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(短編集)
大きな熊が来る前に、おやすみ。
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大きな熊が来る前に、おやすみ。の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.88pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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焦がれていた明るい場所に出られても、ずっとそこで暮らしてきた人とは分かり合えず、また他の暗くて狭い穴蔵へと戻ってしまう。自分と同じような闇を抱えているひとといると安心した。こんな場所にいるのは自分だけじゃないと思えるから。外にあるたくさんの「普通」は、手に入らなければないものと同じだった。私たちにしか見えない、不安定ななかにあるささやかな幸福を食べて生きていく。 あなたが羨ましい。あなたに認められたい。それがどうやっても叶わないなら、あなたが消えて。 読後からずっと、胸につっかえた何かが取れない。 | ||||
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徹平と暮らし始めて、もうすぐ半年になる。だけど今が手放しで幸せ、という気分ではあまりなくて、むしろ転覆するかも知れない船に乗って、岸から離れようとしている、そんな気持ちがまとわりついていた―。新しい恋を始めた3人の女性を主人公に、人を好きになること、誰かと暮らすことの、危うさと幸福感を、みずみずしく描き上げる感動の小説集。 | ||||
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初めての島本理生。 3篇に出てくる女の子たちの気持ちがなんとなくわかるなぁ、うまいなぁ、とふんふんと頷きながら読みました。 『クロコダイルの午睡』の地味な霧島が、ズバッとものを言う都築と出会って、男性の求めるものが自分にはない…という葛藤が、わかるなぁと思いつつも、無理におしゃれをして出掛けるシーンでは、無理すんなー!って声掛けたくなるような(笑)こういう女の子、結構多い気がします。 最後の『猫と君のとなり』の荻原くんは好青年すぎますね。胸きゅんv(--*) 機会があれば他のも読んでみようかなぁと思います。 | ||||
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この短編集に登場する主人公の女の子たちは、マスコミがショーバイ的に造形し、彼女たちと接点のないオジサンが勝手に夢想する“今どきの若いコたち”の規格からは外れている。例えば主人公は、「彼女に代表されるような、苦労もせずに与えられた平和の中で平気で文句を言える、そういう育ちの子たち、すべてが憎いのだ」なんて世をすねたようなことを独白しちゃうような女子なのだ。一方で「他人から必要とされたり求められることに、どうして私の心はこんなにも弱いのだろう」なんて言いつつ、カノジョのいる男にきまぐれに呼び出されると、慣れない化粧をしたり、似合わない服を買ったり、閉店間際のディスカウントストアに自転車を走らせ、ホットカーラーまで買っちゃうような面もある。このかっこ悪さ、トホホぶりが鬱陶しくも、いとおしいんだよな(いや、逆か)。でも、このイタい感じに読者は共感とか反感とか何らかの感情を触発される訳で。表向きはひとり生活に価値観を見出そうとしている主人公だけど、人一倍、人とのつながりを求めてるんだよね(ファザコン的幼児体験も起因)。しかし、こういう地味めでまじめでモテない女の子の造形って昔も今も変わんない。野暮ったくて、料理はうまくて、その実、すっげー恋愛に飢えていて(そういうコたちの男趣味ってのも昔と変わんない)。結構、そこら辺の、綿矢りさ的でも金原ひとみ的でもない、実はもっともボリュームゾーンであるだろう女の子たちの最大公約数的な心情、風俗を掬い取ってるってとこが、島本理生の評価できる点である(文学としての優劣とかじゃなく)。 「煉瓦造りのパン屋は、小さいけれど良い仕事をしていて」なんて年長者からするとかなり恥ずかしい表現も散見するけど、その若気の至りっていうか、本人の自覚しないところで色々さらけ出しちゃっているあれこれが読んでいて楽しい。著者と主人公が等身大なんだよね。 | ||||
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