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ラッシュライフ
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ラッシュライフの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.96pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全201件 101~120 6/11ページ
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初老の美術商とそれに「金で買われた」に等しい若い女性画家、シニカルでストイックな泥棒、新興宗教の教祖を神のように崇める若者、お互いの配偶者を殺す計画を立てる不倫カップル、職を捜し求めるうらぶれた中年男…。 それぞれに、lash(激しく打つ、濫費する)、lush(豊潤な、景気のいい)、 rash (無分別な)、rush(突進する、殺到する)lifeを送る人々の人生はところどころクロスオーバーしつつ、破局や大団円へと向かう…。 伊坂の2作目の長編にして実験的な群像劇。それぞれの人生の断片が、シャッフルされて順不同に並べられたかのようであるが、読み進むにつれ、それ以前のシーンが伏線としての機能を果たし、見事にストーリー全体が明らかになっていくような仕掛けが施されている。 実は断片が順不同に並べられたかのように見えるのは、お互いに交錯する登場人物たちの時間の進行に少しずつずれが生じているがゆえの錯覚であり、それぞれの登場人物の視点でプロットを確認すると、当然のことながら事象は時間通り進行している。 このまさに騙し絵のごときストーリーの仕掛けの表象がエッシャーの”Ascending and Descending”(「上昇と下降」)である←無限に上昇する城の回廊を兵士が黙々と登り続けるという やつ(作中、あれは城と兵士ではなく、修道院と僧侶であると指摘されているが)。 ある兵士にとっては、”2階から3階”の階段を上昇中なのだが、見ようによっては(別の兵士にとっては)”3階から4階”の階段を登っているような…。 試してはいないのだが、これらの断片的なシーンを解体して”順序良く”切り貼りしていっても、「上昇と下降」のように、始まりと終わりがつながって、ぐるっともどに戻ってしまうような仕掛けがなされているような気がしてしまうのも、伊坂マジックの術中に嵌っている証かも知れない。 この恐ろしく複雑なプロットを用いて伊坂が描かんとしたことは、詰まるところ「佐々岡」の言葉、 「昨日は私たちが主役で、今日は私の妻が主役。その次は別の人間が主役。そんなふうに繋がっていけば面白いと思わないか。リレーのように続いていけばいいと思わないか?人生は一瞬だが、永遠に続く」 に表れている。そして、伊坂は、最後に人生を肯定的に捉えて、こう締め括る。 ”ラッシュライフ−豊潤な人生” 衝撃度では「オーデュボンの祈り」、読みやすさやエンターテインメント性では「重力ピエロ」に劣るが、才人伊坂を堪能できる一冊である。 | ||||
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オリジナルは2002年7月リリース。伊坂幸太郎の第2作(正確には1996年に『悪党たちが目にしみる』でサントリーミステリー大賞佳作を受賞しているので第3作、でもこの作品を読むのはかなり困難だ)。 読了後最初に思い浮かべた小説は村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』だった。あの作品は2つのストーリーがパラレル・ワールドのように進行する面白さがある。ところがこの作品は5つのストーリーが時間軸をずらしながら同時進行する。その5つがラストに向かって絶妙に絡み合う。むしろ近いのは映像作品でクリストファー・ノーランの『メメント』あたりかもしれない。このストーリーが最終的に絡み合う巧妙さと会話の絶妙さが伊坂ワールドの真骨頂と言うべきなのだろう。つまり、最後にいくほど伊坂作品は面白い。 その上に彼の作品群が相互に時間軸をずらしながら同時進行を始めている。この本で登場する黒澤は『重力ピエロ』にも登場する。著作を積み上げるたびにその傾向は増すだろう。こいつは凄い、と唸らされる作品だ。 | ||||
