■スポンサードリンク
(短編集)
半席
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
半席の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.09pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1~11 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「半席」「真桑瓜」がとても良い。 直人の父が最初に付いた「小十人」という役職は大河ドラマで渋沢栄一が一橋家で最初に付いた役職でした。青山文平さんは本当に深くきっちり調べているので、リアリティは半端なく、片岡直人、内藤雅人の設定、描写も申し分なく、 三五屋に出て来る食べ物も皆美味しそうで、ほうじ茶まで思わず飲みたくなる。 藤沢周平を継ぐ作家かと言われいますが、新しい流れが生まれつつあると思います。 なんと作家は1948年生まれで、私より年上でこれが一番驚いた。これを読んだらすぐに「泳ぐ者」を是非。続刊のストリートにタイムラグがありません。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
短編掲載をまとめたものとはいえ、冒頭がどれも同じなのでもう少し整えてから出してほしかった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
青山文平は、小説家の前に、研究家だ。 江戸時代、あまり注目されない下級武士や農民たちの日常を深く深く調べ上げる。 だからここまで書けるのだ。 そこまで書かなくてもいいと思う読者もいるだろう。 しかし、そこを書かなければ、青山文平の時代劇は成立しないのである。 彼の描く主人公の愚直さは、彼の愚直さなのでもあろう。 共感する。 シリーズ化して欲しい。 ただ、片岡直人という名前は、某パフォーマーを思い浮かばずにいられないので、 できれば、変えて欲しいのだが。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
父は、御目見以上の役に就いて旗本になったが、その後役を解かれて御家人に戻った。一代御目見以上だった。片岡直人は、今の半席の状態からもう一度御目見以上になり、子も生まれた時から旗本である永々御目見以上になるのをを目指している。今の徒目付は、そのための腰掛のつもりであったのだが、次第に徒目付の表の仕事はもとより、徒目付組頭の内藤正之から押し付けられる幾つもの裏の仕事に魅力を感じていく。この裏の仕事とは、決着がついて刑が決まったしまった科人が、なぜそんな罪を犯したか明らかにするというものだ。謎を解くための着想を得る過程が、なかなかに面白い。その中で、片岡は成長していくのだ。片岡の心の動きを読んでいくのは、魅力的であった。終わり方も、さわやかでいい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
筋書きが、この時代の武家社会の階級風習などの、説明が、くどすぎて、肝心の本筋になかなか入り込めなかった。一編を残して残念。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
固い本ばかり読んでいたので、青山文平氏の本を頭休めに読んだ。しかし、内容が濃くて頭休めにはならなかった(おもしろかったので実際には頭休めにはなったのだと思うが)。 内容は、父子代々のお目見えを果たすことによって旗本になることを目的にしている、若い御家人・片岡直人の話しである。父は御目見を果たしたが、じぶんはまだその機会を得ることができず、父子二代の御目見よってようやく旗本に昇格できるので、直人のような御家人は「半席」と呼ばれるのだそうだ。こんな言葉は初めて知ったが、まさに作家は一般の読者以上に、文献も書と呼ぶことができるのなら、読書家であるということをこの作家、青山文平氏、から改めて知ったのである。 一話ごとの六編の短編形式になっているが、主人公もその上司の徒目付組頭(これがまた人間的に味わい深い人なのだ)を初めとして登場人物の幾人かは代わらずに出てくる。 直人は徒目付の役柄、犯罪事件や殺傷事件に立ち会うことが多いが、この話はその捜査に関する刑事物のような話しではない。当時の事件は加害者、或は犯人が自白をすればその事件に至った経緯は特に調べないことが普通だったのだそうだ。よって、被害者の家族や身内は、徒目付に礼金を与えることで、加害者の刃傷沙汰の動機を調べてもらうのが常だったのだそうだ。この話は直人が上司の徒目付頭から、公務とは別に調べた複雑な人間社会の営みを描いたものである。 この辺は藤沢周平の書き様を思わせるが、文体は全く違うので、新鮮な感覚で読むことができるのだった。読書量の多さと複雑な人間心理を心得ていなければ書けない内容である。それぞれの話が人の不可思議さをよく捉えていて、見事だと思った。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
