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ララバイ



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【この小説が収録されている参考書籍】
ララバイ (ハヤカワ・ノヴェルズ)

ララバイの評価: 4.18/5点 レビュー 11件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.18pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全11件 1~11 1/1ページ
No.11:
(3pt)

リアリティとフィクション

チャック・パラニュークらしい現代社会の歪みを皮肉るようなリアリティのある物語を軸に、魔術や魔女といったフィクション要素を融合させ、独特の世界観と驚きの展開が繰り広げられる作品

今作でも、グロテスクとも言える詳細な場面描写、驚きのうんちく、時系列の入れ替え、定型表現の繰り返しなど、パラニュークらしい作風は顕在であり、著者のファンには楽しめる作品だろう

個人的には物語全体としてそれなりに楽しめたが、少しグロい描写が多すぎる、特にオイスターがヘレンにした仕打ちが余りにも酷すぎて胸糞が悪かったのと、その後の肝心の結末が書かれていなかったのは残念だった

余談だが、うんちくが多いところなどオイスターが若干タイラー・ダーデンと被って見えて、主人公の語りが映画ファイト・クラブのエドワード・ノートンの声で再生されてしまうのは私だけだろうか
ララバイ (ハヤカワ・ノヴェルズ)Amazon書評・レビュー:ララバイ (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
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No.10:
(5pt)

面白い

ちゃんと丁寧に全部の伏線を拾ってくれるので安心して読める。あと、魔術が話の内容と地続きになっていてリアル。
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No.9:
(4pt)

「どくさいスイッチ」の、

説得力ある発展形の話として、殺せるなら殺さないと意味がないのよ。倫理の問題じゃないんだ。人間がそうできてる。
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No.8:
(4pt)

「奇才」を返上したパラニューク

「ファイトクラブ」「サバイバー」「インヴィジブル・モンスターズ」では奇才ぶりを縦横に発揮してきたチャック・パラニュークだが、その奇才ぶりは本書では抑えられ、時空列の攪乱もなく、ストレートに、スムーズに読める。

ストーリーも、特に斬新なわけではない。

乳幼児突然死症候群を取材する新聞記者ストリーターは、悲劇に見舞われた家に残された「世界の歌と詩」という本に注目し、その27ページ目の「間引きの歌」が死をもたらす呪文と知る。
もしもこの呪文をテレビやラジオで流したら?世界の人口問題は一気に解決する。

ストリーターは、幽霊屋敷を売り付ける不動産や・ヘレン、その秘書で魔女クラブを主催するモナ、モナの恋人で、ファナチックなエコ主義者オイスターとともに、残存する本を破棄するためにアメリカ大陸を横断する。

ね?ちっともま新しくないでしょう?

しかも、この作品には明らかな欠点というか、欠陥がある。
まず、ストリーターとヘレンの恋だが、これはなんだ?一片の魅力もない中年の男女、ピークとなるはずの遊園地の描写にも情緒がまったく感じられない。

また、モナの魔女ぶりが幼稚で、白魔女にハマる小学生みたいなのもしらけてしまうし、オイスターに至っては登場させる必要がそもそもあるのかどうか。

それにも関わらず、本書からは何かとても切迫したものが伝わってくる。その正体はなんだのだろう?

おそらくそれは読み手によって異なるだろうが、私にとっては「生きることの呻き」「ぎりぎりのところでの祈り」だった。

ストリーターの述懐を待たずとも、彼が妻子に何をしたのかはわかってしまう。
だが、後書きを読んで、パラニュークの父親がどのような犯罪の犠牲となったかを知り、虚をつかれた。

人は誰でも、愛する者を死に至らしめる原因となり得るのであり、何をしたかと同時に、何をしなかったかを問われる。
死を解放ととらえない限り、人間存在には救いはない。
そして、生きていれば、「愛する者を失うよりも悪いこと」が起きる。

しかし、読後は明るいと言っていいほどで、賢者を意味する[sage]が、部長刑事を差すというのも、また妙である。 

パラニュークの邦訳は5冊で止まっている。
死を意識することにより輝く生の実感(「ファイトクラブ」「サバイバー」)、人間として当たり前の、ささやかな幸せを求める叫び(「インヴィジブル・モンスターズ」「チョーク!」)、そして、本書。
新たな作品の邦訳を待つ。
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No.7:
(5pt)