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解説によれば、著者は「ハリウッド映画のような小説ではないものを」と言って、本作を書いたとのことだが。。。 正直、この群像劇はきわめて映画的(ハリウッドかどうかは知らないが)だと思うし、映画でこそ見てみたいという気がしないでもない。 一見別々に見える5人の視点の物語が、後半お互いの接点が見えるに従い、収れんしていく。 この5人の視点が交互に語られ、時間軸も必ずしも一直線ではなく、この5人がそれぞれちょっとずつずれた時間経過で語られるため、ちょっと複雑な感じは否めない。 正直そのおかげで、各人の人間性の掘り下げが若干浅かったのではないかと感じた。出来事そのものが、かなり突拍子もない感じのものばかりで、その事件の深掘りに比べ、人物像が微妙に浅い感がなきにしもあらず。 だから、ドラマとしてはイマイチの感じがする。 ただ、いっぽうで群像劇だからこその全くの他人の人生の交差がなかなか巧妙で、ビジュアル的でもある。互いに全く知らない者が、いつのまにか交錯し、知らないうちに人生に影響を与えてしまったている。 なかなか興味深い。 ここらは、映画として表現されたものが見てみたい、と思う。 人間を十分に書ききってない点で、ドラマ性に不満があるが、ある意味実験的な作品作りであったと感じた。 | ||||
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最初のページに載っており、作中にも出てくるエッシャーの騙し絵が全てを象徴しています。 初めは階段など何もない、平らな屋上を歩いていたのに、 気がつけば足元に階段ができていた、そんな感覚を覚えました。 恐るるべき、もはや詐欺的と言えるほどの構成で、騙されていたと知った中盤以降は、 こんがらがっていた糸が徐々に解けていく快感が怒濤のように押し寄せてきます。 何故この作品が直木賞を受賞していないのか疑問に思うほどの、 かえって直木賞の権威すら疑ってしまうほどの作品です。 | ||||
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はじめて伊坂作品読みましたがいいです! 何がいいかって、わかりやすいし、 読みやすいし、おもしろい。 小説にありがちな、気取った小難しさとかないし、 わけのわからないいっちゃってる感じもないけど、 でもちょっと現実から遊離している、 そのバランス感覚というか距離感が、 非常によく、おもしろいながらも、 どこかでしっかり考えさせられる、 実によくできた小説です。 | ||||
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なによりもタイトルが、 手に取りたくなるかっこよさがあると思う。 思わず手がのびた。 触ってみると、文庫の厚みもちょうど手ごろ。 潰される様な苦境に追い込まれた人たちが 瞬間的にすれ違い、出会い、別れ それぞれの光と陰に踏み入れていく話。 読んでそんなに重たくはならない。 むしろ本のテンポに乗って 自分の次に弾みがつく感じ。 シンプルな心地よいテンポ。 心を少し落ち着けたい人は このシンプルなテンポが目安になって ゆったりしてくるんじゃなかな。 | ||||
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多彩な作風を持つ伊坂氏が今回は視点が複数の並行進行型のストーリーに挑む。舞台は伊坂氏馴染みの仙台で、折りしも連続バラバラ殺人事件が起こっている。 登場人物は「重力ピエロ」の黒澤(本作では空き巣役)、失業者の豊田、不倫相手の妻の殺害を企む驕慢な精神科医の京子、高橋と言う教祖的存在を中心とする新興宗教風組織に染まった河原崎、傲慢な画商の戸田と新進画家の志奈子。彼等の繋がりは、京子が用意した拳銃を豊田が偶然拾うくらいで良く見えない。日本人からアンケートを取る白人女性が訳ありそうに描かれるが、どう関係するかは不明。老犬、異国の宝クジ、赤い帽子等の鎖の断片も示される。しかし、黒澤が入った家で出会った佐々岡が、黒澤の元同窓生かつ志奈子の元恋人と言うのは流石に偶然過ぎるだろう。黒澤のお得意先の一軒が豊田をリストラした舟木と言うのも偶然過ぎる。そして、豊田と拳銃の関係は哀愁から復讐へと移って行く...。この小説は何処に向かって行くのか ? 五里霧中な展開の中、京子の不倫相手の青山が人を轢き、その死体がトランク中で瞬時にバラバラになり、一方、河原崎が「神」である高橋の解体作業に係る辺りから物語に求心性が出て来る。更に、トランク中のバラバラ死体が繋がってトランクから抜け出す描写の場面では、新手のミステリかと思わせるが、如何せん結末はすぐそこ...。 新しいタイプの小説である。本作の趣向は「そんな偶然性の高い人間関係はないだろう」と言う非難を覚悟の上で、伊坂流"騙し絵"を描いたものと言える。個人的には、黒澤以外は河原崎と豊田に的を絞った方が上質の作品になったと思うが。「ラッシュライフ」の意味を作者は結末で「豊潤な人生」としているが、「駆け巡る人生」の方がふさわしいと思った。 | ||||