初めての作家の作品。読むのが辛すぎて、途中辞めしようと何度も思った。残念ながら、全く自分に合わなかった作品。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
誰が何をやったかはわかっているが動機が分からない。 下級武士の主人公がそれを解き明かす物語。 その動機は当時の武士ならではの心情であったり、時代の違いにかかわらず共感できる物もある。 家族一族のための出世か自分の生きたい人生か? 役人としてのしがらみも感じられ警察小説っぽくもある。 最後の一篇で岐路に立たされる主人公。 個人的には主人公には出世してほしいがどうなるのか? 謎めいて魅力的なキャラクターもいる。 シリーズ化は無理だろうか? | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
出来事そのものには疑いはない。しかし、原因が分からない。当事者が口をつぐんで語ろうとしない、殺傷事件の思いがけない理由。 ホワイダニットモノの時代ミステリのスタイルでスタートする連作ですが、ミステリ色はだんだん薄れていって、代わって色濃く描かれるのは身分と慣習がものをいう江戸の侍社会に生きる、末端武士たちの哀しい生きざまであります。 いずれの事件も明確な悪意があったわけではなく、些細な行き違いや、他人にとっては何でもなくても当人には絶対許せない「禁句」によって一線を越えてしまったための衝動的な行為なのが傷ましい。まことに「人臭い」本格武家小説の看板に偽りなし。ただ物語の構成そのものはいたってシンプルなので、ミステリを期待の読者には拍子抜けかも。 個々の事件の人間模様が印象深い一方で主人公の片岡直人はじめ、真相を探る徒目付たちの描写が薄いといおうか軽いといおうか。結末もシリーズ化に色気を出した予定調和的なもので何だか脱力。 それともともとは雑誌掲載の短編をまとめたものなので仕方がないといえば仕方がないのですが、毎回、直人たちの設定など、同じ説明が長々と繰り返されるのはどうなのでしょう。単行本にまとめる際に削ってしまってもよろしかったのでは。 第五話「見抜く者」が、事件が起こってから結末まで10ページのスピード解決でびっくり。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
見事としかいいようのない短篇集である。 冒頭から読み進めるにつれ、小説を読む喜びに満たされ、心がほぐされていく。時代のなかで格闘する侍たちと、私たちの姿が重なって見えてくる。これはいまの物語でもある。冒頭「半席」から最終話「役替え」まで六篇すべてが、本書の作品世界を確かに構築しており、何も省くことができない。 著者は時代小説の定型的情緒を排し、作り物でない本物の感情から目を逸らさずに描いている。それが各篇の完成度を高めていると思われる。主人公の若い徒目付片岡と老侍たちのコントラストもきわめて鮮やかだ。ひとの心のやわらかい部分に、ひたと眼を据える若い片岡。ドラマティックな場面である。 その片岡の出発点こそ、表題作「半席」である。単行本からの再録はまったく問題ではない。いや、収録はむしろ必然である。なぜなら、主人公の立脚点と、本書のライトモチーフがくっきりと示された短篇だからである。著者は、入念な狙いをこめて冒頭に配置したにちがいない。それゆえであろう、読了後にふたたび冒頭の「半席」に立ち戻り、円環的な読書に誘われる。短篇集の至福というべきである。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
著者が「白樫の木の下で」で颯爽と登場したときは、団塊の世代が還暦を過ぎて書き始めたと思っていたので(そのときは、以前、影山雄作の名前で書いていたことは知らなかった)新しい時代小説家が現れたと、もろ手を挙げて喝采した。 その後、「鬼はもとより」「つまをめとらば」と遅れてきた小説家が、その遅れを取り戻すかのように次々に作品を発表し、そして、今回の「半席」だが、内容を立ち読みする前に、青山文平氏の新作と思い購入した。内容についてのカスタマーレビューは、他の方が書かれると思うので、あまり触れず、出版の不満について申し上げる。 最初の短編がタイトルの「半席」である。読み始めてすぐ分かった。前に読んだことがあるのだ。月刊誌は読まないので、単行本で読んだ記憶がある。文末の初出を見て分かった。以前の短編集「約定」に掲載されているのだ。それも2年前に同じ出版社からだ。短編集は、文庫化するとき違うタイトルにすることがよくあるが、せっかく名の売れ出した作家がこんなことをしてはいけない。短編の使いまわしは、書くことがなくなった晩年の作家がすることだ。同氏の意向だとは思いたくないので、出版社の指示なのだろうか。 2年前に読んだ小説のタイトルくらい覚えておけと言われれば、その通りなのだが…。 ただし、今回の作品は、全編、若き徒目付の片岡直人シリーズなので、第一作目の「半席」から収録したいという著者の気持ちも理解できるので評価は5とする。第二作目以降の、事件の「真の動機」を主人公が探り当てるストーリーの展開は、帯にもあるように正統派時代小説の名作シリーズとなるだろう。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!