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(短編集)
希望荘
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希望荘の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.22pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全88件 61~80 4/5ページ
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カンは良いが、特別に能力があるわけでもない。 目立たず、その場の空気に溶け込む。 おしゃべりではなく、ひとの話を黙って聞くことができる。 私立探偵の杉村三郎は、そんな男だ。 だから、杉村三郎の具体的描写は一切、ない。 データ集めや鋭い推理は、他の人間が分担する。 彼の最も優れているところは、かなりの頻度で事件に遭遇 することだ。 名探偵ポアロも「一般人が殺人事件に三回も遭遇するのは、 偶然ではあり得ない。」と云っていた。 事件に出会うことこそが彼の特異な才能で、そのほかは年齢以外、 背が高いのか低いのか、メガネはしているのかなど、外見不明の 探偵像が、興味深い。 | ||||
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不思議な作品だ。 ほぼ全てのストーリーが、ハッピーエンドを迎えない。 一言で言えば救いのない話ばかりだ。 さえない私立探偵杉村三郎が、下町の人情に支えられながら 些細な事件の背景にある、ほどけないままになっていた心のもつれや、 癒されることの無い心の傷に光を当てていく・・・。 ヒューマンな装丁の雰囲気から想像されるのは、 そんな物語世界だろう。 それは部分的には当たっているが、 物語が進むにつれて、様相は変わっていく。 行方不明になった老女の行方を探す話では、小狡く生きる娘が大金を手にし、 人身事故の罪と痛みを抱えて生きる友人は、何も手当てされないままに物語が終わる。 慎ましやかに生きてきた母子家庭の母と娘の物語では、 同じように恵まれずに生きてきた若者の出来心で犯した殺人によって ささやかな幸せへの道を閉ざされる。 宮部みゆきの暖かな筆致と人物造形によって、 決して読後感は悪くは無いのだが、しかし疑問が残る。 宮部ほどの作家なら、物語をもう少しハッピーな方向に変えることは簡単であったはずだ。 しかし、あえて、宮部みゆきはそうしなかった。 それは、なぜか。 前作「ペテロの葬列」は、多くの賛否両論を呼んだ。 いや正確に言えば、多くの拒否反応を巻き起こした。 誠実に生きてきた主人公・杉村が、 ラストで妻の不倫という現実を突き付けられて終わった前作。 唐突なバッドエンドは 「こんな物語を自分たちは期待していない」という、裏切られた印象を読者に与えた。 (それに対する感想は別稿に書いた) https://www.amazon.co.jp/gp/cdp/member-reviews/AFPD3R0GACU4U/ref=pdp_new_read_full_review_link?ie=UTF8&page=1&sort_by=MostRecentReview#R2CRLH3Q3TEDKI その意図については、色々な推測が可能であるが ただ一つ、言えることは 宮部みゆきは、あえて、そうした。という事だ。 そしてこの「希望荘」だ。 そう考えると、色々な事がはっきりしてくる。 宮部みゆきが届けようとしているもの、 それは現代における「説話」のようなものなのだと思う。 悪い行いには悪い結果が訪れ、 良い行いには良い報いが訪れる。そういったかつての説話とは正反対のものだ。 報われない人生を歩んできた人物が、少しでもマシな人生を送ろうと犯罪に手を染めてしまう事が「ある」。 拭えない罪や傷を抱えて生きる人たち、追い討ちのような苦しみや悲しみが襲いかかる事が「ある」。 何処にでも転がっている不平等でやるせない現実が、さらなる不幸や犯罪を巻き起こしていく事が「ある」。 それは、何ともやるせない事なのだけど、それは現実に起こりうることなのだというメッセージ。 だからどうだという処方箋は与えない。 ただ、そういう現実がある事を伝えるだけだ。 人生は全く平等ではなく、 恵まれない生い立ちの人たちは、不平等なレースを出来るだけ誠実に生きるしかない。 そして、 恵まれた隣人に比べて、そういった人たちがさらなる不幸に襲われる可能性はきわめて高い。 だから、用心しなければいけない。 それは「火車」の頃からの宮部みゆきの作品を通底するメッセージではあるが、 それがより直接的な形を取ったのが本作のように思える。 そして前作への賛否両論の中で、宮部はこの作品を書き続けるモチベーションをはっきりとさせたように思う。 ある意味、この作品の中で宮部みゆきの読者へのサービス精神は最低限に抑えられているようにすら思う。 (それほど、宮部の今の時代や社会に対する危機感が高まっているという事かもしれない) このシリーズがどのように転がっていくのか。 色々な意味で楽しみになる最新作だ。 | ||||
