無い人にも是非読んでもらいたい。
蛍川・泥の河 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:蛍川・泥の河 (新潮文庫)より
4101307091

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