■スポンサードリンク
(短編集)
希望荘
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
希望荘の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.22pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全88件 21~40 2/5ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
杉村三郎シリーズを読んでいたので4作目が読みたくて購入しました。古本でしたが新本と間違えるようでした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
さすが宮部みゆきって感じておもしろかった。このシリーズも読もうと、早速購入しました。読みやすい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
商品もご対応ととてもよかったです。満足しています。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
中編四作を合わせた、ご存じ杉村三郎シリーズ三長編(『誰か Somebody』『名もなき毒』『ペテロの葬列』)のその後を描く連作中編集である。この一冊の本に副題があるとしたら、それはきっと<誠実>だろう。 何しろ杉村三郎という新米探偵自体が「誠実」の塊みたいな存在である。作者自身の誠実さの分身とも言える。 そして作品そのものがとても誠実に見えるということでもある。小説作法に。そして作品が向かい合う現実との折り合いということに関して。杉村三郎探偵事務所を流れる時間と、連作中編集ならではの各作品を接続してゆくメインプロット外の様々な様相(人々・土地・場所・いきさつ)の描写において。 とりわけ小説の背景となる時間軸が実に正確である。おそらく本書最後の中編作が、東日本大震災にかかる物語であるから。そしてそこに本書の時計の針がきりりと合わせられているから。 2016年に小学館から初版刊行、昨2018年11月に文庫化された本書が、今この時期、書店の店頭に沢山ディスプレイされているのを見て、ああ、このシリーズの最新刊ハードカバー『昨日がなければ明日もない』出版と併せてということなのかと、大小の書籍であり同シリーズである二作を見下ろしながら考えていた。当初は。 しかし、それだけではなかったと、読んでみて気づく。前述したようにこの作品は最後の中編『二重身』が、東日本大震災の時期の物語なのである。その震災のときでなければならない作品なのである。だからこそ、今、ディスプレイなのだった。 東京下町に事務所を構える杉村三郎が、あの大きく長い揺れを経験した現実の人々と同様に、あのときの恐怖を感じ、すべてが平時と異なる時間に滑り込んでゆく。本書は、現実の時系列に即した中編集であり、現実に生きる市井の登場人物たちの活写であり、読者の側の現実の時制に常に楔を打ちながら進んでゆく物語なのである。それ故に、誠実な作品集なのである。 杉村三郎が、前作『ペテロの葬列』を受けて、それまでの仕事や境遇に別れを告げたところから、この作品集は始まる。山梨の故郷に帰ったり、下町に探偵事務所を構えたり、震災で引っ越しを余儀なくされたり。それぞれの中編のメインストーリーと並行し、彼の人生の物語が語られてゆく。そちらの方がむしろ興味深いと言ってもいいくらいだ。探偵ごっこと言っては失礼だが、これほど新米で頼りなく、だからこそ親近感を覚える探偵ヒーローは前代未聞で素敵だ。 続く新作も中編集である。震災後の彼の活躍に期待しよう。 追記:3日後に東日本大震災から8年を迎えようとしている今日という日にこの本を読んだのは、とても偶然とは思えません。本書に出会い、あの時の空気と風、そこから生まれた多すぎる犠牲とそれを乗り越える再生の時間を共有して頂ければ幸いです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
購入して3ヶ月も経っていないのに、電源が入らなくなりました。使用回数も少なく(5回程度)、特にひどい扱いをしたつもりもないので残念です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
短編というには結構なページ数であります。 もし映像にしたら30分くらいで終わってしまう?かなと思うので 本が売れないというのも分かる気がします。 読んでいて??と思う箇所もあります。それを書くとネタバレになる ので書けませんが・・・ 犯罪というのは貧乏だったり家庭環境が悪いと起こりやすいものだと 改めて感じました。 現実の事件もそうゆう背景があるものが多いので社会全体を良くすることが 犯罪を少なくすることになるのだと思いましたが難しい 永遠のテーマなんでしょうか?世界平和を考えてしまいました | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
探偵家業3作目? なかなか面白かった ちょっと悪の感情移入してしまいます | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