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宮部さんの作品は、どこから読んでも完成度の高いものです。特にこのシリーズは、次はどうなるのか?楽しみにしています。この本から読んでもかまいません。必ず癖になること請け合いです。最後まで読み終えた後、もう一度始めから読み返してください。新しい発見があります。宮部作品は楽しみが一度ではなくて何度でも再発見が出来るのですね。 | ||||
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前作「ペテロの葬列」で、ラストの離婚が衝撃で・・・ 杉村さんのその後の人生がどうなるのか?とっても心配でしたが。 今回の4編の物語で、それなりに生活はなりたっていて 桃子ちゃんとも連絡はとれているようで、安心。 杉村氏はついに「探偵事務所」を開いています。 まあ、自分の事務所での仕事よりもある調査会社からの下請けで 調査員としての収入の方が多いようですけど。。。 前作からの登場人物としては「睡蓮」のマスターだけですが それでも新しく家を借りている大家さん一家や近所の人々など 魅力的な登場人物がたくさんでてきて・・・ さらなる続編も期待できそうです。 今回も、市井の人々の、その普通の生活の中で出会う 悪意や善意や、思わず落ちてしまう落とし穴などが 丁寧な筆致で描かれています。 「ああ、ああ、そういう人。いるいる!」と思える人ばかりなのに いえ、だからこそ、この小説集の中で その人々の人生に起こる出来事(事件)が、心にしみてきます。 大満足の1冊でした。 | ||||
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杉村三郎のほんわかとした性格に読みながら心地よさを感じるが、ミステリーとしては物足りない。 宮部みゆきさんの卓越したストーリーテラーぶりを期待していたのですが期待外れでした。 余談となりますが、話の中でi-podのコードで首を絞めて殺害するという話が出てきますが、 i-podのコードで首を絞めて人を殺せますかねぇ?読みながら結構白けてしまいました。 | ||||
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好きなシリーズなので期待していました。短編集なので読みごたえと言う点ではちょっと物足りない気はしましたが、それぞれストーリーは短編にもかかかわらず結構凝っていて楽しめました。同じシリーズの長編もまた読みたいです。 | ||||
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やはり宮部さんは小説が上手いですね。 表題作の「希望荘」は、宮部さんお得意のキャラクター(優しく厳しいじいさん、善意の街の人、利発ゆえ大人をナナメに見る少年)がずらり勢ぞろいし、謎解きに至るディテールも豊かで、宮部節が堪能出来ました。 推理小説に於ける、犯罪の動機の作り方。 …に、作者の創作に対するスタンスが表れますね。 という意味では、宮部さんは本当に善意の人だと思います。褒めてます。こちらのシリーズも、宮部さんが真摯に現代の悪意を掘り下げて作ったお話が満載です。 期待は外さない高品質であること間違いないんですが、星三つなのは、そろそろ、もう一つ反転した宮部さんを読んでみたいという、勝手な希望をタイトルに掛けて。 | ||||
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杉村三郎シリーズは全部読んでいます。 ペテロの喪失でどうなる事かと思いましたが、何とか前に進めている模様です。 心理描写の上手さは相変わらずですね。 ラストの二重身のみちょっと安っぽいイメージですが、他は短編集とは思えない濃密さで、 素直にストーリーに引き込まれます。 | ||||
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宮部みゆきの時代小説が好きで、現代小説も読んでみました。このシリーズはお勧めです。 | ||||