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おなじ時代、おなじ地球のおなじ国のおなじ季節に 生きる不思議さを感じます。 ひとりの作家の本が縁であつまる不思議な人に感謝します。幸運をお互いにつかみましょう。 | ||||
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独特のキャラと予想のつかない展開が持ち味の作者の第2作は、前作にも増して内容が練られ、その不思議な魅力が一層凝縮されました。 従来の小説とは異なり、作者の作品は何かが起こり、展開し、そして解決する一連の過程を語ることを目的としていないようで、そこが最大の魅力と感じています。本作でも、独自の設定に基くシーンが次々と積み重なって行く様を心ゆくまで堪能しました。 尚、技巧が好きな人は「騙し絵」の仕掛けを絶賛するでしょうが、そういったテクニックに走らずとも十分に魅力的なオリジナリティーに溢れた世界を確立していますので、そちらの方にこそ集中して欲しいと思います。 | ||||
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なんで?なんで?え?で、どうなるの?って感じで、ページをめくるのがとても楽しかったです。 | ||||
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この著者の作品は本当に会話のテンポがよくすらすら読める。この作品も例外ではなく、全然違う状況を描いているにも関わらず、その状況にあったテンポで会話が進んでいて心地よい。たとえば、好きな日本語を書いてくださいとお願いする外国人女性に対して、各物語の主人公がとる態度は様々だが、どの主人公もきちんと自分の状況を考えた日本語を表現している。僕がお気に入りの人物は泥棒の黒澤で、泥棒という相手に迷惑をかける立場にも関わらず、いくら盗んだとか他のものはとっていないというようなメモを残していくようなところ、老婦人に拳銃で脅されても軽口をたたいてやり過ごすところが人生を超越している感じがして心地よかった。 | ||||
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初めて読んだ著者の作品。5(8)人の視点から語られる物語が、時系列もバラバラに描かれて(しかもそれは終盤までわからない)いるのだが、それがラスト近くになるにつれ見事なまでに一本の太い糸となり物語として完結している。細部に渡るまで考え抜かれた見事な構成だ。端正な文体も好印象。こういう小説を読むと小説家という職業は才能が必要なんだなぁと感じてしまう。 登場人物個々に強烈な魅力は感じられないのだが、この作品は群像劇であり突出したキャラクターの存在が逆に作品の魅力を減じてしまうような気もするので、これはこれでいいような気もした。 小説を読む醍醐味を感じさせてくれた一冊だった。 | ||||
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文章の天才、伊坂幸太郎の一つの最高峰かな?この作品に全てを求めるのはナンセンスだし、全てを求めれば、凡庸な三文小説に成り下がりますよ。そもそも小説とはそんなものではないでしょうか、個性(偏り)があるから面白いんだと思います。きっと完璧な小説なんて面白くないですよ(皆さん教科書的な展開や結末をお求めのようですが、この作品のように作者と読者のイマジネーションの融合が楽しめる作品も珍しい。ということは、読者のイマジネーションも求められる。)。この作品は、伊坂幸太郎の構成力が一番楽しめるのではないでしょうか?だってこんな話、伊坂幸太郎以外には書けないでしょう。誤解のないように付け加えると、物語はいい。皆さん無い物ねだりは良くないですよ。読者に委ねられた役割を楽しみませんか? | ||||
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「重力ピエロ」のあとに読んでしまいましたが・・・ 先に読んでいればよかったかもしれません☆ 非常に構成が巧妙で、 最初は何だかわからなかったのが、最後のほうは どことどこが繋がるのかわくわくして読めました。 時間軸のずれが明らかになってからは 予測立てて読むこともできましたね。 全員が何らかの答えを出して終わりとなればもっと よかったと思います。 残念ながら女性陣は踊らされていたような気がします。 一番救われたのは一番無残と思われた無職の男性でしょうか。 ミステリーというよりはエンターテインメント。 誰でも楽しめる作品だと思いました。 | ||||