1、2、3作と読み進めて、ここは引き続き読むでしょ。ってことで。 作者の描く主人公でこの杉村三郎が好きです。 常に達観して周りを観察するさまは、探偵にピッタリ。 今回は事件に巻き込まれると言うよりも、探偵なので自ら飛び込んでいます。 なので、ストーリ的には謎解き感満載の、推理小説と言う感じです。 ちょいちょい過去の背景を織り交ぜ、過去の小説を読んでいる方たちを喜ばせながら はじめてこの本を手に取った方たちにも満足のいく、面白い小説です。 さらに続編がありますが文庫本になってから購入しようか只今思案中です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
面白かったです。前作の微妙なところを上手く落とし込んだと思います。また、短編集ですがそれぞれのトリックも面白く、楽しめましたし、ほろりとさせられました。杉村三郎シリーズの次を読むのが楽しみです。ひとつだけ、主人公は良い人なので、いい人が集まるのはわかりますが、シリーズが続くにしたがって、なんとなく、そこまでやってくれるの?、杉村さんは特別扱い?、を、ほんの少しだけ感じます。でも面白いです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
杉村三郎シリーズは一応全て読了しております(誰かと名もなき毒はだいぶ以前に読み終えてしまったので、あまり記憶がないのですが…) こちらは、前作、「ペテロの葬列」で一度身辺的な意味でいろいろリセットし、探偵として再スタートを切った最初の作ということで、それまでの杉村三郎シリーズをまったく知らなくても読み進められるように思いました。もちろん、前作を読んでいると、伏線というか、時の流れを感じることができたりして、その意味で楽しみは増えると思います。 内容としては、「人の中に住む人でないものが頭をもたげる瞬間」を切り取っているという意味で、杉村三郎シリーズの根底に流れるDNAと共通していると思います。 でもその切り取り方が毎度同じではなくて、意外感があり、次はどうなるのだろう、と一気に引き込まれます。これはもうさすが宮部氏だな、と感嘆せざるをえません。 また、中編3つに区切られているので、その意味でもスピード感を持って読むことができると思います。 ただ一つ、昔から気になるのが、この方の小説に登場する若者の言葉遣いが、ちょっと若者っぽくなくて、そうは言わないのでは?と引っかかってしまうことがたまにあります。 本作p394で、高校2年生のイマドキっぽい子供として描かれている少女が、「親切ごかしで、 バカにしてる」と言うシーンがあるのですが、「〜ごかしで」というのは、あまり大人でも使わない表現なので、この場面で登場することにものすごく違和感がありました。 (その表現によほどこだわりや意味がないのならば、親切ぶって、ぐらいでいいのではないかなと…) すごく細かいですが、それでちょっと没入が削がれてしまったことがあったので、あえて星はひとつ落としました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
読み応えがあり短編集とは思えないほどの充実でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
読むうちに、どんどん引き込まれていく感じはやはり宮部作品! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
宮部みゆきさんの作品は、魔界物や幽霊物は何でもありで好きになれませんが、 こういった社会派ミステリーはとても面白い。普通の人がふとしたことで犯罪 に関わってしまうというストーリー展開には説得力があります。 杉村三郎の探偵としての滑り出しも順調です。今後の活躍がたのしみです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
このシリーズは読み終わったあとに、なんかもやもやする事が多くてあまり好きではなかったけど、今作品はそれがなくて、面白かったです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
善意の小市民に芽生えた悪意。 「出来心」みたいな小さな悪意が大きな犯罪になることを 書かせたら、宮部みゆきさんの右に出る人はいないように思う。 「火車」からずっと読んでいるし、 この杉村三郎シリーズも大好きなのです。 感情移入しすぎて、杉村さんが奥さんと別れたときは ほんとうにびっくりしたくらいです。 えっ?? って二度読み、三度よみしてしまいました。 しかし、宮部さんは善人な小市民の小さな悪意、に 踏み込む深度がどんどん深くなっていっているような 気がします。 今回のこの「希望荘」と名付けられた短編集を読んでいても、 時々、ぞくっと背筋を冷たいものがはしりました。 隣で普通に笑っている人がふとした時に 自分のまったく知らない顔でいたような。 そしてその「自分のまったく知らない顔」が 暗い感情で塗りつぶされていたような。 実際の事件でも、 普通の隣人が急に大量殺人をしてしまう、 そんな事件がたびたび報道されます。 自分の中にも確実にいる、 小さな悪魔に乗っ取られないように 「善意の小市民」のまま生きていきたい。 それは実は案外難しいことなのかもしれない。 そんなことを感じさせる一冊でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
