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ハリー・オーガスト、15回目の人生
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ハリー・オーガスト、15回目の人生の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.43pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全24件 21~24 2/2ページ
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ハリーは1919年に英国エジンバラの東にある駅の公衆トイレで私生児として産み落とされる。やがて70代で一度生涯を終えるものの、それまでの70年の記憶を保ったまま再び1919年の駅のトイレで産み落とされることになる。彼はカーラチャクラと呼ばれる種族のひとりで、何度死んでも人生をもう一度やり直すことができるのだ。これは彼が繰り返す人生の最初の15回、およそ千年にわたる物語だ。 ------------------------- 記憶を保持したまま人生をやり直し続ける物語にはアメリカ人作家ケン・グリムウッドの名作SF小説『』があります。先の人生で味わった遣り損ないや犯してしまった失態を、やり直しの人生でなんとか補正し、そして自分と同じような宿命をもった女性との出会いを通して、より充実した生へとたどり着こうとする男の物語です。あの小説を読んだときの興奮は今も忘れることができません。 今回の『ハリー・オーガスト』は、どんよりと曇りがちなイギリスの空模様に合わせたかのように、『リプレイ』に比べるとダークな雰囲気が強い物語です。ハリーは当初こそ、前の生涯では解明できなかった人生の意味について知ろうと、次の一代では様々な宗教や幅広い学問領域に分け入っていく努力を重ねます。 私のようにこれまで50年以上、悔やむことの常に多い人生を歩んできた者の目には、次々と知識と情報を自らのうちにため込みながら新しい人生を始めることができるハリーはうらやましくて仕方ないという気持ちになりそうです。 しかしそれでも人間に必要なのは知識や情報ではないということを指摘する至言がハリーの前にそっと差し出される瞬間があります。読んでいる私も虚を衝かれる思いがしました。 「ねえ科学者先生、もしあなたが世界中の男を優しく世界中の女を美しくする機械を作る理論を立てたところで、その機械を作っているあいだに、通りを渡ろうとしているおばあさんに手を貸してあげなければ意味ないの。わかる?」(289頁) この言葉をハリーに投げる人物は、かりに飢餓や核戦争の終焉を導くことができても、心が「お留守だったら意味ない」と言葉を継ぎます。「まっとうでない人の人助けなんて機械いじりと同じだもの」 寸鉄人を刺すがごときこの言葉を胸にハリーは、小説の後段、宿命の相手と対峙しながら「機械いじり」とは異なる「まっとう」な人生を歩んでいくことになります。 それはこの小説が、ハリー個人が己の人生の充足を求める旅路の話から、全人類の命運を掛けた壮大な魂の物語へと激変していくことを意味します。 500頁強の怒涛の物語を、私は堪能しました。 ------------------------- 翻訳は雨海弘美氏。同じ角川文庫で先年、ヒュー・ハウイーのこれまた壮大な年月を描いたSF巨編3部作『』、『』、『』を見事な日本語に移し替えた人物です。今回の『ハリー・オーガスト』を途中で一度として倦むことなく読み通せたのも、ひとえに雨海氏の名翻訳のおかげです。 ただし、ヒュー・ハウイーの3部作のレビューでも指摘しましたが、十分な校閲ができる人が角川文庫編集部にはいないようです。今回も誤字脱字の類がいくつかありました。 以下に指摘しておきますので、今後の増刷で修正されることを強く期待します。 *180頁:「ヴィセント・ランキス」とありますが、正しくは「ヴィンセント・ランキス」です。「ン」の字がひとつ足りません。 *328頁:「激論を戦せている」とありますが、正しくは「激論を戦わせている」です。送り仮名に「わ」の字が欠けています。 *331頁:「スタッフの指示はかなりなおざりだった」とありますが、ここは「おざなり」のほうが適当だと思います。「おざなり」はいい加減でも"何かする"。「なおざり」はいい加減で"何もしない"、という部妙な違いがあります。 (以下はNHK 放送文化研究所HPより引用)<教育を[おざなり/なおざり]にする。「おざなり」の場合は、いい加減ではあってもひとまず教育をする、という意味になります。いっぽう「なおざり」の場合は、教育らしきことはほとんど何もしない、という意味になります。> ハリーが目にしたスタッフはいい加減でも何か指示はしたので、「おざなり」のほうがふさわしいといえます。 *363頁:「精神病院があふれかえる」、401頁:「精神病院に送られる子供」とあります。確かに時代設定は20世紀なので、当時の言葉遣いとして「精神病院」で間違いないということも可能かもしれませんが、念のために申し上げると、現在では「精神科病院」としたほうが適当です。 2006年に、「精神病院の用語の整理等のための関係法律の一部を改正する法律」が成立し、「精神病院という用語には、精神病者を収容する施設というイメージが残っており、そのことが、精神科医療機関に対する国民の正しい理解の深化や患者の自発的な受診の妨げとなっている」ため、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等における「精神病院」という用語を「精神科病院」という用語に改めること」になりました。(参議院法制局HPより引用) | ||||
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一気に読んでしまいました ここ数年無いほど没頭出来る物語 まさしく『リプレイ』ものですが、さらに飛躍したアイデアと世界観の中で楽しめます 蛇腹のように永遠に繰り返す人生はひとりでは辛いでしょう けれど過去未来現在に同じ仲間がいるというのは何とも心強い 彼の永遠にも続く人生を知りたくなります | ||||
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ループ物は媒体に関わらず色々あるが、その中でも断トツの最高傑作。記憶を消してもう一回読みたい。 | ||||
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1000円を超えるので躊躇していたが、評判がめちゃくちゃ良いので購入。 結果、後悔しなかった!一本の長編映画を観たような気分に。 死んでも、うまれたときの状況にまた戻る主人公と、同じ体質を持つ人々の集団、クロノス・クラブ。 この体質の使い方が、今までにない。記憶を蓄積し、あることを目論むライバルも魅力的。 最後の方は続きが気になり一気読み、男同士の友情が響く。 なんだか支離滅裂になってしまいましたが、興奮さめやらぬうちに感想を書いておきます。 | ||||
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