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(短編集)
少女外道
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少女外道の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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普段純文学など殆ど手にしない者です 硬い文章を読むのは苦手なのですが、この本には想像しやすさと純粋な読みやすさがありました。 皆川博子作品はこちらが初めてです 短編であるのに関わらず、どうしてここまで繊細に響く物語を描くことができるのかと非常に感動しました。 内容については他の方が仰る通り、割と絶望的…なのですが、ウェットな絶望というよりは表すならばドライな絶望で自身の気分が落ち込むわけではありません。 戦の時代に翻弄された少年少女達が外道へと逸れていく様は、現実感と仄暗い美しさが混ざり合いほんのりと胸がざわつきます。 この方にしか出せない色や耽美さが存分に味わえる作品だと思います 寝る前に少しずつつ読み進めることがとても楽しかったです | ||||
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怪奇幻想色が強いく、ほのかに漂う程度の幻想感が心地よい。しっとりとした美しい文章に、地を這うように重厚さとが合わさって醸し出す甘美な雰囲気に魅了された。 | ||||
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己の劣情や時代の荒波、女としての役割など、抗いようのないものに翻弄される人々。 他人から求められる〝道〟を外れた〝外道〟の物語が 耽美で官能的な文体で綴られています。 物語の粗筋そのものは至って地味です。 描かれる人物へ思うところがなければ、淡白でつまらないものとなるかもしれません。 しかし、自分と他者の溝に落ち込んだり、 人間の共同体を息苦しく感じたことがあるなら、 少なからず少女(や彼ら)たちの苦味を理解できるのではないでしょうか。 たびたび描かれる、周囲の人の欲求を読み取り ひたすら無難に振る舞う様子や、 書物や絵画の趣味に現れる自分の世界、 表像として現れる兎の人形などが、 非力な彼らや彼女らが現実を生き抜くための武器なのでしょう。 私にとっても優れた武器となるような、そんな1冊でした。 | ||||
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美しい文章でエロティック。 著者は80代で、この短編は70代後半くらいに執筆したものなんだとか。 私の世代で言えば、ポップティーンとかのちょっとエッチな雑誌を読んでドキドキした…のと似たような感覚だとおもうんだけど(という言い方をすると途端に軽くなってしまいますが)、それが年配者の美しい文章で語られると、とてもドキドキします。 当時の女学生の心とか空気感が伝わってきて心地いい。 短篇集なので、時間がない時に読むのもオススメ。 | ||||
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生まれた時代こそ違え、皆川さんとはハタチまで似た境遇だった。あ、ケイトブッシュも。毎度、似たような設定だが飽きない。 家にたくさんの大人が出入りし、同じ釜の飯を喰う。みんな中卒で、父にはかしずくが、母と私達に向ける視線は容赦なかった。 可愛くない服を着せているだの、ピアノの音がうるさいだの、食器棚が替わっただの、支払いを渋っただの…プライバシーはなかった。 子ども心に察して、自分の立ち回りを演じるものだから、早く一人になりたかった。小説を読むと、あのまんまだ。 40年前に合唱団で「月のうさぎ」を歌ったから、読み終えて号泣した。次の章でも号泣した。主人公が不幸だかりからでも、悲しいからでもない。こいつら…凛として石橋を叩いて壊すタイプだなあ。 ちびたちとアップルパイを焼きながら、すべてを妄想にとどめる母となった。 | ||||
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年間150冊ほどの読書量です。全ての本を買うお金も無いし、保管場所も手狭になってきたので、まずは図書館で借りて読み、その中で「これはどうしても手元に取って置きたい!」と思った本のみ後で購入しています。今年(2010年)は10月現在で、そのようにして購入した本はたったの2冊です。いわば今年のベスト2と言えましょうか。ひとつは小島てるみ著「最後のプルチネッラ」で、もうひとつが本書です。共に読んでいて心と身体が文字通りゾクゾクする読書の喜びに浸れます。と言ってもこの2つ一寸質が異なります。前者が若さあふれる飛び跳ねるゾクゾク感なら、後者は深く沈潜するmaturityのゾクゾク感です。死とエロティシズムの味わいも濃厚です。「巻鶴トサカの一週間」の最後のページなど思わずニヤリとしてしまいます(危ないあぶない、私も「外道」に落ちそうだ!)。本書を読んで面白いと思う人はかなり感性の豊かな人でしょう。さらには著者の同性の女性の方がよりこの「感覚」を楽しめるのかなぁという気がします(男としては一寸残念ですが・・・)。 | ||||
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いつものごとく幻惑に魅了され、巧みな描写にため息がでた。どうしてこんな表現ができるのだろう?すべての作品において描かれる時代はあの狂気の時代である。しかし、そこに直接的な残酷さは描かれない。むしろ、静謐な印象さえ与えられるのだが、やはりエロスとタナトスのシンメトリーが存在し、それが常に通奏低音として流れているのである。 またこの中の何作かは、その構成のおもしろさにも注目したい。よく使われる手かもしれないが、二つの時系列を交互に語ることによって全体の意味合いを統合するという手法が使われているのである。それがあまりにもかけ離れた描かれ方なので、ある意味ちょっとした緊張感が生まれている。ここが皆川女史の素晴らしいところだ。このスゴイ作家を知らずに過ごすということは、一つの罪であります。未読の方は是非読んでみてください。 | ||||
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最近はエンターティメント小説とかそういうのまで 文学とジャンル分けされてるけど、これは本当の 純文学だと思う。別に純文学である必要はないけれど こういうテイストを避けようとする出版界にかなり疑問。 新人作家をデビューさせる仕事をしている人がメルマガで 純文学は売れないので好まれないと、エンターティメント小説の 執筆をすすめているのを見た。 本屋であまり見かけないはずなのに、やたら深読みされている レビューは著者の身内が書いてるんじゃないかとですら思う。 しかも、そういった作品が文芸作品とジャンルわけされているご時世。 皆川さんのような、こんな一流の作家のレビューは書きたいこと沢山あるだろうに あまり書かれていない。不思議でならない。まぁ野暮なことは言わないけど。 純文学は好みは確かにわかれるけど、それは漫画でも他でも同じじゃないか。 中途半端に業界人用語で消費者を誘導することがおかしいと思う。 テーマそものもを自分で考えなければならないというような 皆川さんのような話が好きな読者もいることを考えてほしい…… とこの作品があまり話題にならないことに疑問。それほどこれは 素晴らしかった。これだけ世の中が嫌になるようなこと考えていても この話を読むと浄化される。 | ||||
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