宮部さんの作品は超能力者や異端である人を扱う事が多いが、このシリーズの主役である杉村さんは、お人好しで誠実な性格でどちらかといえば平凡であり、周りを固める家族や友達、仕事仲間も温かく普通人が多い。 だから身近であるし、安心して読み進める。 今回は、離婚し故郷に戻った彼が、どんな経緯で探偵業に行き着くか、どんな事件に出会いどう立ち向かっていくか、どんな人々と繋がるかが、4つの短編により明らかにされる。 犯人となる人々もほぼ普通の人で、感情移入が容易である。 さらにシリーズが続いて欲しい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
杉村三郎シリーズ第四作になる。前作「ペテロの葬列」で思いもかけない妻の不倫による離婚という形で幸せのカプセルから放 り出された「いい人」杉村三郎。この「希望荘」は前三作と異なり、4つの連作短編から成り立っている。彼が離婚後、 自分の田舎の山梨に帰り、実家に住みアルバイト的な仕事で気楽に生きながら、やがて東京に戻って探偵事務所を開くとい う離婚後の「第二の人生」を築いていく流れが彼個人の背景。そして、彼の周りで起きる4つの事件。さすが宮部、一つ ずつの事件も一ひねり、二ひねりしながら推理小説としても一流の短編集になっている。杉村三郎は、やや理不尽な離 婚という不幸を経験しながら、相変わらず「いい人」であることに変わりはない。そして、「いい人」であるがゆえに 事件の解決の糸口も見えてくる。だが、社会は決して「いい人」にとって「いい社会」であるとは限らない。第二作 「名もなき毒」で描かれたような生まれながらの毒を持った人物も出てくるし、最後は東北の被災者にはもちろん日本 人全体にとってとんでもなく不幸な事態をもたらした東北大震災も事件の背景として描かれる。杉村三郎にとっても人 生や社会は苦々しいはずだ。彼の実質的なパトロンである蛎殻昴や、下宿している資産家一家など魅力と個性豊かな登場人 物も増えてきた。独特の雰囲気を持った社会派推理小説として今後も是非更なる展開を期待したいシリーズである。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
若干、「ペテロの葬列」、「希望荘」、「負の方程式」、「ソロモンの偽証」のネタバレを含むため、未読の方は当レビューを読まないことをお勧めします。 結論だけ先に言うと、「負の方程式」は「希望荘」より後の出来事、ということと、 個人的には、「負の方程式」を読む前に「ソロモンの偽証」を読むことをお勧めしたいという点。 とあるネットページで、『「ペテロの葬列」と「希望荘」との間に「負の方程式」がある』と見かけるが、果たしてそうだろうか? ちなみに「負の方程式」とは、「ソロモンの偽証」の後日談的(20年後)中短編で、そこには杉村三郎が登場する。 文庫版(単行本でなく)の「ソロモンの偽証」第6巻巻末に収録。 ただ、「ペテロの葬列」と「希望荘」との間に「負の方程式」があるとの主張が、時系列でなく、書かれた順であるならばその通りである。 初出(刊行)は以下の通り。 「ペテロの葬列」・・・2010年(平成22年)9月(2013年12月刊行) 「負の方程式」・・・2014年(平成26年)11月(文庫化に際し、収録) 「聖域」・・・2014年(平成26年)12月(以下、刊行2016年6月) 「希望荘」・・・2015年4月 「砂男」・・・2015年6月 「二重身」・・・2015年12月 ーーーーーーー 以下、ネタバレ含みます ーー----- まずは「希望荘」の時系列 「聖域」・・・探偵業開業の2010年1月から10ヶ月後の2010年11月。 杉村三郎38歳。 「希望荘」・・・2011年1月3日 「砂男」・・・この話がキーポイントとなる。 語り出しは2011年2月6日だが、過去の出来事を振り返る構成。 2009年1月の離婚(離婚時、三郎36歳、桃子7歳 P198,9)から後、同年夏の出来事。 桃子小2。(P204) 「なつめ市場」で働き始めたのが「五月の中ごろ」(P206) P217には「九年前、2000年のこと」とあるよう2009年。 「なつめ市場」では半年も働いていない。(P325) この「月末」に杉村三郎の父親が亡くなる。(P321) 時系列的にはここが始まりとも言える。 「二重身」・・・2011年5月。 桃子小4。(P416) 続いて「負の方程式」 わたしの見落としかもしれないが、「8月始め」としかなく、年数表記が無い。 しかし、文庫本のP473には「桃子10歳」とある。 10歳ということは、小4もしくは小5。 「希望荘」の「砂男」で、2009年の夏に小2(7~8歳)だった桃子が10歳になっている。 さらに、P477には「二年前に見送った父の形見」とある。 やはり「砂男」の夏から2年後の出来事。 ということは、「負の方程式」の「8月」とは、2年後2011年の夏であり、「二重身」より後の出来事である。 さらに、「ソロモンの偽証」・・・事件1990年12月。 校内裁判1991年夏の出来事。 この裁判について藤野涼子は「20年前の出来事」と述べている。 このことからも2011年8月と思われる。 これらのことから、「負の方程式」は「希望荘」より後の出来事と思われる。 ただ、2010年かと思わせるものが無い訳ではない。 