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大企業の御令嬢との結婚生活に終止符を打った杉村三郎は、故郷でしばし充電した(事件にはしっかり巻き込まれたけど)のち、東京で私立探偵事務所を開業していました。彼らしいな、という安堵感とともに、ドラマ版でもいい味出してた睡蓮のマスターが、本当に杉村の側でカフェを開いてたことに声あげて笑ってしまいました。彼もそうだし杉村をスカウトする蛎殻調査事務所の面々も、事務所の大家一家も、味のあるキャラクターがみっちりと揃い、杉村三郎シリーズの第二幕は万全の体制だな、という印象です。 少し気になったのは、1人娘の桃子ちゃんと頻繁に連絡を取り合っている描写が度々あったこと。今多一族とはまだ完全には切れておらず、今後また話に絡んでくるのでしょうかね。もう沢山なんですけど。 | ||||
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宮部みゆき氏の作品は、どれも人間の優しさを再認識させてもらえる魅力的な作品だと思います。その中でも、この「杉村三郎シリーズ」は待ちわびている 一つです。読み終えても、また、読み返す、そんな気持ちになれる優れた内容だと思います。主人公の「杉村三郎」はもちろん、脇役の「マスター」や、近隣の 個性的な人々との人間模様が、魅力的に描かれています。次回作を待っています。 | ||||
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宮部みゆきの作品群のうち、杉村三郎シリーズは好きな部類に入る。特に、第3部があのような終わり方をしたので、杉村のその後が気になって本書を手に取った。最初、杉村の元妻である菜穂子の描写について、私は特に違和感を持っていなかった。だが、あちこちでレビューを読んでみると、特に女性読者にシリーズ投書から菜穂子に対して違和感を持つ人が多かったようだ。だが、男の私に言わせれば杉村三郎も十分に特異な人物だ。今作の描写を見る限り、杉村は離婚の際に慰謝料などは受け取っていないようだ。これは杉村らしいとも言えるが、逆に杉村三郎という人物の特異性を浮き彫りにしているようにも思える。いくら相手が大企業を一から立ち上げた立志伝中の人物の娘であろうと、離婚についての非はほぼ100%相手側にある。杉村にとっては両親との関係を絶ってまで選んだ、最愛の伴侶による最悪の裏切りなのだ。例え娘のことを考えたのだとしても、杉村の行為はきれいすぎる。血の通った男としての感情が見えてこないのである。これは、全3作にも共通している。 だが、今作で杉村は探偵稼業に足を踏み入れた。生きていれば、どんな人間も何かが変わっていく。否応なしに人の裏を見なければならない稼業を生業に選んだ杉村も、何かが変わっていくのだと思う。桃子にしてもいつまでも子供ではない。父と母の離婚の原因が何だったのか知るときが来るだろう。何かが変わった杉村と菜穂子、そして杉村と事実を知った桃子の関係がどうなっていくか見てみたい。 しかし、これで杉村と今多家(特に菜穂子と桃子)の距離はますます離れることになる。一介の私立探偵と日本を代表する企業グループのトップ一族の関係が、今のようにほのぼのと続くとは思えない。まだまだ波乱がありそうである。 | ||||
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4つの中短編からなる、杉村三郎シリーズ4弾。 最後の「二重身」はチープだが、残り3つは読後のザラザラ感ある良作。 ドラマ化の影響で、どーしても三郎は小泉孝太郎の顔が浮かんでしまう。(むろんいい意味で,,) 睡蓮から侘助へ店を変えたマスターだけが、前作からの継続レギュラーか。 まあ、仕事や家庭をリセットしたんだから仕方ないよね。 探偵家業でもうける話でもないので、どうやって生活していくんだろう?という疑念も「オフィス蛎殻」で解決した。 なるほどね宮部先生。 それでも、1クールのTVドラマ化するには長編クラスがひとつ必要かな。期待もこめて星3つ。 | ||||