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何の関係もないと思っていたものが結びついたとき、 人はおもしろいと感じる。 本書はその連続だった。 5つの物語がつながっていることにだんだん気づき はじめ、予想もできない関連性に思わず感嘆の声を あげたくなる。 セリフや細かい出来事まで細部にわたり網の目のよ うに絡み合っていく。一度読んだだけではその細部 にわたる技巧まで気づけないかもしれない。 本書は一気に読むことをオススメする。細かい関連 性を味わうためには、一晩おいては、おもしろさが 半減してしまうのだ。 個々でバラバラに存在していた点が一つの線として つながったときの爽快感をぜひ味わってほしい。 きっと、人生もこんなものだろう。 人と人はどこかでつながっていて、関連しあいなが ら生きている。 | ||||
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まさに駆け抜けるストーリー 様々な糸がほぐれて・・・ほどけて こんな展開があるなんてとおもわせる・・・ うまいですね 伊坂幸太郎 これからも目が離せないですね・・・ | ||||
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5つの場面を絶妙なタイミングで混ぜ合わせてひとつの作品に仕上げてある。 一つ一つの話だけを切り取っても楽しいがそれが絡み合って更なる真実が浮かび上がってくる喜びと楽しさというのは面白い。 私は個人的な趣味で違う小説を5冊くらい同時に読んでその5冊を一つの物語世界にして読み進めていくという読書の仕方を好んでするのですが、本作の場合その興奮を一冊で味わえる。 しかも彼の著書はそれぞれの作品同士で出来事や登場人物を大袈裟にならない程度にリンクさせていくのが巧みなので本書を読みながらでも違う作品の出来事が頭に浮かぶこともよくある。 「あらゆることが同時に起きている」と小説の中で実感できる面白さを味あわせてくれる。 小説版パルプフィックションといったところか・・・が、文章という媒体ならではの面白さが突出している。 ところどころ登場人物の説明口調がうっとおしく感じ「もっと読者の想像力を信じてくれよ」と言いたくなる場面もありますが、この面白さの前では取るに足らないことですね。 誰もが主役のようで誰もが端役という世の中を俯瞰したような全体像が私は好きです。 目的や意味というものを押し付けずただ淡々とストーリーが進み「感じられる奴だけ感じろや」というブン投げ具合がたまりません。 一年くらいして再読しても楽しめる作品だと思います。 | ||||
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泥棒・黒澤と画廊経営に失敗した佐々岡が バッタリ「旧友との再会」を演じてしまう あたりが私は好きです。 黒澤と佐々岡の会話が興味深い。 黒澤の分析によれば(P276) 真面目ではあるが人を信頼して裏切られ 地面の上に立っているかどうかも疑わしい 男=佐々岡よりも、金や地位を重んじ 履いている靴がどこのブランドであるかを 気にする、現実的な佐々岡の妻の方がよほど頑丈だ・・・ ということらしいが・・・・ ラストでは、ちょっと異なる展開となる。 この女=京子、そして金に物言わせる画商・戸田だけが この小説の中で、「着地」していないように思える。 この二人が、その後どうなったのかが知りたい。 ** 本屋大賞受賞おめでとうございます! | ||||
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エッシャーの騙し絵を この話の主軸に置き 五人の主要人物それぞれの視点から 物語が始まり 結末へと繋がっていくのが この話の大まかな流れです。 しかし伊坂光太郎のすごいところは この人物たちを 単に複雑に交錯させるのではなく "エッシャーの騙し絵"を見事に組み込ませ また"ラッシュ"の四つの意味を それぞれの心象の描写に入れてきた点が 他の小説家と一線を画していると 私は感じます。 また時間の系列がバラバラで それが最後まで読むと 以前の話の時系列がわかり 各話が実は密接にリンクしていることに 気付くと思います。 おそらく映画の「21g」を見たことのある人は このような構成を思い出すと思います。 私は個人的に 黒澤が好きでした! | ||||
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伊坂ワールド満開のこのストーリーに脱帽。ところどころでちょっと無理があるかなという展開が気になったので星は4つ。でも、ジグソーパズルが出来上がっていくような、アメーバがじわじわとくっついて一つになっていくようなストーリーは、読み始めると止まりません。それと、随所に「オーデュポンの祈り」「陽気なギャング〜」など伊坂幸太郎の他の本のエピソードがおしゃれにちりばめられているのも、伊坂ファンとしては楽しめました。 | ||||
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