パラニューク最高

内容は読んでくださいと言うしかないのですが、
現在一番好きな作家です。
現在性を感じます。
この本以降のものが翻訳されていないのが非常に残念です。
だれか訳してもらえないでしょうか?
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No.6:
(4pt)

真の文学の魅力

悪い点から上げると、ストーリーやキャラが分かりづらい。説明が薄く、所々の描写も凝っているので、つかみにくい。主人公と対決するナッシュやオイスターという男は、一体何者だったのだろう?キャラクターに共感しづらいのが、一番の欠点かも知れない。ヘレンとストリーターのラヴストーリーとも言える話だが、2人共に素性が明かされるのが後半だ。主要人物を謎にして引っ張るのは、パラニューク小説の魅力でもあるが、今作ではそれが裏目に出ていた気がする。彼らの悲劇的な素性が分かっても、非日常的すぎる事がドライに描かれている。そのため、共感がわかない。

 が、この小説「ララバイ」は、そういったアレコレを吹き飛ばす魅力を持っている。というか、パラニューク小説にとって、そういう事はどうでもイイとも言える。
 パラニューク小説は、一番に詩的な警句が魅力的だ。ここでも、ビッグブラザーの文に代表されるように、数多くの魂を揺さぶるパラグラフ、パッセージがある。また、同じ文体を多用するのもイイ。“地平線までずっと黄色だ。レモンの黄色ではない。テニスボールの黄色だ” これ以外にも、共通した文体がさまざまな形で描かれる。作家らしい言葉遊びだ。他にも、新鮮な技術を学べることが多いので、小説家や映画監督志望の人なら、読む価値大いにアリだろう。
終盤のチャプターが光っている。終わりよければ全て良しの通り、ここまでイイと作品全体が輝きを放って見える。それまでばら撒かれていた詩的な警句やパラグラフが、後半一気に繰り返される。しかも、それは文脈的、物語的にも符合している。また、ちょっとしたサスペンス・ツイストも用意されていて、娯楽的にもOKだ。それを知って序章をもう一度読むと、本当に楽しめる。

 大抵の小説は、全て読まないと魅力を味わえない。しかし、この「ララバイ」のような小説は、すぐに読者に美味しいごちそうを与えてくれる。たった、1文だけで鳥肌が立ってしまう。一瞬固まってしまう。何週間もかけて読み進めたり、複雑なストーリーや人間関係を把握する必要もない。素晴らしくセンスのいい冒頭句だけで、充分満足させられる。パラニュークの小説を読むたびに、そういう真の文学の魅力に気づかされる。
 ご存知の通り、パラニューク小説はこれ以降、日本では出版されていない。アメリカの現代作家では3本の指に入るくらいになった今でも、日本ではパラニューク再評価の兆しはないように思える。それはあまりにはがゆく、残念なことだ。■
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No.5:
(3pt)

解説よりも訳者あとがき。

おもしろいんですけど、個人的には川本氏の解説よりも、池田真紀子さんの訳者あとがきの方が読みたかったです。

ジャンプに連載中のデス・ノートとの類似性がどうこう言われた時には、本当に冷めました。

面白い話を面白く解説するのって、とても難しいですよね。

普通に考えれば星四つなのですが、そこのところを取って星マイナス1.
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No.4:
(3pt)

問題作

メインアイディアは確かに面白いんだけど、ストレートにホラー過ぎて
意外と得意のアジテーションとかみ合っていない。
「あり得ないけど絶対にないとはいえない」ぐらいのアイディアの方が作風に合ってると思う。
(「はらわた−聖ガット・フリー語る」はその辺のバランスが良かったな)
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No.3:
(5pt)

パラニューク、ついに100%の逸脱!