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「ペテロの葬列」のラストに、しばらく動悸が納まらないほどの衝撃を受け、その痛みを抑えたくて即購入して読了しました。 とりあえず、私にとっては、鎮痛剤としての効果はありました。 ------(以下ネタバレ含む)------ でも、主人公は前を向いて歩き出しているように見えますが、まだ心の傷が完治していないようです。 娘との会話のシーンで出てくる「かさぶた」の表現だったり、元妻との会話のシーンが一切なかったり・・・。 そりゃあ、あんな別れ方をしたんだもん、早々完治できないよねぇ・・・・。 これからも、杉村三郎シリーズは続きそうな布石を残しています。これからの展開で、主人公の治りかけの傷が完治するのか、それとも悪化してしまうのか、気になります! | ||||
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宮部さんは現代ミステリー物、時代劇物、ファンタジー物と、高いレベルで幅広いジャンルを書く作家さんですが 本作は「杉村三郎シリーズ」と名付けられた探偵杉村三郎のシリーズである。 前作では小説で描かれる事件とは別の、ある意味衝撃的な出来事で幕を閉じ、 それが探偵としてのシリーズ化を予感させるものであったが、 果たして今作の予告で杉村三郎の名前を目にした人達は、 その後の彼の探偵っぷりを目に出来ると喜んだであろうことは想像に難くない。 かくいう私もその一人ではあるが、ただひとつ短編集というのが気になっていた。 「模倣犯」「ソロモンの偽証」に代表されるように大長編を苦も無く読ませる希代の名手が、 短編で各章をストンと落とす切れ味を見せられるのか。 長編でこそ表では見えない人間の陰を描ききることができるのではないか、物足りなく感じるのではないか。 結論から言えば不安は全くの杞憂におわりました。 大事件を解決するわけではないが、4編全てに杉村三郎の人格が滲み出て、登場人物の人生の一辺が浮き彫りにされます。 特に「砂男」を読んでいるときにはあの大傑作「火車」を思い浮かべてしまいました。 これを読むだけでも購入する価値ありと断言しておきます。 杉村シリーズを未読の方が今作から読み始めてもストーリーの消化に支障はないですが、 杉村三郎が今ここにいる理由や彼の人格を自分でイメージするにはやはり初めから読まれることをオススメします。 宮部みゆきというだけで読む前から自然とハードルは高くなりますが、 それを踏まえても軽々と星4つを超える4.5です。 | ||||
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杉村三郎、ついに探偵デビュー。前作の不憫すぎるラストからどうなることかと思ったが、まあ元気そうで何より。同業の沢崎さんがずっと開店休業状態なので、三郎さんにはガンバってもらわなくては。前作『ペテロ~』同様、物語のトーンは重くシリアス。大きな仕掛けはないものの、おっとりとした三郎の一人称で、普通の人々の日常に襞のように隠れている闇やネガティブな面を浮き彫りにしていく。短編とはいえ4編とも濃密で読み応えあり。次はぜひぜひ長編を! | ||||
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杉村シリーズも大好きになりました。シリーズ化して長く続いて欲しいです! | ||||
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独身に戻った杉村三郎が私立探偵を開業する。シリーズ四作目である。一作目と二作目は好きだが、三作目「ペテロの葬列」は不満だった。 でもやっぱり続きは気になるので読んだ。 今回は長編ではなく、四本の連作短編集だ。 いずれも仰天するような出来栄えではない。が、予想のつかない展開と捻りの効いた結末は全作品に共通しており、上々のライトミステリとなっている。 どの話も現代的な社会の暗部が核となっている。 不快感を伴わないのは、薄っぺらい露悪趣味ではなく、作者が人間をまっすぐ見据えて描いているからだ。 本作の登場人物は、うまくいってない人がやたらと多い。まあそれが自然だわなあ。 ダラダラ続く日常ドラマなんかで、全員が幸福で出世しているなどという設定があるけど、あんなもの嘘だ。 家庭不和や崩壊は珍しくもないし、高い地位につける人なんかごく一部だ。宮部さんはよくわかっている。 | ||||
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桃子ちゃんは、おじいちゃんとの最後のお別れができたんだろうか…。 | ||||
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短時間で一気に読んだ。 また誰かから読み返したくなる読後感! 心情猫写の上手さだろうか!? | ||||
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