「負の方程式」の前に「ソロモンの偽証」のエピローグがあり、そこには「2010年 春」とあり、その年に野田健一が母校の教員となる。 ここでも「二十年かけて」という表現があるのが引っかかる。(P465) もう一つ、「負の方程式」の杉村三郎が、まだ「築四十年の木造住宅」に自宅兼事務所を構えていることである。 「二重身」から後は、大家の屋敷に移っているはず。 諸々、間違っていたらご指摘ください。 ちなみにわたしは「ソロモンの偽証」を読む前に「負の方程式」を読んでしまったが、「ソロモンの偽証」を先に読むことをお勧めしたい。 杉村三郎(年上)と藤野涼子とは、4~5歳しか変わらない。(「ソロモンの偽証」に杉村三郎は登場しない) さらに、「希望荘」P223には、杉村三郎の元舅・今多嘉親についてあり、先が長くないとも取ることのできる部分がある。 同ページには桃子を迎えに来る(はずだった)のが菜穂子とある。 三郎と菜穂子はまったく顔を合わせない状態ではないのだ。 これらの記述が三郎と菜穂子のこの先の関係にどう影響するかは、まだ分からない。 同様の点を他のレビュアーも述べているが、P223の最後の言葉が、父親としての杉村三郎の本質であろう。 ※追記: ここまで意気込んで書いたものの、「ソロモンの偽証」第6巻P511に 「ちょうど十年前、二〇〇一年四月のことである」とあった。 やはり「負の方程式」は2011年8月でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
やっと杉村さんに再会した。「ソロモンの偽証6」のスピンオフで状況は理解していたけど、杉村さんのホントの人生はこちらの本篇にある。犯罪を未然に防ぐために探偵になった杉村さん。杉村さんに幸せは来るのだろうか?短編集だから一編づつ感想を書いて行ったが、既読の人は「二重身」から読んで欲しい。 「聖域」 杉村さんの探偵事務所としての、開業して1年後の初めての依頼報酬は、手つき金5000円と町内会掃除当番一年間の「代行」だった。全くもってささやかな幸せである。けれどもそれが大切なのだ。ベルにとっても、杉村さんの心使いが現実社会を生きていく上でもとても大切なことになるだろう。 「希望荘」 犯罪は起きた。杉村さんはそのあとに関わったのだから、杉村さんに責任はないだろう。でも、数人の「心持」を穏やかにすることは出来た。 「砂男」 離婚から杉村探偵事務所に落ち着くまでの約1年間のお話。 蛎殻さんの坊ちゃんは笑わなかった。 「今回のことは、杉村さんのせいじゃありませんよ。でも、そう思ってしまう気持ちはわかります」 そして、にっこりした。 「だったら逃げないで、その呪いとやら(私註‥‥事件を招き寄せる体質のこと)に立ち向かってみたらどうですか」 驚いて、私は彼を見た。 「うちで働きませんか、とは言いません」 にっこりしても、昴氏はやっぱり落ち着き払っている。 「杉村さんはうちみたいなオフィスの調査員より、フリーで動く私立探偵の方がいいと思います。生活が成り立つように、毎月うちからある程度の仕事を回しますし、サポートもしますから、独立開業したらいい」(323p) こうして、心優しい私立探偵が誕生した。シリーズが始まって、なんと4作目にして、である。 「二重身」 私は一編一編の短編がそれぞれ独立したものだと思っていた。これを読んだ後に、巻末の初出一覧を見て驚いた。宮部みゆきは、3.11を自ら(おそらく)東京で体験した後、それを3年以上かけて自分の中で咀嚼消化して現代推理小説の杉村三郎シリーズに結実したのだ。初出は2014年12月だった。最初から着地点は決まっている。道理で、全編に日にちがきちんと描かれていると思った。また3.11は、彼女によってもうひとつ「荒神」として時代小説にもなった。 「二重身」には前の3編の全ての要素が取り入れられている。生きているのか、死んでいるのか、わからない人の人探し(cf「聖域」)から始まり、「希望荘」の武藤老人が云っていた「悪いもんに取り憑かれた男がやったんだよ。そういうことはあるんだよ」(96p)という事も、この短編では繰り返される。そして「砂男」も登場する。「人が崩壊する瞬間というのは、さらに目撃したいものではない。瞬間、彼が砂でできた像になったように思えた。端からぽろぽろと崩れ、人としての輪郭を失ってゆく」(455p)サンドマンとは意味は違うが、こういう描写は前編とは無関係ではない。杉村さんにできたのは、せめて事件の周りの人々を少し癒してあげただけだ。そしてそれが何よりもむつかしいことではある。 確かに、3.11に対する宮部みゆきの語る物語は、物事の大きさからするとあまりにも身近な出来事を描いているかもしれない。しかし、日本文学の1300年間の伝統は、身近な事から世界を描くというものだったはずである。 2018年9月読了 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
希望荘と砂男が良かった。短編てダラダラと書けないから、宮部さん、どうなんだろうって思ってたけど、流石です!宮部作品て、殺人の裏にある「抗えない宿命」と「人間の奥底にある温かさ」を追求するから、読後に必ず「希望」の兆しが見えて嬉しくなるんです。だからまた読みたくなるんですよねえ。確かに短編も良いけど、次はやっぱダラダラ、いや丁寧に書き込まれた長編を読みたい! | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!