毎度毎度ののことながら、本書も度肝を抜く一冊だ。これほどブラックで、自由で、混沌、しかしながら計算し尽くされた仕掛けに満ちた作品なんぞ、容易には見当たるはずもないだろう。
 しかもこの作家の素晴らしいところは、作品のすべてに対しても、同じことが言えるということだ。
 ある意味、作品をまたぐ共通項は存在する。現在の時制にこだわった悪夢的なリフレイン文章の挿入。豊富なイメージのコレクション。雑学の広がりと深まり。最初に衝撃と謎を置いてスタートする、スピーディでテンポのよい構成。伏線、また伏線、一見収集のつきそうにないストーリー展開を、最後に手際よく纏め、そして心を引っ掴んでゆく得体の知れない何か。全作が全米ベストセラーになる秘密が、どこか、このあたりにある。
 本書は、ある意味、100%の逸脱である。これまではパラニュークは奇想で作品を成立させていたものの、そこにはアメリカに現存する種類の狂気があった。つまり地に足の着いたストーリーであり、どこまでもリアルな何ものかであった。
 本書は違う。超自然現象、オカルト、超能力、魔女たち、魔術、呪文の世界だ。だからと言ってファンタジーではなく、これはノワールである。類稀な破壊衝動と暴力とに満ち溢れた、世界最悪の物語だ。それでいてスタイリッシュ。綺麗でお洒落な作りであるところは、これまでと全然変わらない。しかしそれでも、負の迫力だけはやたらに強い。
 だからこそ主人公の葛藤がある。だからこそ、戦いへの決意があり、必死がある。だからこそ、徒労がある。再生がある。愛がある。慈しみがある。世界は暴力に満ちていて、突然の死に満ちている。
 乳幼児突然死症候群の取材を行った主人公は、いつも同じ本が同じ頁を開いている不思議な偶然に出会う。子守唄代わりに母親が読んで聞かせた本の一行は、ララバイではなく、実は間引きの歌。黒魔術に詳しい秘書を抱え、呪われた家屋敷を専門に扱う不動産斡旋業者である女との恋。悲観論的文明批判論者であり環境テロリストである青年は、人類は神がトイレに捨てたワニみたいなものだと嘯く。彼らの中心にある殺人破壊の呪文を、焼き尽くすために、本を求め全米の図書館を尋ねる旅に出る。
 何という突拍子もない展開だろうか。なんという着想だろうか。なんというクールさ。なんという暴虐だろうか。現代文明に潜む狂気とエネルギーを相手取り、凄まじい意欲で書かれたと思われる本書の緻密さと、過激さに、ともあれ乾杯したい気分だ。
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No.2:
(5pt)

新境地

今までのパラニューク作品では、奇妙な出来事が起こっても、
その想像力はリアリズムの範囲内に収まっていた。
だが、『ララバイ』において、パラニュークはその枠を
ざっくりととっぱらい、我々の世界に魔法という道具を
持ち込むことにより現実を検証する術とした。
聞いた者を瞬時に殺害する「間引きの歌」を偶然発見した
新聞記者ストリーターは、この歌をどう処分/利用するか
という葛藤を、おかしな仲間たちとともに走り抜ける。
ラストの意外性は『ファイト・クラブ』以上だ。
パラニュークは確かに作家として成熟しはじめた。
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4152086238
No.1:
(5pt)

呻く。

インヴィジブルモンスターズ、ファイトクラブ、サバイバー、チョーク、と、著者の作品は少しずつ「まとまってきた」感がある。内容はともかく、話の進め方が落ち着いてきた、と言えるかもしれない。
本作も、その延長にある。
本作には、「インヴィジブルモンスターズ」ほどシャープな言葉のリフレインは見られず、「ファイトクラブ」ほどパズル的要素は劇的ではない。著者の作品の特徴として、そのハイブリッドな文章と、多数の豆知識がばら撒かれている点は本作でも変わりないが、もうそれだけで満足できる読者は、彼のファンにはいないだろう。
しかし、問いかけている問題は、今までの作品を置き去りにするかのような重さだ。
これまではジェネレーションX、母子家庭の世代のため息が聞こえ、物質社会の閉塞感への憂いが物語りを覆ってきた。
本作でも、現代社会に存在する数々の問題についての皮肉が塗りつけられているが、それ以上に本作からは、新たな著書の「呻き」が、明確に聞こえてくる。
殺せるなら、殺すのか。
倫理とは、いったいどこから来て、何をもたらし、何を奪うものなのか。
ハッピーエンドは期待しないでほしい。人間という種についてまで問いを及ばせた本作に、「ハッピーエンド」など有り得ない。
あるのは、「これが僕の人生だ」という、どこか冷めた宣言だけだけである。

追記 川本ケン氏による、本作とパラニューク自身解説も、緊張感に満ちている。
ララバイ (ハヤカワ・ノヴェルズ)Amazon書評・レビュー:ララバイ (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
4152086238

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